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若手研究者のためのデジタルツールガイド:プロジェクト管理とデータ共有ツール

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若手研究者のためのデジタルツールガイド:プロジェクト管理とデータ共有ツール

学術環境の変化に伴い、ワークフローやコミュニケーションのさまざまな場面で利用できる多彩なツールが誕生しています。研究と論文出版において重要な、プロジェクト管理とデータ共有を支援するツールを紹介します。

学術環境の変化に伴い、ワークフローやコミュニケーションのさまざまな場面で利用できる多彩なツールが誕生しています。本記事前半では、文献検索や文献管理の支援ツールを紹介しました。後半の今回は、研究と論文出版において同じくらい重要なタスクである、プロジェクト管理とデータ共有を支援するツールを紹介します。


プロジェクト管理ツール 

研究プロジェクトを実行する上で、管理(マネジメント)、チームワーク、プランニングはきわめて重要です。研究者は、実験、データの収集と分析、同僚との打ち合わせなど、さまざまなタスクを日常的にこなしています。プロジェクト管理ツールは、日々のタスクを効率的に計画・管理するのに役立ちます。以下は、研究者のタスク管理に特化したプロジェクト管理ツールの一例です:


Labguruプロジェクトプランニングや文書の保管を共同で行える電子実験ノート(Electronic Laboratory NotebookELN)です。実験やワークフローの計画、構造化/非構造化データの保存、プロジェクト管理を行うことができ、直感的に使えるユーザーインターフェースからそれらの情報を共有できるので、研究の進捗管理がしやすくなります。このツールにはさらに、カスタマイズ可能な実験テンプレート、冷凍庫内の試薬の在庫管理、細胞株や実験に使用する動物・バクテリア・試料などのトラッキング、実験プロトコルや集中発注プロセス、SOPStatements of Purpose)の統一などの便利な機能が搭載されています。


Asanaウェブベースのモバイル型プロジェクト管理ツールです。Eメールでのやり取りが不要になり、チームレベルでのコミュニケーションやコラボレーションを円滑にします。チーム内でのプロジェクトやタスクの作成に使え、タスクの進捗をさまざまなブラウザやデバイスから閲覧することができます。その他の機能としては、ノートの共有、各種フォーマットファイルのアップロード、タスク管理、リアルタイムのアップデート、アクティビティフィード、通知、リマインダーなどがあります。また、プロジェクトの進捗管理だけでなく、詳細な進捗レポートの作成も行なってくれます。


ガントチャート(Gantt Chartsガントチャートはアプリケーションではありませんが、広く使われている実用的なプロジェクト管理方法で、連続的なタスクや並列的なタスクに沿ってプロジェクトのスケジュールを表示することができます。縦軸にタスク、横軸に時間をとり、横棒の長さがそのタスクの期間、グラフ上の位置がそのタイミングを示します。ガントチャートはワードやエクセルで簡単に作ることもできますが、Microsoft ProjectWrikeなどのガントチャート用のソフトウェアを使うと、より充実したものができます。同時進行中のプロジェクトの進捗管理を行う研究者にとって、複数のプロジェクトを円滑に進めるためのプランニングやスケジューリングができるこのグラフは、大変実用的なツールです。


sciNoteワークフローやモジュラー機能を備えたオープンソースのELCです。sciNoteに特徴的なのは、ワークフロー内のさまざまなフェーズの紐づけが可能である点です。これによって、プロジェクトや実験の各フェーズで得られたデータを結び付けることができ、データをより幅広い文脈で見ることができます。この機能によって、実験ノートを論理的に構築していくことができます。もう1つの特徴は、各研究者の個人データの機密性と安全性を保持するために、各ユーザーがチーム内で個別のアクセス権を持っているという点です。


データ共有ツール

研究者にとってデータは不可欠ですが、その分析や保管、膨大なデータセットの共有といったタスクは、決して楽な作業ではありません。これらのタスクを簡単にするために開発されたツールがあります。データ管理ツールは、データ分析に役立つだけでなく、効率的なデータの保管や共有をサポートしてくれます。ほとんどの助成団体がデータシェアリングを義務化している現代において、これらのツールの重要性は急速に高まっています。


Zenodo欧州原子核研究機構(CERN)が運営する、研究成果のリポジトリです。さまざまな学問領域の出版物・プレゼンテーション・学会議事録・プロジェクト・画像・ソフトウェア(GitHubとの統合を含む)・データなど、幅広いコンテンツをあらゆる言語で支援します。フォーマットの制限はなく、データは50GBまで保管でき、登録したデータの保存期間は半永久的です。ファイルへのアクセスは、制限付き(無認可のユーザーからのアクセスを拒否)、無制限、エンバーゴ(公開解禁日まではアクセスを制限)の中から選択することができます。


DataCiteDataCiteは、研究データの永続的識別子(DOIs)を提供します。各DOIのメタデータを集めることで、データその他の研究情報の検索、適切な引用、統計データの取得、関連性の調査を行うための巨大な研究データインデックスを形成しています。すべてのメタデータは無料でアクセス/レビューが可能です。DataCiteには統合型の検索インターフェースが搭載されており、膨大な記録の中から詳細情報を検索・フィルター・抽出することができます。このソフトを使えば、助成金に関するデータの追跡も可能です。これが重要なのは、助成団体がデータシェアリングを義務付け始めているからです。また、助成団体が助成金データを追跡することで、助成した研究のインパクトを知ることができます。


Dryad科学・医学論文の基礎となるデータを検索し、自由に再利用・引用することができるリポジトリです。Dryadは、表、スプレッドシート、テキスト、動画、画像、ソフトウェアコードなど、専用リポジトリが存在しないあらゆる種類の公開データのリポジトリとして機能します。また、多くのジャーナルとの投稿統合機能があるので、著者は、論文の出版と併せてDryadにデータを投稿することで、データへのリンクを出版論文に含めることができます。Dryradは、研究者、ジャーナル、科学団体、出版社、研究機関、図書館、助成団体を対象としているため、可視性の高い網羅的なデータバンクとして機能します。


Figshare図、データセット、画像、動画、ポスター、コードなどの研究成果を保存し共有することができる、クラウド・コンピューティング・ネットワークを介して運営されているオンライン・デジタル・リポジトリです。成果物に対するクレジットを確保できるだけでなく、予備的な成果物の公開も可能です。Figshareはオープンデータの原則に基づいて運営されているため、ユーザーはデータへのアクセスやコンテンツのアップロードを自由に行えます。したがって、このプラットフォームを利用すれば、自分の研究データを不特定多数に向けて公開することができます。Figshareにアップロードされたすべてのコンテンツには、他者が引用できるようにDOIが割り当てられます。また、ダウンロードの統計情報の追跡機能は、オルメトリクスの情報源としても機能しています。

 


これらのツールを使用していますか?ここで紹介した以外の便利なツールをご存知ですか?以下のコメント欄から、デジタルツールに関するあなたの体験談をぜひシェアしてください。あなたのコメントは、きっとほかの研究者の役に立つはずです。


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