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ハゲタカ出版社に投稿・受理された論文の取り下げ料

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Question Description: 

ハゲタカ出版社のジャーナルに投稿・受理されてしまいました。受理されるまでハゲタカと気付かず情けない限りです。 受理された後、ジャーナルHP記載の額より異常に高額の投稿料を請求され、疑念を頂き調べた結果、ハゲタカであることが判明しました。 そこで、論文取り下げを出版社へ依頼しました。 出版社からは、「取り下げは認める。但し、取り下げ料として、投稿料の35%を支払う必要がある。その後、取り下げ証明書を発行する」旨の回答。また、「取り下げ料に関してはジャーナルHPに記載している」とのことですが、もちろん、そのような記載は見当たりません。 当該論文を別のジャーナルに投稿したく準備を進めております。 しかし、ハゲタカと言えど、二重投稿になると思いますので、次に進めず困惑しております。 取り下げ料を支払う以外、解決方法はないのでしょうか。 アドバイスをお願い致します。

回答

一般的に、査読を受けた後のステージが進んだ段階で原稿を取り下げることは、好ましくない行為とされています。なぜなら、査読はボランティア行為であり、査読者があなたの原稿に注いだ貴重な時間と労力を無にすることは、取り下げを行うやむを得ない事情がない限り、フェアでないからです。なかには、著名ジャーナルでも、出版プロセス後半での取り下げには費用を請求するところもあります。

今回の取り下げ理由は理解できるものですが、本来は、論文投稿前によく調べてみるべきでした。ハゲタカジャーナルは非倫理的なあらゆる手段を用いるので、取り下げ料を支払わない場合にどのような対応に出てくるかは不明です。取り下げ料の支払いに応じたくないのであれば、ジャーナル編集者に、自分は費用を払う立場にないと伝えた上で、全面的または部分的な放棄を求めるしかないでしょう。ジャーナル編集者の同意が得られなければ、ハゲタカジャーナルとつながるリスクを冒すよりも、支払いを行なって取り下げの確認を取ることをお勧めします。


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レフェリーがなかなか割り当てられない

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Question Description: 

お世話になります。 1ヶ月ほど前に論文を投稿し、2〜3日後にはエディターのチェックを経て、レフェリーを探す段階に入ったという通知がありました。しかしその後4週間くらい経ってもなお、査読が始まりません(査読が始まったら投稿システムに表示されることになっています)。心配なのでエディターに状況を問い合わせようと思っていますが、いつごろ、どのような文面で、エディターに対して問い合わせるべきでしょうか。

回答

ステータスが"With Editor"から"Under review"に変わるまでに1か月以上を要するジャーナルは珍しくありません。原稿が編集部による初回判定を通過しても、ステータスが査読中に変わるまでにはさまざまな段階を経なければなりません。編集者はまず、必要な査読者の人数(通常は23)を見きわめ、それから査読依頼を送ります。全員に査読依頼が受け入れられれば、ステータスは"Under review"に変わります。しかし依頼を断られれば、編集者は査読者を再び探し始めなければなりません。2度目の依頼も断られたら、さらに遅れが生じることになります。このプロセスは、必要な人数の査読者に依頼を受け入れてもらえるまで続きます。

したがって、遅れについて心配する必要はありませんが、ジャーナルに丁寧な問い合わせを送ってみてもとくに差し支えはないでしょう。前回のステータス変更から1か月以上が経ったので、査読開始がいつ頃になりそうか気になっている、と伝えてみるとよいでしょう。


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看護研究における剽窃に打ち勝つには

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看護研究における剽窃に打ち勝つには

看護における意思決定、教育、実践、将来的な研究の指針となるのは、確かなエビデンスに基づく慣行です。看護研究における剽窃は、看護の未来を弱体化させ、研究予算を縮小させることにつながります。患者は信頼できるエビデンスに基づいたケアを必要としており、ケアの質はエビデンスの質にかかっています。看護研究における剽窃に打ち勝つ方法を考えます。

[本記事はウォルターズ・クルワー(Wolters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。

著者:リンダ・S・スミス氏(Linda S. SmithPhDMSRNCLNCData Design, Inc.研究部門バイスプレジデント、オザーク大学看護学非常勤教員、Nursing2018編集委員)]


看護学の博士課程に在籍するルークは、ワクチンの誤解に関する概念解析をまとめて、学位論文に使うことにしました。この概念解析は、看護学の査読付きジャーナルで、論文として出版されました。


博士課程修了後、ルークは、ある研究の論文を看護学ジャーナルに投稿することにしました。この論文を仕上げるにあたって、以前に出版した概念解析の情報を含める必要があることは認識していましたが、自己剽窃を避けるための倫理的および法的なプロセスについてはよく分かりませんでした。彼は、「自分の研究を再利用するのに許可が必要なのだろうか?」と疑問に思います。


この疑問の答えは、「はい」です。本記事では、論文出版や研究にまつわる剽窃や自己剽窃について取り上げ、これが看護分野で問題になっている理由を考えます。


論文剽窃


剽窃とは、他者の知的財産を、出典を示さずに無許可で使用することです1。剽窃は、他者の成果物に対する不誠実かつ非倫理的な表現行為であり、誤解を招く恐れのある行為です。


論文剽窃とは、編集者や読者に、「著者独自の論文である」と誤解させることです。論文剽窃には、文章の剽窃のほか、自己剽窃、「サラミ法」(データの分割)、不適切/不誠実なオーサーシップが含まれます。文書の種類(研究報告、ジャーナル論文、助成金申請書、期末レポート等)にかかわらず、剽窃は、読者と著者の間の信頼関係を損なうものです。他者(または自分の過去の成果物)の言葉やアイデアが使われている場合、読者は、倫理的な著者ならその旨を示すだろうと想定しています2


しかし、残念なことに、研究や論文に関わる剽窃の問題は深刻化しています。Fangらは米研究公正局などの報告書をもとに、PubMedデータベースの調査を行い、1977年以降に撤回された論文2,047件を特定しました。調査の結果、これらの論文の撤回理由の14.2%が二重出版で、9.8%が剽窃であったことが明らかになりました3


看護分野における懸念


看護における意思決定、教育、実践、将来的な研究の指針となるのは、エビデンスベースの慣行です。これを進めていくためには、看護学について発表されるエビデンスが確かなものでなければなりません。剽窃は、看護の未来を弱体化させ、研究予算を縮小させることにつながります。なぜなら、新たな研究プロジェクトは先行研究という土台の上に成り立つものであり、研究予算は研究者の公正性によって決まるものだからです1,2


何より重要なのは、患者は、信頼できるエビデンスに基づいた看護師のケアを必要としているということです。ケアの質は、エビデンスの質にかかっているのです4


論文剽窃の種類


自己剽窃:剽窃とは、他者のアイデアや言葉を不適切な方法で不正に使用することですが、自己の成果物を不適切に使用する行為も剽窃に含まれることを知っている人は少ないかもしれません。自分が過去に発表した情報を、編集者に無断で再利用/再使用した場合、自己剽窃とみなされます5。オープンアクセス出版など、著者が著作権を保持するケースもわずかながら存在しますが、たいていの場合、出版物の所有権や著作権は、出版プロセスの一部として出版社が持つことになります。


自己剽窃とは、同じデータやプロジェクトを複数回参照することで、科学的有効性を歪めるものです6。たとえば、看護学の研究者が、100人の被験者データを使って治療の効果を評価した論文を発表したとします。別の論文でこの情報を再利用すると、その研究結果が不当に誇張される可能性があるのです6


一流誌での論文出版は競争が激しく、出版機会は限られています2。自己剽窃は、読者が得る貴重な情報と、ほかの著者の出版機会を奪うことになるのです。編集スタッフや査読者は、新規性どころかオリジナルですらない論文に、無駄な時間とリソースを費やすことになります2。残念ながら、タイトルや著者名やアブストラクトが異なっていると、剽窃や自己剽窃を覆い隠すことができてしまい、特定の研究結果の再現性を検証した論文に見せかけることができてしまうのです7


また、逆のことも起こります。有害な結果が複数回出版されることで、患者のためになるはずの看護介入が、大きな障害とみなされてしまう可能性があるのです。


サラミ法:研究論文におけるデータの分割は、「サラミ法(salami slicing)」と呼ばれることがあります。料理人がサラミを薄くスライスして量を多く見せるように、研究を小分けにして発表することで出版や報告の件数を増やそうとする研究者がいます。これは、研究結果をより細かいカテゴリーに分割するという手法です。


データの分割は、同じテーマが過度に細分化されたものを読むことになる読者を混乱させます8。一連の研究を1つの論文としてまとめた状態がベストである場合、サラミ法はその結果を歪め、科学コミュニティの混乱を招きます。たとえば、マルチフェーズの研究の結果を、1つの論文ではなくフェーズごとの論文に分けた場合、読者は重要な知見を見落とす可能性があり、一連の研究の包括的な視点を得ることもできません8


ゲスト・オーサリング:これは、論文に必須の貢献をしたわけではないのに、立場上優遇されて著者として名前が掲載されるというものです。多くの出版社・組織・学会では、オーサーシップに関する詳細な規定が設けられているはずです。たとえば、米心理学会の会員は、自分が行なった研究か、著しい貢献を果たした研究にのみ責任を負うよう定めています。すなわち、学部長や所長といった組織の要職にあるからといって、自動的に著者の資格が与えられるわけではありません9


著者名は、貢献度順に記載されるべきでしょう。オーサーシップを得るということは、研究および、その研究に基づく論文に対するレビューと承認に責任を負うということです1,2,7,10


この種の医学研究およびオーサーシップの剽窃には、ゴーストライティングやゴースト・オーサーシップも含まれます。ゴースト・オーサーシップとは、著者として論文に掲載されるべき人の名前が掲載されていないことを言います。これは、著者が金銭を払って自分名義で他人に論文を書いてもらう場合や、無名だからという理由で名前を外されるような場合が考えられます。ゲスト・オーサリングやゴースト・オーサーシップは、著者への信頼性を歪めて示すものであるため、科学と読者への裏切り行為であると言えるでしょう10


この複雑な問題を解決するには


出版社や著者は、さまざまな方法で剽窃と闘っています。明確で見つけやすい方針や手順、剽窃検知ソフト、良好な協力関係などは、きわめて重要な要素です。


出版規範委員会(COPE)によると、ジャーナルは著者に対して剽窃の定義を示す必要があります。この定義は、剽窃という違反行為に関するジャーナルの方針や手順に則ったものでなければなりません。COPEは、編集者が剽窃を疑った場合のための、アルゴリズムの開発も行なっています11


方針や手順には、報告のガイドラインや著者への対応に関する具体的で明確な基準が定められていなければなりません1。組織は、論文著者全員から、貢献度・利益相反の可能性・二重投稿などに関する署名入りのステートメントを求めるべきでしょう。出版社の多くは、関連のある出版物のコピーを提出するよう著者に求めています1


剽窃に打ち勝つには、テクノロジーも役立ちます。出版社/著者/学術機関は、オンラインの剽窃検知ソフトやサービスを利用することができます12。これらのサービスで、ほとんどの(テキスト)剽窃、自己剽窃、サラミ出版を検出することが可能です。公開されているすべての文書は、クロスチェックを行うことで、類似性や重複性を評価することができます4。今後論文を書く予定のある研究者は、これらのツールの活用方法だけでなく、剽窃が見つかった場合の対応についても知っておく必要があるでしょう。


剽窃を削減または排除するためのもう1つの有効な方法は、コミュニケーションの促進です。「When in doubt, check it out(疑わしきは調べる)」という標語は、すべての著者が参考にすべきでしょう。たとえば、著作権について疑問を持ったルーク(自分の成果物をいつ、なぜ、どのように承認するか?)は、編集者に相談するべきでしょう。相談は、良好な関係を築けているほどしやすくなるものです7。研究を2論文に分ける必要があるなら、著者は、編集者と相談した上で投稿を行う必要があります7。編集者や査読者は、その研究および続報の出版が看護科学界に資するかどうかを検討した上で、判断を下すでしょう。


この関係性においては、課題や懸念や問題などを包み隠さずすべて開示することが重要です。編集者や出版社は、著作権侵害のリスクを常に警戒しています。著作権侵害は、相当量の先行論文や著作物が(出典が示されているかどうかにかかわらず)、無許可で使用されている場合に発生します2,13。この違反への罰則は広範囲に及び、社会的制裁や訴訟に発展するケースもあります。


また、実際の利益相反やその可能性をすべて開示して透明性を確保することも、きわめて重要です。利益相反は、必ずしも論文の出版資格を奪うものではありません。むしろ、その可能性を開示しないことの方が大きな問題となります。


たとえば、ルークの論文で大きな利益を得られるワクチン開発会社がルークを雇用している場合、ルークは論文投稿時にこの情報を申告しなければなりません。そして論文がアクセプトされたら、この情報を読者に明示して出版しなければなりません。


最後に、研究の公正性と論文の信頼性を確保するためのもっとも重要な方法は、看護師への事前教育を徹底することでしょう。看護学生たちに、学期ごとに倫理規定に署名させ、剽窃をしないことを誓わせるのです1。論文出版に関するあらゆる学習段階にいる看護学生が、倫理的な執筆プロセスについて理解し、それを実践する必要があります。教員や先輩が倫理的な研究や出版を実践して手本を示すことで、倫理教育を促進することができるでしょう1


倫理の勝利


ルークは、看護ジャーナルの編集者に簡単な質問状を送り、論文の概要と、過去に自分が出版した概念解析の論文について伝えました。出版社からはポジティブな反応があり、過去の出版論文を倫理的に再利用するためのアドバイスが書かれていました。ルークは、その論文の出版元から取得した再利用許可書を添付して、新たな論文を投稿しました。


10ヶ月後、2度の査読を経て、論文は無事にアクセプトされました。正式なアクセプト後、ジャーナル編集者からルークに、情報を包み隠さず開示したことへの感謝と、過去の論文の扱いに関する情報を伝えるメールが届きました。


今回の件からルークが学んだように、看護科学に貢献することは看護職の進歩につながり、ひいてはその進歩が患者に還元されます。こうした成功を収めるためには、倫理的な研究とオーサーシップに対する奨励と支援が不可欠でしょう。


参考資料

1. Fierz K, Gennaro S, Dierickx K, Van Achterberg T, Morin KH, De Geest S. Scientific misconduct: also an issue in nursing science? J Nurs Scholarsh. 2014;46(4):271-280.

2. Roig M. Avoiding plagiarism, self-plagiarism, and other questionable writing practices: a guide to ethical writing. Office of Research Integrity. 2013. http://ori.hhs.gov/avoiding-plagiarism-self-plagiarism-andother-questionable-writing-practices-guide-ethicalwriting.

3. Fang FC, Steen RG, Casadevall A. Misconduct accounts for the majority of retracted scientific publications. Proc Natl Acad Sci USA. 2012;109(42):17028-17033.

4. Buckwalter JA, Tolo VT, O’Keefe RJ. How do you know it is true? Integrity in research and publications: AOA critical issues. J Bone Joint Surg Am. 2015;97(1):e2.

5. Degeeter M, Harris K, Kehr H, et al. Pharmacy students’ ability to identify plagiarism after an educational intervention. Am J Pharm Educ. 2014;78(2):33.

6. Saver C. Self-plagiarism. Nurse Author Ed. 2014;24(3):1-3.

7. Baggs JG. Issues and rules for authors concerning authorship versus acknowledgements, dual publication, self-plagiarism, and salami publishing. Res Nurs Health. 2008;31(4):295-297.

8. Egry EY, Barbosa DA, Cabral IE. The many sides of research integrity: for integrity in nursing! Rev Bras Enferm. 2015;68(3):327-329, 375-377, 381-383.

9. American Psychological Association. Ethical principles of psychologists and code of conduct: including 2010 amendments. Standard 8: research and publication. 2010. https://www.apa.org/ethics/code/.

10. Almassi B. Medical ghostwriting and informed consent. Bioethics. 2014;28(9):491-499.

11. Committee on Publication Ethics. What to do if you suspect plagiarism (b) suspected plagiarism in a published manuscript. 2011. https://publicationethics.org/files/plagiarism%20B.pdf.

12. Pierson C. Emerging and recurring themes in writing for publication. Nurse Author Ed. 2012;22(1):1.

13. American Journal of Nursing. The plagiarism policy of the American Journal of Nursing. Am J Nurs. 2007;107(7):78-79.

Reprinted from Nursing2016: December 2016, Vol. 46, No. 12, p. 19-21.

イントロダクションを書くための4ステップ

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イントロダクションを書くための4ステップ

論文を引用してもらうには、まずは論文を読んでもらう必要があります。タイトルとアブストラクトで読者の興味を引くことに成功したら、その興味を持続させて、方法や結果などのセクションへと読み進めてもらいます。そのためには、イントロダクションの出来映えがカギとなります。

論文を引用してもらうには、まずは論文を読んでもらう必要があります。タイトルとアブストラクトで読者の興味を引くことに成功したら、その興味を持続させてほかのセクション(方法、結果、考察、結論)へと読み進めてもらいますが、それにはイントロダクションの出来映えがカギとなります。


この記事では、イントロダクションに含めるべきもの、除外すべきもの、そしてジャーナル編集者や査読者がこのセクションに求めているものを、例文を交えながら紹介します。


イントロダクションの役割とは?


イントロダクションとは、簡単に言えば、なぜその研究テーマを選んだのか、なぜその方法/アプローチを採用したのかといった、「なぜ?」に答えるセクションです。また、現状の知見に不足している部分を指摘し、広範な研究領域の中で自分がどこに注目したのかを宣言するセクションでもあります。


イントロダクションのもう1つの役割は、背景情報の説明と、文脈の設定です。これは、検討した研究課題や設定したリサーチクエスチョンを説明し、先行研究で提示されていない解決策やアプローチを簡潔に述べることで行うことができます(論文の本文で、この課題への解決策や回答を提示します)。


博士(学位)論文では「文献レビュー」という個別の章があるのが一般的ですが、投稿論文にはそのようなセクションがないため、レビューについてはイントロダクションで簡潔に示す必要があります。


背景を説明して文脈を定めたら、最後に実験や分析の目的を説明します。イントロダクションの結論部には、方法セクション以降で回答する具体的な問いが含まれていなければなりません。


イントロダクションを書くための4ステップ


このセクションは、論文全体のワード数の約10%を占めるのが一般的です。4000ワードの論文であれば、約400ワードを3段落程度に分けて構成します1。これを踏まえて、イントロダクションの書き方を順序立てて説明していきます:


1. 背景情報を示し、文脈を定める


イントロダクションの冒頭は、論文の中で後述する詳細情報の前置きとして機能させましょう。冒頭の12文目は、大まかな話題から始めるのが一般的です。


以下に例文を紹介します:
 

  • 土壌中の有機物に関する論文:Sustainable crop production is a function of the physical, chemical, and biological properties of soil, which, in turn, are markedly affected by the organic matter in soil.持続可能な作物生産は、土壌の物理学的・化学的・生物学的な特性に掛かっており、土壌中の有機物から大きな影響を受ける。)
  • がん治療における細菌の有益性に関する論文:The role of bacteria as anticancer agent was recognized almost hundred years back.細菌の抗がん剤としての機能は、100年ほど前から認められている。)
  • リチウム電池に関する論文:The rapid growth of lithium ion batteries and their new uses, such as powering electric cars and storing electricity for grid supply, demands more reliable methods to understand and predict battery performance and life.リチウムイオン電池の急成長と、それに伴う電気自動車への電力供給や送電網用の蓄電をはじめとする新たな用途の誕生によって、電池の性能や寿命を把握して予測するための信頼性の高い手法への需要が高まっている。)


前置きの部分では、話を広げすぎないようにしましょう。上の例文では、農業やがんや電池一般の話題から始めるのではなく、土壌の有機物、細菌の役割、リチウムイオン電池の話題から入っていることに留意しましょう。


最初の文で大まかな話題を設定したら、次の文ではさらに具体的な内容にシフトします。上の例文では、(1) 植物の栄養源および微生物のエネルギー源としての土壌中の有機物、(2) 化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)への偶発的感染による特定種のがんの寛解、(3) 電池の材料や構成要素のナノスケールでの3次元構造を可視化するための画像化技術、に言及してサブフィールドにつなげています。


2. 研究の具体的なテーマと意義を述べる


上の例文を見ると、話題がより具体的なテーマへと移行しているのが分かります。ここからは、テーマの重要性や課題の深刻性を伝えるために統計情報を利用しましょう。


イントロダクションで示す統計情報の例:
 

  • 予防対策によるマラリアの抑制に関する研究:マラリア感染者の人数、1時間当たりの死亡率、治療のためのコストなど。
  • 作物を少量の水で育てるための研究:干ばつの頻度、干ばつによる作物生産量への影響など。
  • 公共輸送の効率化に関する研究:自動車や二輪車の排ガスによる大気汚染の程度、道路の距離当たりの自動車台数など


その他、課題を解決しリサーチクエスチョンの答えを見つけることでどのようなメリット(コストの削減、生産量の増大、製品の長寿命化など)があるかを述べることで、研究テーマの重要性を示すことができ、研究の長所を強調することができます。


たとえば、「マラリアによって毎年〇〇ドルの損失がある」と言う代わりに、「マラリアを予防することで、毎年〇〇ドルのコストが削減できる」、「灌漑によって〇〇リットルの水を節約できる」、「大気汚染の改善によって、病気の予防という形で人々の時間を〇〇時間節約できる」などと言い換えましょう。


3. 研究課題を解決し、リサーチクエスチョンに回答するために、先行研究に言及する


先述したように、原著論文には文献レビュー用のセクションがありません。そこで、イントロダクションで先行研究について述べ、自分の研究がそれらと異なっている点を明確にしておきましょう。先行研究と異なる点は、例えば次のようなシンプルなもので構いません:実験方法は同じだが対象の有機体が異なる、より大きなサンプル数または多様なサンプルで実験を行う、より複雑または高度な分析機器を用いる、異なる地域で同様の調査を行う、など。


以下に2つの例文を示します:
 

  • Although these studies were valuable, they were undertaken when the draft genome sequence had not been available and therefore provide little information on the evolutionary and regulatory mechanisms.(これらの研究に意義はあるものの、これらはゲノムの概要配列が登場する以前の研究であるため、進化機構や調節機構に関する情報が不足している。)
  • Plant response is altered by insect colonization and behaviour but these aspects have been studied mostly in sole crops, whereas the present paper examines the relationship between crops and their pests in an intercropping system.植物応答は昆虫のコロニー化と行動によって変化するが、こういった側面に関する研究はほぼ単一の作物で行われているのに対し、本稿では間作システムにおける作物と害虫との関係を述べている。)


4. 具体的な研究目的で締めくくる


ここまで書いたパラグラフは、具体的な研究目的に論理的につながらなければなりません。研究目的は、詳細に示す必要があります。たとえば、ここまでマラリアの抑制の意義について述べてきたのなら、どのような抑制方法を採用するのか、どのように評価するのかなどを具体的に示してセクションを締めくくらなければなりません。ただし、詳細は方法セクションで述べるため、説明しすぎないようにしましょう。


たとえば、合金における2種類の金属の適切な配合に関する研究で、10種類の配合を検討したとします。この場合、10種類すべてについて言及する必要はなく、「配合の比率は50:50から10:90の間で変化させ検討した」と言えば十分です。


以下に2つの例文を示します:
 

  • We aimed to assess the effectiveness of four disinfection strategies on hospital-wide incidence of multidrug-resistant organisms and Clostridium difficile.病院全体における多剤耐性菌とClostridium difficileの発生に対する4つの消毒法の有効性を評価することを目的とした。)
  • We aimed (1) to assess the epidemiological changes before and after the upsurge of scarlet fever in China in 2011; (2) to explore the reasons for the upsurge and the epidemiological factors that contributed to it; and (3) to assess how these factors could be managed to prevent future epidemics.(本稿では以下のことを目指した:(1) 2011年の中国における猩紅熱急増の前後の疫学的変化を評価すること、(2) 猩紅熱急増の原因とそれに寄与した疫学的要因を探ること、(3) 将来的な流行を防ぐためにこれらの要因をどのように管理できるかを評価すること。)


研究目的の構築にはさまざまな方法があります。一般的には、質問形式にする2、仮説を立てる、不定詞を使うなどの方法があります(上記の2つの例文では不定詞を使っています)。以下に、もっとも一般的な3つの方法を用いた例文を紹介します:


<質問形式>

  • Do some genes in wheat form gene networks? If they do, to what extent as compared to rice?小麦の遺伝子には遺伝子ネットワークを形成するものがあるのだろうか?ある場合、米と比較してどの程度それが行われるのか?)
  • Do the regulatory elements in the promoters of those genes display any conserved motifs?(それらの遺伝子のプロモーターにおける調節エレメントは、保存モチーフを発現するのか?)
  • Finally, and more specifically, do those genes in wheat display any tissue- or organ-specific expression pattern?(最後に、より具体的な問いを投げかけたい。小麦におけるそれらの遺伝子は、器官または組織に特異な発現パターンを示すのか?)


<仮説を立てる>

We decided to test the following four hypotheses related to employees of information-technology companies:
H1: Career stages influence work values.
H2: Career stages influence the level of job satisfaction.
H3: Career stages do not influence organizational commitment.

(我々は、IT企業の従業員に関する以下の4つの仮説を検証した:
仮説1:キャリア段階は仕事への価値観に影響する。
仮説2:キャリア段階は仕事への満足度に影響する。
仮説3:キャリア段階は組織へのコミットメントに影響しない。)


<不定詞を使う>

To examine the response of Oryza sativa to four different doses of nitrogen in terms of 1. biomass production, 2. plant height, and 3. crop duration.4種類の窒素量に対する稲の反応を、1. バイオマス生産、2. 植物の背丈、3. 作物の生育期間について調べる。


 

イントロダクションと考察は、一般的な原著論文におけるほかのセクション(方法、結果)に比べて、書くのが難しいセクションです。イントロダクションを書くときは、この記事で紹介した4段階のアプローチをぜひ参考にしてください。


おまけ:イントロダクションは論文の最初のセクションですが、ここから書き始めなければならないわけではありません。ほかのセクションを書き終えてから書いても構いませんし、最初に書いたものを後で直しても構わないのです。こうすれば、イントロダクションが書きやすくなり、より説得力のある文章が書けるようになるかもしれません。


参考文献:

1. Araújo C G. 2014. Detailing the writing of scientific manuscripts: 25-30 paragraphs. Arquivos Brasileiros de Cardiologia 102 (2): e21–e23

2. Boxman R and Boxman E. 2017. Communicating Science: a practical guide for engineers and physical scientists, pp. 7–9. Singapore: World Scientific. 276 pp.


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Ithenticateについて

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Question Description: 

初めて論文投稿をします。 一度ある雑誌に投稿した所、違うジャーナル(姉妹誌のような)の方が良いと判断されました。そして、そちらに投稿したところ、Ithenticateが41%以下にして再提出しろと言われました。Ithenticateにかけてみると、46%でしたが、著者名や所属名、参考文献も含めてその数字です。言い換えている部分もありますが、固有名詞や参考文献、著者名など不可抗力の部分が多数です。 エディターは、参考文献を考慮したりはしないのでしょうか?参考文献を外すと、指定された41%は余裕でクリアします。 何か対処方法などあれば教えてください。

回答

剽窃は深刻な倫理的問題です。通常、ジャーナルが認めるのは1520%程度の類似度です。編集者は寛大にも41%までを許容するという処置を取っていますが、これはおそらく、著者名と参考資料を考慮した上でのものだと思われます。今回は、ほかのソースからコピーした文章について、(著者名と参考資料以外の)全てのテキストを言い換えることをお勧めします。


関連記事:

方法セクションの書き方

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方法セクションの書き方

論文の方法セクションとは、研究の核心への工程表のようなものであり、著者が目的地に到着するまでにたどった道を読者に案内するためのものです。この記事では、十分な情報が盛り込まれた興味深い方法セクションを書くためのヒントを紹介します。

論文の方法セクションとは、研究の核心への工程表のようなものであり、著者が目的地に到着するまでにたどった道を読者に案内するためのものです。このセクションは、ほかの研究者が実験を再現するための情報、また一般の読者が研究を理解するのに役立つ詳細な情報で構成します。


その説明的な性質から、もっとも書きやすいセクションだと思われがちですが、実はミスが起きやすい部分でもあり、内容の高度な専門性のために、読み直しても誤りに気付かないこともあります。


この記事では、十分な情報が盛り込まれた興味深い方法セクションを書くためのヒントを紹介します。例文では主に生物医学と臨床研究の分野の論文を取り上げていますが、その他の分野の研究者にも役立つ内容となっています。


読者と方法セクションの間の壁を取り除く


まずは、方法セクションが退屈だと思われがちな問題について考えたいと思います。このセクションが退屈に思われやすいのは、試薬や機器の名称、濃度などの数値、専門用語などが羅列されているせいでしょう。以下で、読者と方法セクションとの間にある壁を取り除くための方法を紹介します:


1. 説明:一般的に、方法セクションの段落や節では具体的な実験について述べます。各段落の冒頭で、その実験を選んだ論拠を述べましょう。具体的には、特定の化合物、マウス株、実験モデル、試薬濃度などを採用した理由を説明します。


臨床研究の場合は、試験対象における患者基準・除外基準の詳細をこのセクションの冒頭で述べるのが望ましいでしょう。幅広く採用されている標準的な方法を使った場合は過度な説明は不要ですが、一般的ではないアプローチを使った場合は、その研究デザインを選んだ理由を説明することで、読者の興味を瞬時に引き付けることができます。


2. 視覚的表現:このセクションでは、読者に研究デザインや方法論をよりよく理解してもらうために、概略図、フローチャート、表などを活用することができます。視覚的表現によって、単調になりがちな説明にメリハリがつき、複雑な情報が飲み込みやすくなります。


方法セクションでやるべきこと、やってはいけないこと


ジャーナル編集者や査読者は、最適な方法で研究目的が達成されているかどうかを評価するために、方法セクションを精査します。ここでポジティブな評価を受けるには、実験の詳細を余すところなく盛り込む必要はないものの、実験を行う上での必須手順が適切に示されていなければなりません。


以下に、方法セクションでやるべきこと、やってはいけないことを紹介します:


やるべきこと


1. ガイドラインを順守する:ターゲットジャーナルの投稿規定をよく読んで、指示に従いましょう。たとえば、セクションの見出しを「Materials and Methods(材料および方法)」ではなく、「Patients and the Method(患者および方法)」にするよう規定されていたら、その通りにしなければなりません。また、ジャーナルが非盲検を望まない場合は、機関名を省略する必要があるかもしれません。また、米心理学会などによる特定の書式ガイドラインに従って方法セクションを書くよう求めるジャーナルもあります。


生物医学分野では、すべての重要情報が方法セクションに確実に含まれるように、研究タイプごとのチェックリストを活用すると便利でしょう。幅広く使われている一般的なチェックリストには次のようなものがあります:ランダム化比較試験のためのCONSORTConsolidated Standards of Reporting Trials [臨床試験報告に関する統合基準])、統計群、症例管理、横断的研究のためのSTROBESTrengthening the Reporting of OBservational studies in Epidemiology [疫学における観察研究の報告の強化])、診断精度のためのSTARDSTAndards for the Reporting of Diagnostic accuracy studies [診断精度研究の報告基準])、系統的レビューおよびメタ分析のためのPRISMAPreferred Reporting Items for Systematic reviews and MetaAnalyses [系統的レビューおよびメタ分析のための優先的報告事項])、症例報告のためのCARECAse Report)。


2. 研究のストーリーが分かるようにセクションを構成する:読者が研究の流れ、展開、ニュアンスをつかめるように、行なった実験はすべて論理的に説明されていなければなりません。そのためには、時系列に沿ってそれぞれの方法を説明するとよいでしょう。たとえば臨床試験の場合、まず研究の実施日時(研究をいつ始めていつ終えたか)を説明し、次に被験者の詳細(被験者や患者の数など)、研究デザイン(前向き研究、後ろ向き研究その他)、ランダム化試験(実施した場合)、群への割り当て、治療介入、データの収集、測定、分析に用いた技術を説明するといった順で構成します。


3. 実験と実験結果の順番を統一する:論文の読みやすさや流れを良くするために、それぞれの実験方法の順番と、その実験から得られた結果の順番を統一するようにしましょう。


4. 小見出しをつける:セクションを実験ごとに分割すると、読みやすさが向上します。各実験の目的に小見出しを付けてもよいでしょう。また、各実験の名称を小見出しにしてもよいでしょう。


5. 詳細情報の提示は慎重に:研究デザインやデータ収集の過程で検討した詳細情報を示すようにしましょう。なぜなら、この段階では些細な違いであっても、最終的に結果や解釈に大きく影響する可能性があるからです。読者は、結果の元となる測定方法の妥当性や信頼性に関する情報を知る必要があるのです。信頼性や妥当性を適切に提示できるかどうかは、研究デザインにかかっています。一般的に、先行研究からの情報は、測定方法の信頼性や妥当性を担保する補助資料となります。


使用した材料や機器(試験機や技術装置など)、刺激について述べる際は、慎重に行いましょう。アンケート調査や心理学的評価を行なった場合は、実際に使用したアンケートや評価方法、スケールの検証など、詳細を漏れなく述べる必要があります。


また、サンプルサイズの算出(必要な場合のみ)に関する記述がないという、よくあるミスをしないよう注意しましょう。サンプルサイズは実験開始前に算出するものですが、読者はこの情報から、結果変数の予想変化や、ある信頼区間内でのその変化を検出するのに必要な被験者数を見積もることができます。また、検出力の計算も、方法セクションで触れるべき重要情報です。


6. 倫理委員会からの承認について述べる:該当する場合は、方法セクションの最初の方で、研究が倫理委員会や審査委員会からの承認を受けていることと、患者やその保護者から口頭/書面でインフォームドコンセントを得ていることを述べておきましょう。


7. 変数を明記する:制御変数、独立変数、従属変数だけでなく、研究結果に影響を及ぼし得る剰余変数も示しましょう。たとえば、「研究方法」の書き方を学ぶチュートリアルで、片方のグループには従来の教科書が与えられ、もう一方のグループには双方向型のオンラインツールが与えられたとします。しかし、被験者の中には、すでに方法セクションの書き方に関する知識を持っている人がいるかもしれません。このような予備知識を、剰余変数として考慮する必要があります。


8. 統計分析:統計分析に使用したすべての統計試験、有意水準、ソフトウェアを、このセクションで示さなければなりません。この部分の執筆に当たっては、研究チーム内の生物統計学者と相談するとよいかもしれません。専門家からの助言を受けた場合は、必ずその旨を述べましょう。最後に、使用した統計学的手法を選んだ理由を説明しましょう。たとえば、なぜ片側検定あるいは両側検定を採用したのかを説明します。


やってはいけないこと


1. 周知の情報を詳しく書く:このセクションを簡潔に記述するために、一般的な実験や先行研究で広く採用されている実験を詳細に説明することは避け、具体的な実験に関する参考文献を引用した上で、そのプロセスに従った旨を述べましょう。ただし、研究目的を達成するために標準的なプロセスに一部変更を加えている場合は、その変更の内容と理由を説明する必要があります。


2. 不要な情報を含める:実験結果と関係のない情報は不要です。たとえば、実験材料を入れるのに使った容器の色などの情報に触れる必要はありません。研究に関係のある情報や、影響を与えた情報のみを含めるようにしましょう。


3. ほかの方法に関するメリットやデメリットを述べる:採用した方法がほかよりも優れている点や、ほかの方法を採用しなかった理由に触れてしまいがちですが、それは考察セクションにとっておきましょう。方法セクションでは、採用した方法の詳細だけを述べるようにします。


以上をまとめると、理想的な論文の方法セクションとは、科学的知見が共有されていて研究の頑健性が示されている、透明性のあるものと言えるでしょう。この記事を参考にして、ぜひパーフェクトな論文を書き上げてください!


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2. 原稿の構成

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今回ヒト胚の遺伝子編集に成功したのは、オレゴン健康科学大学のシュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)氏率いる研究チームですが、これ以前にも、中国でがん患者に遺伝子編集細胞を注入するという実験が2度行われていました。その結果、欠陥遺伝子を安全、安価、効果的に修正できることが明らかになっています。

遺伝子編集には、複数の短期的/長期的なメリットが考えられます。研究者らは、嚢胞性線維症に関係したヒト遺伝子を編集するための技術として、CRISPRの使用を検討しています。遺伝子編集によって遺伝性疾患を取り除くことも考えられるほか、絶滅種の復活や、栄養満点で味も良い作物の作成計画も可能でしょう。


しかし、安全性や生命倫理の観点から、遺伝子編集技術にはいくつかの懸念事項があります。遺伝子編集に秘められた大きな可能性と比較的安価なCRISPR技術には、多くの研究者が懸念を表明しており、遺伝子編集の倫理的・法的ガイドラインの制定が模索されています。CRISPR技術を悪用すれば、きわめて大きな危険が伴います。たとえば、何百万人もの人々を殺戮する危険な病原菌を作ることが可能ですし、あるいは、富裕層が理想の子どもを産むために遺伝子を操作する、といった状況が生まれるかもしれません。


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