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論文を読みやすくする5つのヒント

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論文を読みやすくする5つのヒント

論文とは、幅広い読者の興味を引きつつ、研究を最大限に表現するものでなければなりません。単に科学的成果を伝えるにとどまらない、読者にとって興味深くエキサイティングな論文を書くのは、きわめて難しいことです。この記事では、執筆スキルを高めて読みやすい論文を書くための5つのヒントを紹介します。

単に科学的成果を伝えるにとどまらない、読者にとって興味深くエキサイティングな優れた科学論文を書くのは、大変難しいことです。なかには難なく書いてしまう人もいますが、たいていの人にとっては、非常に骨の折れる作業と言えるでしょう。


論文の出版前は、まずジャーナル編集者と査読者の興味を引く必要があります。いざ論文が出版されたら、キャリア形成において「被引用数」の重要性が増している今、論文をより多くの人に読んでもらわなければなりません。私は大学院時代に初めて論文を執筆しましたが、書くことに神経質になりすぎたために、執筆をできるだけ先延ばしにしていました。書くことより、ほかの科学コミュニケーションを楽しいと感じていたのです。もちろん、学位を取るためにいつかは書かなければならないと承知していましたが。


しかし、時間がたつにつれて私の嗜好も変化し、今では書くことを楽しんでいます。論文を書くことはクリエイティブで楽しい作業ですが、論文とは、幅広い読者の興味を引きつつ研究を最大限に表現するものでなければならないということを忘れてはなりません。この記事では、私の論文執筆スキルを大いに高めてくれたコツを紹介したいと思います。

1. 考えをまとめる:研究結果を伝えるすべての要素が含まれた、読者にとって読みやすい整合性のある論文をまとめ上げるのは、長い道のりです。簡潔明瞭な論文を書くためには、自分の考えを整理することが最初の一歩となります。仮説や研究の目的をしっかりと理解し、その目的が設定された背景を整理しましょう。研究の詳細や論理的考察は、その後に付いてくるものです。また、論文の潜在的読者を把握し、目指す読者層に応えるように論文を書くことで、より分かりやすい文章を書くことができるでしょう。

2. 最初のページは目を引くものに:タイトルアブストラクトは、読者が最初に目にする部分です。このセクションは、オープンアクセス誌か有料誌かによらず、無料で公開される唯一の部分です。したがって、タイトルとアブストラクトは、簡潔で興味を引き、なおかつ論文全体をうまく要約したものでなければなりません。


無数の論文の中から自分の論文を見つけてもられるように、効果的なキーワードを設定しましょう。ただし、ターゲットジャーナルのガイドラインは順守しましょう。多くのジャーナルが語数制限を設けているほか、略語の使用が禁じられている場合もあります。また、アブストラクトを「背景と目的」、「方法」、「結果」、「結論」などの副題をつけて書くよう指定しているジャーナルもあります。アブストラクトとは言え、このスタイルで文章を書くことはよい訓練になるでしょう。


まずは、研究を行なった理由と、研究の主要課題もしくは目的の説明から始めます。研究の新規性についても簡潔に述べましょう。次に、基本的な研究デザインや主要方法論を含む研究の方法について説明します。続いて、この方法によって明らかになった主な結果を述べ、最後に、この研究によって分野や読者に与えられるインパクトとメリットを説明しましょう。アブストラクトは、伝えたい関連情報をすべて含んでいると同時に、シンプルかつ簡潔明瞭でなければなりません。


最近では、アブストラクトのほかに、グラフィカルアブストラクトやビデオアブストラクト一般語訳を含めることを認めるジャーナルもあります。これらは研究をより分かりやすく伝え、論文をより読みやすくするツールです。

3. 第三者の視点で論文をチェックする:論文を書く際は、読者は自分ほどその研究に詳しくないということを忘れてはなりません。したがって、反復や拡大解釈をすることなく、伝えたい情報を正確かつ簡潔に述べましょう。シンプルでありながらも印象的な文章を心がけてください。専門用語の使用や回りくどい表現のほか、差別的な表現や過度にくだけた表現も避けましょう


私が初めて論文を書いたとき、自分では研究を細部まで把握していたので、書いてあることを完全に理解することができました。しかし、論文を校正してもらった同僚からは不備を指摘され、多くの質問をされたので、結局、論文の大半を書き直すことになりました。このように、できるだけ同僚に論文をチェックしてもらい、第三者の貴重な視点を取り入れるようにしましょう。こうすることで、論文のさまざまな要素をブラッシュアップすることができます。英語を母語とする同僚にチェックを頼めれば、言語の問題も同時に確認することができます。

4. 完結したストーリーを伝えるために必要なデータだけを漏れなく含める:論文は、完結した1つのストーリーを伝えるものです。どのようなストーリーを伝えたいのかを最初に考え、そのストーリーに必要な関連データをすべて含めるようにしましょう。あなたが大学院生なら、ストーリーに必要なデータよりもはるかに多くの実験をこなしてきたことでしょう。しかし、すべてのデータを含める必要はないのです。ストーリーを語るために必要なものだけを含めるようにしましょう。


出版点数を増やすためだけにデータを複数の論文用に分割することには、注意が必要です。ICMJEガイドラインの重複出版やサラミ法に関する規定をよく読み、倫理的規定を順守しましょう。一方で、論文を書き進めるうちに、結論を引き出すために必要な重要データが不足していることに気付くことがあるかもしれません。可能であれば、この段階で必要な追加実験を行い、データを加えることが望ましいでしょう。


追加実験を行う余地がない場合は、考察セクションで研究の限界として示し、データを追加できなかった理由を説明しましょう。こうすることで査読者や読者に、課題として考慮はしたものの、この論文に載せることはできなかったということを伝えられるでしょう。

5. 効果的な図表を作る:研究を効果的に伝えるための5つ目のポイントは、データの表現方法についてです。一般的に、データは図(折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ、画像など)や表を用いて表現します。適切なフォーマットを選ぶようにしましょう。


読者は、図表によって大筋を理解するということを忘れないようにしましょう。図表は、本文を読まなくてもキャプションや凡例だけで理解できる、独立したものでなければなりません。また、本文と図表で情報が重複しないように注意しましょう。ジャーナル編集者は、くどい論文ではなく、簡潔な論文を好みます。

 


書くことが好きでも嫌いでも、科学や研究の道を追求するつもりでもそうでなくても、ライティングスキルを磨くことはきわめて重要です。でも、心配はいりません。あなたも、私と同じような成長曲線をきっと描けるはずです!


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