研究に関するコミュニケーションでは、ソーシャルメディアが重要な時代です。学会発表に関する実況ツイートを行うことで、効果的な研究コミュニケーションが可能になり、ネットワークの構築や共同研究の機会をつかむきっかけが得られます。
研究に関するコミュニケーションでのソーシャルメディアの重要性については、博士課程に進学する前から認識していました。しかし、博士課程の学生や若手研究者のほとんどがそうであるように、私もまた、研究と論文の執筆にほとんどの時間が取られてしまっています。
時間がない中で、ソーシャルメディアを使って効果的に研究を宣伝するにはどうすればよいのでしょうか。答えはシンプルです。学会発表に関するツイートをすればいいのです。Twitterは、あらゆるソーシャルメディア・プラットフォームの中で、研究をオンラインで宣伝するためのもっとも効果的なプラットフォームです。Twitterを使えば、学術コミュニティだけでなく、その他関係者や専門家、一般の人にも情報を届けることができます。
学会発表に関する実況ツイートを行うことで、効果的な研究コミュニケーションが可能になり、ネットワークの構築や共同研究の機会をつかむきっかけが得られます。学術コミュニティもTwitterを利用しており、あなたが届けたいと思うユーザーに向けてメッセージを届けることができるのです。
では、学会中に自分の発表に関するツイートを行うには、具体的にどうすればよいのでしょうか?また、実況ツイートをするにはどうすればよいのでしょうか。
以下の5項目に従えば、効果的なツイートができるはずです:
1. 学会前にツイートを用意しておく
ツイートとは、関連するハッシュタグやウェブサイトへのリンクや画像などの情報を含められる、140字以内のショートメッセージです。これを、学会会場に行く前に用意しておきましょう。いくつも用意する必要はありません。ただし、Twitterで研究のすべてを説明することはできないので、各ツイートには、ツイート単体でも研究が理解できるようなキーメッセージや、発表の背景情報を含めましょう。
以下のような内容のツイートを用意しておきましょう:
- 発表を宣伝するためのツイートを1つ:これは、ほかの参加者にあなたの発表や研究について知ってもらうためのもので、そうした人々とつながるきっかけ作りになります。このツイートには、発表テーマと学会名を含めましょう。学会運営者などの関連人物をタグ付けするのもよいでしょう。
- 発表内容に関するツイートを1つ:このツイートにも、発表テーマと参加する学会の情報を含めるようにしましょう。発表スライドの1枚目やアブストラクトの画像を添付するのもよいでしょう。
- 研究のキーメッセージを含めたものを3~8ツイート:発表スライドの中からとくに重要なものを添付し、キーメッセージを強調しましょう。
以上のようなツイートを用意するにあたっては、次の手順を参考にしてみてください:
- 研究の目的、結果、重要性、新規性の説明を含め、研究の概要を箇条書きにする。
- 簡潔な文章で、4~6点の箇条書きにまとめる。専門用語や詳細情報、主要メッセージを伝えるために、不要な情報はすべて省く。
- 関連するハッシュタグ(ハッシュタグの詳細ついては後述)や、触れておきたい関係者(大学、共著者、助成者、研究に興味を持ってくれそうな人など)を追記する。
- 各文章を140字以内の簡潔明瞭な文に書き換える。140字を超えると、141文字目以降は表示されず不完全なツイートになってしまうので注意が必要。
- 完成したツイートを見直し、分かりやすい文章になっているかどうかを同僚や友人にチェックしてもらう。
以上の手順に従えば、研究を効果的に説明するための一連のツイートが完成します。発表を終えたら、関連するリンク(大学のウェブサイトに掲載されている研究プロジェクトやプロフィールページ、ResearchGateのプロフィールページなど)や自著論文情報をシェアするのもよいでしょう。また、質問を受け付けたり、自分のTwitterやその他のソーシャルメディア(LinkedIn、ResearchGateなど)アカウントへのフォローを募ったりするのも効果的です。
2. メディアを使用する
ツイートには、関連するスライドや図の画像を含めるのも効果的です。とくに、学会のアブストラクトのスクリーンショットをはじめとする画像は、ツイートの可視性を高めてくれるものです。関連する画像がなければ、無理に画像を付ける必要はありません。画像は、「装飾的」な要素ではなく、ツイートの文章を強化する視覚的メッセージと捉えましょう。
画像を添付する際の問題の1つが著作権です。自分が著作権を持つ画像以外のものを使用する場合は、必ずそのソースを記載してください。また、出版論文に組み込む予定のあるデータは、公開しない方が無難でしょう。
3. 適切なハッシュタグを選択する
ハッシュタグとは、1語以上のフレーズの前にハッシュサイン(#)を付けたキーワードです(例:#PhDadvice、#HigherEd)。ツイートにハッシュタグを付けると、そのツイートがラベリングされます。ユーザーは、特定のハッシュタグを付けたツイートをしたり、検索をしたりすることで、そのラベリングされた会話に参加することができます。
ほとんどの学会がハッシュタグを用意しています。たとえば、2017年7月に開かれたScience in Public(英シェフィールド)では、「#SIPsheff17」というハッシュタグが使用され、学会参加者などはTwitterでこのハッシュタグを使用してツイートをしていました。このように、学会のハッシュタグがある場合は、ツイートにそのハッシュタグを付けるようにしましょう。加えて、研究テーマや、情報を届けたい閲覧者に関連するハッシュタグも付けましょう。ハッシュタグを通じて、学会に参加しているいないを問わず、あなたの研究に関心がある人々とつながることができるのです。
学会のハッシュタグとは別に、発表に関するハッシュタグを1~3個付けてみましょう。どのようなハッシュタグを使うべきか分からない場合は、SciHashtagやSymplur.comなどのハッシュタグデータベースや、Hashtagify.meやRiteTagなどのプラットフォームで探してみてください。ハッシュタグを使う前に必ず、そのハッシュタグがどのように使われているかを確認しましょう。なぜなら、もう使われていないものや、研究関連の用語が入っていたとしても、まったく関係のない用途で使用されているものもあるからです。たいていのハッシュタグ検索プラットフォームでは、ハッシュタグの使用状況(流行り廃り)に関する情報が得られます。誤ったハッシュタグを使用していては、思ったような注目を集めることはできません。
4. 同僚にツイートしてもらう
同僚が同じ学会に出席しているなら、自分の発表に関する情報をリアルタイムでツイートしてもらいましょう。その場合は、事前にツイート内容やあなたのハンドルネームを知らせておきましょう。また、用意したツイートを同僚と共有し、代理でツイートしてもらうのもよいでしょう。学会に同僚が出席していない場合は、TweetDeck、Hootsuite、Bufferなどのプラットフォームを使って、発表が始まってから10~15分後にツイートが行われるように設定することで、実況ツイートが可能になります。発表開始時間が遅延した場合に備えて、自動ツイートを発表時間よりも遅くしておくことが重要です。
5. Twitterに寄せられた質問に回答する
実況ツイートが終わったら、リツイートやお気に入り登録など、あなたのメッセージへのリアクションがあるでしょう。研究に関心を持った研究者から、ダイレクトメッセージ、質問、コメント、懸念などが寄せられるかもしれません。これらのメッセージは、研究に関するコミュニケーションが成功した証であり、研究者や関係者とつながるチャンスを得たということです。絶対に無視せず、誠実に返答するようにしましょう。賛辞には謝意を示し、懸念にはプライベートメッセージで対応しましょう。あなたの研究についてもっと知りたがっている人には、Eメールを送ったり、共同研究を持ちかけたりしてみましょう。また、心ない言葉や侮辱的な言葉を投げてくる人もいるかもしれませんが、この場合は無視するに限ります。
実況ツイートは、研究の認知度が高めるだけでなく、他者とつながる機会を増やし、注目を集める助けになります。適切なツールを使い、事前にツイートを準備し、念入りに計画を練ることによって、研究の効果的な実況ツイートが可能になるでしょう。
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