あるジャーナルに論文を投稿したところ、ジャーナル編集者から以下のような返信が届きました:
「貴論文は次の一文で締めくくられています。『これは、C. coffeicola菌によってコーヒーの葉にできた褐斑として最初の事例であることに間違いない』。しかし、以前にも指摘したことがあるのですが、真菌データベース・ウェブサイト(http://nt.ars-grin.gov/fungaldatabases/index.cfm)に、中国でのCercospora coffeicola(褐斑病)の記録があります。主要な参考文献はXXです。C. coffeicolaは数種のコーヒーの葉で確認されていることが複数の文献に記載されています。これらの文献を引用し、評価することが必要不可欠です。あなたの論文に新奇性があることが示されなければ、受理はできません。」
私はどうしたらいいでしょうか?
同じテーマについての先行研究がすでにあることを指摘されたのですから、それを考慮する必要があるのは明らかです。同内容の論文がすでにあるなら、あなたの研究結果に新奇性があるとはいえませんから、「コーヒーの葉の褐斑として最初の事例である」と主張するわけにはいかないでしょう。ジャーナル編集者が教えてくれた研究を引用しましょう。これは、あなたの文献レビューに不備があったことを示すものです。研究テーマに関連した先行研究を、くまなく探すことができていなかったということです。
「コーヒーの葉の褐斑として最初の事例である」という点だけがあなたの研究の新奇性なのであれば、文献調査に戻り、埋めるべき研究の穴がないかを探し、追加の実験を行なってその結果を組み込むなどして、まったく別の新しい研究にするほかはありません。その場合、おそらく論文全体を書き直さなければならないでしょう。または、あなたの論文を追試(再現研究)と位置づけて、先行研究を引用・考察して同じ研究を行い、結果の同一性や類似性を報告するという方法もあります。こうすれば、先行研究が再現可能であることを証明し、その主張の正当性を立証することができます。
あるいは、あなたの研究に、まだはっきりとは見えていない、新奇性のある結果が隠されている可能性もあります。それは副次的な結果だったり、思いもよらない角度から見なければわからないことだったり、まとめ方の不備によって重要性が見落とされていた面だったりするかもしれません。そうであれば、論文の焦点や構成方法だけを変えればよいという場合もあります。必要な変更を加え、その結果に焦点を当てて関連部分を書き直し、編集者のコメントの一つ一つに対応した回答を添えて、同じジャーナルに論文を再提出しましょう。その際、編集者のコメントに含まれていた先行研究を必ず引用し、研究結果をそれらに関連づけて分析するようにしましょう。