国際純正・応用化学連合( IUPAC)から、昨年12月に元素周期表への追加が承認された4つの新元素の名称案が出そろいました。命名ガイドラインによると、元素には、神話的概念、科学者、場所・国、地名、鉱物にちなんだ名称を付けることが可能です。
国際純正・応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry, IUPAC)から2015年12月に元素周期表への追加が承認された4つの新元素の名称案が出そろいました。この4元素にはこれまで、ウンウントリウム(Unt/113番元素)、ウンウンペンチウム(Uup/115番元素)、ウンウンセプチウム(Uns/117番元素)、ウンウンオクチウム(Uuo/118番元素)という仮の名称が付けられていました。IUPACはこれらの元素を発見した功績を認められた研究チームに、名称と2文字の記号を提案するよう依頼していました。命名ガイドラインによると、元素には、神話的概念、科学者、場所・国、地名、鉱物にちなんだ名称を付けることが可能です。
IUPACによると、113番元素は東アジア地域の研究チームによって命名される初の人工元素で、その発見は、理研仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の研究チームの功績と認められました。同元素が12年前に発見されたときは「ジャポニウム」(Japonium)という名称が提案されましたが、今回提案された名称は「ニホニウム」(nihonium)で、記号はNhです。IUPACは、「ジャパン」は日本語で「ニホン」であり、その文字通りの意味は「日が昇る国」だと説明しています。この案には、元素が発見された国との直接的な結びつきを表すという意図があります。
115番元素と117番元素はどちらも、ドゥブナ合同原子核研究所(ロシア)、ローレンス・リバモア国立研究所(米カリフォルニア州)、オークリッジ国立研究所(米テネシー州)の共同研究チームによって発見されました。115番元素の名称/記号にはモスコビウム (moscovium)/Mcが提案されました。これは、発見に至る実験が行われたロシアのモスクワ地域にちなんでいます。また、117番元素には、オークリッジ国立研究所のあるテネシー地域にちなみ、テネシン(tennessine) /Tsが提案されています。
118番元素に提案された名称はオガネソン (oganesson) で、記号はOgです。これは、共同研究チームが、数多くの超重元素の発見に貢献したドゥブナ合同原子核研究所の研究者、ユーリ・オガネシアン(Yuri Oganessian)氏(83歳)に敬意を表したいとして提案したもので、今回もっとも印象的な提案といえます。存命中の科学者にちなんで元素が命名されるのは、今回が2例目となります。最初の例は、米国の核化学の先駆者であるグレン・シーボーグ (Glenn Seaborg) 氏にちなんで、106番元素がシーボーギウム(seaborgium)と命名されたケースです。
IUPAC委員会は、5ヶ月間の公開レビューを経たのち、2016年11月に名称を公式に承認する予定です。
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