あるオープンアクセスジャーナルに論文を投稿しました。連絡を取り合うのに難があるジャーナルでしたが、何とかアクセプトにこぎつけることができました。しかし、校正原稿の送付とともに2000ドルの支払いを求められました。また、校正原稿のクオリティはひどいものでした。イントロダクションが削られ、表のレイアウトは最初よりはるかに劣った状態に変更されていました。表の半分は一段にまとめられてしまっていました。図は曲がり、フォントも統一されておらず、まともなジャーナルなら絶対に犯さないようなミスで溢れていました。そこで論文の取り下げを依頼すると、「retraction letter(撤回通知)を受け取るには1000ドルの支払いが必要」と言われました。この要求は不当だと思うのですが、どのように対応すべきですか?
ご質問に「retraction letter(撤回通知)」とありますが、内容から考えて、「取り下げの承認通知(confirmation of withdrawal)」のことですね。ジャーナルとのやり取りで、「retraction letter」という言葉は使わないよう気を付けてください。論文の撤回は公になるので、ジャーナル側が論文を出版した後でそれを撤回するようなことになれば、あなたにとってより深刻な問題になってしまいます。
このジャーナルの信頼性は疑わしいと言っていいでしょう。論文が査読を受けたのかどうかについては触れられていませんので、査読はなかったものとして話を進めます。ジャーナルには、「取り下げ」を求めるメールを送りましょう。ジャーナル側は、取り下げの承認に費用は請求できないはずです。返答が得られなかったり費用を請求され続けたりする場合は、「取り下げ承認に費用を請求するのは非倫理的である」という一文を添えて、承認通知を再度要求しましょう。それでも適切に対応してもらえなければ、「所定の期限(1~2週間程度)を過ぎても承認通知がもらえない場合は、論文は“未投稿(unsubmitted)”とみなす」旨を述べたメールを送ってください。別のジャーナルに論文を投稿できるのは、この後です。また、新たな投稿先から疑問を持たれた場合に備えて、今回のジャーナルとのやり取りは証拠としてすべて保管しておくようにしましょう。