恐竜の絶滅は後の世界に数多くの影響を与えましたが、その中でも最大の驚異は、カエルの繁栄です。カエルは、6600万年前の大量絶滅、生態系の変化、大陸の分断、さらには恐竜の絶滅さえも乗り越えて、生存/繁栄を続けてきました。
恐竜の絶滅は後の世界に数多くの影響を与えましたが、その中でも最大の驚異は、カエルの繁栄です。カエルは、地球上の生物の4分の3が消滅した6600万年前の大量絶滅や、生態系の変化、大陸の分断、さらには恐竜の絶滅さえも乗り越えて、生存/繁栄を続けてきました。
種としてのカエルの多様性は、研究者にとって常に魅力的な研究対象です。Proceedings of the National Academy of Sciences 誌で発表された米・中の生物学者による最新の研究では、カエルの新たな系統樹の作成が試みられました。フロリダ大学自然史博物館の両生類・爬虫類部門副館長で論文共著者のデイビッド・ブラックバーン(David Blackburn)氏は、得られた結果はまったく予想外であったとし、「カエルは2億年以上も存在してきましたが、現在見られるほどの多様性を得たのは、恐竜が絶滅した後であることが分かりました」と述べています。
この研究では、カエルの進化と、その速度および要因を説明しています。中山大学(中国)、テキサス大学、カリフォルニア大学の研究者らは、先行研究の7倍規模のデータセットを用いて、系統発生論/系統樹を作成しました。この新たな系統樹は、これまでに発表されている145種分の遺伝子データに、それらとは別の156種から採取した核遺伝子95種を組み合わせて作られました。この系統樹をもとに、既知の55科に関する新たなカエルの進化史が明らかになったのです。
現在、カエルの多くの種が、人口増加、生息環境の減少、気候変動によって絶滅の危機に瀕しています。これは、過去の大量絶滅を生き抜いてきたカエルでさえも、その生存が危ぶまれるような過酷な環境を、人類が作り出しているということに他なりません。
ソース:
参考ジャーナル: Proceedings of the National Academy of Sciences
DOI: 10.1126/science.aan7054