Quantcast
Channel: エディテージ・インサイト
Viewing all 1873 articles
Browse latest View live

アクセプトされて既に1年2ヶ月以上経ちました。

$
0
0
Question Description: 

International Journal of Oncologyに投稿し,一ヶ月後にOncology Lettersなら受理できると連絡がありそうしました。アクセプトした旨のメールが来ましたが,その後なんのアクションもなく,数回状況を聞くメールを送りましたが返事は同じで5ヶ月は待てとのこと。そしてアクセプトされてから1年2ヶ月が過ぎました。 このまま待つしかないのでしょうか。

回答

質問からははっきり分からなかったのですが、あなたの論文はOncology Letters誌の査読に回されたのでしょうか?編集者から、あなたの論文が「受理」され(受信ではなく)、掲載される予定だという手紙を受け取りましたか?そのようなEメールや書面を受け取っているのなら、待つことをお勧めします。名の通ったジャーナルなので、論文は必ず出版されるでしょう。待つ間に、出版が遅れる理由と、あなたの論文が掲載される予定の号について編集者に尋ねてみてもよいでしょう。


しかし、まだ正式に受理の手紙を受け取っておらず、論文が査読プロセスの途中なら、論文の取り下げ(withdrawal)を検討するのも一案です。その場合は、「これ以上待てないので論文を取り下げたい」という内容を、メールでジャーナルに伝えましょう。編集者から取り下げ確認の通知を受け取ったら、別のジャーナルへの投稿が可能となります。今度は出版スピードの速いジャーナルを選ぶようにすれば、論文の掲載まで長期間待たされることはなくなるでしょう。


以下の記事も参考にしてください。


質問受付中:シカゴ・マニュアルについての疑問を解消しましょう!

$
0
0
質問受付中:シカゴ・マニュアルについての疑問を解消しましょう!

大学の授業や論文の執筆時に、シカゴ・マニュアル(Chicago Manual of Style)やScientific Style and Formatを参考にするよう言われたことはありませんか?世界的に認められているこれらの資料を、うまく使えなくて困っている方、そしてより効果的に使いたいと思っている方に、とっておきのお知らせです。

研究者や大学院生の皆さんは、大学の授業や論文の執筆時に、「シカゴ・マニュアル」(Chicago Manual of Style)やScientific Style and Formatを参考にするよう言われたことはありませんか?

世界的に認められているこれらの資料を、うまく使えなくて困っているあなた、そしてより効果的に使いたいと思っているあなたに、とっておきのお知らせがあります。

エディテージ・インサイトでは、シカゴ大学出版局の専門家が作成したビデオを近日公開します。このビデオでは、シカゴ・マニュアルの内容、ウェブサイトの構成、研究者のための効果的な利用法、Scientific Style and Formatの内容などが紹介されています。また、無料のトライアルや購読についての情報も含まれています。

そして、さらに耳寄りな情報が。前もって質問を送っておくと、ビデオで取り上げられるかもしれません!

質問をお持ちの方は、迷わずに今すぐ投稿しましょう!質問は9月22日まで受け付けています。

「ブラジル人研究者は絶望する必要などありません」

$
0
0
「ブラジル人研究者は絶望する必要などありません」
クラウス・カペレ(Klaus Capelle)博士は、ブラジルABC連邦大学の学長です。独ヴュルツブルク大学で物理学の最優秀博士論文賞を受賞した後、米ニューメキシコ大学で修士号を取得しました。サンパウロ大学サンカルロス物理学研究所でポスドク研究を行なった後に教授になり、またサンカルロス化学研究所(IQSC)、米ミズーリ大学コロンビア校、英ブリストル大学、ルンド大学(スウェーデン)、独ベルリン自由大学で客員研究員を務めました。書き上げた論文は90本以上にのぼり、複数のジャーナルで編集委員を務めています。査読者として優れた仕事をしてきたことを評価され、2011年にはアメリカ化学会から感謝状を、2012年にはアメリカ物理学会から優秀論文審査員賞を授与されています。

ドイツ人物理学者でABC連邦大学(Federal University of ABC、UFABC)学長のクラウス・カペレ(Klaus Capelle)博士は、変わった道を選択しながらも、順調にキャリアを積み上げてきました。1997年にバイエルン州(ドイツ)のユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク(通称ヴュルツブルク大学)で物理学の最優秀博士論文賞を受賞した後、ニューメキシコ大学(米アルバカーキ)で修士号を取得、またサンカルロス化学研究所(Institute of Chemistry of São Carlos、IQSC)、ミズーリ大学コロンビア校(米国)、ブリストル大学(英国)、ルンド大学(スウェーデン)、ベルリン自由大学(ドイツ)で客員研究員を務めました。母国で順当にキャリアを築けるだけの学術的成功を収めていたにもかかわらず、1997年~1999年はブラジルのサンパウロ大学サンカルロス物理学研究所(São Carlos Institute of Physics、IFSC-USP)でポスドク研究を継続し、1999年~2003年はサンカルロス化学研究所(São Carlos Chemistry Institute at USP)でサンパウロ研究財団(FAPESP)から若手研究者のための助成金を受けました。2003年~2009年はIFSCで教授を務め、さらにABC連邦大学の教授と研究担当副学長(research provost)を経て学長となり、現在に至ります。書き上げた論文は90本以上にのぼり、複数のジャーナルで編集委員を務めています。また、査読者として優れた仕事をしてきたことを評価され、2011年にはアメリカ化学会から感謝状を、2012年にはアメリカ物理学会から優秀論文審査員賞を授与されています。


ABC連邦大学は、中南米における先駆的な研究大学としてその地位を確立しつつあります。ブラジルで唯一、全教授が博士号を保持し、発表された科学論文のインパクトファクターが世界平均以上である学術機関でもあります。学長であるカペレ博士は、この記録を維持し、研究教育の世界的リーダーとなるために様々な方針を実行しています。ワクワクするインタビューになりそうです!カペレ博士には、ABC連邦大学についてのお話の他、先駆的な仕事を行うにあたって尽力した経験、そして自身の珍しいキャリア選択について伺いました。


インタビュー第2回目の今回は、ブラジルの教育システムや著者たちが直面している問題、グローバルな論文出版環境におけるブラジルの立場についてお話を伺いました。ブラジルの研究者は多様性の概念を受け入れ、より安定した国際的な高等教育・研究システムを目指す必要があります。しかし、このような課題がある中でも、ブラジルの研究成果は国際的に大いに注目を集めています。カペレ博士は、ブラジル人研究者は、現在国が抱えている政治的・財政的困難を悲観する必要はないと考えています。


大学の運営とそのメリットという点から見て、ブラジルの高等教育が抱えている課題は何だとお考えでしょうか?

1つ目の課題は多様性の奨励です。UFABCのモデルをブラジルのすべての大学に勧めるつもりはありません。手法や規模、基本的理念が異なる様々な高等教育機関がなければ、健全な生態系は形成されないからです。規模が大きく、大勢の生徒に高等教育を提供できる大学も必要ですが、特別な使命(例えば、最先端の研究、革新性、学際性、恵まれない地域への高等教育の拡張、国際化)を掲げた小規模大学も必要です。すべてのことに同じようにうまく取り組める大学はないでしょう。多様性という概念は、ブラジルの学術コミュニティの構成員たちに支持されているとは言えず、現在のブラジルの教育システムで十分に奨励されているとはいえません。

第2の課題は運営管理です。ブラジルの国立大学は他の政府機関(地方、州、連邦)と同様、公共サービスの法規制を遵守しなければなりません。そのため、教育システムは職員や教員向けの古めかしい雇用プロセス、低い給与、厳しい労働規制に縛られています。このため、大学の職員は頻繁にストライキを起こすと同時に、無数の監視当局によって、麻痺状態に陥ってしまうような、形式的で重箱の隅をつつくような査定が行なわれています。これらすべてが合わさって、迅速さや効率、革新を損なう環境が形成されているのです。

私は、多様性と運営管理という2つの課題はつながっていると考えています。変化する環境と需要に合わせた進化・専門化・適合化(これらはすべて多様性につながります)を促すために、大学や運営管理者は、恐れることなく自由に挑戦し、その大学ならではの使命を遂行し、革新を担っていくために独自の方法を確立する必要があるでしょう。

最近、ブラジルの研究は世界的な注目を集めています。現在のグローバルな研究・出版環境の中で、ブラジルはどのような位置にあるとお考えですか?

先ほどの質問でお答えした通り、課題や問題はありますが、ブラジルの高等教育や研究は過去数十年間で格段の進歩を遂げました。国際的に競争力のある分野も数多くあります。数で言うと、科学技術開発審議会(CNPq)の最新データによれば、ブラジル人研究者が発表した論文はほとんどが医学、生物学、農学分野のもので、それに続くのが物理学、化学、工学となっています。

Scimagoの2014年のランキングによると、ブラジルは国別の科学論文数の合計で13位、総引用数で18位でした。これは南米での最高位で、ヨーロッパやアジアの多くの国々よりも上位です。

カペレ博士は、過去のインタビューで、興味深いことを述べておられます。「教授として、1人の学生のために1つの奨学金を獲得することができました。学部長として、100人の学生の奨学金を獲得することができました。学長としては、学生たちにより大きな利益をもたらすことができるでしょう。いずれも、やりがいがあります」。この発言について、もう少し詳しく教えて頂けますか?

教授という立場であれば、自分と一緒に研究を行う学生たちのための資金を得る場合、その研究について理解していますし、奨学金を得たことを伝えれば、学生が喜ぶ顔を見ることができます。私が研究担当副学長だった時には、多くの奨学金を獲得して配布する責任がありました。利益の規模は大きくなりましたが、学生個人のことはよく知りませんし、自分の専門とはかけ離れた分野の研究プロジェクトの申請書のタイトルには、理解できないものもありました。今は学長として大学全体の予算を扱っており、各プロジェクトのタイトルや学生1人1人の名前などまったく分からないようになりました。でも、これらの資金が何千人という学生、そして何百人という教員のためになることは分かります。利益の規模が大きくなるにつれ、満足感は抽象的なものになり、利益を受ける人々からは遠ざかることになります。この仕事をするためには、そういうことに慣れる必要があるでしょう。

現在の財政危機と、それによって研究資金や科学論文数に影響が出ているブラジル人研究者に、アドバイスはありますか?

財政危機に見舞われることがあっても、やがて困難は去っていきます。現在の危機は政治的危機と並行して展開しているために事態がより深刻で、互いに足を引っ張り合う状態にあるといえます。しかし、キャリアは何十年も続くものですし、大学は何百年、あるいはそれ以上の年月にわたって存在するものです。困難が数年続いたとしても、絶望する必要はまったくありません。

では、博士ご自身について少し教えてください。ドイツで物理学者としてキャリアをスタートさせましたが、熱帯の国で研究を続けることになりました。また、キャリアパスを変更して、大学の運営に携わるようになりました。どのようなきっかけでこのように変化したのでしょうか。また、なぜブラジルを選んだのですか?どのような可能性があると考えたのでしょうか?異なる文化に適応することに苦労はありましたか?そして、ブラジルの研究者が直面する苦悩を、どれぐらい理解できるようになったとお考えですか?

これまでのキャリアにおいて、大きな変化は2度ありました。最初は、理論物理学で博士号を取得した後、ブラジルで研究プロジェクトを始めるためにドイツを離れた時です。2度目は、サンパウロ大学(USP:ブラジルでもっとも有名な研究大学)の教授職を辞し、当時開校したばかりのUFABCの整備を手伝うことにした時です。どちらの場合も、名声と伝統のある安定した環境を後にして、多くのチャンスに満ちた、発展途上のダイナミックな環境に移ったのです。

大きな意味で、私は同じ決心を2度したといえます。そのような決断によって新たな可能性が開けることもありますが、それだけの対価は支払わなければならず、一般的なキャリアパスのほうが楽な選択だったのでは、と自問することもあります。でも、一般的なキャリアパスにも特有の困難がありますし、型通りでないキャリアパスほどのやりがいや刺激は得られなかっただろうと思います!私が好きな詩は、ロバート・フロストの“The road not taken”(「選ばれざる道」)です。これは、人生を象徴する2手に分かれた道を旅人が選ぶことについて書かれた詩で、「私は選ぶ人が少ない方の道を選び、それによってまったく違う人生になったのだ」という言葉で締めくくられています。私の人生は、まさに「まったく違う人生」になったと言えるでしょう。

私がブラジル研究者の直面する課題を理解しているかどうか、という質問ですが、実は私もその中の1人なので、ブラジル人の困難は私自身の困難です。でも、ブラジル人作曲者のトム・ジョビン(アントニオ・カルロス・ジョビン)が言ったように、「ブラジルは初心者向けの国ではない」(ブラジルの奥深さはすぐには分からない)のです。もう20年近くこの国に住んでいますが、いまだに新参者のように感じることがありますね。


カペレ博士、お話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

カペレ博士へのインタビュー第1回目はこちらです。

論文投稿しました。Current statusが「No Editor Invited」ですが、これはどういうことですか?

$
0
0
Question Description: 

論文投稿してますが、statusが「No Editor Invited」のまま、もう3ヶ月近く経ちます。このまま待っていてもいいのでしょうか。

回答

通常は、論文投稿後2、3日で担当編集者が決まります。多少の遅れがあるとしても、1ヶ月以上もかかることは普通ありません。今すぐジャーナルに連絡してみることをお勧めします。1週間以内に返信がなければ、原稿を取り下げ、別のジャーナルに投稿することを考えた方がよいかもしれません。


以下の記事も参考にしてください。

研究の有意性とは?p値に頼るべきでない理由

$
0
0
研究の有意性とは?p値に頼るべきでない理由

研究論文でもっともよく使われている統計値は、もっとも誤解され、誤用されているかもしれません。その統計値とは、p値のことです。アメリカ統計学会が、「統計的優位性とp値に関する声明」を発表し、p値の適切な利用と解釈に関する6つの原則を挙げています。

研究論文でもっともよく使われている統計値は、もっとも誤解され、誤用されているかもしれません。―その統計値とは、p値のことです。


アメリカ統計学会(American Statistical Association, ASA)は最近、「統計的優位性とp値に関する声明」を発表し、p値の適切な利用と解釈に関する6つの原則を挙げています。


ASAの言う6つの原則とはどのようなものか、そしてそれを研究にどう生かすべきなのかを、1つずつ確認して行きましょう。


1. p値は、特定の統計モデルに対してデータがどれぐらい整合しないかを示すことができるものである。

ここで重要なのは、「特定の」という言葉です。どのような研究や分析でも、研究者が統計モデルを作成するときは、特定の前提を想定するはずです。統計学者らによると、p値=0.05とは、その仮定が正しい確率が95%であるということではありません。そうではなく、この値は、もし帰無仮説が真であり、その他の前提もすべて有効であるならば、現在得られている結果と同程度の結果が得られる確率が5%であるということです。


2. p値は、「調べた仮説が真である確率」や「データが偶然の結果得られたものである確率」を示すものではない。

「p値が比較的小さい場合は帰無仮説が偽である」という誤った解釈が行なわれることがよくあります。実際のところ、p値が示しているのは、「帰無仮説が真であった場合に得られた結果と少なくとも同程度の結果が得られる確率」を示しているに過ぎません


3. 科学的結論やビジネス/政策上の決定は、p値が一定の基準に達しているかどうかだけを根拠に下すべきではない。

「P < .05」は何かが真であることを保証しているわけではありません。つまるところ、p値は単なる統計値に過ぎず、天のお告げではないのです。P値は、研究の様々な側面、とくにサンプルサイズなどの影響を受けます。サンプルサイズがきわめて大きければ、影響がまったくのゼロでない限り、p値はほぼ常に有意でしょう(効果量はごくわずかかもしれませんが)。ですから、p値のみに基づいて実際的な決定を下すことはできない、というのが妥当な考え方です。


4. 正しい推論を行うためには、詳細な情報と透明性が必要である。

研究で報告されるのはp値が .05未満の結果のみ、ということがよくあります。ASAはこのような「間引き」行為を強く戒めており、検討されたすべての仮説、実施したすべての統計分析、そして、有意か否かにかかわらず、得られたすべてのp値を報告するよう勧告しています。そのようにして初めて、データから有効な結論を導き出すことができるのです。


5. p値/統計的有意性は、効果の量や結果の重要性を示すものではない。

P値が非常に小さい場合(<.001)の結果を、「有意性が高い」あるいは「きわめて有意である」と考える研究者もいます。しかし、p値が低いからといって、結果に実用性や臨床的重要性があるとはいえません。

仮に、エナジードリンクの消費量を増やすと、若い女性の身体イメージがポジティブなものになる、という統計的に有意な相関関係があることが分かったとしましょう。これは必ずしも、身体イメージを改善するために、女性たちに無料のエナジードリンクを配る介入方法を考えるべきだ、ということにはなりません。注目すべきなのは、関係性の強さ(例えば相関係数や回帰係数など)です。関係性が弱い場合は(例えば相関係数がたった0.1)、身体イメージと強い関係を持つほかの因子(例えば適度な自尊心や、肥満を話題にする頻度)について考慮すれば、介入の効果はより高まるでしょう。

結果の重要性を左右する実際の状況について考えることも重要です。大きなグループ間の小さな違いは統計的には有意かもしれませんが、実質的には重要でないこともあります。逆に、小さいグループ間の大きな違いは、統計的に有意でなくても実際には重要だということもあります。例えば、教育的介入を行なった後に、100点満点の数学のテストの平均点が1.5点上がったという場合、統計的には有意かもしれませんが、実生活において特別なメリットや有益性があるとは言えそうにありません。


6. p値そのものは、研究モデルや仮説に関する証拠を適切に測定するものではない。

p値のみの研究結果を報告することは、避けるべきです。P値が小さいからといって帰無仮説が偽であるとは限りませんし、p値が大きいからといって帰無仮説が真であるとも限りません。研究では、得られた結果と辻褄の合う様々な仮説があり得ます。したがって、p値は実験した研究モデルや理論を統計的に裏付ける唯一のものではなく、研究の価値をp値にのみ帰することはできないのです。

 

まとめ: p値は便利なものではありますが、研究の価値や重要性を決める物差しではないですし、またそのようなものとして扱うべきでもありません。統計的有意性は、科学的・実際的・臨床的な重要性と同義ではないのです。

学術誌 “The Journal of Veterinary Medical Science”: 概要と投稿時のアドバイス

$
0
0
学術誌 “The Journal of Veterinary Medical Science”: 概要と投稿時のアドバイス

日本獣医学会の学会誌" The Journal of Veterinary Medical Science "の概要と投稿時のアドバイスをご紹介します。同誌は、基礎研究から応用・臨床科学まで、獣医学のあらゆる面に関する原著論文を掲載しています。

目的と研究領域

基礎研究から応用・臨床科学まで、獣医学のあらゆる面に関する原著論文を掲載。

出版社

日本獣医学会(Japanese Society for Veterinary Sciences)

発行頻度

月刊 (年12回発行)。1939年以来の定期刊行(ジャーナル名は過去数回変更されている)。

編集関連情報

編集長(Editor-in-Chief)は東京大学大学院農学生命科学研究科教授の九郎丸正道博士。同博士の研究分野はフタル酸エステルの精巣毒性など。編集長を支える編集委員会は、解剖学、ウイルス学、野生生物科学(ワイルドライフサイエンス)など、様々な分野の専門家36名で構成されている。

さらに詳しい情報はこちら: http://jsvetsci.jp/jvms/editorial-board/

 

出版基準

原著論文、レビュー論文、研究ノート(note)の投稿を受け付ける。原著論文とレビュー論文は最大5ページ(図表および付録を含める)まで、研究ノートは最大3ページまで。1ページはタイトルや図表を除いて約870ワード。1ページ目に各論文のテーマ別カテゴリーを明記する。カテゴリーは以下の通り:解剖学、鳥類病理学、細菌学、生化学、臨床病理学、動物行動学、免疫学、内科学、実験動物学、寄生虫学、病理学、薬理学、生理学、公衆衛生、手術、動物繁殖学、毒物学、ウイルス学、野生生物科学(ワイルドライフサイエンス)。

 

編集方針と投稿規定

論文原稿はすべてhttp://mc.manuscriptcentral.com/jvmsから、適宜*.docファイル(*.docxファイルではなく)、*.ppt、*.xls、*.jpg、*.tiffファイルでアップロードすること。査読では、システムが自動的に作成するpdfファイルを使用する。編集委員会が必要と判断した場合は英文校正が行われ、その費用は著者が負担する。著者向けガイドラインはwww.jstage.jst.go.jp/stage/pub/jvms/pdf/regulation_en.pdfを参照。

 

査読プロセス

著者は、論文をアップロードする際に査読者2名を推薦できる。The Journal of Veterinary Medical Scienceでは、動物の管理と利用に関して、適切な倫理基準に準拠することを求めている。これらの基準を満たさない論文はリジェクトされる。動物が関与しているすべての実験は、著者の所属機関の該当する委員会によって承認されなければならない。

 

出版方針

本ジャーナルでは参考文献にバンクーバー方式(Vancouver system)を採用している。文献引用番号はかぎかっこに入れ、本文の文字と同じ大きさ(上付き文字ではない)で示す。抄録は、原著論文とレビュー論文では240ワードまで、研究ノートでは120ワードまで。

 

インデックスとランキング

2014年のインパクトファクター:0.782。

 

便利なリンク集

ジャーナルのウェブサイト: http://jsvetsci.jp/jvms

論文投稿サイト: http://mc.manuscriptcentral.com/jvms

著者向けガイド: www.jstage.jst.go.jp/stage/pub/jvms/pdf/regulation_en.pdf

編集委員会: http://jsvetsci.jp/jvms/editorial-board/

シカゴ・マニュアルとScientific Style and Formatの紹介ビデオ

$
0
0

執筆に関する詳細なガイドラインや語法・文法が記載されているシカゴ・マニュアルは、学術論文を執筆する人々に広く親しまれています。シカゴ大学出版局が作成したこのシカゴ・マニュアルの紹介ビデオは、執筆者、学生、図書館員、ビジネスマンをはじめ、マニュアルの使い方に関心を持つすべての人を対象とし、それぞれの作業をサポートする目的で作成されています。最初にマニュアルの概要が紹介され、その使い方が説明されます。続いて、オンライン版マニュアルについて紹介するとともに、もう1つのオンライン資料であるScientific Style and Format Onlineに触れます。そして最後に、オンライン版シカゴ・マニュアルまたはScientific Style and Format Onlineを無料でお試し頂ける情報が伝えられます。


シカゴ・マニュアルScientific Style and Formatについては、こちらの情報も参照ください。

リジェクト判定に抗議したら、ジャーナルはどう対応する?

$
0
0
Question Description: 

最近論文がリジェクトされました。しかし、研究結果を誤って解釈されたせいだと思ったので、決定に抗議しました。その数か月後、編集者から、新たな論文として投稿するようにとの連絡がありました。論文のステータスは、「担当編集者決定>編集者に依頼>編集者が依頼を拒否(Editor assigned > Editor invited > Editor rejected invitation)」というようにアップデートされています。それぞれのステータスはどんな意味でしょうか?論文は受理されるのか、それともリジェクトされるのか分かりますか?よろしくお願いいたします。

回答

編集者の判定に対して抗議があった場合、それにどう対処するのかについては、ほとんどのジャーナルで明確なプロセスが定められています。たいていの場合、著者はまず編集長(Editor-in-Chief)にメールを送り、編集者の決定に同意できない理由を説明するはずです。編集長は、論文と編集者/査読者のコメントをレビューした上で決定を下します。この段階で編集長が必要と考えれば、その論文に新たな編集者と査読者を割り当てることもあります。あなたのケースでは、おそらくそのような対処がされたのではないかと思われます。ですから、新たに論文を再投稿するようにと言われたのです。


ステータス(進捗状況)の変化の意味は、編集長があなたの論文の編集者として誰かを新たに任命し、その人に依頼を送ったけれども拒否されたということだと思われます。でも心配する必要は全くありません。これはおそらく、その編集者が他の論文で手一杯であるか、休暇の予定があるなどの理由によるものでしょう。


きっと今頃、編集長があなたの論文の担当編集者として別の人を手配しているはずです。新しい編集者が論文をレビューして問題がないと判断すれば、新たな査読者に回されます。つまり、あなたの論文はもう一度、最終決定が下されるまでの編集プロセスを通過することになります。論文が受理されるかリジェクトされるかは、まったくわかりません。でも、編集長があなたの抗議に一理あると思ったからこそ、論文に対する判定をもう一度やり直すことにしたのでしょう。


幸運をお祈りしています!


再登録手続きを行わなかったOAジャーナル3300誌を除外―DOAJ

$
0
0
再登録手続きを行わなかったOAジャーナル3300誌を除外―DOAJ

オープンアクセス誌をまとめたサイトであるDOAJは、品質管理が甘いと批判されてきました。この批判を受け、ディレクトリに登録されている全ジャーナルに対し、より厳格な新しい選択基準を満たした上で再登録を行わなければならないとの宣言が出されていました。

オープンアクセス誌をまとめたサイトであるDirectory of Open Access Journals(DOAJ) は、不審な出版社や活動実態のない出版社がディレクトリに含まれないようにするため、3300誌の登録を除外したと発表しました


1万誌以上のオープンアクセス(OA)誌が含まれるDOAJは、品質管理が甘いと批判されてきました。DOAJのマネージング・ディレクターであるラース・ビヨルンスハーグ(Lars Bjørnshauge)氏はこの批判を受け、2014年、ディレクトリに登録されている全ジャーナルに対し、より厳格な新しい選択基準を満たした上で再登録を行わなければならないと宣言しました。これは、そうしたプロセスを通じて不審なジャーナルをあぶりだそうという試みでした。しかし、何度もリマインダーを出したにもかかわらず、多くのジャーナルが再登録の手続きを行いませんでした。その結果、それらのジャーナルはDOAJから削除されました。


DOAJのコミュニティ・マネージャーであるドミニク・ミッチェル (Dominic Mitchell) 氏によると、再登録しなかったジャーナルの多くは、米国に拠点を置いていると主張しています。しかし同氏は、実際にはこれらのジャーナルは他国で運営されているのではないかと考えています。ビヨルンスハーグ氏は、再登録しなかったジャーナルのすべてが「ハゲタカ」であるわけではないだろうと述べています。「その中の何誌かは、再登録に必要な情報の提供に不慣れだった」可能性もあると考えています。また、再登録の申し込みを行なった6700誌については、必要基準を満たす見込みであると述べています。


質の低いジャーナルを除外しようというDOAJの試みは、多くの図書館員や研究者から歓迎されています。しかし、DOAJの「優良OA誌リスト」は出版社の提供するデータに基づいているため、ジェフリー・ビオール(Jeffrey Beall)氏などは、中には怪しげな出版社も含まれているのではないか、と疑問を投げかけています。


参考記事:

Open-access index delists thousands of journals               

論文投稿から3ヶ月、ジャーナルから何も返事が来ないです。投稿の取り下げも検討していることをどのように伝えればいいですか?

$
0
0
Question Description: 

いつも参考にさせていただいております。 あるジャーナルに3ヶ月前に投稿しました。 投稿して2週間目くらいに、Current statusが「Under Review」になり、1、2ヶ月で結果が届くかなと思っていたら、3ヶ月経ちました。 (生命系の分野の論文を投稿しており、Pubmedで調べると、だいたい2ヶ月弱で1度目のDecisionが返ってくるような印象のジャーナルでした) これまでに2度(1ヶ月半、2ヶ月半が経過した頃)にわたり、ジャーナルのOfficeに催促のメールをしていますが、OfficeからはReviewerには催促しているから問題ない、といったお決まりの答えでした。 そのジャーナルに投稿経験のある、他の日本人の研究者のお話やブログなどによれば、2、3ヶ月といった長期にわたって返事が出来ない場合、1度は査読が遅れていることに対して、Editorから連絡があるとのことでした。しかし、そのような連絡も一切ありません。 これだけ対応が悪いならば、投稿を取り下げて他のジャーナルも検討している、との旨を伝えたいのですが、脅迫的な文章とならないようにするには、どのように伝えればいいでしょうか? また、そのような場合、Officeの誰宛に連絡するのが適切でしょうか? (それなりにOfficeで偉い人がいいのかなと考えていました) 何卒、よろしくお願いいたします。

回答

国際ジャーナルの編集者は、最初の審査結果が出るまでに2~3ヶ月かかっても、著者に連絡してくることはないと思います。ジャーナルは、最初の審査結果が出るまでの平均期間をウェブサイト上で示してはいますが、必ずしもその期間内に終了するとは限りません。特にこの時期、査読に3ヶ月以上かかるのはよくあることです。欧米では7~8月は夏休みで、多くの査読者が休暇を取っていたはずです。有名ジャーナルであれば、あと2~3ヶ月待つことになっても仕方ないでしょう。それ以降は、もう少し頻繁に、例えば2、3週間ごとにリマインダーを送付してみてもよいでしょう。


どうしても論文を取り下げたいならば、担当編集者(handling editor、またはAssociate Editor)にメールを出し、取り下げの確認(confirmation of withdrawal)を依頼しましょう。確認を受け取ったら、他誌への論文投稿が可能となります。編集者からの返信がない場合は、編集長(Editor-in-chief)に問い合わせてみましょう。


以下の記事も併せてお読みください。

How to write a withdrawal letter to the journal
アクセプトされて既に1年2ヶ月以上経ちました。

査読依頼への反応が遅い査読者について、編集者に問い合わせるべき?

$
0
0
Question Description: 

投稿先のジャーナルでは、論文のステータスを追跡できるようになっています。ステータスの最新情報を見ると、3人の査読者のうち2人はすぐに査読依頼に返信したようです。返信した2人のうちの1人は、5日後に査読報告書を返送しています。しかし、残りの1人の査読者は「不可解なほど」時間がかかっています。この査読者は、私の論文の査読をするかどうかについての返事もしていません。このことについて、編集者に問い合わせてみるべきでしょうか? 

回答

ご質問からは、査読者に査読依頼が送られてからどれぐらい時間がたっているのかが分かりません。どの程度の時間がたったのか分からない状態で、査読者の回答時間が「不可解なほど」長いかどうかを判断するのは難しいと思います。他の査読者の回答が迅速だったので、それと比べると、未回答の査読者のかけている時間が長く感じられるのかもしれません。実際、この2名の査読者の反応は非常に早かったと思います。とくに、5日で査読を終えるのは異例の速さです。査読者は普通、2~3週間からときには数ヶ月かけて査読を終了します。査読依頼が送られてからまだ数週間しかたっていないのなら、長期間が経過したとはいえません。


一般に、ジャーナルには、査読依頼の送付から返信までの期間を定めた方針があります。定められた期日を過ぎると、編集者はリマインダーを出したり、他の査読者を探したりします。これは編集者の義務ですから、規定の期日が過ぎれば、編集者は他の査読者に必ず依頼するはずです。査読依頼後2~3週間なのであれば、編集者にメールを出す必要はないでしょう。


ただ、そのステータスが2ヶ月以上も変わらないのであれば、査読の進捗状況について編集者にメールで問い合わせてみてもよいでしょう。場合によっては、査読者を提案することもできるかもしれません。

臨床試験を無意味にする「結果のすり替え」とは

$
0
0
臨床試験を無意味にする「結果のすり替え」とは

臨床試験は、新しい薬や治療法や機器を開発し、それらを普及させる前に安全性と効果をテストするための重要な研究手段だと考えられています。ところが、「結果のすり替え」行為が横行している現状があります。

臨床試験(治験)は、新しい薬や治療法や機器を開発し、それらを普及させる前に安全性と効果をテストするための重要な研究手段だと考えられています。研究者には、治験登録を行い規定の期日内に結果を報告することが義務づけられています。ところが、これらの規定を遵守しながらも、「(治験)結果のすり替え」(‘outcome switching’)と表現される行為が横行しています。治験報告書に事前登録の一部の結果が記載されていなかったり、理由の説明なしに新たな結果が加えられた形で発表されたりした場合、治験の「結果のすり替え」が行われたとみなされます。結果のすり替えは、研究の透明性を損ない、治験報告の規定を逸脱し、医学研究の整合性を脅かすものです。治験の不正確な報告が医療に与える影響には計り知れないものがあるので、この現象にはおおいに注目する必要があるでしょう。


結果のすり替えのきわめて忌まわしい事例に、研究329があります。これは、北米のグラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)社が実施した、思春期の子供を対象とした抗うつ剤パロキセチン(paroxetine)の効果を確認する研究でした。治験結果はポジティブと報告され、多くの臨床医がこの薬を使用しました。米国では、2002年にパロキセチンが子供に処方された回数が200万回にのぼりました。しかし、この薬の有効性に疑念を抱いた研究者が治験データを詳しく調べたところ、結果のすり替えが行われた証拠がみつかりました。治験では事前登録で2つの主要結果と6つの副次結果が登録されていましたが、事前登録されていなかった19の結果が追加されていたのです。これらの結果のうちポジティブだったものは4件のみで、治験報告書にはそれらがあたかも主要結果であるかのように書かれており、その他のネガティブな結果は軽んじられていました。薬のうつ病治療効果はなく、実際には自殺のリスクが増加していました。これを受け、臨床医はパロキセチンの処方を禁じられました。この薬は限定された地域でのみ処方されたものでしたが、インフルエンザやエボラ出血熱などの大流行など、公衆衛生の危機に際した治験で結果のすり替えが行なわれていたら、国際的に甚大な影響がもたらされる可能性があったでしょう。


医療関係者や一般の人々は、治験結果に基づいて治療方法を決めることもあるので、すべての治験が規定に準じて行われるようにするためのガイドラインが作られました。例えば、無作為対照化比較試験(RCT)にはCONSORT、観察研究にはSTROBE、診断検査にはSTARDが定められています。通常、研究者は該当するガイドラインに従っており、ジャーナルはこのようなガイドラインに準拠している研究の論文を受理していると思われています。しかし、本当にそうなのでしょうか。2015年5月にPLOS ONEに掲載されたある論文で、主要医学ジャーナルに掲載された報告と登録された治験に、結果のすり替えや部分的な報告がどの程度含まれていたかの調査が行なわれました。それによると、6ヶ月間に出版されたRCT137本のうち、主要結果に食い違いが見られたものは18%、主要結果が変更されているものは15%、あらかじめ登録されていたものと異なる副次的結果があったり新たな副次的結果が付け加えられていたものは64%でした。インパクトファクターの高いジャーナルでもおざなりな治験報告が普通に行われている状況に、懸念が持たれます。


治験ガイドライン違反リスクがあることから、結果のすり替えを発見し、報告を修正するための努力がなされています。Centre for Evidence-Based Medicine(エビデンス医療センター)の上級臨床研究員であり、AllTrialsキャンペーンの創始者であるベン・ゴールドエーカー(Ben Goldacre)氏は、COMPare Projectという新しい取り組みを始めました。この取り組みでは、発表された治験登録と報告された結果の間に食い違いがないかを調べ、食い違いがあった場合はジャーナルにそのことを指摘します。これまでに調べられたのは、インパクトファクターの高いジャーナル(New England Journal of Medicine (NEJM)JAMA The LancetThe BMJAnnals of Internal Medicine)に掲載された67件の治験です。この67件の治験報告書では、あらかじめ特定されていた結果のうち、計301例が報告されていませんでした。また、事前に特定されていなかった357例の結果が、新たなデータによる裏づけのないまま加えられていました。ゴールドエーカー氏らがジャーナル編集者らにこれらの論文について注意を促したところ、ジャーナル側の反応は様々でした。すぐに訂正通知を出したところもあれば、面倒そうな態度を示すところもあり、なかには注意を受け入れないところもありました。ゴールドエーカー氏によれば、治験報告の基準改善に努めるジャーナルは多いものの、方針が厳密に遵守されているケースはほとんどありません。同氏は、「いささか奇妙ともいえる文化的盲点になっているようで、結果のすり替え現象を取り締まることは難しいようだ」と述べています。


結果のすり替えは憂慮すべき問題であり、早急に対処する必要があります。著者、ジャーナル編集者、治験への出資企業は、治験報告書に関する規定の遵守を肝に銘じなければなりません。著者は、発表する結果の科学的、倫理的、道徳的意義を考え、透明性を維持し、治験データ報告では正確さを期すようにしなければなりません。ジャーナルは、食い違いが見つかったら訂正や撤回の通知を出し、ガイドラインが遵守されるよう積極的に対処する必要があります。最後に、治験を実施する出資企業は、治験登録から結果の発表に至るまで、透明性と科学的正確さを監督する責任があります。正確な治験結果を報告することは、医学研究の発展のみならず、科学が直面する再現性の危機に対処するためにも重要なのです。

Sci-Hubに関する尽きない議論:海賊サイトか、研究者の味方か?

$
0
0
Sci-Hubに関する尽きない議論:海賊サイトか、研究者の味方か?

学術論文へのアクセスは無料であるべきでしょうか?学術コミュニティは、長年この質問に悩まされてきました。しかし昨年、エルゼビアがSci-Hub創設者を訴えるに至り、倫理面の問題と思われていたこの課題は、法的問題へと発展しました。

学術論文へのアクセスは無料であるべきでしょうか?学術コミュニティは、長年この質問に悩まされてきました。しかし昨年、エルゼビア(Elsevier)がSci-Hub創設者を訴えるに至り、倫理面の問題と思われていたこの課題は、法的問題へと発展しました。背景を簡単に説明しましょう。Sci-Hubとは、ほぼすべての購読モデルの(有料の)研究論文に、非合法のアクセスを提供するウェブサイトです。カザフスタンの神経科学研究者、アレクサンドラ・エルバキアン(Alexandra Elbakyan)氏の発案により、2011年に開設されました。ウェブサイト上での説明には、「(Sci-Hubは)グローバルな科学技術出版社です。科学コミュニティに、研究論文や最新の研究情報への無料アクセスを無制限に提供します」と書かれています。サイエンス誌(Science)に掲載された記事によると、ウェブサイトに集められた論文は5万本に上り、その数は日々増加中です。そして、資金や情報が不足している研究者をはじめ、世界中の研究者がアクセスしています。


Sci-Hub開設以後、研究へのアクセシビリティについて様々な議論が行なわれてきました。論文の著作権は著者が保持すべきか、それとも出版社が保持すべきか。また、学術論文へのアクセス費用はなぜ高額なのか。そして、Sci-Hub時代の到来により、学術出版の方向性が変化していくのか、等々の議論です。


研究者の多くは、Sci-Hubについて、自分を助けてくれる味方だと捉えていますが、出版社は、自社の著作権(とその商売)を踏みにじる海賊サイトだと考えています。エルバキアン氏は、研究者は論文を書くが、そこから何ら利益を得ることはないと論じています。片や、出版社は、自分たちが創作したわけではないコンテンツを出版し、購読に法外な料金を課すことで、莫大な利益を得ています。皮肉にも、研究者は―ときには著者自身でさえ―出版物にアクセスできないのです。この点についてエルバキアン氏は次のように述べています。「収入や所属に関わらず、誰もが専門知識にアクセスする権利があるはずです。それはまったくの合法的行為です。専門知識というものが営利企業の私有財産であるという考え方は断じておかしいと思います」。しかし出版社は、Sci-Hubは違法コンテンツの利用を促しているとして、そのウェブサイトは閉鎖すべきだという見解です。


研究への取り組み中に、購読料を支払わなければ読めない論文にアクセスできず、途方に暮れる研究者が数多くいます。読みたい論文1本1本のすべてに資金を出せる研究者はほとんどいません。大学でさえ、学術論文へのアクセス費の捻出が困難だと感じています。サイエンス誌編集長のマルシア・マクナット(Marcia McNutt)氏は、「今日のデジタル出版は、紙媒体への印刷や最先端のウェブデザインと同じぐらい高価なものだ」と主張しますが、第一線の研究者や専門家の多くは、この見方に疑問を呈しています。つまり、現在は印刷出版に必要だったコストをある程度削減できる電子出版の時代なので、出版社が過剰なアクセス料金を課すことは受け入れられない、という意見です。


オープンアクセス方式は、購読方式に縛られた学術文献を開放し、ユニバーサルアクセスを実現する方法の1つですが、Sci-Hubのユーザーデータから明らかになった意外な事実は、研究者による検索頻度の高い論文の多くがオープンアクセスであるということです。それなのに、研究者はなぜわざわざ海賊ウェブサイトを使い、無料でアクセスできる論文を探すのでしょうか?その理由は明らかで、探し求めている研究論文を見つけやすいからです。ジョン・ボハノン(John Bohannon)氏は、ある記事で次のように述べています。「(Sci-Hubでの検索は)Google検索と同じぐらい簡単で、論文のタイトルやDOIが分かっていれば、全文テキストを確実に発見できます。自分が探しているものを見つけられる可能性が高いのです」。つまり、研究者たちは出版社のウェブサイトを使いにくいと感じており、Sci-Hubの利用を好むのは単に使いやすいからだ、ということが言えそうです。


学術文献へのアクセスが金銭に左右される世界にあって、Sci-Hubは、研究者が目当てのものをもっとも探しやすい場所の1つなのです。エルゼビアのユニバーサルアクセス部長のアリシア・ワイズ(Alicia Wise)氏は、「ユニバーサルアクセスには大賛成ですが、盗みには反対です!」と述べています。これは科学コミュニティ内で繰り返し聞かれる感情が吐露されたものですが、必要な論文がなかなか見つからずに読めないでいることに不満に感じている研究者がほとんどであることも事実です。研究者がSci-Hubを好むのは、それだけ必死にならざるを得ない状況を示しているのです。


学術出版業界は、この状況をきっかけにユニバーサルアクセスを提供する方向へと変わっていくでしょうか?未来を予測するのは難しいですが、ジャーナルが購読モデルを廃止することはないでしょう。しかし、Sci-Hubからの膨大な論文ダウンロード数や、Sci-Hubにアクセスする多数の研究者の存在により、出版業界が現在のインフラの再考を迫られることは避けられないでしょう。我々は、ニュートンの有名な言葉:「私が少しだけ先を見通せたとしたら、それは巨人の肩の上に立っていたからだを思い出す必要があります。科学文献にアクセスすることなしに、進歩を期待することはできないのです。今こそ、科学をとりまく主要な利害関係者たちが協力し、出版論文を科学コミュニティがすぐに利用できるようにするための解決策を見出すときではないでしょうか。

校正いただいた論文を投稿しましたが、エディターから来たメールについて教えてください。

$
0
0
Question Description: 

下記内容のメール中、”unpublished work”をサポートするドキュメントとありますが、どういったものかが思い浮かびません。どういったものを送ればよいのでしょうか?教えていただければありがたいです。

Dear Dr. Y: I am currently processing your submission to the Journal of Agricultural and Food Chemistry. While reviewing your submission I noted the following: You indicated in the online submission form that your manuscript cites unpublished work, however, you did not upload any documentation to support this information. Please confirm, does your manuscript cite unpublished work? If so, please email me the applicable documentation and I will upload it on your behalf. Sincerely,

回答

Journal of Agricultural and Food Chemistryの著者向けガイドラインには、 “unpublished sources” (未出版の文献) を引用する際の規定として、次のように明記されています。


「文献が『印刷中』( “in press”) あるいは何らかの理由により出版されていない場合は、査読者がその論文を評価できるように、コピーを提出すること。電子コピーの場合は、読み取り専用の補足情報 (Support Information)に関する指示に従ってアップロードすること。『印刷中』の文献には、出版を予定している出版社が割りあてたDOI(デジタルオブジェクト識別子)を添えること」


このように、未出版の文献を引用した場合は、査読者の確認用に、文献のコピーを提出しなければなりません。また、ガイドラインには、「未出版の他者の論文を引用することは推奨しないが、著者自身の未出版論文の引用は何ら問題ない」とも記されています。ですから、自身の未出版論文を引用した場合、査読者が参照できるように、コピーを提出しなければならないということです。


あるいは、そもそも未出版文献の引用を行なっていないということであれば、そのように返信しましょう。

「私の若い頃は、研究の進み方が遅いからといって焦るような時代ではありませんでした」

$
0
0
「私の若い頃は、研究の進み方が遅いからといって焦るような時代ではありませんでした」
埼玉大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科に進学。小柴昌俊研究室に所属して宇宙線研究に従事し、2015年に「ニュートリノが質量をもつことを示すニュートリノ振動の発見」との理由でノーベル物理学賞を受賞した。

梶田先生は埼玉大学で学部時代を過ごされ、大学院から東京大学に移られて研究者になられましたが、高校を卒業して埼玉大学に入学された時、「研究者になろう」という夢はありましたか?


埼玉大学に入学した時には、「研究者になろう」とは全然決めていませんでしたね。物理を主にやろう、というところまでは決めていましたけれども。その先はやってみないとわからないことはいっぱいありますから。


埼玉大学の学部で物理を勉強し始めまして。まあ、あんまり真面目に勉強しなかったんですけども、それでもかなり面白いと感じる要素があって、本格的に物理をやってみたいなと思ったんですね。その時、院は東大に行こうと必ずしも考えていたわけじゃありません。素粒子や宇宙線の実験をやりたいと漠然と思っていて、たまたま東大でそういう研究をやっている先生がいらっしゃるということで、まあ受けてみようかと。はじめはそのくらいの感じでした。


物理学は物性物理と素粒子・宇宙に大きく分かれると思うんですが、物性物理にはさほど興味がなくて、元々、どちらかといえば素粒子とか宇宙に興味がありました。大学院に入ってからですね。本気で物理が面白いなと、物理の実験が面白いなということを感じ始めたのは。


東京大学の大学院に移られてから、研究者としてキャリアを積もうといった目標や、将来ノーベル賞をとりたいといった思いはありましたか?


大学院時代にその後のキャリアをどうしようとは考えていなかったんですね。とりあえずは大学院在学中に博士論文書いて博士を取ろうと。そのあと、じゃあ次はどこか就職先を見つけなければな、できれば研究者としての就職先がないかな、みたいな、そのくらいのことしか考えていなかったんです。当時、若かったころの自分は、あんまり先を見て行動するようなタイプではありませんでしたね。


当時、日本学術振興会のポスドクの制度はあったんですが、それは落ちてしまいました。そこでありがたいことに、小柴先生が東大理学部の素粒子物理国際センターで任期付きの助手として採ってくださって。その素粒子物理国際センターの仕事っていうのは、当時はヨーロッパのCERNでやるe+e-のコライダーの実験の準備だったんです。それを半分やりながら、カミオカンデを半分やっていいよ、という感じでした。その職は本当は1年の任期と言われたんですが、結局2年間やらせていただいて、そのあとで東大の宇宙線研究所の助手に移りました。そこからはあんまり職のことを心配しないで研究ができるようになりましたね。


先生は東京大学での助手時代にすごく実績を伸ばされ、その後ノーベル賞受賞に至ったわけですが、任期付きの助手の時代から今に至るまでを振り返って、自分にはこの強みがあったからチャンスをつかめた、という理由はなんだったのでしょうか?


それは、よくわからないですね。ありがたいことに、あのころ宇宙線研究所の将来の重要プロジェクトをどこにしようかと議論していて、スーパーカミオカンデと決めていただいたんですね。それで私も含めて4人の研究者が宇宙線研究所に移って研究できるようになりました。ですから、私は本当に偶然、そういうありがたい状況に乗れたという感じがします。やはりなかなか、ことアカデミックな職について言うと、「こうでなきゃいかん」と決めてその通りの道を進む人というのは本当に本当に、本当に僅かだと思います。ある程度柔軟にやらざるを得ないところがあると思うんですね。


先生は宇宙線研究の世界で何十年もずっとキャリアを積まれて、こちらの宇宙線研究所の所長をされて、ノーベル賞受賞と、歴史に残る研究を何十年も続けられてきたわけですが、それだけの長い期間研究をやり続けて科学的発見をしようと思うモチベーションはどこから来ているのでしょうか?


そうですね、あくまで私の場合ですが、ニュートリノ振動を偶然にも発見できたことが大きいですね。ニュートリノ振動の発見に関わる最初のデータに気付いたのが1986年で、まだ私が博士号を取って半年経ったばかりのころの話なんですね。そのときはまだそのデータが示すものがニュートリノ振動であるとわかってはいなかったのですが、それが相当重要な発見の可能性があるという認識がありました。何かこれまで考えられていない重要なことが起きているぞと。重要にちがいないから、この課題をしっかり追求しようと当時心に決めて、後はずっとその思いで続けてきたという、そんな感じです。これをちゃんと続けていけばきっと重要な結果が得られると感じていました。


おそらく今の時代、若い研究者、任期つきのポジションにいる人には、私がしてきたように一つの大きなテーマを長く温めるような研究のやり方はできなくなっていると思うんですね。やっぱり「毎年論文を書け」とか言われたり、「評価、評価、評価」で。とにかく何でもいいから論文をたくさん書かなきゃいけないみたいなそういう時代になってしまっていると思います。我々の時代は若い研究者がそんなことを要求されることはなかったんです。もちろんそれでも2年に1本ぐらいは論文を書いていますけれど。ですから、研究の進み方が遅いからといって焦るような時代ではなかったです。自分が大切だと思ったことを、研究することが許されている時代だったということが大きいと思います。


ノーベル賞を受賞されましたが、 ご自身ではいつか自分はノーベル賞を受賞するかもと考えられていましたか?


その質問、よく聞かれるんです。受賞前の何年かはノーベル賞発表前の9月頃になるとマスコミの人がよく来ていましたが、まあでも、なんとなく他人事で対応していましたね。たぶん僕が本当に受賞することはないんじゃないの、みたいな、そんな感じで思ってましたね。


実際には受賞されたわけですけれど、聞いたところではちょうど受賞発表の10分前に委員会から受賞の連絡があったそうですね。その連絡を受けた時はどういう感じでしたか?


それはびっくりしますよ。突然連絡が入りますから。 受賞の瞬間はそんなにいろいろ考えている余裕は全然ないですよ。もう頭真っ白です、何もわかりませんでした。


ノーベル賞は評価の基準を公にしていませんが、 先生は何が評価されてご自身が受賞されたと考えていらっしゃいますか?


それはわからないですね。もちろんニュートリノ振動につながる研究をずっとやってきたことはやってきたわけですが。その業績が選考する委員会の方に知られていたかどうかなど全然わからないものですので。ありがたいと思いますけども。


少し前にマスコミで「ノーベル賞受賞者には東京大学出身者が少ない」と話題になっていました。先生も学部はもともと埼玉大学で、他の受賞者の方もみなさん東大の研究者ではありませんでしたが、先生はご自身としてこの点どう思われますか?


まあそうですね。この話題には2つの側面がありますよね。「研究をやる場所」としての東大と、「将来研究者になる人が育つ場所」としての東大。「研究をやる場所」としての東大、という点に関しては、もちろん僕の研究は東大でやったもので、東大だからこそできた研究だと思います。その一方で、「将来研究者になる人が育つ場所」としての大学を考えると、僕はおそらく、高校を出たぐらいの学力の段階で、将来研究者として育つ人を日本の大学はきちんと選考できていないということだと思います。だからこそ、東大に限らずいろんな大学出身の人が大きい成果を出すことがあるんだと思いますよ。そういう意味で、僕は今の日本は国立大学をきちんと、広くサポートしていくべきなんだろうと思っています。


一方で、研究では大学院以上のレベルになると、ある程度特化した大学に研究の中心ができてくるのは当然だと思います。まあそれも東大にばかり集まるというわけではなくてね。いろんな大学に、「この研究だったらここ!」という、そういうような拠点ができてくるのは自然だと思います。


研究評価について伺いたいのですが。先ほどもお話されていたように、昔は論文をたくさん書かなくても、研究者はある程度好きなことやらせてもらえたけれど、今ではもう本当に短期間で結果を出さなくちゃいけない。短いスパンの研究しかできないので、大きな成果が出しづらい時代になっていると思います。それはやはり先生のような方でも感じられるところですか?


周りを見ると確かにそういう評価指標ばっかりが多いので、それはそうだと思います。日本全体がそういう状況なんだと思います。ただ宇宙線研究所について言えば、そんなのにばっかり流されてたらですね、駄目になっちゃいますので。対外的には評価書を出させたりは当然しますけれども、そんなのは別に気にしないという、そういうスタンスでやります。そういう独自の方針を採用している研究所が日本にどのくらいあるかはわかりませんけれども、宇宙線研究所はそのスタンスを、少なくとも当面は、貫ける限りは貫きたいと思います。


科研費審査の際に審査員が論文数に重きを置いているかというと、僕はそんなことはないと思います。やっぱり審査員も科学者なので、論文の数ではなく、その研究者がどういうことをこれまで実際にやってきて、何をこれからやろうとしてるのかを見ていると思うんですよ。そういう、サイエンスのプロセスを申請者がしっかりやれてるかどうか、今後ちゃんとやれそうかで見ていると思います。


若手の育成について伺いたいのですが、先生は以前小柴先生と一緒に研究をされていて、今は宇宙線研究所の所長を務められていますが、ご自身では若手研究者の育成はどうあるべきだと思われますか? 実際に小柴先生から受けた教育も含めて、先生ご自身の教育者としてのスタンスを是非お伺いできればと思うのですが。


そうですね。小柴先生の若手教育は、まああんまり細かい技術的なことはどうでもよいと。それよりも科学者としてやっていくポイントだけを伝えるという、そんな感じだったと思います。例えば1番印象に残っているのは、「自分が将来、独立した研究者としてやっていこうと思うのであれば、自分自身の研究の卵をいくつか持っていなさい」とよくおっしゃっていましたね。それが実現できるような環境、あるいは時期がいつ来るんだろうか、ちょうど今来たんだろうか、と常に考えるような、そういう研究者にならんと駄目だと。それが根本だという、そういう教育でした。


僕が小柴研で学んだことは、研究現場での、実際の仕事、実際の研究が大切だと。つまり例えば大学院生であっても、他の研究者と一緒に装置を作ったり、ほぼ対等のような立場で議論に参加して、一緒に組み上げていく。それを現場で経験していくことが若手の育成にとってとても重要だと感じました。宇宙線研究所というのは、日本国内の大きい大学の宇宙線分野の研究室でもできないレベルのものを準備して、全国の大学の研究者のみなさんと一緒に使っていくという立場にあります。大学のレベルを超えた装置を作り、運用していくという、そういう研究ができる研究所です。若手の人たちにはその生の現場に入って、いろいろ経験して成長してもらいたいと、そんな感じで考えています。


今の時代、とくに物理学で成功していくためには若手研究者の人にはどのような素質が必要だと思いますか?


その質問にはいろんな可能性があって、答えるのが難しいですね。例えば基本的には今自分たちが研究している分野ではどういうことが本質的な問題で、そのためにどういうアプローチがあってといったことを知っている必要があると思いますし。素質…、何でしょうね、いろいろな答え方があってわかりませんね。


今ご自身が仮に20代後半から30代ぐらいの若手の物理学者だったら、今と同じ研究をされていたと思いますか?


今20代だったとしても、やっぱりね、今、宇宙線の分野は非常に面白いんで、たぶん同じようなことをやってる感じがしますね。


今日本の科学技術政策の方針について何か感じるところはありますか?


これはあくまで僕の感覚ですけれども、政府主導の科学技術政策では、ともかく「イノベーション」ばっかりですよね。その言葉にすべてが集約されてしまっています。近年はすべてが「イノベーション」だと。「イノベーションのための科学」という、そんな風潮ができちゃうのは怖いと思っています。この風潮が長期的に見て本当に基礎科学にどれだけ影響があるのかはわかりませんが、例えば近頃ニュートリノの研究の話を高校生や中学生にしていて驚くのは、「それが何の役に立つんですか?」ということを必ず聞く学生がいるんですね。


中高生にニュートリノの話をして最初に出る質問は必ずそれ、みたいな感じですからね。やっぱり彼らには純粋に学問に好奇心と興味を持ってもらいたいのに、若い彼らが「これは役に立つか?」という視点でまず学問の価値を考えるという風潮が生まれちゃっている現状を、非常に危惧しています。本来は僕らの話を通して、純粋に自然の不思議、宇宙の不思議があり、それを解き明かす活動としての研究があるんだと知ってもらいたいんですが。


物理学に関心のある学生さんには何をモチベーションにこの分野で頑張って欲しいとアピールしますか?


それはもう、我々が世の中に向かって基礎科学の重要性を伝え続けるから、若い人は安心して来てくれと。それだけです。


ほかに国の科学技術政策について訴えかけたいご意見はありますか?


ほかにも1つあります。これはあまり知られていないんですけれど、日本は32のOECD加盟国の中で、高等教育にかける公的予算の対GDP比が最下位です。世界的にGDPに占める公的予算が極めて低いんです。もう少しその現実を日本のみなさんがちゃんと知ったほうがいいと思いますね。これが、今の日本の姿です。この現実を理解して、これが本当に日本国民のみなさんが思い描いている日本なのかということを考えてもらいたいと思います。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H8G_U5A121C1000000/


投稿前の質問の書き方について

$
0
0
Question Description: 

学術誌 “Blood”に投稿前の質問(pre-submission inquiry)を出したいのですが、どのようにメールを書いたらよいか分かりません。メールには何を書けばよいのでしょうか?また、投稿前の質問用に指定されたメールアドレスは、編集長のものではないようです。編集長宛てにも直接メールを出すべきですか?メールには、カバーレターと論文も添付すべきですか?

回答

投稿前の質問を送るときは、要点が伝わりやすいように、明快さを心がけましょう。自分の論文がそのジャーナルに適しているかどうかを尋ねる目的でメールを書いていることを述べましょう。まずは論文のテーマについて触れ、内容の要約か抄録を記載しましょう。そして研究内容を評価できるように、対象範囲や深さ、エビデンスの性質、そのジャーナルが興味を持つと思われる根拠を述べます。

それぞれのジャーナルには、独自の手順やガイドラインがあります。ジャーナルが投稿前の質問のための専用アドレスを定めているなら、質問はそのアドレスに送りましょう。担当者が質問に対応することになっていて、編集長はそのプロセスに関わっていないのかもしれません。

メールを送る際、カバーレターや論文は添付しないようにしましょう。ジャーナルから前向きな回答が得られ、投稿を勧められたときに初めてそれらを送るようにしましょう。

「科学的疑問の提示」が科学に悪影響を及ぼす?

$
0
0
「科学的疑問の提示」が科学に悪影響を及ぼす?

科学は常に進化しているため、既定の事実に疑問を投げかけ、科学的記録を訂正していく作業は欠かせないものです。一方で、透明性という名目のために研究者が過度な要求に対応しなければならず、肝心の研究に集中できなくなる事態が引き起こされているという主張もあります。

科学の透明性や再現性が注目を集める昨今、「科学は崩壊した」あるいは「科学は襟を正す必要がある」という表現をよく見かけます。出版される研究論文の信頼性と整合性を保つために、データの共有、出版後査読、クリティカル・レビューなど、科学的探究を推進するさまざまな取り組みが行われてきました。科学は常に進化しているので、既定の事実に疑問を投げかけ、科学的記録を訂正していく作業は欠かせないものです。科学的探究の重要性について、オックスフォード大学動物学部教授のロバート・メイ(Robert May)氏は、「科学は、系統的な懐疑主義の立場で眺めるべきでしょう。科学とは、実験と懐疑的質問によって偶発的に理解がもたらされる旅路です」と述べています。


出版された研究論文に疑問を呈することで、実際、科学に影響が及ぼされているのでしょうか。


ネイチャー誌に掲載された記事、「研究の整合性:透明性によって科学を損なうべからず」(Research integrity: Don't let transparency damage science)の中で、ドロシー・ビショップ(Dorothy Bishop)氏とステファン・ルワンドウスキー(Stephan Lewandowsky)氏は、「精査」と「ハラスメント」を区別しようとしています。両氏によると、「情報請求、研究者の所属先への申し立て、オンライン・ハラスメント、研究結果の歪曲や暴力的脅迫」にひっきりなしに直面している研究者がおり、透明性という名目の過度な要求への対応を余儀なくされ、肝心の研究に集中できなくなる事態が引き起こされているといいます。


両著者は、科学が開放的であることの必要性は認めた上で、研究者とその所属機関は、「健全な議論」と、「科学的探究に見せかけたアピール行為」を区別すべきだと考えています。科学的質問を装った問い合わせから研究者がどのようにハラスメントを受けているのかを明らかにするために、5つの「両刃のツール」が挙げられています。それは、データの要求、ソーシャルメディアの投稿、情報請求の自由、撤回要請、大学への申し立てです。論文では、そのような状況への対処法や、研究コミュニティが研究者を守るための方法も検討されています。


ビショップ氏とルワンドウスキー氏によると、データの要求は、研究者を攻撃する方法として使われます。批評家は、「望ましい結果だけが出る分析方法」を探したり、「すべてのデータが公表されていないという誤った印象」を与えることを目的としてデータを要求することがあります。両著者は、データの共有を要求されたときにその意図がはっきりしない場合は、研究者が躊躇するのもやむを得ないと述べています。要求者が、「妥当な結論の信頼性を損なわせるために、都合のよいデータだけをピックアップする」かもしれないからです。この見解には、多くの研究者から激しい非難が寄せられました。


ケンブリッジ大学社会学部の政治学者であるニコール・ジャンツ(Nicole Janz)氏は、ビショップ氏とルワンドウスキー氏の見解について、New England Journal of Medicineの論説に掲載された見解と同じぐらい極端だと考えています。その見解とは、「第一線の研究者の間には、『研究に寄生するもの』とみなされている人々によって、システムが乗っ取られてしまうのではないかという懸念がある」というものです。同氏は、データを要求して研究の再現を試みるすべての研究者を最初から「あら捜しをするやかまし屋」という前提で見る考え方や、研究者に嫌がらせをしているのではないことを要求者が証明する必要があるという見解に、疑問を呈しています。


Climate Forecast Applications Network (CFAN)の共同オーナーでもある大学教授のジュディス・カリー(Judith Curry)氏はこの意見に賛同し、「マートンの科学規範」(Mertonian Norms of Science)から、優れた科学研究の基本原則を引き合いに出しています。同氏によると、ビショップ氏とルワンドウスキー氏の見解は、マートンの規範である公有性(communalism、誰でも平等に科学にアクセスできること)、普遍性(universalism)、無私性(disinterestedness、個人的利益ではなく共通の科学的取り組みのために行動すること)、系統的懐疑主義(organized skepticism、科学的な疑問を提示して厳しい審査を経てから受け入れること)と対立するものです。カリー氏は、研究者は自分の研究の透明性を保たなければならず、データの要求や批判は免れないものとして受け入れなければならないと考えています。


研究者が、情報やデータの提示、所属機関による処分、共同研究者からの撤回要求などの厄介事に直面することは事実ですが、そういった要求や批判に隠された意図があるのかどうかの核心を探ることは難しいと思われます。研究の透明性を維持しながら、同時に研究者を不当な批判や反発から守ることには、曲芸的な難しさがあります。科学出版が「生きた文書」とみなされるようにするためには、研究者はデータを公開して批判に対処しなければなりません。不審な動きを警戒することも有効かもしれませんが、科学は複雑なものであり、研究者と批評家のどちらが誤っているのかを判断することは必ずしも容易ではありません。


研究者たちの間で大きな関心の的となったこの問題について、下のコメント欄からあなたの意見をお聞かせください。研究者は、所属機関によって保護される必要があると思いますか?研究者は、データの要求に慎重になるべきでしょうか?専門的な要求と悪意に基づく個人的な作為を、どうしたら見分けられるでしょうか?


関連記事:

「再現不可能性」という科学の急所

投稿論文ステータスの “Transfer window open”とはどういう意味ですか?

$
0
0
Question Description: 

1週間前に論文を投稿しました。昨日、論文のステータスが "Reviewer assignment(査読者選定)"から"Transfer Window Open"に変わっていました。これはどういう意味でしょうか?初めて目にする表現です。

回答

"Transfer Window Open"とは、編集者があなたの論文を別のジャーナルへ転送することを推薦しているという意味です。転送先のジャーナルは、同じ出版社のジャーナルであることがほとんどです。あなたの論文が他のジャーナルの方により適している、あるいは研究領域がより合致しているとジャーナル編集者が判断すれば、そのような提案が行なわれることはよくあります。推薦されたジャーナルが同じ出版社のものなら、投稿論文は、あなたの許可がとれ次第、社内で転送されます。


ご質問のジャーナルの投稿システムの機能について詳しいことは分かりませんが、社内での転送勧告なら、一般的に、著者の選択肢は少なくとも2つ用意されているはずです。‘Agree to transfer(転送に同意)’または‘Decline to transfer(転送を拒否)’ という選択肢です。自分が希望する選択肢を選びましょう。


決断を下す前に、編集者が推薦したジャーナルに一度目を通してみることをお勧めします。推薦されたジャーナルが自分の論文に適していると思ったら、転送を承諾しましょう。他のターゲットジャーナルへの投稿を検討する場合は、転送を拒否しましょう。

論文投稿後、共著者から内容に異議を申し立てられました。論文の取り下げを考慮していますが、編集者にどのように伝えればいいですか?

$
0
0
Question Description: 

現在、論文を投稿途中ですが、共著者から内容について異議を唱えられました。投稿前には口頭でのみの同意でありました。 現在のステータスはエディターの方のチェックのみで、レビューには回っていません。その異議を唱えた共著者にすれば、オーサーズシップに反しており、また別の本意の投稿先があるようです。 色々考えましたが、今回は現在の投稿先に取り下げをお願いしようと思っています。このような場合、時間をかけて査読して頂いたエディターの方々に対し、どのように対応すれば誠意が伝わるでしょうか。お恥ずかしい話ですが、どうぞ宜しくお願い致します。

回答

論文を投稿する前に、周到に共著者全員の了解を書面で得ておくべきでした。論文の取り下げは、まだ査読に回されていないこの段階でしたら問題ないでしょう。編集者には、共著者から異議を唱えられたため、論文を取り下げざるを得ないと伝えればよいと思います。手間をかけることについて、お詫びの言葉を添えましょう。


以下の記事で、論文を取り下げる際のメールの書式(テンプレート)が紹介されています。

How to write a withdrawal letter to the journal

論文が査読にまわりません

$
0
0
Question Description: 

9月8日に医学系の雑誌にFull paperを投稿したのですが、一カ月以上たってもステータスがwith editorのままになっています。一カ月経過したところでお伺いメールをだしたのですが、反応はありませんでした。同じ雑誌に短報も投稿しているのですが、こちらも、required reviews completed のまま二カ月経過したりしています。以前同じ雑誌に投稿したときにはこういうことはなかったのですが、最近、Editor-in-Chiefが交代したところです(前任の方は亡くなったという経緯もあります)。Rejectする気ではなくに単に忙殺されているのではと想像します。心象を害さなければFull paperはWithdrawしてもよいとも思いますがいかがでしょうか?常識的にもう少し待った方がよいでしょうか?

回答

最初に論文を投稿してからまだ1ヶ月しか経っていないということですので、取り下げを考えるにはやや早い気がします。以前はそのジャーナルでとくに問題がなかったというあなたの経験も考慮すると、なおさらそう思われます。新しい編集長の体制で編集プロセスが軌道に乗るまでに、少し時間がかかっているのかもしれません。もう数週間待ってみてから、ジャーナルに今一度、状況を尋ねるメールを送ってみるとよいと思います。回答が得られるまで、2週間おきにリマンイダーを送ってみましょう。4、5回送っても回答がなければ、取り下げを考えてもよいでしょう。


短報に関しては、査読が遅れている理由は別のもので、編集長の交代とは関係がないかもしれません。また、ジャーナルの査読に2ヶ月以上かかるのは、とくに珍しいことではありません。先のもう1本の論文投稿について問い合わせる際に、短報のステータスについて一緒に聞いてみてもよいでしょう。

Viewing all 1873 articles
Browse latest View live


<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>