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IETは世界の工学コミュニティにどのように情報を提供し、刺激と影響を与えているか

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IETは世界の工学コミュニティにどのように情報を提供し、刺激と影響を与えているか
イアン・ストーンハム (Ian Stoneham)氏は、工学技術コミュニティのニーズに対応する最先端の国際的専門学会、英国工学技術学会(The Institution of Engineering and Technology, IET)出版部の発行人で、IETの研究や速報を扱うジャーナルおよび学術書籍全般を統括しています。その中には、ハイブリッドの研究ジャーナルが27誌、完全なOAジャーナルが1誌、専門的参考書籍シリーズ、会議録が含まれます。また、工学分野のアブストラクトと索引のデータベースであるInspecのコンテンツ採録戦略の管理も行なっています。ストーンハム氏は20年以上に渡って様々な出版業務に携わり、最近では、Faculty of 1000 や CMG/Springer Healthcareの出版にも関わっています。また、マーティン・ダニッツ(Martin Dunitz)社とテイラー&フランシス社では販売にも携わりました。

イアン・ストーンハム (Ian Stoneham)氏は、工学技術コミュニティのニーズに対応する最先端の国際的専門学会、英国工学技術学会(The Institution of Engineering and Technology, IET)出版部の発行人で、IETの研究や速報を扱うジャーナルおよび学術書籍全般を統括しています。その中には、ハイブリッドの研究ジャーナルが27誌、完全なOAジャーナルが1誌、専門的参考書籍シリーズ、会議録が含まれます。また、工学分野のアブストラクトと索引のデータベースであるInspecのコンテンツ採録戦略の管理も行なっています。ストーンハム氏は20年以上に渡って様々な出版業務に携わり、学術出版業界の事業運営および事業管理に対する理解を深めました。最近では、Faculty of 1000CMG/Springer Healthcareの出版にも関わっています。また、マーティン・ダニッツ(Martin Dunitz)社とテイラー&フランシス社では販売にも携わりました。


全2回のインタビューシリーズ第1回目の今回は、IETの展望、使命、学術出版関係者向けサービスについて詳しくお聞きしました。IETの目的は、現代の工学研究者や技術者に、コンテンツやデジタル形式の機能・ツールなどの各種サービスや製品を提供することです。ストーンハム氏は、これらの主要な目標をIETが達成する方法について語ってくれました。


IET出版部の概要について教えて頂けますか?IET出版部の特徴を3つ挙げるとしたら、何でしょうか。

IET出版部は、工学研究者や技術者の研究と情報のために、高品質で内容豊富な工学・科学・技術分野の情報源を提供しています。IETのリソースは、IET.tv、Inspecデータベース、電気規格・基準認証に関する出版物、E&T magazine、研究ジャーナル、会議録、専門的な参考書籍など、印刷からデジタル、映像に至る全メディア形式を網羅しています。IETのジャーナル29誌では、レター・研究・OAジャーナルの形式を扱っており、電気・電子工学、コンピューター、制御、医療技術、コミュニケーション技術の各分野を包括的に網羅しています。IET出版部の目的は、現代の工学研究者のニーズに合ったコンテンツやデジタル形式のプログラム機能・ツールを、様々なサービスや製品として提供することです。IETの使命は、「グローバルな工学コミュニティに情報を提供し、刺激と影響を与えて、社会のニーズに合った技術革新を支援する」というもので、すべての出版活動はこの使命を遂行するために行われています。弊社のジャーナル・書籍・参考書・雑誌にはインテリジェント工学のコンテンツもありますが、これは情報を提供し、刺激と影響を与えるというIETの使命を達成するためです。


著者がIETのジャーナルで論文を発表するメリットは何でしょうか。

IETデジタルライブラリー(IET Digital Library)を通して、論文を世界の幅広い読者の目に触れさせて、発見され引用される機会を得られることがメリットではないでしょうか。IETデジタルライブラリーは、研究者に多くの利益をもたらします。弊社から出版した著者は全員、出版後6ヶ月間、自分の論文に無料でアクセスできるリンクをもらえます。さらに、論文が出版される号の刊行を待たなくても、準備が整い次第すぐに論文をオンライン掲載する「e-first」出版という形式があります。この形式でも、論文の閲覧や引用が可能です。ですから、IETで出版することで、論文の露出度が世界規模で高まり、よりアクセスしやすくなるはずです。


IETデジタルライブラリーについてもう少し詳しく教えていただけますか?

もちろんです!IETデジタルライブラリーは、主にジャーナル、電子書籍、会議録などの多くの出版コンテンツが収録されているオンラインプラットフォームで、頻繁にアップデートや拡張が行われています。取り扱っているテーマはIETらしいもので、アーカイブには、古くは1872年のものから、全部で15万本以上の論文が収録されています。コンテンツは、購読ベース、無料、OA、あるいは閲覧毎の支払いでアクセスが可能です。デジタルライブラリーのインターフェースはユーザーフレンドリーで、情報の迷路をさまようことなく、必要な文献をぴたりと見つけることができます。私たちは、発表された研究論文を、見つけやすくアクセスしやすいものにしようと考えているのです。


IET Inspecとは何ですか?どのような仕組みでしょうか。

IET Inspecはアブストラクトと研究のデータベース索引で、物理学、電気・電子工学、コンピューターと制御、情報技術、生産、製造、機械工学、その他多くの学際分野の110年以上の情報を網羅しています。出版形式はジャーナル、会議録、書籍、ビデオがあり、最近では学位論文も含まれています。IET Inspecは、これらの分野の研究を発見されやすくする、最も信頼性の高い情報源です。工学コミュニティにおけるグローバルなリソースとして、各領域内の専門性、品質と評価、コンテンツのインパクト、知的選別機能においては、他の追随を許しません。また、一貫性を保ちつつ進化を続けるサービスを確実に提供できるよう、専門家による分類・索引化が行われています。1600万件以上のデータを収録する豊富なコンテンツだけでなく、必要な重要情報の手がかりを手軽に素早く検索し、その所在を容易に探し当てて利用することができる点が魅力でしょう。タイムズ紙によると、Inspecは、世界ランキングで上位100位に入っている工科系大学のうち、76大学で利用されており、企業や政府機関のユーザーからも高い評価を得ているということです。


専門的学術団体としてのIETの使命は「グローバルな工学コミュニティに情報を提供し、刺激と影響を与えて、社会のニーズに合った技術革新を支援する」というものですが、この使命の下、IETはどのように進化したのでしょうか。

IETは、2006年にInstitute of Electrical Engineers (IEE) とInstitute of Incorporated Engineers (IIE)の合併によって生まれました。以来、私たちは電気エンジニアの基盤から始まり、工学の応用分野全体をカバーするようになりました。最新の取り組みであるThe Journal of Engineeringは、土木工学や機械工学を含む全領域を扱うジャーナルです。また、医療分野での工学・技術の進展を扱うHealthcare Technology Lettersもあります。The Journal of Engineeringは、研究者のOA出版を資金援助するようにという英国政府の方針を受け、OAジャーナルとして開始しました。このジャーナルによって、従来の方法で論文を発表するだけでなく、初期段階にある研究やケーススタディ、レビュー論文を新たな方法で発表できる道が研究者に開かれました。また、そのような論文にオンラインでアクセスすることも可能となりました。

さらに、弊社のビデオ・プラットフォーム(プログラム)であるIET.tvは、プレゼンテーション、セミナー、学会発表などを一部無料で提供しています。研究者は、必要に応じて料金を支払えるプリペイド方式(トークン)のKnowledge Packsを利用することもできます。この方法では、購読せずに必要に応じてコンテンツにアクセスすることができます。共同出版協定を結ぶことによって、研究者に提供できる新しいコンテンツや書籍のプログラムも増えており、IETは様々な方法でその使命を達成しようとしています。


今後数年間のIETの出版計画には、どのような展開や変化が期待できそうでしょうか?

私たちは専門家団体として、価値ある各種コンテンツを統合できる新しい方法を常に探しています。

例えば、最近開始したIET.tvという最先端のプラットフォームでは、約8000本にのぼる工学関連のプレゼンテーション、ビデオ、セミナーの視聴が可能で、アクセスも簡単です。ウェブサイトのデザインは、反応性と順応性に優れています。コンテンツの多様さ、利用可能なメタデータの水準など、すべての面において、あらゆる種類の研究や情報にエンドユーザーがアクセスしやすいよう気を配っていることがお分かり頂けると思います。

現在、IET Inspecの見直しも行なっています。すでに40年以上の歴史がありますが、定期的にレビューを行なって、現代の市場に適応していることを確認しています。シソーラス(類語辞典)の統合性を維持するために、アブストラクトの流れができるだけ効率的になるようにし、研究者が目当てのものをより一層簡単に見つけられる検索機能にできるよう努力しています。

重要な研究を広めて見つけられやすくするツールを著者や研究者に提供したい、というのが我々の願いです。(世界中の研究者と協力しながら、出版された研究の可視性とインパクトの最大化に努めている)Kudosエディテージとの提携により、IETから出版するメリットはさらに増えています。

先に述べたように、最近、論文が出版された著者全員に「著者URL」(“author url”) を送付することになりました。著者は、6ヶ月間はそのリンクを誰にでも送ることができ、そのリンクがあれば、該当するコンテンツに無料でアクセスすることができます。私たちは、研究者と積極的に関わってフィードバックをもらい、研究での利用や引用に関する支援を行なっています。

また、工学コミュニティのニーズにさらに迅速かつ包括的に応えるため、IET出版部は他の組織や専門機関との戦略的な提携を進めています。国際的な側面を強化する手段として、中国電子学会(Chinese Institute of Electronics)と提携してthe Chinese Journal of Electronicsを発行しました。また、IET と中国電力科学研究院(China Electric Power Research Institute、CEPRI)との提携から生まれた新規OAジャーナル、High Voltageはまもなく発行されるので、とても楽しみにしています。このように、IETでは様々な新しい取り組みが始まっており、私も胸が高鳴るような新しい展開に注目しています。

 


これでインタビュー第1回は終了です。次回は、現在の学術出版の傾向についてストーンハム氏の見解を伺います。


情報開示:エディテージはIETと提携し、IETのジャーナルに投稿する著者に英文校正・編集サービスを割引料金で提供していますが、本インタビューはエディテージ・インサイトによって独自に行われたものであり、金銭的な利益相反はありません。


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