査読者はCMEクレジット (Continuing Medical Education, 生涯医学教育) を申請することができますが、査読に漏れがなく完璧だとみなされないと、認められません。完璧で漏れのない査読とはどのようなものでしょうか。何か形式のようなものがあるのでしょうか?基準を満たしていない査読を行なった査読者に対して、どうしてだめだったのか、次回はどうしたらよいかを、どのように説明したらよいでしょうか。
国際科学編集者会議(CSE)の出版倫理に関する白書では、査読者の責務について以下のように記されています。
- 研究の利点と科学的価値について、偏りのないフィードバックを行う。
- 論文の構成・明瞭さ・科学的正確さ・独自性、および対象読者層への関連性を評価する。
- 論文原稿に対し、思慮深く、公平で、建設的かつ有益な評価を行う。
- 個人的なコメントや批判は避ける。
- 査読プロセスの機密を保持する。
- インフォームドコンセントの欠如や二重投稿など、倫理面での懸念がある場合は編集者に伝える。
これらの基準に照らし合わせると、完璧で漏れのない査読には、以下の要素が含まれると思われます。
1. 論文原稿について理解したことの要約。
2. 論文に対する全般的な印象。(例 分野の既存知識に貢献する。対象読者の興味を引く。など)
3. 具体的な点に関するコメント。主要なものと些末なものに分けるのが理想。
- 主要な点に関するコメントでは、論文の各セクションの内容や、論文の構成/流れについて具体的なコメントや提案を行い、裏づけとなるエビデンスや例を示す。
- 些末な点に関するコメントでは、図のラベリングの間違いや、スペリング/文法のミス、文体/フォーマットの問題などを指摘する。
4. 編集者のみに宛てたコメントリストを別に用意する。
5. 剽窃やデータの改ざん、その他の倫理違反が疑われる場合は編集者に報告する。
6. 編集者に、アクセプト、リジェクト、要修正(メジャーあるいはマイナー)を提案し、その理由も添える。
求められる基準を満たしていない査読者には、資料を添えて、模範的な査読報告書のサンプルを提供するとよいでしょう。機密保持に反するため、実際の査読報告書は見せられませんが、見本として報告書のサンプルを作成することは可能です。もう1つの方法として、ひな形を作って査読プロセスを標準化することも考えられます。査読用にそのようなひな形を用意しているジャーナルは多数あります。ひな形には、査読者にコメントしてほしい点をすべて含めておきます。さらに、査読の仕方や査読報告書に含めるべき内容が分かる資料を提供することもできます。以下に、そのような資料の例を挙げておきます。
http://www.editage.com/insights/series/tips-for-first-time-peer-reviewers