世界最大の研究組織の1つであるマックス・プランク学術振興協会(ドイツ)は、オープンアクセス支持の表明として、エルゼビアとの購読契約を更新しないことを発表しました。契約は2018年12月31日で満了を迎え、その後、協会員はエルゼビア誌へのアクセスを失うことになります。
世界最大の研究組織の1つであるマックス・プランク学術振興協会(ドイツ)は、オープンアクセス支持の表明として、エルゼビアとの購読契約を更新しないことを発表しました。契約は2018年12月31日で満了を迎え、その後、協会員はエルゼビア誌へのアクセスを失うことになります。
ドイツは、高額な購読料やオープンアクセス化を巡るエルゼビアとの交渉を、最前線に立って進めてきました。マックス・プランク学術振興協会は、Alliance of Science Organizationsが中心になって大手出版社との新たなライセンス契約の締結を目指して活動するコンソーシアム、「Project DEAL」の一員です。エルゼビアの編集者や編集委員を務めていた同協会の一部の研究者は、エルゼビアとのコンソーシアムの交渉が膠着状態だった2017年に、その職を辞しています。
マックス・プランク学術振興協会のマーティン・ストラットマン(Martin Stratmann)会長は、協会の最新の動きについて、「DEALの目指すものは、マックス・プランク学術振興協会が強く支持するOA2020イニシアティブの目的と完全に一致しています」と説明しています。OA2020イニシアティブは、オープンアクセスへの移行促進のために結成された国際同盟です。
マックス・プランク学術振興協会の研究者は、毎年1万2千本の論文を出版しており、うち1500本はエルゼビア誌で出版されています。この点について、マックス・プランク図書館のラルフ・シマー(Ralf Schimmer)副館長は、「エルゼビア誌の研究論文の生産者および消費者として、私たちには研究者のニーズを満たすシステムを求める権利があります」と述べています。
協会の今回の判断を受け、出版界の巨人であるエルゼビア社(オランダ)は、「遺憾の意」を表明しています。同社グローバルコミュニケーション部門のトム・レーラー(Tom Reller)副社長は、協会の目的が「Project DEALと組むことで、ドイツのオープンアクセス化を大きく進めること」であると述べています。しかしエルゼビアは、コンソーシアムが求めているエルゼビア論文へのアクセスの無料化には合意できないことを明言しており、この交渉は依然として平行線をたどることになります。Project DEALはすでに、シュプリンガー・ネイチャーや王立化学会をはじめとする大手出版社とのオープンアクセス契約の締結に成功しています。
一方のマックス・プランク図書館は、2019年1月1日からエルゼビア誌へのアクセスが失われることへの代替措置をすでに講じていると表明しています。
関連記事:
- 60以上の学術機関がエルゼビア発行誌へのアクセスを失う(ドイツ)
- German institutions push Elsevier for a fair deal in order to access paywalled research
- German and Swedish academic institutions lose access to Elsevier publications
参考資料: