句読点は、著者にとって便利な道具箱といえます。正しい道具の選び方とその使い方を指南する日曜大工のガイドブックがたくさんあるように、句読点に関する本も数多くあります。『Punctuation . . ?』は、たった36ページという短さで、アポストロフィーからセミコロンまで、句読点に関するアドバイスが分かりやすく紹介されています。
句読点は、著者にとって便利な道具箱といえます。正しい道具の選び方とその使い方を指南する日曜大工のガイドブックがたくさんあるように、句読点に関する本も数多くあります。しかし、そうしたガイドブックのほとんどは、文法を十分に理解した上で読む必要があり、その内容は熱のこもったもの(Eats, Shoots & Leaves1)からあっさりしたもの(The Penguin Guide to Punctuation2)、高度に専門的なもの(The Best Punctuation, period3)まで多岐にわたります[1–3]。ですから、エディテージ・インサイトの読者の皆さんにぴったりの『Punctuation . . ?』を見つけたときは、嬉しく思いました。本書はたった36ページという短さで、アポストロフィーからセミコロンまで、句読点に関するアドバイスが分かりやすく紹介されています。それぞれの句読点は名前のアルファベット順に並べられており、挿絵の漫画が楽しい雰囲気を添えています。
著書は著者の視点を表すものと言いますが、句読点の本もまったく例外ではありません。Eats, Shoots & Leavesが熱を帯びているのは著者のリン・トラス(Lynne Truss)氏がアナウンサーだからであり、Penguin Guideが淡泊なのはトラスク(Trask)氏が学者だからであり、The Best Punctuationが専門的なのはジューン・カサグランデ(June Casagrande)氏がプロのコピーエディターだからでしょう。そんな中で『Punctuation . . ?』が抜群に使いやすいのは、トーマス・ボーン(Thomas Bohm)氏がユーザー中心設計とタイプセッティング(組版)の専門家だからです。
文法をよく理解していれば、句読点を効果的に使うための助けとなるので、『Punctuation . . ?』で使用される文法用語には全て説明がついています。例えば、「名詞とは、人、場所、物の名前として使われる単語です」という具合です。そしてきわめて簡潔な文体で書かれているので、英語が第一言語でない人には助かります。各句読点についていくつかの例が挙げられていますが、これは詳細に説明するよりも効果的な方法です。実際、本書は2012年の英国のブックデザイン賞(British Book Design and Production Awards)の「様式(Environmental)」部門で次点に選ばれました。
普段の執筆の中で句読点を正確かつ効果的に使えるようになりたい人にとって、3000語で1時間以内にしっかり学ぶことができる『Punctuation . . ?』は、うってつけの本だといえるでしょう。
[1] Truss L. 2003. Eats, Shoots & Leaves: the zero tolerance approach to punctuation. London: Profile Books. 209 pp.
[2] Trask R L. 1997. The Penguin Guide to Punctuation. London: Penguin Books. 162 pp.
[3] Casagrande J. 2014. The Best Punctuation Book, period: a comprehensive guide for every writer, editor, student, and businessperson. New York: Ten Speed Press. 249 pp.