学術誌での研究成果の発表は研究者にとって重要なことですが、科学情報を日々のコミュニケーションの流れに取り込むことはより重要かもしれません。今日では、その手段としてソーシャルメディアが使われています。この記事では、自分の研究成果をソーシャルメディアで効果的にアウトプットし、その成果を追跡するための方法を紹介します。
[本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]
・共著者:ジャクリーヌ・マクグラス(Jacqueline McGrath, M. PhD, RN, FNAP, FAAN)、デブラ・ブランドン(Debra Brandon, PhD, RN, CCNS, FAAN)
・共同編集: Advances in Neonatal Care誌
学術誌での研究成果の発表は研究者にとって重要なことですが、科学情報を日々のコミュニケーションの流れに取り込むことはより重要かもしれません。今日では、その手段としてソーシャルメディアが使われています。この記事では、自分の研究成果をソーシャルメディアで効果的にアウトプットし、その成果を追跡するための方法を紹介します。
ソーシャルメディアを使って研究成果の可視性(露出度)を高めましょう。まずは自分のアカウントを持つところから始めます。アカウントを公私で併用する場合は、誰がそれを見ているかに注意が必要なので、私用と公用に分けた2つのアカウントを持っておくことをお勧めします。どのようなタイトルをつけるか、誰を友達として招待するか(誰と繋がるか)は、それぞれのアカウントごとによく考えましょう。フォロワーは、アカウントごとに異なる場合もあれば、相手との関係によっては、両方にフォローしてもらえる場合もあるでしょう。アカウントを手に入れたら、週に2、3回、自分の考えを投稿してみましょう。たとえば、専門が家族中心医療(family-centered care)であれば、そのテーマに関連した画期的な発見が行われるたびに投稿を行います。週に3回投稿するとして、1回は自分の研究成果、2回は他の研究者による最新の研究や臨床試験の結果を投稿してみてください。このような形で、専門分野でのコミュニケーションを始めてみましょう。最新の研究情報は、Google アラートやお気に入りのジャーナルから入手できます。ジャーナルのウェブサイトでは、各論文にソーシャルメディアと直接つながるシェア用リンクがはられていることが多いので、好きな情報を簡単にシェアすることが可能です。(下の画像を参照)
ページの右側はシェアセクションになっており、たとえばFacebookにログインしている状態でページ上の「like(いいね!)」ボタンを押せば、自分のFacebookページにその記事が公開されます。このように、ある記事のページから直接シェアできるのでとても簡単です。
この方法で投稿するときは、その投稿にウェブページがリンクされていることを確認しましょう。投稿したい情報が決まったら、読者に興味を抱かせるような1、2文を添えてください。自分が投稿する内容についてしっかり理解しておくことが重要です。あなたがどのような情報を伝えたいのか、読書にどのようなメッセージを受け取ってもらいたいのか、よく整理したうえで投稿しましょう。
研究成果をソーシャルメディアで追跡しましょう。成果の追跡とは、自分の投稿に付いた「いいね!」やコメント数をただ数えることだけではありません。その投稿がどのようにシェアされ、拡散されていったのかを追跡することもまた重要です。Advances in Neonatal Careなどの多くの学術誌を出版するウォルターズ・クルワーは、オルメトリクス(Altmetrics)という指標を導入しています。オルメトリクスとは、ジャーナルに掲載された個々の論文がソーシャルメディア上でどのように閲覧されているかを把握するための、ソーシャルネットワークを使った追跡方法の1つです。下の画像は、Advances in Neonatal Care のウェブサイトの論文ページでオルメトリクスのウィジェットがどこにあるかを示しています。
円をクリックすると、下のようなページが表示されます:
オルメトリクスのウィジェットは、その研究がソーシャルメディア上でどのようにシェアされているかを示しています。どこで何回シェア、またはコメントされたのかといった情報とともに、その論文がソーシャルメディアの世界でどれほどのインパクトを持ったのかを概観することができます。さらに、ウィジェットをクリックすると、より詳細な情報(その記事がどこで誰にシェアまたはコメントされたのか)を得ることができます。ソーシャルメディアに積極的に投稿してコメントをもらい、自分の研究成果の露出度とインパクトを高めていきましょう。
*本記事は、以下の論文から抜粋して画像を加えたものです。
McGrath, Jacqueline M. PhD, RN, FNAP, FAAN; Brandon, Debra PhD, RN, CCNS, FAAN. “Scholarly Publication and Social Media: Do They Have Something in Common?” Advances in Neonatal Care. August 2016 - Volume 16 - Issue 4 - p 245–248. doi: 10.1097/ANC.0000000000000319