ジャーナルに論文が受理され、オンライン版に掲載されました。しかし、その後で問題が出てきました。実は、謝辞に名前を載せた某ジャーナルの編集者の名前は、後から追加したものでした。そのジャーナルには、以前に論文を投稿して掲載拒否されたことがありました。でも、そのジャーナル編集者のコメントは論文の改善に大変役立つもので、こちらの質問にもとても的確な解決方法を示してくれました。後日、論文を修正して別のジャーナルに投稿したところ、受理されたのです。論文の修正中にその編集者の名前を謝辞に追加したのですが、本人には知らせませんでした。
ところがこの編集者が、私の論文を出版したジャーナル編集主幹にメールを書いたことで問題が発覚しました。本人曰く、私の論文には貢献していないし、許可なく名前を載せることは倫理規定に反するというのです。
論文はすでにオンライン出版されていますが、撤回しなければなりませんか? 何か打つ手はあるでしょうか。
あまり深く考えることなく謝辞を書き、後で問題に見舞われる著者は大勢います。謝辞の執筆にあたって守るべき規定や慣例は知っておくべきでしょう。
謝辞に名前を載せるのは、論文の執筆を支援してくれた人に感謝の意を示すためです。しかし、直接的な貢献をしていなかったり、貢献した自覚がなかったりすれば、名前を載せられた人が驚くのも無理はないでしょう。この場合あなたのしたことは、本人にとってまったく予想外の出来事となります。通常、査読者や編集者の名前を謝辞に入れる人はあまりいません。また、編集者と個人的な面識があったわけではなく、研究に直接的な貢献をしたわけでもないので、謝辞に名前を入れる前に一言了解を得るべきでした。
しかし、論文の撤回まで心配する必要はありません。(さすがにそれはないでしょう。)論文が撤回されるのは、研究に不備があったり、研究に関わる倫理違反があったりした場合に限られます。
この問題には、以下の2段階で対処するとよいでしょう。
1. 自分の判断に誤りがあったことを認め、謝辞に名前を載せてしまった編集者に謝罪のメールを送りましょう。そして、このことを正誤表に記載すること、そしてジャーナルのオンライン版の次回更新時に編集者の名前を削除することを、論文を出版したジャーナルの編集主幹に依頼するつもりであると説明した上で、そのような対応をとってよいかどうか、本人に確認しましょう。
2. 論文を出版したジャーナルの編集主幹にメールを出しましょう。自分の判断が誤っていたことを説明し、上記のような訂正を行なってもらえるよう依頼しましょう。