研究者は往々にして、「なぜ」ある物事がそのように起こるのか、「なぜ」人々がそのように振る舞うのか、「なぜ」ある政策がそのように機能するのかといった問いに突き当たります。こうしたさまざまな「なぜ」「どのように」という問いに取り組む上で、とくに人間の行動や意図を追求する場合、量的手法は概して有効ではありません。一方、質的研究は非常に有効です。なぜなら、質的研究ではありのままの人々を調査することができるからです。それゆえに質的研究では、研究テーマを浸透させ、そこからの理解を実践することに時間がかかります。この記事では、質的研究の概要をつかむことを目指したいと思います。