1型糖尿病の発症を防ぐワクチンの臨床試験が、今年から開始される予定です。世界では、数百人の乳児が毎年1型糖尿病を発症しています。この病気の発症を抑えられるワクチンが実用化されれば、医療は大きな飛躍を遂げることになるでしょう。
2017年7月19日、1型糖尿病のワクチン開発に数十年にわたって取り組むフィンランドの研究者らが、ワクチンのプロトタイプ(試作品)の臨床試験を2018年より開始することを発表しました。この研究は、EUのExaltプログラムから600万ユーロの支援を受けて行われているものです。
1型糖尿病は、血中のグルコースを吸収するためのインスリンを、体内細胞が生成できなくなってしまう病気です。この症状は、小児期にベータ細胞と呼ばれる膵臓の組織が体内の免疫系によって破壊されることで発症します。患者数がより多く、生活習慣によって発症するケースが多い2型糖尿病は、1型糖尿病とは異なる病気です。タンペレ大学(フィンランド)のヘイキ・ヒョーティ(Heikki Hyöty)ウイルス学教授率いる研究チームは、腸を経由したエンテロウイルスと呼ばれるウイルスへの感染が、1型糖尿病と密接に関わっていることを明らかにしました。
マウスに効果的かつ安全に作用したこのワクチンのプロトタイプは、人体にも適用できることが示されれば、8年以内に実用化される可能性があります。今回の臨床試験は、最近1型糖尿病と診断された患者を対象に、デンマーク、ベルギー、フランス、ドイツ、イギリスの各地で行われる予定です。
世界では、数百人の乳児が毎年1型糖尿病を発症しています。この病気の発症を抑えられるワクチンが実用化されれば、医療は大きな飛躍を遂げることになるでしょう。