科学の中心地として重要な役割を担うようになっている東アジアは、科学に優先的に投資を行なってきた国々と肩を並べるまでに成長しています。科学的成果物の発信や科学への投資で世界をリードする中韓に加え、その他のアジア諸国も急速な進歩をとげています。
科学の中心地として重要な役割を担うようになっている東アジアは、科学に優先的に投資を行なってきた国々と肩を並べるまでに成長しています。Nature誌の記事によると、韓国は国内総生産(GDP)の4.24%を科学技術に投資しており、この割合は欧州の先進諸国や、イスラエル、米国に匹敵するものです。
科学的成果物の発信や科学への投資で世界をリードする中国と韓国に加え、その他のアジア諸国も急速な進歩をとげています。Nature誌で特集されていた記事の詳細を以下にまとめます:
- 科学への投資:科学への投資で東アジアをリードするのは、韓国、台湾、マレーシア。中でも韓国は研究開発への投資を倍増させている。韓国を追う台湾も、科学技術に多額の投資を行なっている。
- 政府投資と民間投資:民間企業による投資がもっとも多いのは台湾と韓国。シンガポール、香港、マレーシアの研究開発投資の半分は企業によるもの。
- 研究コミュニティ:東アジアの科学労働人口(研究者)の大半は韓国、台湾、シンガポール出身者(中国、日本は除く)。その後を、マレーシア、香港が追っている。
- 女性の割合:研究界における女性の割合については世界中で議論がなされており、多くの国と同様、アジアでも男性が過半数を占めている。ただし、マレーシアでは国の科学労働人口の50%を女性が担っている。
- 論文出版件数:台湾の論文出版件数が下降する中、韓国は著しい増加を見せており、その数は6万5000件にのぼる。僅差で後を追うマレーシアも、その数を急増させている。
- 被引用指数(Citation impact):国際共同研究の事例が多い香港とシンガポールは、今や被引用指数で米英を上回り、世界をリードしている。被引用指数の世界平均が1であるのに対し、香港とシンガポールは1.8という高い数値を示している。
- 研究機関ランキング:Nature誌は、過去10年間で4500本以上の論文を出版して被引用指数を上昇させた研究機関を分析した。分析の結果、上位を占めたのは、香港、マレーシア、台湾の機関で、韓国の成均館大学校、ソウル大学、浦項工科大学校も上位に名を連ねた。香港の大学で上位を占めたのは、香港科学技術大学、香港中文大学、香港城市大学。
これまで長きにわたって研究界をリードしてきたのは西洋諸国でしたが、東アジアはこの数十年で、科学技術のあらゆる面で前例のない進歩をとげました。西洋と肩を並べるまでに成長した現在も、目覚ましい発展を続けています。
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