オランダ最大の研究資金助成団体であるオランダ科学研究機構 (NWO)が、再現研究のみを対象とする300万ユーロの研究助成を開始すると発表しました。研究者らによると、国家による助成金で再現研究に焦点を当てたものは世界で初めてだということです。
オランダ最大の研究資金助成団体であるオランダ科学研究機構 (NWO)は、再現研究のみを対象とする300万ユーロの研究助成を開始すると発表しました。研究者らによると、国家による助成金で再現研究に焦点を当てたものは世界で初めてだということです。
7月19日の発表によると、この3年間にわたる試験的プログラムでは、オランダの研究者たちが社会科学、保健研究、医療革新の分野における研究結果の再現を行うことができます。NWOは同プログラムの対象とする研究について、「基盤となる研究」、つまり「多く引用され、次に続く研究に甚大な影響を及ぼし、政策立案に大きな影響を与え、重要な政策決定の基礎となり得る」ものと述べています。NWOの理事会議長であるヨス・エンゲレン(Jos Engelen)氏によると、2018年まで毎年10件程度のプロジェクトに資金助成を行う計画だということです。多くの研究者は、再現研究の重要性に対する意識を高めるNWOの動きに賛同の意を示していますが、懐疑的な意見もあります。ハーバード大学の心理学者ダニエル・ギルバート(Daniel Gilbert)氏は、「非創造的な側面しかない研究にオランダ政府が資金をつぎ込むのは、職権乱用ではないか」と述べています。
NWOによると、自分自身の研究の再現研究が同プログラムの対象として許可されることはありません。また、不正の発見を目的としているわけでもありません。目的は、研究の透明性を高め、研究結果の完全かつ正確な報告を奨励することです。NWOは9月からプロポーザルの受付を開始し、この試験的プログラムの結果に基づいて、資金助成を行うすべての研究に再現研究を含めるかどうかを決定する予定です。
参考記事:
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