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ベテランジャーナル編集者/学術トレーナーから、著者への不朽のアドバイス

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ベテランジャーナル編集者/学術トレーナーから、著者への不朽のアドバイス
キャベン・マクローリン博士(ケント州立大学教授)は本インタビューで、学術界のあらゆるキャリア段階の研究者にとって有益なアドバイスを与えて下さいました。博士は過去25年間以上にわたり、分野を超えて乳幼児・新生児を対象として活動する指導的立場にある人々のための、連邦政府が財政支援をするトレーニングプログラムを運営してきました。またフルブライトスペシャリストとして、学術出版に関するワークショップを世界各地で開催しています。研究者としての業績も多く、100本以上の論文を出版し、10冊以上の書籍の執筆・編集・協力に関わりました。School Psychology International Journal誌の編集者も務めています。

学術出版の各種規定を若手研究者や大学教員に紹介しながら指導することに熱心な研究者に出会えたとしたら、どうでしょうか?きっと、キャリア計画からジャーナルでの論文出版まで、研究に関するすべてについての情報やヒントが詰まった宝の山をみつけたも同然でしょう!今回はケント州立大学教授のキャベン・マクローリン博士にインタビューを行い、学術界のあらゆるキャリア段階の研究者にとって有益なアドバイスをたくさん頂きました。

 

学校専属心理カウンセラーの資格を持つマクローリン氏は、オハイオ州最大の学校心理学整備プログラムで「幼少期における学校心理学」の指導を行なっています。また、特殊教育学級教員兼管理者であり、スクールカウンセラーでもあります。過去25年間以上にわたり、分野を超えて乳幼児・新生児を対象として活動する指導的立場にある人々のための、連邦政府が財政支援をするトレーニングプログラムを運営してきました。フルブライトスペシャリストでもある同氏は、そのプログラムの一環として学術出版についての情報を伝達し指導するためのワークショップを世界各地で開催しています。特にBRICKS諸国へ赴いて著者や大学教員を対象に出版規定に関する指導を行なっています。研究者としての業績も多く、100本以上の論文を出版、10冊以上の書籍の執筆・編集・協力に関わりました。また、School Psychology International Journalの編集者も務めています。


豊富で幅広い経験と、他の研究者たちと情報をシェアしようという情熱を持つマクローリン氏は、学術出版に関するあらゆるアドバイスを得るには正にうってつけの、素晴らしい人物です。さまざまな国の著者と関わった経験から、世界各地の研究者が直面する困難についても熟知しています。今回のインタビューでは、とくに発展途上国の研究者が直面しがちな課題についてどう考えているか、そしてそれらの課題をどう克服したらよいかを伺いました。また、学術誌に論文を投稿し出版することについて、「不朽のヒント」を頂きました。

フルブライトスペシャリストとしてのお仕事について、少し教えて頂けますか?

もちろんです!過去30年間、毎年必ず、大学教員の方々に海外でプレゼンを行なってきました。フルブライトと関わるようになったのは自然な流れでした。フルブライトスペシャリストになったのはほんの3年前ですが、その間に南アフリカの大学2校と南インドの大学1校(各大学に2度ずつ別々に訪問)を訪れました。南インドの大学にはもうすぐ3度目の訪問をする予定です。私の役割はずっと変わらず、ジャーナル編集者としての20年以上の経験と、もちろん専門分野の研究学者としての経験にも基づいて、大学教員がインパクトファクターの高い国際的に著名な英文誌で論文を出版できるよう支援することです。


長年の経験から分かったのは、大学教員は多くの論文を出版するよう期待されているのに、自分の研究を出版につなげるようなデザインを考えること、そして研究結果とその意義の価値を明確に示すことについて、基本的な手順に関する指導や支援がほとんど与えられていないということです。私のプレゼンテーションは、リソースが不足している国々、主にBRICKSA諸国と呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、韓国(中国はこのグループから外れつつありますが)の著者を対象としています。

マクローリン博士のお仕事では、世界中の研究者と関わるために、とくに第三世界や発展途上国を旅する必要があります。出版のベストプラクティスという面で、東西のギャップはあると思われますか?

ここ2年間で南アフリカとインドでプレゼンテーションを行い、トルコ、韓国、中国、そして母国米国の大学教員グループと話す機会を持ってきました。この間、ジャーナル編集者や自分の大学のプログラム管理者も務めていました。その関係で、さまざまな国で、異なる文化圏の影響、展望、正規教育のスタイルや学生への教育訓練について学ぶ機会に恵まれました。


欧米の著者が本質的に優れているとは思っていません。そうではなく、非欧米諸国の研究者には、6つの障壁があるのだと考えています。
 

  1. どの分野でも、非欧米人が編集する著名ジャーナルが少ないため、発展途上国には、出版の方法を教えたり、ロールモデルとなる人物が比較的少ない。
     
  2. 学部・大学院レベルで、ジャーナル編集者の興味を引きそうな研究のデザインの仕方について、指導がほぼまったくなされていない。
     
  3. BRICKS諸国の著者は、自分の研究の社会的・経済的・個人的に有意義な点を強調する形で研究結果や結論を示す方法がよく分かっていないことがある。(編集者は、素晴らしいデータがあるだけでは満足しません。そもそもなぜこのようなデータの収集が重要なのかということについての根拠を示してほしいのです。)
     
  4. 残念ながら、他人の論文をカット&ペーストする(つまり内容の複製あるいは剽窃)という文化がはびこり、いくつかの非欧米諸国の研究者全員がそのような目で見られ、編集者がこれらの地域の研究に疑いを向けるようになっている。
     
  5. BRICKS諸国の大学では、質より量を重視する学術文化が昇進の根拠となっている。(質・重要性・インパクトが高い研究を育てるよりも、意義や価値や重要性に乏しい論文の量産がむやみに珍重されています。)
     
  6. 質の高い論文をそれなりの量だけ出版することは可能だが、そのためには慎重にキャリアプランを練る必要がある。(これは、多くのBRICKS諸国の大学教員に欠けている要素です。)


まとめると、ご指摘の通り、世界でリソースがある地域と不足している地域の研究者の間には、大きなギャップが存在します。でも、世界中の大学教員と仕事をしてきた経験から、内部事情を知る人がアドバイスをシェアすれば、すぐに手軽に学べる教訓もあると言えます。そして、たまたまそういうことをするのが好きなのが私というわけです!

マクローリンさんは、(ケント州立大学の昇進・テニュア諮問委員会の委員として)大学のテニュア(終身在職権)関係の決定に助言を与える役割も担ってこられました。エディテージ・インサイトの読者の多くは、キャリアを積んでテニュアを得るのが順当なキャリア構築だと考える、若手研究者です。これらの研究者のために、テニュアの決定がどのように行われるのか教えて頂けますか?また、テニュアを得てキャリアを積んでいきたいと望む研究者にアドバイスをお願いします。

非欧米諸国の大学教員にコンサルティングを行うときはいつも、若手研究者が専門家としてのキャリアについて、どれだけ先の将来まで考えているのかを重視して、キャリア計画について質問します。そうすると、しばらく宙を見つめてから、「2、3ヶ月程度でしょうか」という意味合いのコメントが返ってくることがよくあります。欧米の研究者はたいてい何年も先まで明確なビジョンがあるので、そのような点が異なっています。
 

非欧米諸国の研究者には、私の大学の後輩教員と同じように、「立場や文脈を意識した宣言」(Contextual Statement)を毎年書くよう強く勧めています。これは「キャリアプラン」宣言として、次のような役割を果たします。(a) 来年の研究成果に含まれるものを予測する(客観的に「目標」として述べる)、(b) 少なくとも今後3年間の研究の軌道の計画を予測する(「研究で何を行うのか?」)、(c) 知的領域を見極め、提示された研究結果が各分野の優先事項とどう折り合うかを示す(「その研究が、分野においてどこに位置づけられるのか?」)。
 

そして、指導(メンターシップ)もまた、欧米でより価値が認められている要素だというのが私の考えです。欧米の研究者は、第一、第二のメンターや助言者をあげることができます。取り組み内容によって(規律に関すること、方法、テクニカルライティングなど)、異なるメンターを持つ人もいます。でも、海外の訪問先で交流する研究者には、これはほとんど当てはまりません。
 

欧米の研究者は、終身雇用をもたらすテニュアは、研究、指導、奉仕の結果得られるものだと理解しています。これらの評価が「十分」あるいはそれ以上で、少なくとも1つ(できれば研究が)「模範的」でなければなりません。この3つのうち、一番誤解されているのが研究です。私が訪問した欧米の大学では、教授はすべての側面において優れており、なおかつ特定の研究に焦点を当て、専門知識を有しているという点で高い評価を得ています。
 

率直に言って、お金を払って疑わしい偽ジャーナルで論文を出版し、大学という神聖な殿堂に入り込もうと画策する著者に出会うことがあるのには驚きます。これは発展途上国でとくに問題だと指摘しなければならないことです。私が訪れたどの地でも、大学運営に関わる人はこの問題を承知していますが、どう対処したらよいのか分からないようです。これは非常に深刻な問題です。ハゲタカ出版を助長するだけでなく、研究者の仕事の信用に疑問を呈することにもなりますから。
 

研究者の履歴書(CV)がハゲタカ出版社のジャーナルにまみれて汚れてしまったら、研究者としてそれなりの国際的認知を得るには、「死の接吻」を受けたに等しく、学術界での評価においては毒となります。陰で同僚に嘲笑されてしまうことなのです。そんなことをすれば、大学システムの中で低い位置に追いやられてしまうことは確実です。このような、専門家としてあるまじき不正行為を行う人物は、ずっと先の将来、つまり正教授になる資格が決まる頃まで、自分のCVに掲載された項目が人の目に触れ続けるということが分かっていないようです。研究者がもっとも活発に出版活動を行う時期に、いいかげんな業績ばかりが連なっていたら、どう思われるでしょうか?ハゲタカ出版社から出版するには対価を支払う必要がありますが、その対価は、偽ジャーナルの銀行口座に実際に送金する以上の金額となるでしょう。

最近心理学を中心に、反復・再現性が話題となっています。ジャーナル編集者として、この問題はどれぐらい深刻だとお考えですか?また、この状況を改善するための提案やアイデアはありますか?

単刀直入に言いましょう。反復・再現性を疑うということは、要するに剽窃・盗用があるのかどうかを問うているということです。反復は、分野で広く受け入れられるようになった研究結果を、異なる状況で別のサンプルを利用して再現しようとする、正しくまっとうな行為です。基本的に反復は、将来性のあるアイデアを支える(あるいはそれに反駁する)ためのものです。ジャーナル編集者も歓迎します。ただし、剽窃・盗用は歓迎されません


自分の論文が審査の初期段階で剽窃や重複がないか徹底的に調べられると分かっているとは言いつつ、実際には信じてはおらず、本当にそのようなことが起こるとは思っていない著者が多いのには唖然とさせられます。


商業出版社が発行するインパクトファクターの高い著名ジャーナルは、剽窃・盗用チェックを実施しています。私自身を例にとれば、ポータルサイトで投稿論文を実際に閲覧できるようになる前に、論文はすでに剽窃探知ソフト、IThenticateでチェックされています。このブール型の分析(Boolean analytics)を利用したきわめて複雑な人工知能ソフトは、前世紀末以降に出版されたすべての論文、学位論文、オンラインの学術出版物と単語・語句を比較します。編集者にとってこのソフトが魅力的なのは、アイデアの盗用(例えば、コピーしたという事実を分からなくするために、慎重に同義語を選んで入れ、出版済み論文とは言い回しを変えること)も探知可能だということです。このソフトで、編集者の私は、語句やアイデアが過去に出版された論文のどこから取ってきたものか、一行ごとに色分けされたものを見ることができるのです。このソフトを騙すことはできません!コピーに勤しむ研究者が、この最初のチェックを通過することはまずありません。


剽窃や盗用の蔓延は、同業の編集者たちもおおいに懸念している問題です。そう、我々編集者は、剽窃や盗用がよく見られる状況や個人に投稿パターンが認められると、その情報を共有します。非英語ネイティブの著者は、他の著者の説明に頼って原文通りの語順を使用してしまうこともあります。これは、自分の考えを明確に分かりやすく説明することが難しいからです。残念ながら、そのようなコピーがあるだけで、その著者の論文がリジェクトされることもあります。


ここで、おそらくあまり知られていないと思われることを紹介しましょう。ほとんどの編集者は、倫理にもとる不正行為に関わった著者と長いやり取りを続けたくはありません。つまり、自分の不正行為を正当化しようとしたり、修正を申し出たりする著者です。率直に言って、著者のインチキを理由にリジェクトの手紙を書くのは難しいことなのです!ですから、編集者はそれとは関係のない問題を見つけて理由づけします。その結果、著者は問題のある文章が入ったその論文原稿を、今度は別のジャーナルに投稿します。こうやってリジェクトのサイクルが何度も繰り返されるのです。


著者は他人の言葉、語句、アイデアをコピーしないよう、慎重にならなければなりません。ジャーナルに論文を投稿する前、特に共著論文の場合には、どれでもよいので剽窃探知ソフトをかけてみることをお勧めします。このテーマについて研究者グループに話をするときは、「著者がよい第一印象を与えられる機会は一度しかない」ということを率直に話します。

心理学・教育学分野において、インパクトファクターはどれくらいの影響力を持っているのでしょうか。

ご存知のように、ジャーナルのインパクトファクターは、発行後2年間のジャーナル論文の平均被引用回数で測定されます。これは、価値あるジャーナルであれば、出版後すぐに多く引用される論文を掲載しているはずだという考えが前提となっています。物理科学は、教育学や心理学よりも研究による新発見が蓄積されやすいので、ジャーナルのインパクトファクターも、社会科学や人文科学より高いのが一般的です。


したがって、著者やその雇用者の多くが、インパクトファクターはそこに掲載されている各論文や論文著者の信頼性ではなく、ジャーナルの信頼性を測定するものだということを忘れてしまっています。研究者の信頼性を評価する指標には、h-indexと呼ばれる別のものがあります。この指標は、研究者の生産性と出版物の引用インパクトの両方を測定するものです。h-indexは、著者の論文の中でもっとも被引用数の多いものと、著者のその他の論文の被引用数の合計に基づいています。これは、ジャーナル同士というよりは、研究者同士を比較する指標です。


昇進の際にジャーナルのインパクトファクターよりも重要なのは、上級の研究者が、あなたの論文が出版されたジャーナルを認識し、価値があるとみなすかどうかです。ですから、上級研究者(および昇進について評価をする人々)と話すときには、インパクトファクターの心配をするよりも、自分たちの分野でどのジャーナルが有力なのかということを話題にすることを勧めます。昇進諮問委員会は、たとえインパクトファクターが高くても、聞いたことがないジャーナルならば価値があるとはみなさず、そのような無名のジャーナルから出版しようとも思わないでしょう(でっち上げのインパクトファクターがつけられた偽ジャーナルかもしれないからです)。

心理学・教育学についてもう1つ質問させてください。この2分野では、オープン科学の概念から派生したもの、つまりオープンアクセス、オープンデータ、データシェアリングなどの受け入れはどの程度進んでいるでしょうか。

著者は誰しも、自分の論文が批判を受けないまますぐにアクセプトされ、費用をかけることなく出版され、直ちに拡散され、制約を受けずに世界中で読まれることを求めているようです。でも、質の高いものにはすべてコストがかかるのです。


オープンアクセス(OA)はその答えの1つです。でも、OAで出版されたものも、決して「無料」ではないことを忘れないでください。表立っては見えない出版のコストも、誰かが払わなければなりません。そして、それは莫大なコストである場合もあります。論文を査読基準に合うように整え、編集・校正・法的レビュー・組版などを行い、オンラインに掲載し、ときには郵送が必要な印刷版のジャーナル向けに整える、ということにはすべてコストがかかります。出版社は営利が目的で、慈善活動をしているわけではありませんから、誰かがどこかでこのサービスへの対価を支払わなければならないのです!


著者が自分の研究を発表して昇進していきたいという願いと、出版する側のサービスにかかる莫大なコストを支える必要性とのバランスをうまくとることは、容易ではありません。

マクローリンさんは大学教員や出版の専門家向けのトレーニング経験も豊富です。大学教員のトレーニングでもっとも重要な領域はどこだと思われますか?

方法、方法、また方法です。もう1度繰り返しましょうか?方法です!


サンプルの選択・データ収集・データのパターン分析の指針となる、優れた方法と統計分析がなければ、研究ではいかなる結果も得られません。研究デザインが未熟で、体系立っておらず、過度に単純化されて脆弱であれば、それが研究結果の質と有効性における限界を定めてしまいます。国際的に広く認められるためには、研究者は、現代の最先端の研究ツールに精通することが重要です。学会で自分の研究分野の内容について学ぶよりも、研究方法や応用統計学などのワークショップに参加した方がよいというのが私のアドバイスです。


著名ジャーナルは、単純な記述データや相関分析(因果分析ではなく)、あるいは学部レベルの統計分析に基づいた論文はもはや受理したがりません。データ収集を終えてから統計学者を呼んで「このデータの意味を教えてください」と頼んでも、うまくいきません。収集方法が不適切なデザイン、データセットの不十分なデザインを救済できるような統計学的なデータの操作方法はありません。そのような場合に「別の分析方法を使ってみたらどうか?」と考えてみても、解決にはなりません。研究デザインについてコンサルタントや統計学者に相談するのは、重要な要素であるサンプル選択やデータ収集を行うでなければなりません。研究に従事する教員に対し、適切な研究デザインの技術についてトレーニングを行えば、多くの問題が解決できるのではないかと思います。

ジャーナル編集者としての経験から、著者が投稿時にしがちなミスでもっとも多いものを教えて頂けますか?そのようなミスをしないようにするにはどうしたらよいでしょうか?

この問題に前向きに取り組めるように、少々質問の形を変えてお答えしたいと思います。「著名ジャーナルに論文を投稿するときに重視すべき4つの要素とは?」
 

  1. 論文に書かれたアイデアや内容をまともに取り上げてもらえるかどうかは、論文の文章と構成の盤石さで決まる。一流ジャーナルは、投稿論文のすべてを査読に回すことはありません。編集者は、査読に回すべき投稿論文を決めるフィルターの役目を果たしているので、編集者の目を引かなければなりません。論文原稿の構成だけでなく、文章の洗練度や構成にも注意を払わなければ、アクセプト通知の獲得競争での「負け」を自ら招いているようなものです。内容ばかりを強調し、文章や構成の洗練への配慮が不足している著者がほとんどです。
                   

    あなたの科学的アイデアをどうまとめて提示するのかに注目しましょう。アイデアの中の、科学的細部だけをただ羅列することは避けましょう。あなたの論文がジャーナルにとって妥当だとみなされるためには、編集者が注目し、重要と考える点に注意を払わなければなりません。自分の論文原稿の最終版から距離をおき、アイデアが滑らかでなおかつ正確に伝えられているかどうかを判断できる著者はほとんどいません。これは、そこに至るまでに、著者が論文に密着し過ぎていて、文章の抜けや不明瞭な箇所や重複している部分を見つけることが難しくなっているからです。技術英語に熟達し、出版プロセスの経験が豊富な、論文から距離を取れる編集者なら、アクセプトと、査読前のリジェクトを通知するレターの間の差異がどのようなものかが分かります。

 

  1. ほとんどの著者は、論文原稿の文章が申し分のない英語になっているかどうかの確認に長い時間を費やします。それにもかからず、カバーレターは問題のある英語で書きなぐり、編集者に安心感を与える要素を盛り込むことをすっかり忘れています。BRICKS諸国の著者は特に、投稿論文についての長所を紹介しながら、自信と確信に満ちた説得力のあるレターを書くことに苦労しているようです。投稿時のカバーレターは、論文が査読に回されるか、それとも編集者にざっと目を通されただけでリジェクトされるかどうかの境にあるもので、論文を売り込める唯一の手段だということを理解することが肝心です。自分の研究の価値を自分が売り込まなければ、アクセプトの可能性を高める貴重な機会を失ってしまいます。

     
  2. 科学論文でもっとも重要なのは、明確さです。優秀な科学者は、美辞麗句で飾られた言葉を使いません。それよりも研究内容を明確に説明することを重視しています。そのためには、短く簡潔な文章を書くのが一番です。些末なことを書き連ねて、中心となる命題やメッセージを埋もれさせてしまうことのないようにしましょう。はっきりと単刀直入に、まっすぐに表現しましょう。執筆と編集を同時にしようとするのはやめましょう。この2つは別の作業で、異なるスキルが必要とされます。厳しい目を持つ同僚の研究者に論文をチェックしてもらいましょう。英語ネイティブでない場合は、英語ネイティブの人に見てもらいましょう。あなたが英会話上級者かどうかは問題ではありません。問題なのは、「専門的洗練されている明瞭な英語が書けるか」ということです。それが不得手なら、助けを求めましょう。

 

  1. ジャーナルの指示する投稿手順を、注意深く、漏れなく、不平を述べずに確実に守りましょう!ジャーナルは著者向けガイドラインや、それに類した手引きを用意しているはずです。念入りに読んでください。これらは、投稿論文のアクセプトの確率を高められるよう、著者のために準備されたものです。


    ジャーナルの指針に従うことは、出版競争への参加費を支払うようなものです。フォーマット・構成・投稿手続きなどの指示に従っていないというだけでリジェクトされる場合も多々あります。どの一流ジャーナルにも、アクセプトできる数を大幅に上回る、質の高い投稿が寄せられています。ですから、論文原稿がジャーナルの指定するスタイルからどの程度外れているかということは、アクセプトかリジェクトかを左右する重要なフィルターであるのは、至極当然のことです。 何を差し置いても、著者向け指針を遵守すること!これを忘れないようにしてください。
     

 

マクローリンさん、ありがとうございました!このインタビューには、読者の皆さんの役に立つ貴重なアドバイスがたくさん詰まっています!


マクローリン氏:「出版に関する情報をシェアする機会を頂き、ありがとうございました。私は、学術出版について学んだことを今の立場から共有し、フィードバックする機会を常に探しています!」 


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