人によっていうことが違うので、教えてください。歴史系、経済史が専門なのですが、ワーキングペーパーに発表して、それと同じものを査読誌に投稿するということは認められるのでしょうか。人によって回答が違うようです。ワーキングペーパーは、査読誌の単語数内におさめようとしたときに、それに収まらない長さのものを発表するために出すとか、多少、視点を変えなければならないとか、要は同じものを出してはいけないという意見がある一方で、査読に非常に時間がかかるので、とりあえず自分がその研究で先行していることを社会に知らしめるためにワーキングペーパーを出しても良いという人もいます。つまり、ワーキングペーパーと査読誌に投稿した最初のバージョンが全く同じでも構わないというわけです。査読誌に投稿しても、確かに査読を受けて修正するので、ワーキングペーパーと査読誌で発表されるものは異なってはきますが、このあたりご意見をいただければと思います。
通常、いわゆるプレプリントあるいはワーキングペーパーと呼ばれる暫定的な論文をarXivなどのレポジトリに掲載し、その後で最終版の論文をジャーナルに投稿することは問題のない行為とされています。しかし、ジャーナルによっては規定が異なる場合もあります。エルゼビア(Elsevier)社のジャーナルでは、プレプリントあるいはワーキングペーパーなどのレポジトリに掲載された論文を出版することに問題はなく、その規定がウェブサイトに明確に記載されています。しかし、この行為を許可せず、そのような論文投稿は受け付けないとするジャーナルもあります。まず、あなたが論文投稿を考えているジャーナルのウェブサイトを確認してみましょう。ジャーナルの許可さえあれば、投稿できます。
その他の点についてですが、もちろんワーキングペーパーを出版することには良い面と悪い面があります。最大のメリットは、自分の研究結果を瞬時に全世界に知らせることができるということでしょう。ジャーナルからの出版は何ヶ月先になるかわかりませんが、それを待たなくてよいのです。しかし、ワーキングペーパーには査読がないため、論文に欠点があるかもしれず、レポジトリに掲載することで否定的なコメントを受け取ることになるかもしれません。重要なのは、ワーキングペーパーが非常に長い場合、簡潔にまとめ直してから投稿する必要があるという点です。必ずしも異なった視点を提示する必要はありません。ジャーナルが規定する制限字数やフォーマットに従ってさえいれば、内容は同じでも問題ありません。