この程、モロッコの研究チームが、サソリから毒を安全に抽出できるロボットの開発に成功しました。サソリから安全に毒を抽出する手法が開発されたことは、医療界にとって大きなニュースです。
日々の仕事に不満を持っている方は、世の中にはサソリから毒を抽出する仕事に日々従事している人間がいることを頭に留めておいてもいいかもしれません。この程、モロッコの研究チームが、サソリから毒を安全に抽出できるロボットの開発に成功しました。
サソリの毒抽出は、これまで人間の手で行われていましたが、刺されて死に至る可能性や感電のリスクなど、さまざまな危険が伴う作業でした。より安全な手法の開発が求められていた中、モアド・ムカメル(Moad Mkamel)氏率いるハッサン2世大学(Ben M'sik Hassan II University、モロッコ)の研究チームが、研究室と現場の両方で、サソリから安全に毒を抽出できるロボットを開発しました。ムカメル氏は「サソリ毒の抽出はきわめて難しい作業であり、通常は2人の作業者が必要」とした上で、今回のロボットによって、これまで研究者や作業者たちが負ってきたリスクを完全に解消することができると述べています。また、「作業者のリスクが解消されるだけでなく、サソリを傷付けずに毒を抽出することが可能」と説明しています。
現在の毒抽出方法は、電気的/機械的刺激によるもので、信頼性に乏しく大きな危険を伴います。作業者が刺されてしまう危険性とは別に、サソリ自身の毒腺を破裂させてしまう恐れもあり、サソリにとっても大きなリスクがありました。VES-4®ロボットは、サソリの尾を固定し、電気刺激によって出させた毒を安全に採取することができます。電気刺激とは言っても微弱なものなので、サソリが損傷を受ける心配はありません。また、設定を変えることで、さまざまな種のサソリに適用することができます。VES-4®は、軽量で持ち運びが簡単なので、研究者に重宝されそうです。さらにムカメル氏は、「VES-4®は、遠隔操作によって、1人で安全に作業を行えます」と説明しています。
サソリから安全に毒を抽出する手法が開発されたことは、医療界にとって大きなニュースです。なぜなら、サソリ毒は、鎮痛剤、免疫抑制剤、抗マラリア剤など、さまざまな医療に応用されており、ガン研究にも寄与しているものだからです。
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