中国は、国内のすべての研究者に対し、国のリポジトリでのデータ共有を義務付ける方策を新たに導入すると発表しました。これに伴い、研究データ管理のシステム化と標準化を目指す中国国務院総務局は、「研究データの管理方法」と題した通知を公表しました。
中国は、国内のすべての研究者に対し、国のリポジトリでのデータ共有を義務付ける方策を新たに導入すると発表しました。これに伴い、研究データ管理のシステム化と標準化を目指す中国国務院総務局は、「研究データの管理方法」と題した通知を公表しました。
この通知には、対象範囲の概要とその実行に責任を持つべき当事者が規定されています。詳細は通知に記載されている通りですが、主として以下の点を目的としています:
- 研究データの安全性の確保
- オープンシェアリング水準の引き上げ
- 国内科学技術のイノベーション支援
- 経済的・社会的発展の促進
- 国家安全保障の保護
データセンターの設置や、リポジトリに登録されたデータの管理は、中国科学技術部が先導することになります。通知によると、データセンターが「研究データのパブリックシェアリングにおける重要なツール」としての役割を果たし、「国内外における研究データの交換に関する協力関係の強化」を図れるとしています。
生データか派生データに関わらず、すべてのデータは、公認のデータセンターの監査を受ける必要があります。また、中国政府の助成を受けて生成されたデータに基づく論文を国際誌で出版する場合は、出版前に国のリポジトリにデータを登録する必要があります。これは、データセンターが処理できるデータ量にもよりますが、海外出版の遅延を招く恐れがあります。
この方策はほかにも、国のデータセンターへのデータの適時のアップロード、一般公開および関連部局との共有、民間が使用するルートでの無料公開を義務付けています。これは、中国人研究者の論文投稿先となり得る国際誌のデータ共有方針に抵触する可能性があります。
機密データの取り扱いについては、「国家機密、国家安全保障、公益、企業機密、または個人のプライバシー」を含むデータは公開されず、これらのデータに変更があった場合は、慎重な統制が行われると定められています。センシティブな研究データを「外部」と共有することが求められる場合、関係する研究者/機関は、データ交換の詳細を説明して承認を得なければならず、このプロセスを経て初めて、データを国際的に共有することが可能になります。研究機関も大学も企業も、この新たな方針に従うことが求められています。
現在、中国は科学論文出版数で世界一の座にあり、科学技術で世界をリードしています。今回の新方針が中国人研究者の学術的な自由と国の科学的成果の量にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目されます。
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