弦理論(ひも理論)は、物理学においておそらくもっとも議論が尽くされた量子重力理論ですが、今、この理論が再び議論の対象になっています。ただし、今回は弦理論の正しさが証明されることになるかもしれません。
弦理論(ひも理論)は、物理学においておそらくもっとも議論が尽くされた量子重力理論ですが、今、この理論が再び議論の対象になっています。ただし、今回は弦理論の正しさが証明されることになるかもしれません。
弦理論は、すべての素粒子は一次元の弦によって構成されており、これらの弦が宇宙空間を伝搬し相互に作用しているという仮説で、「余剰次元(隠れた次元)」の存在も示唆していますが、科学的に証明されているわけではありません。しかし、Journal of Cosmology and Astroparticle Physics 誌で最近発表された論文で、余剰次元の存在の解明が試みられています。それは、弦理論を直接的に裏付けるものとなります。重力波が存在する証拠を科学者たちが発見したのは、およそ2年前です。また、時空の歪みとして捉えられている重力波の存在を初めて予想したのは、アインシュタインです。
マックス・プランク重力物理学研究所の研究者らが最近発表した論文では、重力波によって余剰次元の存在を証明する方法が2通り示されており、この中で、「異次元が存在すると仮定すると、重力波は確実にその次元に波及する」と説明されています。また、余剰次元の存在を明らかにするためには、高周波帯の重力波の検知と、余剰次元の「呼吸」を検出することが鍵になることを立証しています。きわめて微細なものであると考えられている余剰次元は、弦理論の根幹をなすものです。したがって、この次元の存在が明らかになれば、弦理論の正しさは揺るぎないものになるでしょう。
ソース:
doi: 10.1088/1475-7516/2017/06/048