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論文掲載後の著作権にまつわるあれこれ

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論文掲載後の著作権にまつわるあれこれ

自分で執筆・編集をした論文であっても、一旦ジャーナルに投稿され受理されると、その著作権はジャーナル側が持つことになります。唯一の例外は、OA(オープンアクセス)での出版です。では、自分の論文を再利用したい場合はどうすればよいのでしょうか?

 [本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]

自分で執筆・編集をした論文であっても、一旦ジャーナルに投稿され受理されると、その著作権はジャーナル側が持つことになります。唯一の例外は、OA(オープンアクセス)での出版です。では、自分の論文を再利用したい場合はどうすればよいのでしょうか?

自分の権利について理解するため、論文投稿前に、必ず著作権譲渡契約書(copyright transfer agreement, CTA)に目を通すようにしましょう。CTAは、著者の著作権のほか、論文を再利用する際のルールについて解説しています。

本記事では、ウォルターズ・クルワー社のジャーナルを例に、著作権に関するあらゆる側面について解説したいと思います。


自分の権利を知ろう

論文出版後にしてもよいこと・してはいけないことを知るためには、論文を投稿する際に著作権譲渡契約書(CTA)を読むことが重要です。CTAには、著作権の所有者や、出版物を再利用する際のルールが明記されています。例えば、あなたの論文がウォルターズ・クルワー社のジャーナルに掲載された場合、非商業活動(学会発表など)のためにその論文の一部を再利用することは可能です。論文の一部(画像、図、抄録、引用などを各1点ずつ)を学術的なニュースレターで再利用することも可能です。ただし条件として、ニュースレターの発行やアクセスは100回まで、また論文のコピーは部分的に100部までとされています。

論文全体の再利用が許されるのは、他言語に翻訳して他誌で再掲載する場合や、学会やセミナーでの発表(コピーは100部まで)、研究機関のレポジトリへの採録、個人ブログへの掲載(CTAによる公開猶予期間(エンバーゴ)は通常12ヶ月)、手を加えずにそのまま学位論文に利用する場合です。

再利用に際し、ウォルターズ・クルワー社から許可を得なければならない場合もあります。もし再利用が商業目的や利益目的ならば、たとえ製薬会社が資金を提供する教材であっても、使用許諾費が発生します。


許諾申請

ウォルターズ・クルワー社のジャーナルに掲載された論文の再利用を許諾申請するときは、RightsLinkから行います。ジャーナルのウェブサイトかOvid.comで自分の論文を検索し、論文タイトルの下またはArticle Toolsのページの右側にある“Request Permissions(許可申請)”をクリックするだけです。

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“Request Permissions”をクリックすると、許諾申請のための書類が出てきます。書類の作成に助けが必要な場合は、Copyright Clearance Center (CCC) (customercare@copyright.com)またはウォルターズ・クルワー社の許諾チーム(lwwjournalpermissions@wolterskluwer.com)に連絡してください。

                                copyright                                                    

ソーシャルメディアと著作権

自分の論文をソーシャルメディアで共有する際に、著作権はどう関わってくるのでしょうか?ウォルターズ・クルワー社は、著者がソーシャルメディアを使って論文掲載を告知することを奨励しています。著者は、論文タイトルを投稿・ツイート・シェアすることができ、ジャーナルのホームページにある論文の抄録のハイパーリンクを使用することができます。こうすれば、誰でも自由に抄録にアクセスできます。ただし、CTAはResearchgateなどのソーシャルネットワーク上に論文全体を投稿することを許可していませんので、注意が必要です。


OAジャーナルに掲載された論文の著作権は?

OAジャーナルに掲載された論文の再利用を申請する際のルールは、以下の表を参照してください。ジャーナルのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスは何なのか(下表User License欄を参照)を必ず確認し、論文処理費用が必要であれば支払います。例えばCC-BY-NC-NDのユーザー・ライセンスは、著者に対する保護がもっとも厚く、著者の許可なしに論文に手を加えることは一切許可されていません。

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STMガイドライン

あなたの著作物を出版したジャーナルや出版社が、学術出版の国際的組織であるSTMの会員であれば、新しい論文で本文のごく一部やいくつかの画像や図を再利用することが可能です。STMはガイドラインを作成し、出版社間で一定の文章や画像・図を相互に使用することを認めています。出版社がSTMガイドラインを利用しているかどうかは、次のウェブサイトで確認できます。http://www.stm-assoc.org/copyright-legal-affairs/permissions/permissions-guidelines.


ご質問はありますか?

出版された論文の一部または全部をシェアしようとする場合は、著作権上の権利について知っておくことが重要です。ただ、少々分かりにくいところもあります。著作権や許諾に関するよくある質問を、こちらからご覧ください。http://www.lww.com/Home/opencms?id=JournalPermission

 


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