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ジャーナルの担当者がわからない場合、誰宛に論文を送ればいいですか?

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Question Description: 

論文を投稿したいのですが、そのジャーナルにはオンライン投稿システムがないので、投稿や連絡はすべてメールで行うことになります。そこで質問ですが、そのジャーナルには編集長が2名、コンサルタントが2名、そして編集者が20~30名います。論文は誰宛に送ったらよいのでしょうか?よくわからなくて困っています。投稿論文の受理担当者がいないのはどうしてですか?

回答

お困りの状況はよくわかります。ジャーナルの指示がはっきりしないと、著者は投稿時に戸惑ってしまいますね。

ジャーナルのウェブサイトを注意深く確認しましたか? できれば、論文は編集主幹(Editor-in-Chief)か編集長(Chief Editor)に送るようにしましょう。しかし今回は編集長が2人いるので、状況が紛らわしくなっています。もう一度ジャーナルのウェブサイトを確認してみましょう。ジャーナルによっては、各編集長がそれぞれ別の専門分野を担当していることもあります。あるテーマについての論文は特定の編集者に送る、などの指示がないか見てみましょう。担当編集者が、地理的な条件で決められていることもあります。例えば、アジアから投稿される論文はある編集者が担当し、それ以外のものは別の編集者が担当する、といったケースです。このような指示がなければ、カバーレターは2人の編集長に宛てて用意して構いません。例えば、“Dear Mr. A and Mr. B” あるいは "Dear Chief Editors”のように書きましょう。

2つ目の質問ですが、これはジャーナルごとに違うため、一概にはお答えできません。先ほど述べたような、はっきりした方針や指針を定めているジャーナルもあれば、残念ながら、はっきりした規定がないジャーナルも存在します。


オンライン出版後のミスの発見について

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Question Description: 

オンライン出版後(publish before print)の段階で作成図表の中に間違いを発見しました。この雑誌は製本化するには時間がかるので紙ベースとなる前に修正したいのです。本文の内容には影響しないのですが、示した図のグラフが隣のものと入れ替わっていましたので修正したいのですが可能なのでしょうか。

回答

一般に、オンライン版の論文の方が印刷版よりも修正が容易です。著者が校正刷りを戻した後に印刷版の修正を行うことは認められないでしょう。むしろ、オンライン版の修正なら可能かもしれません。印刷版の論文に修正を加えることができるかどうか、念のため問い合わせてみてもよいと思います。修正は不可能という場合でも、少なくとも正誤表(erratum、corrigendum)を発行することはできるはずです。

投稿・リジェクト・再投稿の手間を解決:アクシオス・レビュー

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投稿・リジェクト・再投稿の手間を解決:アクシオス・レビュー
ヴァインス氏は、独立査読機関であるアクシオス・レビュー(Axios Review)の編集長/創設者です。エジンバラ大学で進化生物学の博士号(PhD)を取得後、ブリティッシュ・コロンビア大学でポスドク研究員を務めました。その後学術出版界に進み、ワイリー社のジャーナル、Molecular EcologyとMolecular Ecology Resourcesの編集長を務めました。また、科学分野の学会・ジャーナル・出版社向けのコンサルタントとしても活動しています。さらに、科学出版、データアーカイブ、再現可能な科学についての論文発表に加え、最近では国際編集者会議(ISMTE)から功績・イノベーション賞を受けています。

ジャーナル選びと投稿は、著者にとってフラストレーションの溜まりがちなプロセスです。多くの著者が、論文を投稿し、リジェクトされ、別のジャーナルに再投稿する、というプロセスで苦労しています。それぞれの段階で膨大な時間と多大な努力が必要とされるだけでなく、その間には、待機期間も含まれます。独立査読機関であるアクシオス・レビュー(Axios Review)は、この投稿・リジェクト・再投稿という問題を解決するために、著者の論文原稿を厳しく査読し、著者の選んだジャーナルのうちのどれに投稿するのがふさわしいかを判断します。そして、ふさわしいと判断されたジャーナルに、その論文の掲載に興味があるかどうかを尋ねます。アクシオス・レビューでは専門性の高い編集委員会も設置されていることから、その査読によって、論文の質的な価値が高められます。そして、ジャーナルが論文のアクセプトやリジェクトを決定するまでの期間や、掲載までの期間が短縮され、わずか6週間で掲載に至ることもあります。アクシオス・レビューの編集長であるティム・ヴァインス(Tim Vines)氏は、アクシオス・レビューの利用によって、新規性の欠如や研究領域の不一致といった理由でのリジェクトをどう回避できるのかをお話しくださいました。ヴァインス氏は、データ共有の熱心な提唱者でもあります。精選された共有データが含まれている論文の方が、含まれていないものよりも科学的に優れているということを著者自身が認識するようになれば、データ共有という概念が本当の意味で発展していくだろうと述べています。

ヴァインス氏は、エジンバラ大学で進化生物学の博士号(PhD)を取得後、ブリティッシュ・コロンビア大学でポスドク研究員を務めました。その後、学術出版の道に進み、ワイリー社のジャーナル、Molecular EcologyMolecular Ecology Resourcesの編集長を務めました。また、科学分野の学会・ジャーナル・出版社向けのコンサルタントとしても活動しています。さらに、科学出版、データアーカイブ、再現可能な科学についての論文発表に加え、最近では国際編集者会議(International Society of Managing and Technical Editors)から功績・発明賞(Award for Achievement or Innovation)を受けています。


アクシオス・レビューについて簡単にご説明頂けますか?御社のウェブサイトには、「新規性の欠如や研究領域の不一致を理由としたリジェクトを受けずにすみます」と書いてありますが、その方法を教えてください。

我々は基本的に著者とジャーナルの媒介者であり、著者が自分の論文に興味を持ちそうなジャーナルを探すお手伝いをしています。そのプロセスは、次のようになっています。

1) 著者がターゲットジャーナル4誌を添えてアクシオス・レビューに論文を送付

2) アクシオス・レビューの編集者が査読者を選定

3) 査読者が論文および各ターゲットジャーナルへの適合性についてコメント

4) アクシオス・レビューの編集者が、アプローチすべきジャーナルを決定

5) 選ばれたジャーナルに、その論文の投稿を希望するかどうか尋ねる

6) 著者が論文を修正し、興味を示したジャーナルに論文を投稿

この方法はとてもうまくいっています。アクシオス・レビューの査読後、興味を示したジャーナルに論文が受理される確率は85%で、そのうちの半数は次段階の査読に回されていません。こうした状況は、アクシオス・レビューの仲介報告書に役立つ情報(査読報告書、査読者名、論文のPDF版)が含まれており、ジャーナルが、その論文に十分な新規性があるか、ジャーナルの対象領域にあっているかを容易に判断できるためであると言えるでしょう。ジャーナルは、受理する可能性が高いと考えられる論文の投稿だけを依頼します。アクシオス・レビューに投稿されてからジャーナルに掲載されるまでの平均期間は7ヶ月で、著者が論文を修正している期間を除けば、これは4ヶ月にまで短縮されます。

この数字には大いに誇りを持っています。アクシオス・レビューのアプローチが効果的であることを示すものであり、ジャーナルが弊社の査読プロセスを信頼していることの表れだと思うからです。アクシオス・レビューを利用する著者は、本当にふさわしいジャーナルで、迅速に論文を発表することができるのです。


アクシオス・レビューをもっとも有効活用できるのはどのような人でしょうか。

アクシオス・レビューは、一般分野であれ特定分野であれ、論文を発表するためのジャーナル探しが困難だと感じている人々にもっとも役立ちます。優れたジャーナルで発表するべき素晴らしい論文を書いたのに、適切なジャーナルがわからないという著者には、とくに役に立つと思います。実際、どのようなキャリアの段階にいる研究者でも、そのような状況に置かれることがあります。アクシオス・レビューの査読プロセスでは、専門家が論文に詳細なフィードバックを提供した上で、その論文の投稿を望むジャーナルを探します。


アクシオス・レビューが著者に勧めるジャーナルは、何を基準に選ぶのですか?そのプロセスについて教えてもらえますか?

アクシオス・レビューに論文を送る際、著者は投稿を希望するジャーナル4誌を選び、優先順位をつけて提出することになっています。提案されたジャーナルに受理される可能性がないと思われる場合は、作業開始前に、アクシオス・レビューの編集者がターゲットジャーナルのリストを変更するよう申し入れることもあります。


アクシオス・レビューの査読者や編集者はどのような人々ですか?どうやって選ぶのでしょうか。著者には、査読者が誰か分かるのですか?

アクシオス・レビューの編集者は、特定の分野で評判の高い専門家で、その多くはジャーナル編集者としての経験も豊富です。これらの編集者が、研究分野と、論文を客観的かつ徹底的に評価できる能力に基づいて、査読者を選んでいます。弊社の査読プロセスは、初期設定では「単盲検法」(“single blind”)となっているので、査読者が誰かを著者が知ることはありません。著者は「二重盲検法」(“double blind”)、すなわち査読者も著者の名前が分からない状態での査読を選ぶこともできます。どちらの場合も、編集者は著者と査読者の名前を把握しています。


学術出版界では、査読者を奮起させるための動機付けが必要だということがよく話題となります。アクシオス・レビューで査読を行うことで、査読者に何か特典があるのでしょうか。

アクシオス・レビューのために喜んで査読をしてくれるのは、我々が査読者のコメントを効果的に利用することを知っている人たちです。ジャーナルへの査読報告書は通常、対象の論文がリジェクトされてしまえば保管されたまま忘れ去られてしまいますが、アクシオス・レビューのために書かれた査読報告書は、適切なジャーナルが見つかるまで何度も使われます。投稿・リジェクト・再投稿問題に悶々としている研究者の多くが、我々の解決方法を気に入ってくれています。また、一流編集者が論文を扱うことが、査読への貢献意欲を高めることにつながっていることも分かってきました。

査読者には、将来アクシオス・レビューに投稿する際の50ドルの割引特典を提供しています。編集者も同様の割引が受けられます。アクシオス・レビューの査読をPublonsに登録した査読者もいます。査読者の協力が得られる確率は、普通のジャーナルと同程度のようです。


ほとんどの場合、研究費には、出版費用への支払いに限定された予算が含まれています。アクシオス・レビューへの支払いにもこの研究費を使えますか?

はい!アクシオス・レビューを利用する著者のほとんどは、研究費で費用(250ドル)を支払っています。この費用は、アクシオス・レビューの査読報告書を受け取ってからの支払いで結構です。


アクシオス・レビューと提携しているジャーナル(例:BioMed Central(BMC))には、オープンアクセス費用からアクシオス・レビューの費用を差し引いてくれるところもあります。他のジャーナルと提携することになった場合、同様の形式が採用される予定ですか?

BMCのジャーナルが著者の出版費を割り引いてくれることを大変嬉しく思っています。今後、他の出版社も似たような割引を提供してくれる可能性は大いにあると思います。


アクシオス・レビューの事前査読サービスは現在、進化生物学・生態学分野で提供されています。サービスの提供分野を拡大する計画はありますか?また、近い将来、アクシオス・レビューに期待できることはありますか?

もちろんあります!今現在、様々な分野で編集委員会メンバーの募集や、ジャーナルとの折衝を進めています。新しい分野の論文を扱う準備が整い次第、正式に発表したいと思います。


アクシオス・レビューの査読によって、出版プロセスの効率化が進むと思われますか?ここまでで、効率化は進んだと思われますか?また、具体的にお困りのことはありますか?

私は生まれつき悲観的なのかもしれませんが、アクシオス・レビューのプロセスが順調であることに常々驚いています。先ほども述べましたが、我々が仲介した論文の受理率は85%です。また、アクシオス・レビューで投稿を受けてから論文がジャーナルに掲載されるまでの期間は平均7ヶ月で、著者の論文修正期間を除くと4ヶ月にまで短縮されます。

これまでで最大の成果は、アクシオス・レビューを利用した著者が、数か月という期間で、もっともふさわしいジャーナルで論文を発表できている、ということでしょう。我々のサービスによって、投稿・リジェクト・再投稿前の修正という苦労を何度も繰り返すことなく、ジャーナルという生態系のどこに自分の論文がぴったり収まるのかを試すことができるのです。

アクシオス・レビューが成功したのは、多種多様なジャーナルのワークフローに関する理解があったからではないかと思っています。(アクシオス・レビューのターゲットジャーナルの一覧はこちら。)我々の仕事を各ジャーナルに対してどのように集約させるのがベストであるかは難しい課題ですが、これについては引き続き改善の努力を行なっていくつもりです。これまでのところ、各ジャーナルはとても辛抱強く支援してくれています。


アクシオス・レビューのような独立した査読モデルは、学術出版界の新しいトレンドの1つです。このモデルによって、論文原稿の質や出版ワークフローにどのような価値が加えられるでしょうか。また、新しい査読モデルを受け入れるという点で、学術コミュニティがどの程度進歩したとお考えですか?

査読システムに変更を加える場合は、慎重に取り組む必要があると思います。好むと好まざるとにかかわらず、学術文献の査読は、近代社会が「真実」を確立しようとする2つの方法のうちの1つであり(もう1つは法律システム)、どのような変更を加えるにしても、その基幹となる諸機能が保たれるようにしなければなりません。私にとって、これらの機能で重要なのは、「改良」と「濾過(選別)」です。「改良」においては、著者が論文の問題点に対応することを査読者と編集者が支援し、「濾過(選別)」においては、ジャーナルが論文を選り分け、読者が自分の研究テーマや重要と考えることについて学べるようにします。

ここで大きな問題となるのは、著者は昇進のために最適なジャーナルで自分の論文を発表しなければならないという強いプレッシャーを受けていることが多いという点です。上を目指すことが重視される結果、野心のある投稿が多く集まりすぎて「濾過」機能が詰まってしまうことになります。これは、もちろん、独立査読サービスが解決しようとしていることです。我々は、著者が1回限りの手間で、なおかつ「改善」と「濾過」の両方が確保された状態で、論文に適したジャーナルを探せるよう支援しているのです。

アクシオス・レビューのアプローチに対する支援は、学術コミュニティ全体から集まっています。これは、「ジャーナル・ショッピング(選び)」の問題を皆が認識しているからであり、我々が現在のシステムを崩壊させることなくそれを解決しようとしていることが評価された結果だと思います。いずれは学術コミュニティが、独立査読をジャーナルでの論文発表の標準ルートとみなすようになることを願っています。


ヴァインスさんが情熱を傾けておられるデータアーカイブ(data archiving)についてお聞きします。ご自身が書かれたある論文で、データアーカイブを必須にすれば研究データへのアクセスが大幅に改善する、また「個々の研究者が研究データを確実に保管することはできない」と述べられていますが、これについてご説明頂けますか? 現在の科学出版環境でデータアーカイブが果たす役割とは何でしょうか。データアーカイブという考えは、出版界の各領域でどの程度受け入れられているのでしょうか。

近年、データ共有には大きな進展がみられ、大変素晴らしいことだと思っています。もちろん、データ共有が問題になる状況も存在します。例えば、長期に渡る生態系学研究や、データから患者個人の特定が可能である研究などの場合です。これらの問題に対応する方法は、よく考える必要があると思います。

しかし一般的には、科学論文を発表する際に、主張の裏付けとなる核心部分のエビデンス(データ)が添えられていないのはおかしいと思います。科学コミュニティは長年、論文発表後にいつでも著者にデータを要求できるものだと信じてきましたが、我々の研究は、この信念が間違っていることを示しました。古い論文の場合はとくにそうです。論文の裏付けとなっているデータの共有に協力的でない、あるいはできないという著者があまりにも多いのです。論文発表時のデータ共有を必須とすれば、この問題は難なく解決できます。なぜなら、(a)どのデータを共有すべきかを決定するのは比較的容易であること、そして、(b)ジャーナルは全データが公表されるまで掲載を控えればよいからです。

もちろん、著者自身が、自分の論文のデータを共有するのが当然と考えるとき、つまり、精選された共有データを含む論文の方が、含まないものよりも科学的に優れているということを著者自身が認識して初めて、データ共有という概念が本当の意味で発展するのでしょう。この考えを広めることに、過去2、3年でだいぶ貢献できたと思っています。


ヴァインスさん、ありがとうございました!

情報開示: エディテージとアクシオス・レビューは提携関係を結んでいます。エディテージからは高品質な編集・校正・翻訳サービスが、アクシオス・レビューからは進化・生態学研究分野の論文原稿に対する査読サービスが提供されています。ただし、本インタビューはエディテージ・インサイトにより独自に行われたものであり、これによる金銭的な利益相反はありません。

日本語で査読無しで発表した論文の英文で発表は可能ですか

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日本語で業界紙に査読無しで発表した論文があります。これを英文で査読つきの論文に発表しなおしたいのですが、どのようにすればいいでしょうか?

回答

ジャーナルに論文を投稿するときは、その論文が過去にいかなる形式でも発表されていないことを明確に述べる必要があります。しかし、別の言語での二次出版は可能です。ジャーナル編集者に事情を説明し、論文を投稿しても良いか尋ねてみましょう。断られる可能性もないとは言えませんが、後になって重複出版という指摘を受けないよう、事実をそのまま伝えることが重要です。
もう1つの選択肢は、業界紙向けに書いた論文を書き直してから投稿することです。業界紙に掲載されたということは、原著論文ではなく意見論文の一種ではないかと推察します。ブログや新聞で使われるスタイルはジャーナルのスタイルとは大きく異なりますので、出版済み論文の基本的構想を維持しつつ、新たな材料を取り入れて展開させたり、分析をさらに掘り下げたりしてみても良いのではないでしょうか。どちらかと言えば、書き直した論文を投稿することをお勧めします。その方が、後々での重複出版の疑いを防げるからです。安全を期して、同じテーマの論文を日本語業界紙に発表済みであることを明記するようにしましょう。

ジャーナル出版の舞台裏:編集者の視点から論文投稿後の流れを語る

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ジャーナル出版の舞台裏:編集者の視点から論文投稿後の流れを語る

ジャーナルでの論文発表は、研究結果やアイデアを広く伝えるための重要な手段です。しかし、論文を投稿してから決定が下されるまでの過程は不透明です。研究者はジャーナルに論文を投稿した後、たいていの場合は何ヶ月も待たないと、論文の掲載可否を知ることができません。この間に一体何が起こっているのか、研究者には知る由もないのです。

ジャーナルでの論文発表は、研究結果やアイデアを広く伝えるための重要な手段です。一流ジャーナルに論文が掲載されれば、著者は評判を高めることができ、読者は査読を経た研究の全容を詳しく知ることができます。しかし、論文を投稿してから決定が下されるまでの過程は不透明です。研究者はジャーナルに論文を投稿した後、たいていの場合は何ヶ月も(時にはもっと長期間)待たないと、査読報告書を受け取ることも、論文の掲載可否も知ることもできません。この間に一体何が起こっているのか、研究者には知る由もないのです。

本記事では、この過程で何が起こっているのかについて、編集者(Associate Editor, AE)の視点から明らかにしたいと思います。この記事では以下のことを目指します。

  • 著者が投稿後のプロセスを理解し、知識を持った上で投稿できるようにする
  • 投稿後のプロセスにおける役割を編集者が自覚し、投稿論文の掲載可否の判定を適切かつ効率的に下せるようにする
  • 編集者が(さらには他の編集者が)このプロセスをより明確に把握し、自分の役割を最大限に活用できるようにする


編集体制における編集者(Associate Editor, AE)の役割

ジャーナルの編集体制は、ジャーナルの規模・受け付ける投稿数などによって、ジャーナルごとに異なります。たいていは、編集長(Editor-in-Chief, EiC)1名と編集者(Associate Editor, AE)数名からなる編集委員会があります。この委員会は、ジャーナルが受理・掲載する投稿論文を決定するという役割を担っています。

編集長のもとに新しい投稿論文が届くと、まずは編集者に論文を割り当て、査読や意思決定プロセスを任せるのが一般的です。編集者の主な仕事は、投稿された論文原稿の決定に関する提案を編集長に伝えることです。

この仕事に関する編集者の業務は、一見すると単純です。その業務とは、割り当てられた投稿論文に査読報告書を取り付け、これらを参考にして論文に対する助言を適時行うというものです。しかし、これにはかなりの努力が必要とされます。さらに言えば、最初の段階では明らかになっていない部分での努力が必要とされます。このことを説明するために、私が新たに論文原稿を受け取ってから編集長に助言をするまでの過程を、順を追って詳しくご紹介しましょう。(編集者によっては、同じ業務でも別の方法で行うこともあります。)


論文原稿を編集者に割り当てる

ジャーナルに論文原稿が投稿されると、編集者に割り当てられる前に、簡単なチェックが行われます。編集長が論文に目を通しますが、これに編集助手(editorial assistant)が加わることもあります。この段階での目的は、論文を次の段階に回すことが適切かどうかを見極めることです。例えば、書式の条件が守られているか、ジャーナルのテーマに合っているか、新規性のある技術的貢献が明らかであるか、ファイルを開けるか、ジャーナルの使用言語で書かれているか、などをチェックします。これらの点に問題がなければ、編集長は編集者を選んで論文を割り当てます。どの編集者を担当とするかは、様々な要素に基づいて決められます。具体的には、各編集者の専門分野、相対的仕事量、著者との利益相反の有無といった要素が考慮されるということです。

ほとんどのジャーナルでは、オンライン上の投稿システム(ScholarCentralやManuscriptOneなど)で論文を処理しています。このため、最近は決まったワークフローに従うことが多くなっています。オンライン上の投稿システム(WBMSS)は、処理すべき仕事があると、関係者にメールで通知を送ります。つまり、私に論文が割り当てられたら、WBMSSが私にメールを送り、仕事があると知らせてくれるのです。


最初に編集者が読んで評価する

新しい投稿論文が割り当てられたという通知を受け取ると、私はまず論文とカバーレターを印刷します。それから論文を読んで内容を理解しようと努め、大筋でどのような技術を用いているのか、そしてその論文に最も関連性の高い文献は何かを考えます。

この段階での目的は、査読者の候補となる研究者で、連絡がとれる人を何人か選ぶことです。このため、私の読み方も、自分が論文を査読する時とは全く異なります。編集者は、論文の細部やアイデアを全て理解する必要はありません。編集者の目的は、論文をつぶさに理解してその研究の意義や新規性についてコメントできる専門家を探すことです。ですから、私自身は、その投稿論文が受理されるべきかどうかについて強い意見を持たないようにします。その判断は査読者に任せるべきものだからです。しかし、こうして最初に論文に目を通す段階で、その論文の水準が大体どの程度であるかは分かるものです。


初期段階で掲載拒否(リジェクト)とするか査読に回すかを決定

投稿論文がジャーナルの基準から明らかに逸脱していることもあります。その場合、編集者は「手続き上の掲載拒否(administrative reject、あるいはdesk reject=デスクリジェクト)」という判断を下すこともあります。これは、この先に受理される可能性がほぼ見込めない場合に下される決定です。私は、今後に役立ててもらいたいとの思いから、掲載拒否の理由やフィードバックを著者に伝えるようにしています。

「手続き上の掲載拒否」となる場合の理由には、以下のようなものがあります。

  • 論文の書き方が不適切で、何を言いたいのか全く分からない場合。
  • 結果が、過去の研究ですでに発表されているものと明らかに同じである場合。
  • 論文のテーマがジャーナルの対象領域からかけ離れている場合。
  • 過去に発表された別の論文の文章が含まれており、ジャーナルの剽窃方針に反している場合。

経験上、これらの条件に該当する投稿論文は稀ですが、それは、論文が編集者に割り当てられる前に編集長が気づくからかもしれません。

また、図表や書式など、修正可能な問題が理由で掲載拒否(デスクリジェクト)という判断になることもあります。その場合は、修正版の再投稿を受け付けることを伝えます。同時に、そのような修正を必要とする論文は、当ジャーナルが求める高い水準を満たさないことが懸念されるという見解も伝えます。こうすれば、著者に再投稿の機会を担保しながら、同時にジャーナルの選択を再度考え直したほうがよいかもしれないという所感も伝えることができます。

ジャーナルにとって、ボーダーライン上にあると思われる論文原稿もありますが、それらは、上に挙げた項目のいずれにも当てはまりません。このような場合、私は、たとえ見込み薄であっても、査読者に論文の査読を依頼することにしています。一見出来があまり良くない論文原稿でも、分野の専門家ではない編集者ではなく、専門家である査読者による査読を受けてもらう機会を与えた方が、公平だと思います。この場合の難点は、査読者に、出来の良くない論文査読のために時間を割いてくれるように頼まなければならないことです。しかし、そうすることが妥当だと考えるのには理由があります。それは、我々も自分が論文を投稿したときに査読をしてもらう以上、査読はコミュニティの一員として当然のサービスであり、常に質の高い論文を読めるとは限らないものだからです。それに、もしその論文の質が本当に悪ければ、論文を評価し、欠点を浮き彫りにした簡潔な査読報告書を書くのは、それほど困難な作業ではないはずだからです。

論文原稿を査読に回す決定をしたら、次はその論文の査読を依頼する査読候補者を選びます。これについては、また次回にお話ししましょう。


本記事は、Association for Computing Machinery, Special Interest Group On Management of Dataのウェブサイトに発表された記事、What does an Associate Editor actually do?の修正版です。本記事は著者の許可を得て、修正を加えて再掲載されたシリーズ記事の第1回です。続きもどうぞお楽しみに。

変わりゆく学術界におけるインパクトファクターの”インパクト”

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変わりゆく学術界におけるインパクトファクターの”インパクト”

ここ数年来、学術出版界では代替指標に関する活発な議論が繰り広げられてきました。研究のインパクトを、人々の生活との関連度やその改善度、ソーシャルメディアでとりあげられた回数、あるいは非専門家の間の認知度で測るというアイデアもありました。様々な議論を経た今、インパクトファクターを取り巻く学術界の現状を考察します。

私が初めて書いた学術関係のブログ記事は、インパクトファクターに関するものでした。それは2012年6月の、最新のJournal Citation Reportsが発表されて間もない頃で、インパクトファクターは時流に乗った話題でした。当時はまだ、インパクトファクターについてよく知りませんでしたが、調査を積み重ねていく中で、様々な見方があることに気づきました。その中には、インパクトファクターをボイコットする必要性といった過激な意見も多くありましたが、指標としてのインパクトファクターを丸ごと退けてしまうことはためらわれました。というのも、かなり多くの研究者がインパクトファクターを崇め奉っているように思えたからです。そこで私は、慎重すぎるほど慎重になり、インパクトファクターの功罪を扱った中立的な記事を書きました。インパクトファクターは素晴らしいものであるが、注意深く利用しなければならない、と。

その4年後、またインパクトファクターに関する記事を書くことになって、状況の変わりように驚いています。表面的なことについては語るまでもないでしょう。トムソン・ロイターから2016 Journal Citation Reportsが公開されると、学術出版界は毎度の狂乱状態になり、ソーシャルメディアでは、「#インパクトファクター」がたちまち話題のトピックになりました。最新のランキングを喜ぶジャーナル各誌は論説を出し、新しいインパクトファクターをツイートしました。論文投稿を控える著者たちは、新しいインパクトファクターを参考にしてターゲット・ジャーナルの見直しにかかっています。エディテージ・インサイトなどの学術関連記事サイトでは、インパクトファクターに関する一連の記事で特集が組まれ、インパクトファクターのメリットとデメリットいかに過大評価され誤用されているか研究の質を測る新たな指標をどのように扱うべきか等々について繰り返し語られています。

2012年以降、学術出版界で代替指標に関する有意義な議論が活発に行われてきたことは確かです。一般の人々にとっての科学が話題となることもありました。また、研究のインパクトを、人々の生活に寄り添いつつ改善した度合いや、ソーシャルメディアでとりあげられた回数、あるいは非専門家の間での認知度で測るというアイデアについても議論が行われました。しかし、現状はどうでしょうか。先日中国を訪れた際、何人かの著者に、論文の投稿先を選ぶときにどういった点を考慮するかを尋ねる機会がありました。彼らにとってインパクトファクターがいまだにもっとも重要な要素であることを知っても、驚きませんでした。無理もありません。昇進、テニュア、研究補助金の支出について検討するとき、学術界と資金提供機関は依然としてインパクトファクターに大きく依存しているのですから。

デジタル化は学術出版に変革をもたらし、インターネットは人々が情報にアクセスし吸収する方法を変えました。こうした状況を説明する、こんな例え話はいかがでしょうか。私は母の影響で、料理が大好きで得意です。母親はレシピブックをとても大切にしていました。それを引っ張り出してきては埃をはらい、たくさんのレシピの中から何年も前に使った目当てのレシピを探すのです。一方の私は、冊子になった「レシピブック」というものを持ったことがありません。たいていは、作りたいものが浮かぶとオンラインで調べ、同じ料理のいくつかのレシピから材料や方法を少しずつチョイスして組み合わせるのです。つまり私は、自分のブラウザに保存したブログ記事のコレクションという、1冊の大型レシピブックを持っているということです。

こう考えてみてください。著者は、論文を投稿するジャーナルを選ぶときに、今でもインパクトファクターを重視しています。しかし、引用を行う側は、その論文がどのジャーナルに掲載されたものであるかを気にするでしょうか?イントロダクション(序論)とディスカッション(考察)のセクションを執筆するとき、研究者はキーワード検索で関連論文を探し、ヒットした論文を引用します。そのように見つけた論文が、一定の基準よりも低いインパクトファクターのジャーナルに掲載されていたというだけの理由で、引用をやめるでしょうか?インパクトファクターは、個々の論文がどれほど広く引用されたかという観点で算出されたものです。それなのに、ジャーナル全体の質を表すものとされてしまっている状況は、なんとも皮肉ではないでしょうか。

さて、次のような状況でも、「ジャーナルのインパクトファクターは重要だ」と言えるでしょうか?
掲載された多くの論文が再現不可能であるとみなされている場合。
多くの論文が撤回されている場合。
発表された研究の重要性を、メディアが誤って報じ、不正確に誇張している場合
・多くの著者が、ジャーナルのリジェクト判定が不透明であるとして不満を抱いている場合。

料理の例え話に戻りましょう。オンラインで調べたどのレシピについても、コメント欄を読むことはとても大事です。コメント欄では、読者がレシピを評価し、実際に作ってみた経験をシェアし、ときには材料の配分を変えることが提案されていたりもします。あらゆる分野のビジネスにおいて、品質と成功を測る基本的指標は、顧客の感想や評価です。この考え方を学術界に当てはめてみると、(読者が費用を支払う)従来の購読モデルであれ、(著者が費用を支払う)オープンアクセスモデルであれ、ジャーナルにとっての顧客は研究者です。であるなら、顧客の意見が取り入れられ、その意見がジャーナルの評価に反映されてこそフェアと言えるのではないでしょうか?

では、ジャーナルの質はどのように測定すべきなのでしょうか。私が理想とするのは、要求事項を明確に説明したか、投稿論文を適切に扱ったか、著者の問い合わせに迅速に回答したかという観点からジャーナルをレビューし評価するフォーラムのような場が著者に与えられることです。ジャーナルを評価する権限を持つ機関にとって必要なことがあるとすれば、ジャーナルの論文審査や査読プロセスの綿密さといった様々な要素がある中で、これらの点が、評価を決定づける基準になるのではないでしょうか。

研究論文そのものについては、引用指標代替指標は優れたツールだと思いますが、いずれもそれ単独で完結するものではありません。あらゆる種類の研究論文―確固とした方法で行われたものであれ、疑問の余地のある方法で行われたものであれ―は、引用されソーシャルメディアで言及される機会を等しく持っていますが、これらの指標を、それぞれにふさわしい文脈で吟味するのは大変難しいことです。反対に、もしもこれらの指標が単独でしか使われないとすれば、研究論文の「インパクト」は、出版社や著者の所属機関が出版論文の宣伝にかけられる予算によって決まってしまうか、少なくとも影響を受けることになるでしょう。

単なる数値基準ではなく、研究者同士が出版論文をレビューして評価し、研究がうまく再現されたかどうかについてコメントし、手順の改良を提案できるような場があればと思います。掲載したそれぞれの論文に対してユーザーから良いレビューと評価を得たジャーナルは、そのまま自動的に、高評価で高インパクトのジャーナルと認められるでしょう。

私が2012年に初めてインパクトファクターについて書いてから、多くのことが変わりました。もちろん、インパクトファクターに関する私自身の考え方や主張の根拠も変わりました。私が抱いているそのような感覚は、学術界の至るところで漂っているようです。実際昨年には、英国高等教育財政審議会(HEFCE)から、「研究の評価と管理における指標の役割に対する独立審査」を通し、学術コミュニティは研究の評価手法を見直すべきであるとする複数の優れた提案が出されています。

しかし、変化のスピードに追いつけず、元も子もない状況にしているものがあります。それは、資金提供機関による、研究者の評価手段としてのインパクトファクターの使い方。ジャーナル選びの決め手をインパクトファクターに求めなければならないと考える研究者の感覚。そして研究者にとって、ジャーナルに対応する以上に切実な要素がほとんどないという事実です。研究と研究者の質の評価において、今こそ、学術出版界を席巻するあらゆる変化に歩調を合わせるときではないでしょうか。

 発表済み論文の、外国雑誌への投稿・国際学会での発表の可否について

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既に医学雑誌で発表済みの日本語原著論文を、他の外国雑誌にも投稿できますか?または国際学会・他分野の学会で発表だけでもできますでしょうか。 また、コメディカル各分野ごとに理解しやすいよう内容・表現を変えつつ、講演会や雑誌コラムなどで知見を広めていきたいのですが可能でしょうか

回答

別の言語ですでに出版した論文の翻訳版を、国際英文ジャーナルで二次出版として発表することは可能です。医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)はこのような出版について、「何ら問題のない二次出版」とみなしており、「別言語で再度発表することによってできるだけ幅広い読者に届ける必要がある際の正当な手段である」と述べています。

しかし、正当と認められるためには、いくつもの条件を満たす必要があります:

  • 著者は双方のジャーナルの編集者から正式な承諾を得なければならず、二次出版の責任者となる編集者は一次出版物のコピーを入手しなければならない。
  • 一次出版と二次出版の間には、ある程度の時間的間隔を空けなければならない。
  • 二次出版では、それがニ次出版であることを読者に向けて明示しなければならず、一次出版で扱われたデータや解釈を忠実に反映しなければならない。
  • 二次出版では、その論文が出版済みであることをタイトルで明示しなければならず、タイトルページの脚注で一次出版について言及しなければならない。

あなたがその論文を国際学会で発表したいのであれば、分野に関係なく、アブストラクトを提出することは可能ですが、オリジナルの日本語版出版物についてカバーレターに明記する必要があります。

論文を書き直し、講演会や雑誌のコラムを通じて知見を広めるというのは良いアイデアだと思いますが、それは再発行を終えてからでも遅くないでしょう。まずは、英文ジャーナルで二次出版として再掲載することを目指しましょう。それが実現すれば、あなたの論文の読者が増えるだけでなく、国際的な信用を得ることにもつながります。

「Altmetricは著者としての経験から生まれたものです」

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カクタス・コミュニケーションズのエディテージ米国法人代表であるドナルド・サミュラック博士と、Altmetric(オルトメトリック)の設立者/CEOであるユアン・アディー氏が対談を行いました。

本インタビューシリーズ第1回では、Altmetricの概要が紹介されています。アディー氏は、研究者/著者としての自分自身のニーズがAltmetricの起ち上げに結びついたと述べています。生物情報学の研究者であった彼は、分野によっては、研究者はその研究成果の性質上の理由から、ネイチャー(Nature)や米国科学アカデミー紀要(PNAS)といった大きな影響力を持つ有名ジャーナルでは論文を発表することができないと知っていました。また、インパクトファクターは研究の質を測る完璧な指標ではないこともよく分かっていました。Altmetricは、様々なプラットフォームに登場するあらゆる種類の研究成果の影響度(インパクト)を測定する代替指標を提供することで、このギャップを埋めていると言えます。Altmetricは、論文が話題となり、利用され、共有されているあらゆるオンラインプラットフォームの情報を集め、それをもとに研究インパクトを評価しています。


シリーズの他の記事を読む:
Part 2: Altmetric学術研究への注目度をどのように測っているのか

 


別のジャーナルに投稿しても、同じ査読者が査読をすることになりますか?

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Question Description: 

論文がリジェクトされた後、別のジャーナルに投稿しました。すると、2番目のジャーナルの査読者も、最初のジャーナルの査読者と同じ質問をしてきました。これは、同じ査読者が私の論文を査読しているということでしょうか?またリジェクトされてしまうのでしょうか?

回答

同じ査読者があなたの論文を査読している可能性はあります。特定のテーマの論文は、特定の査読者数名が査読することが多いので、2番目のジャーナルでも、あなたの論文は同じ査読者に送られたのかもしれません。しかし、必ずしもあなたの論文が同じ査読者に回されたとも言えません。とても重要な質問であれば、別の査読者も同じ質問をする可能性が高いからです。

あるジャーナルで論文がリジェクトされてしまっても、別のジャーナルに投稿する前に、査読コメントに丁寧に目を通し、提案に沿って修正を済ませるべきです。最初の査読者が質問をしていたなら、その質問に対応して論文を修正してから、次のジャーナルに投稿すべきでした。

でも、望みを捨てる必要はありません。査読者の質問にきちんと回答し、その他のコメントにも漏れなく答え、全ての査読コメントにしっかり対処すれば、あなたの論文は受理されるはずです。

こちらの記事もご覧ください。
査読コメントへの答え方
査読コメントへの返答でやっていいこと、ダメなこと

ネガティブな研究結果への出版バイアスに苦悩する著者:ケーススタディ

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ネガティブな研究結果への出版バイアスに苦悩する著者:ケーススタディ

論文執筆中のある著者が、仮説から研究結果が乖離しつつあることに気づきました。実験結果は著者の予想と異なっていたのです。そこで著者は、ある論文執筆サポート会社に、仮説に合うように結果の分析を書き直すことを依頼しました。しかし「そのような依頼は非倫理的である」として断られてしまいます。その後エディテージ・インサイトにアドバイスを求めた著者は…?

事例:論文執筆中のある著者が、仮説から研究結果が乖離しつつあることに気づきました。実験結果は、著者の予想と異なっていたのです。そこで著者は、ある論文執筆サポート会社に、仮説に合うように結果の分析を書き直すことを依頼しました。しかし、「そのような依頼は非倫理的である」として断られてしまいました。著者はその後、エディテージ・インサイトにアドバイスを求めました。著者の相談内容は、データ操作は倫理に反するのでやりたくないが、結果に基づいて仮説を変更することはできないか?というものでした。その場合、序論や文献レビューも含めてやり直すべき作業は膨大になるものの、少なくとも出版の望みはあるのではないかと著者は考えたのです。著者は、このまま研究結果を修正せずに論文にしても出版は不可能で、すべての努力が水の泡だと感じ、非常に落ち込んでいました。

対応:エディテージは、仮説と実際の研究結果が合致しなかったということは、確かに結果がネガティブであることを意味すると著者に伝えました。ただ、研究結果に合うように仮説を修正することは、科学の虚偽報告にあたります。これによって著者が不正行為で捕まることはないかもしれないものの、適切な行為ではありません。たとえ結果がネガティブであっても、研究は、行なった通りに正確に報告しなければならないのです。エディテージは、ネガティブな結果は他の研究者にも役立ち、科学の目的達成に寄与すると著者に説明しました。また、ポジティブな研究結果の方が出版されやすいという出版バイアスは確かに存在するものの、ネガティブな結果のみを出版するジャーナルもあることを伝えました。

仮説を変更するよりも、じっくり検討して優れた考察を書くこと、そしてネガティブな結果を他の研究者に伝えることの重要性をカバーレターで訴えることに注力するようアドバイスしました。カバーレターでは、研究結果から浮かび上がってくる問題点と、変化する可能性のある過去の結果や見解についても述べるとよいと伝えました。

また、ネガティブな結果だけを出版するジャーナルを紹介し、それらのジャーナルに投稿前の問い合わせを送ってみることを勧めました。そのうちの一誌が論文に興味を示し、著者は結局そのジャーナルに論文を投稿しました。

まとめ:ジャーナルは、ネガティブな結果にバイアスを持っているところも多く、ポジティブな結果のみを出版したがる傾向があります。しかし、研究結果がネガティブであることは珍しくありません。ネガティブな研究結果を公表しないことで、努力、資金、時間が無駄になってしまうことがあります。また、ネガティブな研究結果は、他の研究者がそのデータを利用して研究を進め、別の形で意義ある発見をする契機になるという意味で、大変重要です。最近は科学コミュニティでも、ネガティブな研究結果を出版する必要性に対する意識が高まっています。また、ネガティブな研究結果だけを出版するジャーナルもあります。ですから著者の皆さんは、ネガティブな研究結果の出版をあきらめないようにしましょう。ネガティブな研究結果を避けるためにエビデンスや事実を歪曲しないよう自らを戒めることは、さらに重要です。科学における虚偽報告は、広範囲にわたって悪影響を及ぼし、科学に対する一般の人々の信頼を損ないかねないからです。

下のアンケートに答えて、あなたの経験をシェアしてください。

編集者が文献レビューに懸念を示しています。同じジャーナルに再投稿しても大丈夫?

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論文投稿後の最初の選別段階で、ジャーナル編集者から次のような連絡を受けました。「この論文の参考文献には、査読誌に掲載された論文が十分に含まれているとは言えません。最新の論文を含め、参考文献に含める論文数を増やす必要があります。論文原稿をアップデートし、改めて投稿してください」。このジャーナルにもう一度投稿すべきでしょうか?

回答

ご質問の論文で問題となっているのは、主として文献レビューが徹底していないということです。これは、どの編集者も問題視する点です。ですから、同じジャーナルでも、別のジャーナルでも、再び投稿する前に文献レビューを修正する必要があります。

従って、編集者のアドバイスに沿って変更を加えた後で、新たな投稿として同じジャーナルに投稿するのが適切でしょう。研究に新規性がない、研究テーマがジャーナルの対象領域に合致していないなど、重要な問題点を指摘されたわけではないのですから、文献レビューの問題に対処すれば、あなたの論文は最初の選別過程を通過し、査読に回される可能性が高いと思われます。

効果的な文献検索科学文献の読み方についてのアドバイスに関する記事も、併せてお読みください。

 

"Evaluation recommendation"という論文ステータスの意味は?

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1ヶ月以上前、あるジャーナルに論文を投稿しました。編集者から、私の推薦する査読者と連絡が取れないので、他の査読者を提案してほしいと言われました。別の査読者を推薦した後、論文のステータスが「査読中」(“Under review”)から“Evaluation recommendation”に変わりました。これは、査読が終わって編集者が論文を評価しているという意味ですか?その他の可能性はありますか?

回答

一般に“Evaluation recommendation”(評価勧告)とは、査読が終了し、編集者が評価と勧告の準備に取り掛かっていることを意味します。しかし、あなたが新しい査読者を提案してすぐにステータスが変更されたのならば、査読が終了するには早すぎます。ですから、このステータスは、そのジャーナルでは何か別のことを意味するのかもしれません。

1つの可能性として、編集者があなたの論文の査読者を自動推薦システムで探しているために、「評価者の推挙」という意味で使われているということが考えられます。もう1つの可能性としては、編集者があなたの推薦した査読者を評価中であるというケースが考えられます。つまり、あなたの推薦した査読者に中立性と客観性があることを確認しているということです。問題がなければ、編集者は2、3日中に査読者に招待メールを送るでしょうから、ステータスが次の段階にアップデートされれば、状況がはっきりするはずです。

Altmetricは学術研究への注目度をどのように測っているのか

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カクタス・コミュニケーションズのエディテージ米国法人代表であるドナルド・サミュラック博士と、Altmetric(オルトメトリック)の設立者/CEOであるユアン・アディー氏が対談を行いました。

ユアン・アディー氏へのインタビューシリーズ第2回です。

アディー氏は今回、Altmetricが捉える情報の様々なタイプについて語っています。Altmetricでは、主に次の3つの指標を使って、論文に関するデータを集めています:

·         一般社会の関与: 著者の業績は、主要メディアなどの外部プラットフォームで取りあげられているか?

·         学術的利用: 著者の業績は、他の研究者に利用されているか?

·         政策と実践: 著者の業績は、現実社会の動向に影響を及ぼしているか?


しかし、これらは単なる指標に過ぎないため、ユーザーにとっては、このデータを人間が解釈したものが必要となります。また、各論文のすべての情報は、各指標についてのレポートを含む、該当論文の詳細ページという形で、研究者に報告されます。


シリーズの他の記事を読む:
Part 1: Altmetricは著者としての経験から生まれたものです」

事例史はレビュー論文?また、所属先を2つ書いても良い?

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こんにちは。北半球で流行した感染症についての論文を書きたいと思っています。他の人が書いた論文を要約した事例史(case history)となる予定です。これはレビュー論文にあたるのでしょうか?

もう一つ質問なのですが、私は働きながら博士課程に在籍しています。所属として、大学と病院の両方を書いてもいいでしょうか?

回答

レビュー論文(総括論文)とは、ある特定のテーマについての現存する文献を細かい点まで批判的に評価し、そのテーマについての理解がどのような状況にあるかを要約しようとするものです。研究論文(research article)とは異なり、レビュー論文は他の論文で提示されているエビデンスを吟味するもので、新たなエビデンスを得るための実験や研究は行いません。あなたの書こうとしている論文は、他の人がそのテーマについて行なった研究を評価しようとするものであり、自分で実験をするわけではありません。ですから、あなたが書こうとしている論文は、レビュー論文と言えるでしょう。

2番目の質問ですが、大学と病院の両方を所属として書き入れて大丈夫です。むしろ、病院への所属を示すことで、実践経験を持っていることがはっきりし、信頼性が増すことになるでしょう。

 

科学出版における不正:論文を人質にとる行為

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科学出版における不正:論文を人質にとる行為

競争の熾烈な科学出版界では、論文投稿をわざと遅らせる、著者資格を不当に要求する、指導教官としての権力を振りかざす、等の不正行為が見られます。本記事では、論文が不当にも「人質」にされ、科学の進歩が妨げられている状況についてお伝えします。

「科学の道は往々にして苛烈であり、論文出版が成功を測る通貨となっている」
―「科学と出版の世界は必ずしも公正ではない

科学研究の競争の激しさは過熱の一途をたどっています。人より先んじて出版すること、出版点数を多くすること、研究費をうまく確保すること、強いコネを持つこと―これらは今日の研究者を煩わせている悩みの種であり、時には科学よりも優先されることがあります。上を目指す競争が来る日も来る日も続く中、倫理や公正といった観念が犠牲になり、不正がはびこることも珍しくありません。学術界では階層構造が基本となっていることが多く、資金を得て地位を確立した研究者は尊敬を集めますが、若手研究者はほとんど認められません。このような状況では、上級科学者が権限を利用して若手研究者を格好の標的とし、不利な状況に陥れることも容易となります。学術界に一定期間身を置いたことがある科学者なら、権力を掌握している地位ある人物が若手研究者に対して不正を行うという話を耳にしたことや、実際に自分が経験したことがあるはずです。

論文を1本1本発表することが成功の階段を1歩ずつのぼることにつながる世界では、未発表の論文を利用して個人的な恨みや仕事上のねたみを晴らそうとする人や、意地の張り合いから仕返しをしようと考える人も出てきます。道徳心のない科学者たちは、そうした方法で同僚に圧力をかけ、取引を通じて自分の望みをかなえようとします。私自身も、著者たちと交流する中で、関係者に論文を「人質」にとられたり、出版が妨げられたりしたという事例をいくつも見聞きしました。ソーシャルメディアやインターネット上の研究者フォーラム、COPEのケーススタディでも、このような事例に対する懸念が定期的に話題に上ります。典型的な例としては、研究のインパクトや重要度を下げるために出版をわざと遅らせる、著者資格を不当に要求する、指導教官としての影響力を振りかざす、意見の食い違う共著者が主張を押し通そうとする、等があります。本記事では、論文が不当にも人質にされ、科学の進歩が妨げられている状況についてお伝えします。


論文投稿を妨害する指導教官

悲しいことに、論文投稿を遅らせる事例に指導教官が関わっているケースは非常に多くなっています。研究のほとんどを学生が行なったにもかかわらず、自分を著者として含めるよう指導教官が不合理な要求をするという事例が多く見られます。時には、指導教官が自分の名前を第一著者や責任著者として含めるよう要求することもあります。ほとんどの学生は、指導教官に逆らうことができません。自分の将来は指導教官の手中にあるからです。分野によっては、著者名の順序が著者の功績を表すこともありますが、そのような分野では、本来は主著者であるはずの学生の名前が“et al”の中に追いやられてしまいます。また、指導教官が学生の論文を何度も修正させ、追加実験を命じ、原稿チェックに何ヶ月もかけて論文出版を遅らせている例も多くあります。ある学生は、2~3年間にわたって指導教官からそのような仕打ちを受けるという不運に見舞われました。この指導教官は、学生グループ全員に対して同じような嫌がらせを行なっていたようです。このため、学生が論文を発表する頃には(発表に漕ぎつけたとして)、研究結果は妥当性を失うか、他の誰かがすでに似たような結果を発表しているという結末になってしまいました。


共著者の反撃

学際的な論文が増えるにつれ、共同研究は現在の科学出版における常識となりました。しかし、共同研究や共著者資格(co-authorship)は、一歩間違えれば多くを失う過ちとなってしまいます。共著者は、他の共著者と意見の相違がある場合、最終合意を拒否して論文投稿を遅らせたり、阻止させたりすることができます。これは、共著者が個人的あるいは仕事上のライバルである場合に起こります。このような場合、共著者に連絡をしても返信がもらえないこともあります。自分の中の優先順位が変化して論文出版はどうでもよいと思うようになり、自分が協力しないことで他の著者にどのような影響が出るかを考えないようになってしまうようです。他の著者にとって出版の優先順位が高いままであっても、共著者の1人と連絡が取れなければ、論文を投稿することはできません


査読者が論文を人質に

査読者もまた、データや実験の追加が必要だとして、論文の修正を繰り返し要求する査読報告書を出し、出版を遅らせるだけでなく、阻止することさえできます。ほとんどの投稿論文では2、3回の修正が必要になりますが、1本の論文に対して6、7回も修正が求められることも珍しくありません。デレック・シアーズ(Derek Sears)氏が論説「編集者は必要か?(“Do we need editors?”)」で指摘しているように、このような行為は出版を遅らせるだけでなく、論文の質にも影響を及ぼします。「たった1本の論文に6、7回もの査読を行い、査読者が検閲官のようになって、単なる気まぐれのような修正を要求しているという例を聞いた。これでは論文がくたびれてきて、新発見の輝きが失われてしまう。貴重な時間とエネルギーの大いなる無駄であろう」。ほとんどの場合、何度も要求される修正は、最終的な論文の質を改良するためです。しかし、査読者も著者と同じ分野の人間であるため、ライバル意識や嫉妬心から、査読を故意に遅延してしまうことがあるのです。このような問題の統計を取るのは困難ですが、学術界に一定期間とどまったことのある人なら、偏見のある査読者による悪質な査読報告書や、報告書の遅れ、あるいは(悪意ある)リジェクトについて耳にしたことがあるはずです。

他の分野と同様、学術出版界にも堕落した人は一定数存在するものです。この問題を取り上げることによって、論文出版の阻害という状況への注意喚起を行い、若い著者たちが可能な限りの予防手段を講じる手助けができればと思います。プロジェクト開始時点で共著者や共同研究者から合意書に署名をもらっておく、arXivに論文のプレプリントを掲載する、といった予防手段は、へそを曲げた共著者や偏見を持つ査読者に対処する上で、ある程度効果があるでしょう。しかし、日々犠牲を強いられているにもかかわらず、キャリアを危機にさらすことを恐れて事態を改善できずにいる若手研究者が公正に扱われるためには、よりしっかりとした仕組みが必要なことは間違いありません。


指導教官や共著者から妨害行為を受けた経験はありますか?下のアンケートにご協力ください。


共著者以外の人に論文の修正を手伝ってもらってもいいですか?

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私の第一言語は英語ではありません。論文が初めて条件付きで受理され、大幅修正の依頼を受けました。修正の提案は、英語の問題を理由としたものがほとんどでした。論文英語の改善のために、共著者ではない人に支援を依頼してもよいのでしょうか?

回答

論文を修正するときに、言語上の編集・校正の支援を受けることは全く問題ありません。論文の質を高め、読者に内容をきちんと理解してもらえるように、むしろ大部分のジャーナルがそのような支援を利用することを奨励しています。英語を第一言語としない著者の多くは、自分の論文の編集・校正に、プロのサービスを利用しています。エディテージも、論文著者向けの編集・校正サービスを提供しています。

そうはいっても、共著者ではない人の助けを借りる場合は注意すべき点もいくつかあります。まず、論文執筆そのものの支援を受けることは避けなければなりません。支援者ができるのは、論文を編集・校正し、修正方法を提案し、書き方や査読コメントへの対処方法についてアドバイスすることだけです。また、そうした支援を受けた場合は、その内容を明らかにして、謝辞に支援者の名前を記載することが必要です。

出版済み論文のAltmetricデータを探して解釈する

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カクタス・コミュニケーションズのエディテージ米国法人代表であるドナルド・サミュラック博士と、Altmetric(オルトメトリック)の設立者/CEOであるユアン・アディー氏が対談を行いました。

Altmetricに関するインタビュー記事第3弾の今回は、アディー氏がAltmetricデータの探し方・見つけ方を教えてくれます。ジャーナルや出版社各社が、Altmetricデータをそれぞれのシステムにどのように取り込み、どうユーザーに提示しているのかが、詳しく語られています。また、論文ごとにAltmetricのドーナツの色が変わることで、ユーザーが論文のインパクトの大きさを知ることができるという仕組みの裏事情も明かされています。さらに、エルゼビア、ワイリー、シュプリンガー、ネイチャーのような大手出版社だけでなく、多くの小規模出版社も、各社で出版する論文のAltmetricデータを表示していることを教えてくれました。


シリーズの他の記事を読む:

Part 1: Altmetricは著者としての経験から生まれたものです」
Part 2: Altmetricは学術研究への注目度をどのように測っているの

 

実験に関する投稿ガイドラインとはどのようなものですか?

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Question Description: 

ジャーナル編集者から次のようなコメントをもらいました。「この投稿論文を書くために行われた実験が、必要な全てのガイドラインに従っているかどうかを明確にしてください。詳細の記述をお願いいたします」。これにはどう返答したらよいのでしょうか?この「ガイドライン」とは何ですか?

回答

あなたの具体的な専門分野や論文のテーマ、行なった実験の種類などが分からないと、この質問に答えるのは難しいです。基本的には、全ての実験が必要なガイドラインに沿って行われたと宣言することを求められているといえます。以下の手順を踏むとよいでしょう。

• まず、ジャーナルの「著者向け指針」(“Instructions for authors”)をよく読んでみましょう。実験で従う必要があるガイドラインについては、全てここで触れられているはずです。

• ジャーナルのウェブサイトで、「投稿規定」(“guidelines for submission”)が別途設けられていないか確認しましょう。

• 実験で動物を使用した場合は、特定のガイドラインに従う必要があります。多くの場合、動物実験に関しては各国政府によっても方針が異なります。

• 臨床試験を行なった場合は、臨床試験に関する倫理要件に従ったことを宣言する必要があります。

• さらに、臨床試験に参加した人の権利を尊重し、匿名性を守る必要もあります。また、利益相反が存在する場合はそれを開示しなければなりません。


学術出版におけるベストプラクティスを知るためには、こちらの記事がお勧めです。

モントリオール神経学研究所―科学機関として初めてオープンサイエンス方針を採用

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モントリオール神経学研究所―科学機関として初めてオープンサイエンス方針を採用

オープンサイエンスの取り組みを支援し、科学知識へのアクセスを促して透過性を高めることに熱心な科学者が増えています。そんな中、マギル大学のモントリオール神経学研究所(MNI)が、科学研究機関として初めてオープンサイエンス方針を採用しました。

オープンサイエンスの取り組みを支援し、科学知識へのアクセスを促して透過性を高めることに熱心な科学者が増えています。ヒトゲノム・プロジェクトなど、政府の助成を受けた取り組みはデータ共有に積極的な姿勢を見せていますが、そんな中、マギル大学のモントリオール神経学研究所(Montreal Neurological Institute, MNI)が、科学研究機関として初めてオープンサイエンス方針を採用しました。

MNI所長のギ―・ルーロー(Guy Rouleau)氏は、同研究所で行われた研究結果とデータを可能な限り迅速に無料公開すると発表しました。この試みを実施する理由について同氏は、「そうすることで、神経科学の発見と応用が促されるから」1と述べています。この方針には、データと結果を無料で共有することで研究の重複を防ぐというメリットがあります。

しかし、同研究所の決定で特筆すべきは、いかなる発見についても特許を申請しないという点と、協力者全員が、所属先を問わず、このオープンサイエンス方針に従わなければならないという点です。特許を申請しなければ、研究所が得られるはずの特許収入に影響を与える可能性があります。しかしルーロー氏は、科学の初期段階で特許を申請することで得られる利益はほとんどなく、データ公開こそが、さらなる発見を確実にする唯一の方法だと考えており、こう述べています「肝心なのは、我々の存在理由は何かということです。それは科学の発展であって、金儲けではありません」2

バージニア大学のオープンサイエンスセンター所長で心理学者のブライアン・ノゼック(Brian Nosek)氏は、「MNIが科学の理想に近づこうとしているのは間違いない」3と述べています。この決定は、MNIの全スタッフ約670名によって支持されています。現在MNIは、所内の全部門がデータ共有規定に従うことができるよう、またこの実験的取り組みの影響を追跡できるよう、関連ツールやインフラの設計を計画しています。


参考文献
1, 2, 3 Montreal institute going ‘open’ to accelerate science (accessed 25 January 2016)

1つのジャーナルに複数の論文を投稿する場合、連絡著者が同じでもよい?

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私が所属する研究機関では、論文を投稿する際の連絡著者(contact author)は指導教官にすると決められています。私の専門はニッチな分野なので、投稿先が限られており、同じ研究室にいる研究者たちの論文投稿先は2誌のみです。あるジャーナルに、第一著者が異なる論文を3本投稿しましたが、連絡著者は全て同じでした。テーマは全く異なるのですが、それでも心配です。これで大丈夫でしょうか?何か問題があるなら、解決方法はありますか?

回答

投稿されたそれぞれの論文の内容が明らかに異なっているなら、複数の論文の連絡著者が同じでも問題ありません。最近の論文は、ほとんどが複数の著者によって執筆されています。論文のテーマが全く違うなら、1人または複数の著者が重複していても問題ありません。今回の場合は第一著者も異なるわけですから、心配には及びません。ジャーナル編集者もあなたと同様、その分野がニッチで、ジャーナル数が限られていることを知っているはずです。連絡著者に指導教官を割り当てることになっている学術機関があることも、編集者は承知しているでしょう。ですから、編集者も、自分のジャーナルに同じ連絡著者の論文が複数投稿されてくる理由をよく分かっているはずです。

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