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責任著者の役割(論文投稿後)

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責任著者の役割(論文投稿後)

論文の責任著者(コレスポンディング・オーサー)が、論文投稿後や論文出版後に果たすべき役割について説明します。また、責任著者という役目を効果的に果たすために必要な資質についても取り上げます。

本記事の前半では、論文の責任著者(コレスポンディング・オーサー)を務めることの意味と、責任著者が論文投稿前に果たすべき役割について取り上げました。後半の今回は、論文投稿にすべきことを説明します。また、責任著者という役目を効果的に果たすために必要な資質についても取り上げます。


論文投稿後に責任著者が果たすべき役割
 

  • 中継ぎになる:論文投稿後、責任著者にはジャーナルと共著者をつなぐ役割があります。ジャーナルの意思決定はすべての著者に伝えなければなりません。査読コメントへの対応方法については、各著者の意見を請いましょう。複数の著者が部分的に参加している論文では、責任著者がすべての査読コメントに回答するのは難しいと思います。このような場合は、各コメントに対して責任を負う共著者に、回答を分担してもらいましょう。
  • 期限を厳守する:ジャーナルから論文の修正と再投稿を求められた場合や質問を受けた場合は、設定された期日を厳守しましょう。
  • 完璧な修正版を投稿する:徹底的な校正を行い、修正版にミスがないことを確認しましょう。
  • 再投稿パッケージ一式を投稿する:修正版を投稿する前に、ジャーナルからの質問や指摘された問題に、体系的かつ適切に対処できているかどうかを確認しましょう。対処できていない問題がある場合は、再投稿レターでその理由を説明しましょう。
  • すべての著者から再投稿の承認を得る:修正した論文の最終版は、すべての共著者からチェックを受け、再投稿の承認を得る必要があります。責任著者として、その承認を書面として残しておきます。この承認書は、ジャーナルにも送っておくとよいでしょう。
  • 著者情報をアップデートする:共著者の所属先や関連情報に変更があった場合、責任著者はその情報をジャーナルに伝えます。


論文出版後に責任著者が果たすべき役割


責任著者としての仕事は、論文が出版された後も続きます。論文を読んだ研究者や企業から、質問や意見がメールで寄せられることがあります。研究グループまたは共著者の1人との将来的な共同研究の相談や、論文の特定箇所に対する賛同/異議の表明、不備の指摘など、さまざまな反応があるでしょう。寄せられたすべての反応への回答者として責任著者が適任とは限りませんし、共著者は論文にどのような反応があったのかを把握しておく必要があるため、やり取りは、すべての共著者と共有しておきます。


以上が、論文の出版前後で責任著者が果たすべき役割です。これらを踏まえて、理想的な責任著者の人物像や資質について考えていきましょう。


責任著者が持つべき資質とは?


責任著者という役割は、管理職的な側面が多く含まれ、大きな責任が伴います。論文に関するコミュニケーションは、責任著者が先頭に立って行わなければなりません。したがって、問題発生時も、責任著者が論文の代表者として矢面に立つことになります。責任著者とは、以下の条件を満たす人物です:
 

  • すべての共著者とジャーナルとのコミュニケーションに責任を負い、コミュニケーションの透明性を確保できる
  • トラブルが発生した際に、チームの代表者として論文の責任を負う覚悟がある
  • 各共著者の仕事をとりまとめ、一貫性のある論文に仕上げる執筆能力がある
  • 細部に気を配ることができ、ミスをしない
  • 共著者の所属先やメールアドレスなどの変更に対応できる
  • ジャーナルとのコミュニケーションをそつなく円滑に進められる
  • 若手研究者が業務をやり遂げられるよう、上級者として働きかけられる
  • 出版プロセスに関する十分な経験がある
  • すべての研究ファイルを少なくとも6年間は保管できる安定性がある


忘れてならないのは、責任著者は、論文のすべての共著者の代表であるということです。責任著者は論文の「声」です。すべての共著者の声を反映して、共著者らがすべての意思決定に関わっていることを確認する大きな責任を負っています。理想的な責任著者とは、細部に気を配り、倫理観が強く、完全な透明性を持ってジャーナルや共著者とのコミュニケーションを進めることができる人物です。


この記事が、責任著者が果たすべき役割についての理解する助けになれば幸いです。


補足:共同研究が増加の一途をたどる昨今では、論文に寄せられるすべての質問に対し、(専門分野が異なることもあるため)1人で対応するのは困難です。そのため、論文によっては責任著者を2人以上設定できる場合があります。しかし、この設定を認めているジャーナルは決して多くありません。著者の1人が論文の保証人(guarantor)になるよう求めるジャーナルもあります。保証人は、出版前後を通じて、論文がジャーナルの方針に沿っているかどうかを確認する必要があります。また、研究や論文の倫理的側面に対する責任を負います。このようなケースでは、責任著者は、その他の管理的責務を担い、共著者やジャーナルとのコミュニケーションが透明かつ円滑に進められるよう努めます。


記事前半:責任著者の6つの役割(論文投稿前)


参考資料:


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