これは、世界中の博士課程の学生にとって、共通の関心事です。ここでは、どちらが良いかということではなく、あなたの判断の一助となるようなアドバイスを送りたいと思います。なぜなら、すべての人に合った「正解」の道は存在しないからです。
どの道に進むべきかの判断材料としては、あなたの関心対象や傾向(教えるのが好き、書くのが好き、科学コミュニケーションが好きなど)、母国と海外でのキャリアパスの機会(外国で働くことを視野に入れている場合)、自分の専門分野(広義の専門分野から、博士論文の研究テーマにしたような特定の専門分野まで)におけるキャリアの機会などが挙げられるでしょう。これらについての詳細は、過去の質問を参考にしてください:大学に残るか、産業界でポストを得るか
以下に、それぞれのキャリアパスのメリットとデメリットをまとめました:
学術界
学術界での職は、テニュア(終身在職権)を取得した場合以外は、安定しているとは言えません。テニュア職は、ポストが限られていて競争が激しいため、誰もが手に入れられるものではありません。このポストを得られなかった場合は、失望と共に、「時間を無駄にした」と感じることもあるでしょう。
また学術界での報酬は、産業界と比較すると、(若手の場合はとくに)高いとは言えません。ただしベテランの研究者になると、金銭面でもそれ以外の面でも、報酬や福利厚生の条件は著しく改善される場合があります。
産業界
産業界では、若手もベテランも、より高い報酬を得ることができます。起業して事業が成功すれば、より大きな収入を得られる可能性もあります。一方、テクノロジーによって急速に変動する今日の社会では、産業界の職に「雇用の保障」というものはありません。
以上はあくまでも、両者のおおまかな特徴にすぎません。学術界と産業界の狭間や、それ以外の領域にも、さまざまなキャリアの機会が存在しています。それらの概要については、次の記事を参考にしてください:博士号取得者とポスドクのためのキャリア15選
また、学術界から産業界、あるいは産業界から学術界に移ることも可能です。その場合は、実体験を通して、息長く続けられる自分に合ったキャリアパスを探っていくことができるでしょう。この点についての詳細は、以下のインタビュー記事を参考にしてください:「博士課程取得後のキャリアパスは、学術界だけではありません」
博士課程取得者やポスドクのためのキャリアガイダンスに関するシリーズ記事も、ご覧ください:この先どうする?博士号取得者とポスドクのためのキャリア・アドバイス