研究者たちは、増加の一途をたどるハゲタカ出版社やハゲタカジャーナルへの警戒を強めていますが、最近では「ハゲタカ学会」という新たな脅威が出現しています。疑わしい学会であるかどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか。
研究者たちは、増加の一途をたどるハゲタカ出版社やハゲタカジャーナルへの警戒を強めていますが、最近では「ハゲタカ学会」という新たな脅威が出現しています。研究者が学会からの発表依頼や招待状を受け取るケースが各分野で増えていますが、その多くは、偽の出版社や学会運営者が登録料で利益を得るために学術会議を装っているものです。彼らの主なターゲットは、まだ警戒心の弱い若手研究者です。発表予定者や出席予定者に、何らかの理由で学会が開催できなくなったことを一方的に伝え、登録料を返金せずに逃げてしまうハゲタカ学会もあります。学会が実際に開かれる場合もありますが、その内情は、出席者たちがイメージする大規模な国際学会とはかけ離れたものです。出席者もまばらで、事前にホームページで告知されていた名のある研究者たちによる講演もありません。このような疑わしい学会やイベントの事例は、サイエンス誌やニューヨーク・タイムズ誌、ハフポストなどで多数報じられています。
このように研究者は、ハゲタカジャーナルやハゲタカ出版社だけでなく、ハゲタカ学会の存在にも警戒を強める必要があります。しかし、疑わしい学会であるかどうかは、どのように判断すればよいのでしょうか。Knowledge Eによる取り組みである「Think. Check. Attend.(考えて、確認して、出席する)」は、研究と出版に関するイノベーションや発展を支援する組織で、学会の信頼性や学術的資質を査定するためのガイドとして、研究者や学生向けに、出席すべき学会とそうでない学会の判別基準を提供しています。
Think. Check. Attend.は、信頼できるジャーナルを判別するためのキャンペーン、「Think. Check. Submit.(考えて、確認して、投稿する)」のメソッドを参考に、信頼のおける学会と避けるべき学会を見分けるためのガイドラインを提供しています。研究者たちは、簡単なチェックリストに従うだけで、発表や出席をしても問題ない学会かどうかを判断することができます。
以下に、そのチェックリストを紹介します:
主催者およびスポンサーについて
- 学会を主催している組織/団体を知っていますか?
- 学会の開催地はすぐに分かるようになっています?
- この学会が開かれるのは今回が初めてですか?
- 過去にこの学会に出席した経験のある人が身近にいますか?
- 費用(会議出席料、登録料など)は明示されていますか?また、これらの支払いを拒否した場合も発表者として認められますか?
- 学会を支援するスポンサーはいますか?
- スポンサーの中に知っている団体は存在しますか?(とくに、工学や生物医学などの産業関連分野)
- ホームページに、出席費用、受付期限、開催日程、編集委員会、プログラム内容、開催地などの情報が漏れなく記載されていますか?
- 過去にこの学会の議事録を読んだことはありますか?
学会のアジェンダおよび編集委員会
- 学会のアジェンダ(議題)やスケジュールは明示されていますか?
- 対象領域は、あなたの専門分野や関心のある分野とマッチしていますか?
- 基調講演者についての情報はありますか?
- ホームページに、編集委員会に関する情報は明示されていますか?
- 編集委員会のメンバーの中に知っている人物はいますか?
- 編集委員会は、プレゼンテーションに対する編集権限や査読の種類を明示していますか?
学会議事録
- 組織委員会は、学会議事録がどこで出版されるかについての情報を開示していますか?
- 出版された議事録がどのインデックスサービスに登録されるか、また、議事録がどのサービスで評価を受けるかは明示されていますか?
- 議事録の出版社は、COPE(出版倫理委員会)、DOAJ(Directory of Open Access Journals)、OASPA(オープンアクセス学術出版協会)などの信頼できる団体のメンバーですか?
以上の質問のほとんどに自信を持って「はい」と答えられる学会に限って、出席や、アブストラクトの提出をするようにしましょう。このチェックリストを活用して、ハゲタカ学会の餌食にならないようにしてください。
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