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エルゼビアの論文シェアに関する新方針、反OA的との批判

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エルゼビアの論文シェアに関する新方針、反OA的との批判

エルゼビア社が、「ジャーナル論文のシェア及び提供に関する方針」の改定を発表しました。ところが、論文への即時アクセスや自由なシェアを阻害するものであるとして、新方針への批判が寄せられています。

2015年4月30日、エルゼビア(Elsevier)社は同社におけるジャーナル論文のシェア(共有)及び提供に関する方針の改定を発表しました。この方針は、エルゼビアのジャーナルに投稿され出版された論文を、出版プロセスの各段階、すなわち投稿前、受理後、出版後、そして公開猶予期間(エンバーゴ)後にどのような形でシェアすることができるかを規定したものです。新方針によると、最長48ヶ月という長期に渡る公開猶予期間が設定されているジャーナルが何誌か見られます。また、著者はレポジトリに登録する各論文に対して「非商業および非派生研究」の認可を求める申請を行わなければならず、論文のシェアは個人間、つまり「同僚あるいは招待によって閲覧可能なオンライン・グループ」に対してのみ許可されると規定されています。この規定で注目すべき点は、本方針は「過去に出版された全論文および今後出版される論文全てに対して」適応されるという内容です。

エルセビアが発表した記事では、本方針は「より明確になり、出版業界全体と歩調を合わせた枠組みを提供」するものであり、また「協力とシェアを支援することで、研究者に対して出版プロセスの価値を最大化するものである」と述べられています。一方、オープンアクセス(OA)の推進者や司書は、本方針は論文への即時アクセスや自由なシェアを阻害するものであるとして批判しています。

エルセビアの論文共有方針の改訂に対して批判の声を強めているのは、Confederation of Open Access Repositories (COAR)Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition (SPARC)です。SPARCは、同方針を以下のように非難しました。

「本方針は、重要な研究論文に対する開放的な共有に向けて、これまで協調して進めてきた歩みを大きく後退させるものである。SPARCは、情報へのアクセスが発見をもたらし、革新を促し、教育の質を向上させるという原則をモットーとする団体として、学術論文へのバリアフリーな即時アクセスと再利用を可能とする方針・実践の適用を、長期にわたって支援してきた。エルセビアの新方針は、OAを目指すグローバルな潮流と真っ向から対立するもので、研究結果を公に共有することで得られる利益を損なうものにほかならない」

COARは、Creative CommonsやElectronic Frontier Foundationなどを含む32団体と共に抗議運動を展開しました。また米国、オーストラリア、カナダ、中国、ブラジル、英国などの図書館やOA関係団体は、エルセビアの新方針に反対する嘆願書に署名しました。

しかしながら、エルゼビアは新方針に対する批判を認めていません。エルゼビアのアクセス・サービス局長アリシア・ワイズ(Alicia Wise)氏は、「研究機関および幅広い研究コミュニティから中立的~肯定的な反応」があったとし、「COARがこれほど否定的な見解を持つに至って少々驚いている」と述べています。新方針に関する事実関係を整理した上で、ワイズ氏は「方針の変更は、著者及び提携機関からのフィードバックに基づいて行われたものであり、STM論文の共有規定に準拠している」と述べた上で、「これらの点あるいは他の点について、喜んで対話をするつもりだ」と付け加えています。

エルゼビアが批判について検討し、OA出版の基本原則に沿って方針を改革するのかどうか、今後の動向が注目されます。


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