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時代の先端を走るために一流大学がしていること

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時代の先端を走るために一流大学がしていること

世界中の大学が、研究の可視性を高める取り組みに力を入れています。大学が、研究結果を論文にまとめてジャーナルで発表することにとどまらない取り組みを行うよう研究者に働きかけ、研究コミュニケーションを積極的に促している状況を紹介します。

知識を絶え間なく発展させ、普及させている研究のハブと聞いて、ほとんどの人が思い浮かべるのが、大学でしょう。大学という学術機関は、高等教育をほどこし、研究を支えるインフラを持ち、学術界で特別な位置を占めています。各分野のブレイクスルーを先導する立場にあることから、大学は、学術界で強い影響力を持つとされています。研究に力を入れる大学は、産業界で大きな存在感を示しており、研究者・学部・一般市民の包括的な学びと、その関わり合いを深めるよう促しています。したがって、高等教育機関である大学が、昔から研究志向の取り組みを進んで受け入れてきたのは、当然のことと言えるでしょう。しかしながら、毎年250万本以上の研究論文が新たに出版される中では、研究結果を際立たせる方法を見つけることの重要性がますます高まっています。大学はこの重要性を認識しており、研究者たちに、自分の業績をさまざまなオーディエンスに積極的に発信して研究を可視化することを奨励しています。露出度を高めれば、研究のインパクトが強まるだけでなく、研究機関の知名度も上がります。この記事では、研究に力を入れている大学などの学術機関が、研究結果を有名ジャーナルで発表する以上の取り組みを行うよう研究者に働きかけることによって、研究コミュニケーションを積極的に促している状況を紹介します。


研究の可視性を高める取り組みに力を入れている、世界の大学の例を見て行きましょう。


オックスフォード大学は、研究者が多様なオーディエンスとつながるための、さまざまな方法を用意しています。学部ごとにファシリテーターとコーディネーターのチームがあり、パブリックエンゲージメント活動に参加することや、さまざまなフォーマット(ケーススタディ、アニメーション動画、ポッドキャスト)で自分の最新の研究をシェアすることを望んでいる研究者に、サポートや案内を提供しています。また、マスコミ向けに示唆に富む記事を書く専門家を招くほか、大学の研究者に話を聞くインタビューシリーズ、Research in conversationの運営も行なっています。


ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンは、Research & Innovation Services Portal(研究とイノベーションのサービスポータル)に投資し、プロポーザルの準備、出版論文のプロモーション、コミュニケーショントレーニングの提供などにより、各分野の最前線にいる熱心な研究者たちをサポートしています。


スタンフォード大学ボストン大学テキサスA&M大学など、米国の多くの大学は自前のオンラインニュースサイトを持っており、大学で行われた最新の研究をそこで紹介しています。


南カリフォルニア大学ケック医学校は、有力な研究の認知度を高め、それをより多くのさまざまなオーディエンスに届けるために、報道機関のパワーに頼っています。研究者は、自分の業績のリーチと成功を最大化する方法を、少しずつ学んでいくことができます。


アジアの研究機関の中にも、研究の普及を促すために同様の活動に取り組んでいるところがあります。例えば、韓国の延世大学校は、大学のウェブサイトで、定期的に最新の研究について紹介しています。大学で実施された研究を短くまとめた記事のほか、学部の紹介記事を載せることもあります。興味深いのは、これらの記事が平易な言葉で書かれ、出版論文へのリンクが張られていることです。こうすることで、研究コミュニティだけでなく、一般のオーディエンスにもアピールすることができます。記事を読んで興味を持ったら、研究者と連絡を取ってコラボレーションすることも可能でしょう。


数年前に東京工業大学が行なった同様の取り組みは、今では本格的なオンラインニュースとなり、大学の研究者が書いた選りすぐりの論文のプレスリリースを載せています。慶応大学も、大学で行われた画期的な研究についてのストーリーを紹介しています。


メルボルン大学も、研究者の声を届けるためのプラットフォームに力を入れています。その中でも面白い取り組みなのが、専門家の解説を載せる、Pursuitと呼ばれるデジタル・ストーリーテリングのプラットフォームです。根底にあるのは、研究のインパクトを高め、研究コミュニティに参加するという考え方です。


ここで紹介したのは、支援対象の研究について発信することを真剣に考えている、ほんの一部の機関の例です。ほかにも、時流に乗ってオンラインでの存在感を高めつつある機関がいくつもあります。さらに、フルタイムの科学コミュニケーション講座を設けたり、カリキュラムの中にコミュニケーション戦略を組み込んだりしている大学もあります。これらの取り組みはどれも、その方法は違っても、「さまざまな人にとって科学を身近なものにするという、前向きな共通のゴールを目指すものです。


皆さんの大学は、科学コミュニケーションのダイナミックなムーブメントに、どのように参加していますか? ジャーナル論文で研究を発表する以外に、どのようなことをしましたか? 下のコメント欄から、ぜひ教えてください。


関連記事Beyond the journal article: New ways of communicating science


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