ドイツの60以上の学術機関が、オランダの大手出版社エルゼビアとの購読契約を打ち切りました。これにより、数千人の研究者が同社発行誌へのアクセスを失うことになりました。
ドイツの60以上の学術機関が、オランダの大手出版社エルゼビアとの購読契約を打ち切りました。これにより、数千人の研究者が同社発行誌へのアクセスを失うことになりました。
高額な購読料は、学術機関と出版社の間で生じている論戦の争点となっています。また、ドイツの学術機関は、エルゼビアへのコストの支払いを困難と感じています。こうした状況の中、ドイツの大学、公共図書館、研究機関は2014年、「Project DEAL」というコンソーシアムを結成しました。これは、大手学術出版社との2017年度のライセンス契約を、全国規模で締結することを目指すものです。しかしながら、エルゼビアとの協議は2016年12月に中断されたことが発表されました。同コンソーシアムは、エルゼビアからの提示が「オープンアクセス方針と公正な価格体系に応じるものでなかった」ため、それを拒否したと説明しています。この結果、交渉に関わったすべての学術機関が、12月31日を最後に、エルゼビアのジャーナルへのアクセスを失うことになりました。ゲッティンゲン大学は次のような声明を発表しています。「ジャーナルへのアクセスを失うことで研究や指導にどのような影響が出るかは、交渉に参加している誰もが十分に理解しています。それでも我々は皆、多くの研究機関が手を携えて圧力をかけることが、現状では、ドイツの科学コミュニティに利益をもたらす唯一の方法であるという強い信念を持っています」。一方、エルゼビアは、来年以降も交渉を続ける意向があることを表明しています。
多くの国が同様の問題に直面しており、高騰する購読料によって学術機関の運営が難しくなってきています。2016年12月初頭には、国立台湾大学(NTU)図書館が、高額な購読料を理由に、2017年以降のエルゼビアのScienceDirectジャーナルの購読を打ち切る予定であることを発表しました。購読料の高騰は、科学の発展を阻害しかねない深刻な問題であり、全世界で解決していかなければならない課題と言えるでしょう。
参考文献:
Thousands of German researchers set to lose access to Elsevier journals