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政府系助成機関の審査プロセス改革に研究者が抗議:カナダ

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政府系助成機関の審査プロセス改革に研究者が抗議:カナダ

カナダの生物医学研究を支援する政府系助成機関、カナダ保健研究機構(CIHR)が助成金の評価システムを改革したところ、1000人以上のカナダの研究者から抗議の声が上がりました。同国の科学的進歩を阻害するとして、多くの研究者がこの抗議に賛同しています。

カナダの生物医学研究を支援する政府系助成機関、カナダ保健研究機構(Canadian Institutes of Health Research、CIHR)が助成金の評価システムを改革したところ、1000人以上のカナダの研究者から抗議の声が上がりました。同国の科学的進歩を阻害するとして、多くの研究者がこの抗議に賛同しています。


CIHRは2011年、助成の流れや申請書の書き方、そして審査の過程を大幅に変更しました。これらの変更はすべて批判的にとらえられましたが、とくに審査方法への批判は厳しいものでした。申請書の審査は、もともとは53名の分野別の専門家委員が対面で行なっていました。しかし、CIHRは新たにオンラインシステムを採用し、140名の研究者がすべての申請書をインターネット上のチャットルームで評価する方法に変更しました。変更の提案者によれば、この方法なら学際的プロジェクトが承認される確率が高まり、審査員の疲労も軽減できるということです。


しかし批判者側は、ジェーン・フィルポット(Jane Philpott) 保健相宛ての公開書簡で、これらの変更を即刻もとに戻すよう政府に要求しました。公開書簡に署名した研究者は、CIHRが助成金申請の募集を資金不足のために2件キャンセルしたことにより、その後の2015年度の助成金申請の募集に保健分野の研究者が殺到することになった指摘しています。また、書簡によると、批判者側の忠告にもかかわらず、CIHRは審査にふさわしい能力を備えた審査員を十分に確保することができなかったということです。その結果、審査過程は混乱し、応募者は申請書の再提出もできませんでした。公開書簡の草稿を考えたマウント・サイナイ病院(トロント)のルーネンフェルト・タネンバウム研究所(Lunenfeld-Tanenbaum Research Institute)で所長を務めるジム・ウッドゲット(Jim Woodgett)氏は、「審査過程の質全体がすっかり低下してしまった」と不満を表明しています。


この状況に対処するため、カナダの研究者はCIHRに対し、審査過程を改革前の状態に戻し、新過程についての評価を国際的な専門家に依頼するよう求めています。批判者側はまた、代表者とフィルポット保健相との会見を要求し、問題について話し合った上で解決するよう求めています。一方、CIHR理事長のアラン・バーデット(Alain Beaudet)氏は批判に対し、「実際は資金不足による影響であるのに、改革の結果だとする誤った解釈が一部でなされたために、利害関係者の懸念が増大した」と述べています。フィルポット保健相は、科学相が設置した審議会で、CIHRの改革に関する問題を討議することを研究者たちに約束しています。


参考記事:

Scientists protest in frustration over federal research funding chaos

In Canada, outraged health researchers demand end to peer-review changes

Scientists urge health minister to stop 'failed experiment' at CIHR


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