長期にわたって心血を注いできた学位論文がいよいよ完成に近付き、ゴールが見えてきたら、少々浮き足立ってしまうかもしれません。しかし、論文は可能な限りミスをなくし、ベストな状態に仕上げなければなりません。つまり、校正をしなければならないということです。この記事では、学位論文のミスをなくすための、簡単に実践できるヒントやコツを紹介します。これらは、ジャーナル論文の校正にも応用できます。それではさっそく見ていきましょう!
【校正の準備】
まずは土台作りが重要です。ここでは、論文の校正に着手する前にしておくべきことを説明します。
・校正のための時間を確保する:多くの学生が犯しがちなミスは、校正のための時間を十分に確保していないことです。締め切り前夜まで作業を先延ばしにしてしまう学生が多いですが、これでは校正のための時間が足りません。遅くとも締め切りの1週間前には執筆を終え、焦ることなく落ち着いて校正できる時間を確保しましょう。
・自分の弱みを把握する:校正を始める前に、自分の苦手な部分を把握しておくことも重要です。たとえば、スペリングや文法、句読点などが苦手なら、校正ではこれらを重点的にチェックしましょう。また、眠いときや疲れているときに書いた箇所にはミスがある可能性が高いので、念入りに見直しましょう。
・大きな問題を探す:論文全体に目を通して、未完成の段落や欠落したセクションがないかなど、より大きなミスを探しましょう。冗長な表現や重複があったら、削除しましょう。より読みやすい論文になるように構成を整え、フォーマットを修正しましょう。
【校正のヒントとコツ】
準備が整ったら、以下のアドバイスを参考にしながら徹底的な校正作業を進めましょう。
1. 書式のチェック
論文の書式は、内容と同じくらい重要です。段落分けが適切かどうか、見出しや小見出しの場所が適切かどうかを確認しましょう。また、フォントや参考文献が正しく表示されていることも確認しましょう。
2. 一貫性のチェック
使用する単語や語調が一貫していることを確認しましょう。数か月にわたって論文を書いていると、スタイルに揺れが生じる場合があります。全体を通して、大文字小文字の区別、参考文献の記述、ハイフンの使用などに一貫性があることを確認してください。
3. ガイドやツールを利用する
校正のための実践的アドバイスや校正時の注意事項などを紹介するブログやウェブサイトがたくさんあります。それらを活用して、よくあるミスや頻度の低いミスに関する情報を得ましょう。私がよく参考にしているリソースはこちらです:
Via Writing(文法ミスの発見に便利な文法ガイド)
Let's Go And Learn、Simple Grad(編集作業に役立つ編集関連のガイド)
Cite It In(リライトを行うときに役立つライティングツール)
State Of Writing(ライティング関連の情報を集めたリソース集)
Editage Insights(研究者・編集者・ジャーナルのための、学術出版に関するリソース)
4. 休みながら少しずつ進める
一気に進めると集中力の低下や飽きを招くので、お勧めできません。集中力が低下していると、見つけにくい小さなミスを見逃してしまう可能性が高くなります。
そこで、論文をいくつかのパートに分けて1つずつ着実に校正していくなどして、集中力を保つ工夫をしましょう。こうすると校正に数日を要することになりますが、ミスをそのまま残してしまうことに比べればましです。論文を長時間見続けていると、集中力が低下して効率が落ちるので、必要に応じて休憩しながら進めましょう。
5. Microsoft Wordの機能を活用する
Microsoft Wordは、あらゆる文書の作成に使用されているもっとも一般的なツールです。このツールは、文章の作成だけでなく、校正においても優れものです。言語を「English US」または「English UK」に設定して、「スペルチェックと文章校正」でミスをあぶり出しましょう。また、検索機能を使えば、見つけたミスと同じものがないかを確認することができます。
6. 音読する
音読することで、分かりにくい文章や、修正が必要な箇所を把握しやすくなります。声に出して読むことで、文法やスペリングなどの小さなミスから、文章の構成に関する大きな問題まで、幅広く気づけるようになるのです。これは、論文のミスを減らすための、シンプルで効果的な方法と言えます。
7. 論文を印刷して校正する
校正は、昔ながらの方法で行うのがお勧めです。論文を印刷して、すべてのミスに印を付けてください。その際、ミスの種類によって色分けしてみましょう。画面よりも紙面の方が、はるかにミスを見つけやすいものです。色分けすることで、校正のプロセスをより楽しく効率良く進めることができるでしょう。
8. 剽窃チェックを行う
これは校正とは無関係ですが、他者の論文を無意識に盗用していないかどうかを確認することは重要な作業です。剽窃は非倫理的行為であり、見つかった場合はペナルティを受けます。オンラインの剽窃チェッカーを利用して、先行論文との一致がないことを確認しましょう。一致率は、5%未満を目安にしましょう。
以上のアドバイスを校正作業に活かして、ミスのない完璧な論文を提出しましょう!
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注:本記事の内容は著者の見解であり、必ずしもエディテージ・インサイトが保証するものではありません。