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良い要約の書き方を教えてください。

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Question Description: 

良い要約を書くための手順と、その場合にもっとも重要なことは何でしょうか?

回答

論文の要約とは、論文の主要な点が読者に明確に伝わる形で、その論文を短くまとめたものです。要約を書く上で重要なのは、もっとも重要なアイデア(主題)を見極め、表層的なことや重複する点、些末な内容を除外してまとめることです。要約には、詳細な説明や例も含めません。もっとも重要なのは、要約はできるだけあなた自身の言葉で書かなければならないということです。

効果的な要約を書くためには、以下の点に注意しましょう。


1. まず元の論文を何度も読み、主題が何かを見極めます。また、著者が伝えたいもっとも重要な点についてメモをとります。


2. 要約の冒頭で出典を明らかにします。例えば、以下のように書き出すとよいでしょう:


This is a summary of the article XXXX written by YYYY published in ZZZZ.

(これは、ZZZZに掲載されたYYYY執筆の論文、XXXXを要約したものである。)


3. 次に、その論文の主題を伝えるトピック・センテンス(主題文)を書きます。例えば、以下のようなものです。


In this text, the author wishes to emphasize the importance of XXXX in calculating the YYYY in animal cells.

(本論文で著者が強調したいのは、動物細胞のYYYYを計算する上でのXXXXの重要性である。)


4. メモをとった重要な点を確認しながら書き進めます。


5. できるだけ自分の言葉で書きましょう。


6. 著者の考えやアイデアを伝える際に、I (私)やWe(我々)は使わないようにしましょう。the author feels(著者が思うに) 、the author points out(著者の指摘によると)などのフレーズを使うようにしましょう。


7. 論文の言い回しや文章をそのまま利用する場合は、必ず引用符を使いましょう。ただし、直接引用はできるだけ避けましょう。


論文ステータスの “Under assessment” とはどういう意味ですか?

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Question Description: 

6ヶ月前、あるジャーナルに論文を投稿しました。その後、論文ステータスが"with the editor"から"under review"に変わり、1週間前に"Under assessment"に変わりましたが、このステータスの意味がよくわかりません。どういう意味なのか教えてもらえますか?

回答

これはおそらく、査読が終了して査読報告書を受け取ったタイミングで、編集者がそれに基づいてあなたの論文原稿を評価している最中だという意味でしょう。評価が終わって最終判定が下されることになれば、ステータスは"Decision in process"に変わります。さらなる査読が必要と判断されれば、再び"under review"に戻ります。

研究不正と著者教育の必要性

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研究不正と著者教育の必要性

増加の一途を辿る研究不正への対処は、問題が複雑なだけに、難しいことです。研究不正には、故意の剽窃などの深刻な倫理違反から、自己剽窃など比較的軽微な非倫理的行為まで、様々な種類があり、すべての事例に同じルールを当てはめるのは困難です。学術界はこの問題にどう対処すべきでしょうか。

研究不正にどう対処するかは、学術界が直面する中でももっとも困難な課題です。研究不正は科学の進歩を阻害し、研究機関や助成機関に多大なコストをかけ、さらに研究対象のヒトや動物に危険が及ぶ可能性もあるので、世間の注目を集めるのも当然のことと言えます。しかし、増加の一途をたどる研究不正への対処は、問題が複雑なだけに、難しいことです。研究不正には、故意の剽窃などの深刻な倫理違反から、自己剽窃など比較的軽微な非倫理的行為まで、様々な種類があり、すべての事例に同じルールを当てはめるのは困難です。深刻度の低い不正を行なった研究者が仕事を奪われ研究費をはく奪されるなどの厳しい処罰を受けるとなると、学術界にとって大きな損失となります。学術界はこの問題にどう対処すべきでしょうか。


規定違反や不正に関する調査を受けた研究者が研究の道に戻ることを助けることを目的として、研究者グループによるProfessionalism and Integrity Program (PIプログラム)が開発されました。2013年に開始されたこのプログラムでは、3日間の詳細なワークショップとその後のフォローアップ・セッションで、研究者が研究と出版における無数のコンプライアンス事項や倫理規定を理解し遵守していくことを支援しています。


プログラム創始者のジェームス・デュボア(James M. Dubois) 氏、ジョン・チブナル(John T. Chibnall)氏、レイモンド・テイト(Raymond Tait) 氏、ジロン・ヴァンダーウォル(Jillon Vander Wal) 氏は、同プログラムの開始後3年が経過し、24の研究機関等の研究者39名がトレーニングを終了した時点で、研究者が不正行為を行なった理由と、プログラムに参加した理由についての詳細を公表しました。これにより、研究不正にまつわる通説の真偽が一部明らかになりました。データによると、IPプログラムを紹介されるに至った理由の上位3つは、監督不行き届き(49%)、研究参加者の合意に関する違反(31%)、剽窃(21%)となっています。研究不正には汚名がつきまといますが、これについてはここ何年かの間に疑問が呈され議論されてきました。故意による違反は、故意でない違反よりも少ないことが、PIプログラムのデータでも証明されています。ですから、研究者が規定のガイドラインをなぜ無視してしまったのか、その理由を深く掘り下げてみる必要があります。


研究者の過失の要因については、PIプログラムのデータからは次の3つ、すなわち、細部への注意不足、規定に関する知識不足、違反の深刻さに対する認識の欠如、が考えられます。研究者には、あらゆるコンプライアンス事項や規定を熟知することが求められますが、PIプログラムの創設者たちも述べているように、違反の背景には、未知の研究分野への参入や、他国での研究活動などがあります。創設者らは「悪い人だけが問題を起こすわけではない」と述べていますが、その通りです。すでに多くの業績を築いている研究者でさえ、所属するチーム全体では、必要なプロトコルのすべてを遵守するのに不可欠なコミュニケーションや交渉のスキルの重要性が認識されていないこともあります。創設者らは最後に、不正行為の増加の責任の一端は、論文数を研究者としての成功を測る究極の指標とみなす学術界のゆがんだ報酬システムにあるとも指摘しています。研究者はキャパシティを超えた数のプロジェクトに対応し、研究の1つ1つの細部に注意を払う時間が限られてしまっています。また、学部長らにも研究グループを指導する時間がなく、これも間違いや見過ごしの一因となっています。


エディテージ・インサイトの私たちも、遵守すべきガイドラインやプロトコルについて著者が混乱した事例を見てきました。よくある事例を以下に挙げます。


1. 倫理に関する承認の必要性:ケーススタディ

2. What can I do to resolve the problem of duplicate submission?

3. 事例研究:インフォームドコンセントの必要性

4. Dr.Eddyのお悩み相談: 自己盗用の何が問題なのですか?

5. 動物実験の報告に関するガイドラインの遵守:ケーススタディ


不正には軽蔑の目が向けられ、不正を行なった研究者は厳しい批判にさらされます。しかし、故意に行なったに違いないとか、不注意でガイドラインに違反したと決めつけるのは公正とはいえません。研究者の移動や国際協力、学際研究プロジェクトが増え、すべてのコンプライアンス事項やプロトコルについて把握することは困難になっているからです。PIプログラムは、研究者に自分の責任についてより明確に認識させ、コンプライアンス違反の深刻さについて、研究者の態度を変えさせることに成功しています。これは、間違った情報を与えられていた研究者も、手引きがあれば、認識を改めて学術界に再び戻ることができるという証です。したがって、研究者への教育は研究機関の最優先事項とされるべきであり、主任研究員(PI)や上級研究者は、他の研究者たちの指導監督に当たるという責任を負うべきでしょう。間違いのない、規定に準じた研究を行うことが、研究者の成功と科学の進歩につながるのです。

良い査読には何が必要ですか?

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Question Description: 

査読者はCMEクレジット (Continuing Medical Education, 生涯医学教育) を申請することができますが、査読に漏れがなく完璧だとみなされないと、認められません。完璧で漏れのない査読とはどのようなものでしょうか。何か形式のようなものがあるのでしょうか?基準を満たしていない査読を行なった査読者に対して、どうしてだめだったのか、次回はどうしたらよいかを、どのように説明したらよいでしょうか。

回答

国際科学編集者会議(CSE)の出版倫理に関する白書では、査読者の責務について以下のように記されています。
 

  • 研究の利点と科学的価値について、偏りのないフィードバックを行う。
  • 論文の構成・明瞭さ・科学的正確さ・独自性、および対象読者層への関連性を評価する。
  • 論文原稿に対し、思慮深く、公平で、建設的かつ有益な評価を行う。
  • 個人的なコメントや批判は避ける。
  • 査読プロセスの機密を保持する。
  • インフォームドコンセントの欠如や二重投稿など、倫理面での懸念がある場合は編集者に伝える。


これらの基準に照らし合わせると、完璧で漏れのない査読には、以下の要素が含まれると思われます。


1. 論文原稿について理解したことの要約。


2. 論文に対する全般的な印象。(例 分野の既存知識に貢献する。対象読者の興味を引く。など)


3. 具体的な点に関するコメント。主要なものと些末なものに分けるのが理想。
 

  • 主要な点に関するコメントでは、論文の各セクションの内容や、論文の構成/流れについて具体的なコメントや提案を行い、裏づけとなるエビデンスや例を示す。
  • 些末な点に関するコメントでは、図のラベリングの間違いや、スペリング/文法のミス、文体/フォーマットの問題などを指摘する。


4. 編集者のみに宛てたコメントリストを別に用意する。


5. 剽窃やデータの改ざん、その他の倫理違反が疑われる場合は編集者に報告する。


6. 編集者に、アクセプト、リジェクト、要修正(メジャーあるいはマイナー)を提案し、その理由も添える。


求められる基準を満たしていない査読者には、資料を添えて、模範的な査読報告書のサンプルを提供するとよいでしょう。機密保持に反するため、実際の査読報告書は見せられませんが、見本として報告書のサンプルを作成することは可能です。もう1つの方法として、ひな形を作って査読プロセスを標準化することも考えられます。査読用にそのようなひな形を用意しているジャーナルは多数あります。ひな形には、査読者にコメントしてほしい点をすべて含めておきます。さらに、査読の仕方や査読報告書に含めるべき内容が分かる資料を提供することもできます。以下に、そのような資料の例を挙げておきます。
 

http://www.editage.com/insights/series/tips-for-first-time-peer-reviewers

http://www.editage.com/insights/behind-the-scenes-how-a-journal-editor-reaches-a-decision-on-a-manuscript-after-peer-review

http://www.editage.com/insights/how-to-make-the-journal-review-process-seamless-recommendations-from-a-journal-editor

 

ソーシャルメディアで研究成果の露出を増やす方法

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ソーシャルメディアで研究成果の露出を増やす方法

学術誌での研究成果の発表は研究者にとって重要なことですが、科学情報を日々のコミュニケーションの流れに取り込むことはより重要かもしれません。今日では、その手段としてソーシャルメディアが使われています。この記事では、自分の研究成果をソーシャルメディアで効果的にアウトプットし、その成果を追跡するための方法を紹介します。

[本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]

・共著者:ジャクリーヌ・マクグラス(Jacqueline McGrath, M. PhD, RN, FNAP, FAAN)、デブラ・ブランドン(Debra Brandon, PhD, RN, CCNS, FAAN)

・共同編集: Advances in Neonatal Care誌

 

学術誌での研究成果の発表は研究者にとって重要なことですが、科学情報を日々のコミュニケーションの流れに取り込むことはより重要かもしれません。今日では、その手段としてソーシャルメディアが使われています。この記事では、自分の研究成果をソーシャルメディアで効果的にアウトプットし、その成果を追跡するための方法を紹介します。


ソーシャルメディアを使って研究成果の可視性(露出度)を高めましょう。まずは自分のアカウントを持つところから始めます。アカウントを公私で併用する場合は、誰がそれを見ているかに注意が必要なので、私用と公用に分けた2つのアカウントを持っておくことをお勧めします。どのようなタイトルをつけるか、誰を友達として招待するか(誰と繋がるか)は、それぞれのアカウントごとによく考えましょう。フォロワーは、アカウントごとに異なる場合もあれば、相手との関係によっては、両方にフォローしてもらえる場合もあるでしょう。アカウントを手に入れたら、週に2、3回、自分の考えを投稿してみましょう。たとえば、専門が家族中心医療(family-centered care)であれば、そのテーマに関連した画期的な発見が行われるたびに投稿を行います。週に3回投稿するとして、1回は自分の研究成果、2回は他の研究者による最新の研究や臨床試験の結果を投稿してみてください。このような形で、専門分野でのコミュニケーションを始めてみましょう。最新の研究情報は、Google アラートやお気に入りのジャーナルから入手できます。ジャーナルのウェブサイトでは、各論文にソーシャルメディアと直接つながるシェア用リンクがはられていることが多いので、好きな情報を簡単にシェアすることが可能です。(下の画像を参照)
 

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ページの右側はシェアセクションになっており、たとえばFacebookにログインしている状態でページ上の「like(いいね!)」ボタンを押せば、自分のFacebookページにその記事が公開されます。このように、ある記事のページから直接シェアできるのでとても簡単です。


この方法で投稿するときは、その投稿にウェブページがリンクされていることを確認しましょう。投稿したい情報が決まったら、読者に興味を抱かせるような1、2文を添えてください。自分が投稿する内容についてしっかり理解しておくことが重要です。あなたがどのような情報を伝えたいのか、読書にどのようなメッセージを受け取ってもらいたいのか、よく整理したうえで投稿しましょう。


研究成果をソーシャルメディアで追跡しましょう。成果の追跡とは、自分の投稿に付いた「いいね!」やコメント数をただ数えることだけではありません。その投稿がどのようにシェアされ、拡散されていったのかを追跡することもまた重要です。Advances in Neonatal Careなどの多くの学術誌を出版するウォルターズ・クルワーは、オルメトリクス(Altmetrics)という指標を導入しています。オルメトリクスとは、ジャーナルに掲載された個々の論文がソーシャルメディア上でどのように閲覧されているかを把握するための、ソーシャルネットワークを使った追跡方法の1つです。下の画像は、Advances in Neonatal Care のウェブサイトの論文ページでオルメトリクスのウィジェットがどこにあるかを示しています。
 

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円をクリックすると、下のようなページが表示されます:
 

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オルメトリクスのウィジェットは、その研究がソーシャルメディア上でどのようにシェアされているかを示しています。どこで何回シェア、またはコメントされたのかといった情報とともに、その論文がソーシャルメディアの世界でどれほどのインパクトを持ったのかを概観することができます。さらに、ウィジェットをクリックすると、より詳細な情報(その記事がどこで誰にシェアまたはコメントされたのか)を得ることができます。ソーシャルメディアに積極的に投稿してコメントをもらい、自分の研究成果の露出度とインパクトを高めていきましょう。



*本記事は、以下の論文から抜粋して画像を加えたものです。


McGrath, Jacqueline M. PhD, RN, FNAP, FAAN; Brandon, Debra PhD, RN, CCNS, FAAN. “Scholarly Publication and Social Media: Do They Have Something in Common?” Advances in Neonatal Care. August 2016 - Volume 16 - Issue 4 - p 245–248doi: 10.1097/ANC.0000000000000319

 

ネイチャー、データ利用可能性に関する新方針を発表

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ネイチャー、データ利用可能性に関する新方針を発表

データ共有を長期的に支援する動きを強化するため、ネイチャーは、データの利用可能性についての明記を求める新方針を採択すると発表しました。2016年9月より、ネイチャーおよび関連12誌でアクセプトされた論文には、論文の基礎データへのアクセスの可否とその方法について明記することが義務づけられています。

 データ共有を長期的に支援する動きを強化するため、ネイチャーは、データの利用可能性についての明記を求める新方針を採択すると発表しました。2016年9月より、ネイチャーおよび関連12誌でアクセプトされた論文には、論文の基礎データへのアクセスの可否とその方法について明記することが義務づけられています。


論文著者は、研究で報告した知見を解釈・再現・発展させるために必要な「最低限のデータセット」の利用可能性に関する情報を提供する必要があります。これには、研究中に利用あるいは生成した、公共アーカイブに保管したデータセットが含まれます。プライバシーの問題や第三者機関の関与などにより、データを公開できない特別なケースでは、その旨を明らかにする必要があります。また新方針では、出版論文と同様に、引用文献のセクションでデータセットについて引用するよう促しています。この場合、デジタルオブジェクト識別子(DOI)が付与されているものが推奨されます。 


この方針は、ネイチャー関連5誌:Nature Cell BiologyNature CommunicationsNature GeoscienceNature NeuroscienceNature Physicsでの試験的導入が成功した後、2016年初めに発表されました。同方針は、2017年前半にはNature全誌で採用される予定です。科学コミュニティは徐々にデータ共有の動きを受け入れるようになっています。この方針が、公共データのアーカイブやデータ共有指針を確実に順守させるための効果的な方法となるかもしれません。

出版界の急速な電子化によるメリットとデメリット

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出版界の急速な電子化によるメリットとデメリット
ピッパ・スマート(Pippa Smart)氏は、研究のコミュニケーションと出版を専門とする個人コンサルタントで、出版業界で25年以上の経験をお持ちです。また、世界中の出版社/ジャーナル/編集者にアドバイスとコンサルティングサービスを提供する企業、PSP Consultingのオーナーでもあり、出版社(とくに非営利機関)や編集者に対し、出版プログラムやジャーナルの開発、とりわけ編集戦略についてのアドバイスを行なっています。また、編集スキル、ジャーナル開発、著作権などのテーマで、個人のニーズにあわせたトレーニングも提供しています。スマート氏はオックスフォード・ブルックス大学(Oxford Brookes University)で出版と人類学の学士号を取得後、ケンブリッジ大学出版局、ブラックウェルサイエンス、CABI等の複数の出版社に勤務しました。情報開発に関する慈善団体、「科学出版物入手のための国際ネットワーク(Internationial Network for the Availability of Scientific Publications, INASP)」の会長を務めた際は、発展途上国の出版社にコンサルティングサービスを提供する出版支援プログラムを開発、実施しました。また、学術出版社協会(Association of Learned and Professional Society Publishers, ALPSP)の公式ジャーナルLearned Publishingの編集長や、Science Editing、International Journal of Pediatrics and Adolescent Medicineの編集委員も務め、Practical Action Publishingの非業務執行取締役、欧州科学編集者協会(European Association of Science Editors, EASE)の会員でもあります。さらに、電子/印刷媒体の編集の専門家たちが信頼を寄せるガイド、Science Editors’ Handbookの編集者にも名を連ねています。

ピッパ・スマート(Pippa Smart)氏は、研究のコミュニケーションと出版を専門とする個人コンサルタントで、出版業界で25年以上の経験をお持ちです。また、世界中の出版社/ジャーナル/編集者にアドバイスとコンサルティングサービスを提供する企業、PSP Consultingのオーナーでもあり、出版社(とくに非営利機関)や編集者に対し、出版プログラムやジャーナルの開発、とりわけ編集戦略についてのアドバイスを行なっています。また、編集スキル、ジャーナル開発、著作権などのテーマで、個人のニーズにあわせたトレーニングも提供しています。スマート氏はオックスフォード・ブルックス大学(Oxford Brookes University)で出版と人類学の学士号を取得後、ケンブリッジ大学出版局、ブラックウェルサイエンス、CABI等の複数の出版社に勤務しました。情報開発に関する慈善団体、「科学出版物入手のための国際ネットワーク(Internationial Network for the Availability of Scientific Publications, INASP)」の会長を務めた際は、発展途上国の出版社にコンサルティングサービスを提供する出版支援プログラムを開発、実施しました。また、学術出版社協会(Association of Learned and Professional Society Publishers, ALPSP)の公式ジャーナルLearned Publishingの編集長や、Science EditingInternational Journal of Pediatrics and Adolescent Medicineの編集委員も務め、Practical Action Publishingの非業務執行取締役、欧州科学編集者協会(European Association of Science Editors, EASE)の会員でもあります。さらに、電子/印刷媒体の編集の専門家たちが信頼を寄せるガイド、Science Editors’ Handbookの編集者にも名を連ねています。


このような経歴を持つスマート氏と対話し、論文出版に関するあらゆることについての見解をお聞きするのは、大変有意義な経験でした。今回のインタビューシリーズでは、編集者/出版社/司書の役割の変化をはじめ、ジャーナル編集者がよりスキルを磨いて質の高いものを出版する方法など、さまざまなテーマについてお聞きしました。インタビュー初回の今回は、学術出版界におけるあらゆる変化について伺いました。ジャーナルが出版モデルをどのように変化させているのか、人気が高まりつつある出版後査読についてどう思うか、それは研究の質に影響を与えるのか、与えるとすればどのようなものか、などを伺いました。現在の変化の流れが今後の学術出版界に与える影響について尋ねた際の回答は、協力関係とデジタル技術によって研究が発見されやすくなり、「将来のジャーナル環境は現在とまったく異なったものになるでしょう」というものでした。スマート氏はまた、司書と出版社の役割についても語り、オープンアクセスで出版する著者らに、著作権の意味についての認識が不足していることを指摘しました。

学術出版コンサルタントとして、普段どのようなプロジェクトを手掛けていますか?

引き受ける仕事の幅は広いのですが、出版社や編集者が特定の問題を経験したことから発生したものが多いです。例を挙げるなら、学術団体が出版社と契約交渉をする際の支援、編集者と共に論文/著者/査読者の間にある倫理的問題を解決すること、出版社が編集者と交わす契約書の作成の手伝い、ジャーナル出版社や編集者が出版戦略をたてる際のアドバイスの提供(認知度を高めること、編集の質の向上、査読プロセスの改善、デジタルオブジェクト識別子(DOI)などの国際的動向に準じたジャーナルとウェブサイトの作成方法など)、出版社向け資料の作成(例えば編集者向けのハウツー本)などです。

近年、ジャーナル環境には多くの変化がありました。小~中規模のジャーナルにとって、これらの変化(例えば印刷版から電子版への移行、購読者モデルからオープンアクセスモデルへの移行など)は、どの程度容易または困難だったのでしょうか。

編集者の仕事は過去20年間ほとんど変わっていません。しかし、読者(と、場合によっては著者)の求めるものが変化しており、これに対応するのが難しいことがあります。読者は、洗練された形式でのオンライン購読を求めることが普通になっていますが、多くのジャーナルにとって、そのようなサービスの提供は困難です。このためそういったジャーナルは、主流の(ほとんどがEUや米国の)商業出版環境の周辺に追いやられてしまっています。国際的なイニシアチブ、例えばCrossRef/DOI(論文識別子)やORCID(著者識別子)などの出現により、オンライン環境はますます複雑化しているので、ジャーナル出版社(と編集者)は常にアップデートをし続けなければなりません。2015年に、CrossRefのアウトリーチの仕事をしました。CrossRefにメンバー登録をしている小規模出版社は多いものの、CrossRefのURLにアップデートを伝えないケースが多かったり、メンバー特典(CrossRefが提供する他のサービス)を十分に活用していなかったりしたためです。小規模出版社にとって、さまざまなイニシアチブに従うことは(たとえその存在を知っていたとしても)技術的に難しいのです。私は、オンライン環境によってグローバルなコミュニケーションが改善されているというより、むしろ小規模出版社に不利な状況が生み出されているのではないかと危惧しています。

では、出版社や編集者が後れを取らないようにするにはどうすればよいでしょうか。誰が助けてくれるのでしょうか?

本当に必要とされているのは、学術ジャーナルにより適切なアドバイスを与えることのできる、国の出版協会だと思います。EASEやALPSPなどの国際機関は、重要なニュースのアップデート、資料へのアクセス、トレーニングなどを提供していますが、何が難しいかというと、このようなリソースがあるということを編集者や出版社に伝えることなのです。残念ながら、国の出版協会の多くは教育出版や商業出版に注目しており、学術関連の情報はほとんど提供していません。国の出版協会は学術出版に焦点をあてるべきだと提案したいと思います。

代替的な品質管理方法としての新しい査読モデル/システムの提案は、ジャーナル出版における最新の実験と言えます。その議論の土台となっているのは、従来の査読システムには欠陥がある、あるいは査読を功績として認め、可視化する必要があるという考え方です。ジャーナル編集者として、新しい出版/査読モデルにどのような意見をお持ちですか? 従来からの査読システムには本当に欠陥があると思いますか? オープンな出版後査読は、本当に理想的な解決法でしょうか。そうでないとしたら、良質な論文の出版を確実に行うための最善策とは何でしょうか。

答えるのが難しい質問ですね。査読は、個人的な偏見が大きく影響する、欠陥のあるシステムであり、スピードも遅く、学術情報の循環を滞らせていると言えます。査読のワークフローを改善しようとさまざまな取り組みを行なっているジャーナルもありますが、それ以外の問題には触れられていません。F1000Researchのような取り組み(査読前に論文を出版し、「質の評価」のために査読を行う)は興味深いですが、経験の浅い研究者に対するフィルター機能がなく、インターネット上を、根拠に乏しい可能性をはらむ、粗悪な科学で汚染してしまう可能性があります。オープン査読(査読者を実名とし、査読報告書にアクセスできる場合もある)もまた、批判的なことを書きにくくなるというリスクがあります。とくにまだ経験の浅い研究者が査読者である場合などがそうで、これもまた、いい加減な科学が増えることにつながります。(その上、「査読されたもの)として広まってしまいます。)実際、査読に関する調査では、研究者が単盲検または二重盲検の査読を望んでいるという結果が常に出ていることに注目すべきです。個人的にはオープン査読の透明性は好きですが、それに付随する問題もあることを重々承知しています。


査読者の功績については何らかの形で認識されるべきだと思いますが、難しいのはその方法です。2015年にオーストラリア人研究者数名が、国で研究の評価を行う際に査読について考慮するよう求める申し立てを行いましたが、オーストラリア研究会議(Australian Research Council)のエイダン・バーン(Aidan Byrne)氏が指摘したように、査読は業績として認められるべきであるものの、それは査読者の知的貢献度に準ずるべきで、それを数値化することは現状不可能でしょう。

学術出版は、デジタル技術によって実現される可能性にますます頼り、それを活用するようになっています。状況は、完全にオンライン出版に有利になったでしょうか。印刷版ジャーナルは消滅してしまうのでしょうか?

ジャーナルを取り巻く将来の環境は、現在とはかなり異なったものになると思いますが、ランキング上位のジャーナルは今後も存続するでしょう。そのようなジャーナルは、著者に高い評価を与えますし、価値ある情報を選び取るフィルターの役目を果たしている(高い品質基準がある)とみなされているからです。でも、ジャーナルが集まって論文の巨大な「ポータルサイト」―おそらくF1000Researchをモデルとしたようなもの―が作られるという出版環境も考えられます。そこでは、論文の検索や発見がしやすいだけでなく、著者(とおそらく査読者)の功績を認める仕組みが備わっているかもしれません。デジタル技術が、このような動きを促進するでしょう。協力関係が広範囲で構築されていけば、費用対効果に優れた、効率的なシステムが提供されるようになると思います。

ジャーナル出版環境の最近の変化の波の中で、図書館の役割は変わってきたのでしょうか。図書館は変化に対応できていますか?

図書館は、このような環境に苦戦していると思います。ただ、私は司書ではありませんから、これは外からの見方です。従来からあったキュレーションの役割は変化しました。組織内でこれまでとは異なる役割を担うようになった図書館も多くあります。図書館には、学術コミュニケーションのあらゆる範囲について、つまり、どこにどのように出版すべきか、どこで情報を見つけるのかについてアドバイスを行うことが求められています。図書目録(ライブラリ・カタログ)へのアクセスを提供することやコンテンツを揃えておくこと、そして商業出版社とのライセンス契約交渉においては、引き続き重要な役割を果たしています。多くの司書の役割が大きく変わり、司書という仕事の見方も大きく変わることになりました。でも、私の知る限り、図書館は大変奮闘してきたと思います。2000年には学術図書館の存続の必要性について疑問が出されたこともありましたが、なくしてしまおうというような意見はなくなりました。

研究のさまざまな面で著者を支援する個別サービスを開発/販売するなど、サービスを多角化する出版社も増えています。出版社の役割の変化についてはどのようにお考えですか?

少し前に、エルゼビアのScienceDirectに費用を支払うのはコンテンツのためではなく、サービスのためだけだと聞いたことがあります。これを聞いて、出版社の役割は、コンテンツ提供者からサービス提供者に変化したと確信しました。また出版社は、サービス技術や企業を買収してコンテンツを集めるだけでなく、コンテンツの配信や情報の支援を強化しなければならないことも確信しました。こういうことが非常にうまい出版社もあれば、そうでないところもあります。このように、環境が進化していく様子を見るのは興味深いものです。

現在では、オープンアクセスで出版する研究者が大勢います。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスなどのリベラルな著作権の意味など、オープンアクセスモデルの著作権について、研究者たちはどの程度認識していると思いますか?

私は、ほとんどの著者が、論文出版時の著作権について知らず、CC-BYやその他の類似の著作権契約のもとで出版するときに放棄している権利について、よく分かっていないのではないかと危惧しています。デ・グルイター(De Gruyter)の行った調査で、私の心配が杞憂ではないことが証明されてしまいました。著者へのアンケートで翻訳権や商業目的での再利用について尋ねたところ、(CCライセンスで出版した)著者のほとんどが、それらの権利を譲渡したくないと考えていました。著者の権利に関する教育がもっと必要でしょう。今の環境では、大学や研究者に対して、論文の執筆や出版方法に関する一般教育として行うべきです。出版社も、著者の権利やライセンス契約についてできる限り明確にする責任があります。これがきちんとできている出版社はほとんどないのではないかと思います。

現在の学術出版におけるソーシャルメディアの役割とは何でしょう?

ソーシャルメディアは、好きでもあり嫌いでもあります。ツイッターは大いに活用しています(@LearnedPublish)し、LinkedInもある程度利用していますが、Facebookを使いこなすには年を取りすぎていると感じています。でも、ソーシャルメディアには、学術論文に関する議論を促し、論文にとどまらないより広い場での議論を呼ぶという役割が確かにあると思います。このため、「話題性のある」テーマの論文は有名になり、「面白くないけれど重要」な論文は見逃されやすいということになりがちなので、出版論文の重要性を評価する際は十分に注意する必要があるでしょう。

 

次回は、ジャーナル編集者が現在の出版環境で直面する課題について伺います。

論文の二重投稿についての質問

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Question Description: 

以前に自分たちで実施した小規模・非ランダム化デザインで実施したpilot研究の結果を受けて、大規模・ランダム化デザインの研究を実施し、それを論文として投稿する際に、pilot研究の論文とintro、methods、discussionの文章表現が似通ってしまう(重複してしまう)部分が多いのですが、introで上記の旨を述べたとしても、これは二重投稿に当たるのでしょうか?

回答

状況を正直に伝えれば、二重投稿とはみなされないと思います。カバーレターで状況を説明するとともに、論文の冒頭で、その研究が過去のパイロット研究に基づいたものであると述べ、出典も明記しましょう。また、イントロダクションでパイロット研究について説明し、それがどのように大規模・ランダム化デザインの研究につながったのかを述べることも必要です。これらの点をすべてクリアすれば、大規模・ランダム化デザインの研究は、パイロット研究のフォローアップあるいは第2段階の研究とみなされ、二重投稿とみなされることはないでしょう。

 

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査読プロセスがとても遅いジャーナルに、最終リマインドメールを送ることの是非

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ある雑誌に論文を投稿しましたが、下記のように査読プロセスがとても遅く困っています。 投稿:2016年8月9日 1回目査読(2名):2016年10月25日(minor revision) 再投稿:2016年10月25日(同日中に修正版を再投稿) その後、12月・1月・2月と毎月状況確認をしていますが、「さらにもう一人別の査読者を探している」という同じ返事が繰り返されています。高名なジャーナルでもないので、そろそろ見切りをつけて最終リマインド&取り下げも考えていることを伝えようと思いますがいかがでしょうか?アドバイスを頂けますと幸いです。 ******************
Dear XXX
Editorial Office

Please allow us sending you a final reminder regarding our manuscript submission, submitted to XXX on Aug 9th, 2016. We have received following Editor's comment after the first-round review on Oct 25th, 2016: "Based on these reports, and my own assessment as Editor, I am pleased to inform you that it is potentially acceptable for publication in XXX, once you have carried out some essential revisions suggested by our reviewers". Almost one month has passed since we received following latest response from the editorial office: "At present, we are still seeking another reviewer to provide a report in order for a scientifically sound decision to be made. Rest assured we are personally inviting referees in order to secure another report in a timely manner". We have been checked "current status" every day, but it still remains "Under Review". Has there any progress on that? Could you please let us know when we can expect notice regarding the final decision of our submission. We are sorry for rushing you every month, and look forward to hearing from you as soon as possible. We have never experienced this kind of delay in other XXX journals despite only minor revisions, so we are now thinking about withdrawing the manuscript from further consideration by your journal. Thank you for your time and consideration.

Best Wishes,
XXX
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回答

あなたの判断は賢明だと思います。軽微な修正が必要と判定された論文のレビューに、それほど長い時間はかからないはずです。また、修正論文は同じ査読者に送られるのが普通なので、ジャーナルがなぜ査読者を探すのにそれほど長い時間をかけているのか解せません。高名なジャーナルではないとのことですので、原稿を取り下げ、これ以上の時間の浪費を避けるのが最善の策だと思います。


お送り頂いたレターは内容がやや曖昧で、最後のリマインダーとして送っているのか、取り下げの申し出として送っているのかが判然としません。「異常に時間がかかっており、これ以上待つことはできないので原稿を取り下げたい」という旨を明確に伝えましょう。そして、取り下げの受領確認を求めてください。受領確認を受け取るまでは、ほかのジャーナルへの投稿は控えてください。先に投稿してしまうと、二重投稿とみなされる可能性があります。


取り下げを依頼するメールの書き方は、こちらの記事を参考にしてください。

自分の研究発信にぴったりなジャーナルの見つけ方

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自分の研究発信にぴったりなジャーナルの見つけ方

成果を出す科学者は、査読ジャーナルでの出版を通じてコミュニケーションを図り、科学的記録を作成するライターであるとも言えます。本記事では、自分の研究を広く伝えるのに適したジャーナルを探すための「成功へのステップ」を紹介します。

[本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、 Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]


成果を出す科学者は、査読ジャーナルでの出版を通じてコミュニケーションを取り、科学的記録を作成するライターであるとも言えます。本記事では、自分の研究を広く伝えるのに適したジャーナルを探すための「成功へのステップ」を紹介します。


研究の特徴をつかむ

論文のテーマ、種類、想定読者によって、あなたの論文を分類してみましょう。今回は、健康科学における看護学を例にとって考えてみましょう。その場合、次のような様々なテーマが考えられます:健康/病気、予防/治療、若年/老年、特殊集団/母集団、経過観察、前後関係などです。論文の種類には、原著論文(観察や実験、質的・量的またはその混合)、システマティックレビュー、メタ分析やメタ統合、臨床ガイドラインや臨床的意義、症例報告などがあります。テーマやアプローチ、分野の発展状況によって、主な読者層には研究者、臨床医、政策立案者、教育者などが考えられるでしょう。テーマ、論文の種類、想定読者層の特徴をつかむことが、あなたの論文に合った編集方針を持つジャーナルを選ぶための前提となります。


ジャーナルとその編集方針を調べる

看護学ジャーナルの編集者による国際団体International Academy of Nursing Editorsのウェブサイトwww.nursingeditors.comで、看護学ジャーナルのディレクトリを見てみましょう。候補になりそうなジャーナルのウェブサイトで「About(ジャーナルについて)」の項目を確認し、候補ジャーナルの最新の目次をよく読みましょう。看護学の研究・臨床ジャーナルのeTOCSに無料購読の登録をして、特別号や優先出版論文についての情報を把握しましょう。論説を読み、レビュー論文1、報告のガイドライン2、方法3に関する編集者の視点や情報についても把握しましょう。論文の募集や連続シリーズにも注目します。特定のテーマに関する論文の募集が前もって発表され、厳しい投稿期限が設けられる場合もあります。特別な条件が必要なこともあるので、注意しましょう。例えばNursing Researchなどのように、データ収集の前に臨床試験登録を行うよう求めるものや、システマティックレビューやメタ分析の事前登録を推奨するジャーナルもあります。(さらに詳しい情報は、ウェブサイトwww.nursingresearchonline.comで「For Authors and Reviewers(著者と査読者の皆さんへ)」のタブからご覧ください。)


その他のジャーナルの特徴について検討する

著者/研究者は、狙った読者層に読んでもらえるよう、影響力のあるジャーナルに論文を掲載したいと考えるのが当然なので、ジャーナルの評判や質は重要です。インパクトファクター、5年インパクトファクター、被引用半減期(cited half-life)、論文ごとの代替指標(ページビューやダウンロード数)などは、そのジャーナルが自分の論文に適しているかどうかの判断に有効です。発行部数からは、どれぐらいの人に読んでもらえるかが分かります。個人購読者(学会員の特典としてジャーナルを購読している学会メンバーも含む)は熱心な読者です。ジャーナルを購読している研究機関では、広範な科学者コミュニティに論文へのアクセスが提供されます。査読プロセスの質、編集者の対応の明確さ、編集判断の公正さを考慮しましょう。カラーページ、補助的デジタルコンテンツ、PubMedへの投稿についてなどの特別な事項についても調べましょう。(Nursing Researchでは現在、編集者の裁量により、各号で一定数のページを著者の費用負担なしでカラーとすることができます。) 出版モデルは急速に変化しています。現在は、「従来型の」無料出版/有料購読、「オープン型」の無料閲覧/有料出版、さらにそのハイブリッドモデルがあります。自分が希望する出版モデルがあるかどうかで、ジャーナルの選択が変わることもあるでしょう。


編集者に問い合わせる

投稿前に編集者に問い合わせてみましょう。投稿を考えていることと伝えた上で、論文のテーマと種類を伝えましょう。アブストラクトを添えて、自分の論文がそのジャーナルに適している理由を説明します。論文原稿がジャーナルに適しているかどうかや、査読プロセスなど、疑問に思っていることついて質問しましょう。メールは専門家としてのやり取りであることを忘れず、堅苦しかったりくだけすぎていたりする言葉遣いは避け、丁寧さを保ちながら、論文と自分の質問について書きます。編集者の任務は、出版コンテンツの選別、査読者の管理、編集部の監督、科学的記録の整合性を保つことです。それを理解すれば、返信のありがたさが分かるはずです。


投稿段階に進む

手に入れた情報を利用して、論文を投稿しましょう。自分の論文に適したジャーナルの候補リストの上位にあるジャーナルから投稿します。注意深く論文を整え、重要な研究であることを明確に示し、看護学で現在進行中のコミュニケーションの輪の中に入り、この分野の科学記録に貢献しましょう。


参考文献

1. Conn V. S., Coon Sells T. G. (2014). Is it time to write a review article? [editorial]. Western Journal of Nursing Research, 36, 435–439. doi:10.1177/0193945913519060

2. Kearney M. H. (2014). Hoping for a TREND toward PRISMA: The variety and value of research reporting guidelines [editorial]. Research in Nursing and Health, 37, 85–87. doi:10.1002/nur.21591

3. Henly S. J. (2013). Use progress in psychometrics to advance nursing science. Revisiting factor analysis [editorial]. Nursing Research, 62, 147–148. doi:10.1097/NNR.0b013e318294b509

4. Broome M. E. (2014). Open access publishing: A disruptive innovation [editorial]. Nursing Outlook, 62, 69–71. doi:10.1016/j.outlook.2014.02.004

 

転載元: Nursing Research: November/December 2013 - Volume 63 - Issue 6 - p 387.

投稿論文の最終判定を下すのは編集者と編集長のどちらですか?

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Question Description: 

3ヶ月前にあるジャーナルに論文を投稿しました。3週間前にScholarOneで状況を確認したところ、「最終判定待ち」と表示されていました。その1週間後に担当編集者に論文の状況について問い合わせると、「査読報告書はすでに受け取っていますが、編集長(Editor-in-Chief)の最終判定を待っているところです」との回答がありました。それから3週間、いまだに連絡はありません。査読の結果がよくなかった場合は、担当編集者が著者に直接その旨を通知するのでしょうか?それとも、編集長からリジェクトを告げられることもあるのでしょうか。編集長はアクセプトに関する決定を下すのみで、リジェクトの判断は編集者が行うという情報を目にしたことがあります。今回のケースはそれに当てはまりますか?ご回答よろしくお願いします。

回答

判定のプロセスはジャーナルによってさまざまですが、一般的には査読された論文の最終判定は編集長が行います。編集者はあくまでも編集長に提案を行うだけで、アクセプトかリジェクトか要修正かにかかわらず、判定結果は、編集長が承認して初めて著者に通知されます。あなたが目にした情報は、査読に至る前にリジェクトされる場合の話です。その場合は、編集長の承認を必ずしも必要としないためです。しかし、あなたの論文は査読を受けたので、どのような結果であろうと、編集長の承認後に通知が届くことになります。

悪質な査読によって何度もリジェクトされる事態に: ケーススタディ

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悪質な査読によって何度もリジェクトされる事態に: ケーススタディ

ある著者の論文に対し、2人の査読者が肯定的な評価を行う一方で、別の1人が極端に否定的なコメントを行い、リジェクトを提案していました。修正して再投稿するも、また結果はまた同じでした。この論文を何とか出版しようと、長い時間と労力をかけていた著者は、結果に納得できずエディテージに助言を求めました。

事例: 投稿論文がリジェクトされてしまった著者は、査読コメントを見て驚きました。3人の査読者のうち、2人はマイナーリビジョン(要小幅修正)と評価して論文のクオリティに概ね満足していたものの、残りの1人が極めて否定的なコメントを付け、クオリティが極めて低いと評価していたのです。この査読者によると、新規性、実験数、文章校正が不十分なため、現状では出版できないとのことでした。著者は、それらの指摘も考慮した上で、全面的に論文の修正(プロによる校正も含む)を行いました。


その後、修正した論文を新たな論文として同じジャーナルに再投稿しましたが、再びリジェクトされてしまいました。評価は、最初の投稿時に受け取ったコメントと似かよっていました。前回同様、2人の査読者が極めて肯定的な評価を与える一方で、別の1人は複数の不備を指摘するとともに、極端に否定的なコメントを付け、リジェクトを提案していました。この論文を何とか出版しようと、修正に長い時間と労力をかけていた著者は、結果に納得できずエディテージに助言を求めました。


対応: エディテージのエキスパートが査読コメントを吟味したところ、否定的なコメントを行なった問題の査読者の指摘(とくに再投稿した論文に対するコメント)は不当であると判断されました。さらに、初回と2度目の査読コメントの文体には類似する点が多いため、この査読者は同一人物である可能性がありました。私たちは著者に、この決定に対して以下の要領で不服を申し立てるようアドバイスしました。
 

・1つ1つの指摘に対して、補足資料とともに反論を用意する。
 

・再査読が行われる場合は、問題の査読者を変更してもらうよう編集者に依頼する。
 

著者がこれらのアドバイスを実行すると、編集者から数日後、別の査読者たちによる再査読を実施するとの返答が届きました。その結果、すべての査読者が内容に満足し、わずかなマイナー修正が求められただけでした。修正後、論文は無事アクセプトされました。


後日談ですが、編集者によると、リジェクトの提案を繰り返していた問題の査読者には、ほかの著者からも似たような苦情が相次いだため、この査読者の登録を解除したとのことです。


まとめ: 多くのジャーナルは抗議に関する明確な指針と手順を定めており、すべての抗議はこの手順に基づいて処理されます。自身の論文に対する判定が不当であるという確信があるのなら、著者には抗議を行う権利があります。通常、抗議のプロセスは、正規の投稿による審査よりも厳格に行われます。抗議を受け取ると、複数の編集者が査読報告書/コメントと著者の反論を査定し、各自が見解を出します。その後、それぞれの見解について議論した上で判定が下されます。再評価を要すると判断されれば、論文は再査読に回されます。このように、抗議のプロセスは極めて厳密かつ公正に行われます。


抗議しても無駄だと誤解している著者も多いですが、抗議内容に十分な説得力があり、補足データやエビデンスを添えた、強固かつ客観的な反論を用意できれば、編集者は間違いなく公平な機会を与えてくれます。


しかしながら、リジェクトされる度に抗議すればいいというわけではありません。抗議はあくまで例外的な措置であり、できる限り慎重に行うべきです。判定が不当だと心から感じるのなら、まずは指導教官や先輩、その他の専門家に相談し、自分の考えに対する意見を求めましょう。抗議は、揺るぎない根拠がある場合にのみ行うようにしてください。また、抗議のやり取りの際は、攻撃的・感情的な言葉を避け、丁寧かつ客観的にコミュニケーションを取るようにしましょう。


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ジャーナルの採択率が100%というのはあり得ますか?

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Question Description: 

現在、初めて国際誌に論文(システマティックレビュー)を投稿する準備をしています。エルゼビアのマッチングツールを使った結果、タイトルとアブストラクトから投稿先にふさわしいと判断された10誌がリストアップされました。その中でレビュー専門のジャーナル(インパクトファクター: 2.6)を見つけたのですが、採択率が100%と書かれていました。投稿された論文が100%採択されるというのは、どういう意味ですか?

回答

採択率が100%ということは、そのジャーナルに投稿されたすべての論文が採択されているのでしょう。これはかなり珍しいケースですが、依頼論文のみを受け付けているジャーナルでは十分にあり得ることです。このようなジャーナルでは、権威のある著者に寄稿を依頼するので、採択率が100%となります。


もう1つ考えられるのは、ジャーナルが出版後査読システムを採用している場合です。ただし、私の知る範囲では、エルゼビアでこのようなシステムを採用しているジャーナルはありません。


また、その数字が誤りである可能性もあります。まずは、ジャーナルのウェブサイトに記載されている採択率を確認してください。ウェブサイトにも「100%」の表記がある場合、それが寄稿依頼専門のジャーナルなのか、または出版後査読を採用しているのかを確かめてください。どちらにも該当しない場合は、編集者に一度問い合わせてみましょう。

「あら捜し的査読」:ジャーナルは、アクセプトではなくリジェクトありき?

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「あら捜し的査読」:ジャーナルは、アクセプトではなくリジェクトありき?

投稿論文のリジェクトは、研究者としてのキャリアを構築する過程で誰もが経験することですが、研究者の多くは、一流ジャーナルは論文をアクセプトせずリジェクトしようとする傾向があると考えています。この現象を、「あら捜し的査読」と名づけた人がいます。

研究者なら誰でも、キャリア構築の過程でジャーナルからのリジェクト(掲載拒否)を経験します。リジェクトは非常によくあることで、出版プロセスには必ずついてまわるものです。投稿論文がリジェクトされるもっとも一般的な理由には、リサーチクエスチョンがジャーナルの対象領域と合っていない、論文の構成が良くない、独自性に欠ける、研究デザインに欠陥がある、などがあります。研究者がリジェクトを経験しやすいのは、インパクトファクターが高いジャーナルに投稿するときです。これらのジャーナルの多くは、リジェクト率が90%以上です。研究者の多くは、一流ジャーナルは論文をアクセプトせずリジェクトしようとする傾向があると考えています。Journal of Marketing Channels誌の編集長を務める華南理工大学(中国、広州)のニール・ハーンドン(Neil Herndon)氏はある論説でこの現象を、「あら捜し的査読(gotcha reviewing)」と名づけました。   


ハーンドン氏の説明によると、ジャーナルは「リジェクトしようとして論文の欠点を見つけることに力を入れる」ため、「あら捜し的査読」が生じるということです。この現象は、選別基準の厳しい、いわゆるインパクトファクターの高いジャーナルで起こりやすいといいます。同氏はその主な原因として、ジャーナル編集者と査読者に過度の負担がかかっていることがあると考えています。このため、修正可能な間違いであっても、それを理由にリジェクトされてしまうケースも多々あるとのことです。さらに、一流ジャーナルには、ジェンダー・地域・年齢・所属に対する偏見(バイアス)が存在することも知られていうことです。その結果、すぐれた研究アイデアが失われ、ベテラン研究者に立ち向かう中でリジェクトを受けやすい新米研究者のやる気がそがれることにつながっているとハーンドン氏は警告しています。


ジャーナルの選別プロセスには別の要素もある、と考える学術関係者も多くいます。ジャーナルは、インパクトファクターを上げる目的で、定期的に大量のリジェクトを出します。これは、アクセプト率を一流ジャーナルに近づけようとするためで、選考基準を厳しくすれば、著者にとってジャーナルの魅力が増すと考えているためです。ジャーナルのインパクトファクターとリジェクト率の間には何の関係もないことが分かっていますが、この傾向は続いています。その結果、研究者の多くの時間とリソースが無駄になっています。さらに研究者は、手を抜いて近道をしてでも新奇性やインパクトがあるように見せなければならない状況にあるので、科学にとって多大な損失となっています。


この問題に解決法はあるのでしょうか。ハーンドン氏は論説の中で、「発展的査読」を提案しています。これは、編集者と査読者がリジェクトについて検討するのではなく、著者に対して論文の改善点を伝えることによって、優れた研究を救済しようというものです。ハーンドン氏は、質の良い研究を支援するという目的を持つジャーナルならば、発展的査読を究極の基準とすべきだと述べ、第一印象で論文をリジェクトせずに以下のように進めることを提案しています。


「まず何より、査読者は時間をかけて細心の注意を払って論文を読まなければなりません。論文の理論的土台と方法について深く理解し、仮説・統計・結果を慎重に吟味し、考察の視点・理論的意義・処理上の意義・(該当する場合は)政策的意義・今後の研究への提案のすべてに根拠があり、全体として1つにまとまっているかどうかを確認しなければなりません。査読者が論文を批判し、改善点を提案するのはその後です。


ジャーナルが行う評価の主な目的は、優れた研究を受理し救済することであるべきだという意見に賛同する人は多いでしょう。しかし、次のような疑問も自然に湧いてきます。大量の投稿論文を扱うジャーナルがメンターの役割を担うのは現実的でしょうか?査読者と編集者は、増加の一途をたどる出版物に対応するため、時間の捻出に苦労しています。編集者には、ジャーナルのインパクトファクターを維持しなければならないというプレッシャーもあります。このような状況では、査読者も編集者も、著者を導く役割を果たそうという気にはならないでしょう。査読をしようという動機付けの不足、学術界における激しい競争、ジャーナルの評価維持へのプレッシャーといった要因が組み合わさって、「あら捜し的」行為につながっています。このため、発展的査読の導入には、さまざまな点で変化が必要です。査読者と編集者だけでこの問題を解決するには限界があるでしょう。   


「あら捜し的」な査読を経験したことはありますか?ジャーナルが、投稿論文に対応しつつ発展的査読を取り入れるにはどうしたらよいでしょうか。以下のコメント欄から、あなたのご意見や経験をお聞かせください。

修正済みの論文を再投稿した場合、再査読にはどのぐらいの時間がかかりますか?

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Question Description: 

投稿論文に対し、大幅修正の通知を受け取りました。4人の査読者のうち、1人目は再査読なしの小幅修正、2人目は修正論文の再査読を希望、3人目はリジェクト、4人目は出版を提案(さらに、より高いインパクトファクターのジャーナルへの投稿を提案)という結果でした。編集者によると、査読者たちはこの研究がジャーナルにとって潜在的に興味深いものだと考えているので、(大幅)修正を求めている査読者が指摘した懸念に対応してほしいということでした。そして最近、修正論文を再投稿しました。一般的に、再査読にはどのぐらいの時間がかかりますか?さらに追加の査読があるのでしょうか?もともとの査読者とは別の査読者が新たに加わるのでしょうか?

回答

大幅修正の場合、修正された原稿はもう1度査読プロセスをたどるのが普通です。ほとんどの場合、編集者は同じ査読者に原稿を依頼します。あなたの原稿をすでに読んだことがある査読者なら査読期間も短くなるので、これは理屈から言って最善の方法です。しかし今回は、4人の査読者全員には査読を依頼せず、大幅修正を提案した査読者だけに依頼するかもしれません。


前回の査読者が今回は担当できない場合や、編集者が新たな視点が必要だと考えている場合は、新たな査読者が選ばれる可能性もあります。


Editorial Manager: 著者のための手引き

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Editorial Manager: 著者のための手引き

Editorial Manager®(EM)は、ウォルターズ・クルワーの大半のジャーナルが採用している論文投稿システムです。何千ものジャーナル、何百もの出版社、何万人もの登録ユーザーがEMを利用しています。著者はEMを使って原稿を投稿し、出版までの経過を追跡することができます。

[本記事はウォルターズ・クルワー(Walters-Kluwer)社の著者向けニュースレター、Author Resource Reviewに掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]


Editorial Manager®(EM)は、ウォルターズ・クルワーの大半のジャーナルが採用している論文投稿システムです。何千ものジャーナル、何百もの出版社、何万人もの登録ユーザーがEMを利用しています。著者はEMを使って原稿を投稿し、出版までの経過を追跡することができます。


EMは「クラウド型」サービスなので、ソフトをダウンロードする必要はありません。インターネット接続があればアクセス可能で、すべての主要ブラウザに対応しています。EMでの投稿に際しては、外部の文書を必要としないジャーナルがほとんどです。EMでは、投稿に必要なあらゆる情報(アブストラクト、キーワード、著作権/開示情報、原稿ファイル、ビデオ、助成金情報など)を、投稿時に入力します。共著者には、著作権/情報開示について入力を求める通知が自動的に送られます。


著者は、投稿論文の全プロセスを追跡し、EMからジャーナル編集部にメッセージを送ることもできます。アクセプトや要修正の判定は、著者個人のメールアドレスに通知されます。


EMから特定のジャーナルにアクセスする

ウォルターズ・クルワーのジャーナルのEM投稿サイトにアクセスするには2通りの方法があります。ジャーナルには、それぞれのウェブサイトがあります。各ウェブサイトはウォルターズ・クルワーが管理しており、これらのサイトがオンラインジャーナルのスペースとなっています。読者に必要な購読手続き・出版履歴・映像集・編集情報などはすべてこのサイトで管理されています。ジャーナルのホームページから、“For Authors” をクリックしてみましょう。

 

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そこから“Information for Authors(著者向け情報)”を選びます。すると次のページに、そのジャーナルが使用している投稿システムへのリンクが現れます。


また、EMのウェブサイトはインターネット検索でもヒットします。この場合は、ジャーナルのタイトルに続けて“Editorial Manager”と入れます。例えば、“journal of computer assisted tomography editorial manager”と入力すると、検索結果にwww.editorialmanager.com/jcatが現れ、そのジャーナルのEM投稿サイトに行くことができます。


ジャーナルのEMサイトに登録する

画面上部のナビゲーションメニューから、REGISTER(登録)をクリックします。


登録時の注意事項:

  • 複数アドレスの登録:アドレス入力欄の隣に、スパム情報の警告が設定され、ユーザーに予備のアドレスを入力することを強く推奨しています。システムから送られたメールが何らかの理由で1つ目のアドレスのスパムフィルターに引っかかった場合に、別のプロバイダー(Yahoo, Gmailなど)のアドレスで受信できるようにしておくための方法です。
  • そのジャーナルで査読者候補として登録したい場合は、“Are you available as a Reviewer?(査読者になれますか?)”の質問で”Yes(はい)”を選択します。
  • 多くのジャーナルは分類によって査読者の専門を把握し、それらを論文原稿とマッチさせています。
  • 最後に、好きなユーザーネームを登録します。ジャーナルのEM投稿システムを使うときは、このユーザーネームを使う必要があります。


ログイン

ジャーナルのEMウェブサイトに行き、画面上部のナビゲーションメニューからLOGIN(ログイン)をクリックします。


ログイン画面が現れるので、ユーザーネームとパスワードを入力するか、またはORCIDでログインします。ORCIDは、他の研究者とあなたを区別するための永続的なデジタル識別子です。まだORCIDを取得していなければ、「Fetch/Register ORCID(ORCIDに登録する)」をクリックするとORCIDの登録をすることができます。そこからORCIDアカウントにサインインすることもできます。ORCIDアカウントでサインインすると、EM登録ページにあなたのORCIDが自動的に入力されます。EMへの登録にはORCIDは必須ではありません。


Author Loginをクリックします。

 

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パスワードの変更

パスワードや連絡先情報はいつでも変更可能です。ログイン状態にして、画面上部のメニューバーからUpdate My Information(個人情報を更新する)を選びます。


論文を投稿する

ログインすると、Author Main Menu(著者メインメニュー)が表示されます。

 

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Submit New Manuscript(論文の新規投稿)をクリックすると、専用画面が表示されます。


*注:論文原稿の投稿を始めた後に、時間がなくなったりインターネット接続が途切れるなどして投稿を完了できなくても、データが失われることはありません。EMにログインし直して、Author Main Menuの“Incomplete Submissions(未完投稿)”に行けば、中途の投稿プロセスを再開できます。


ジャーナル独自の投稿規定については、上部のバナーからInstructions for Authors(著者向けガイドライン)をクリックすると、ジャーナル固有の著者向けガイドラインのページに飛びます。


もっとも一般的な投稿手順(全ジャーナルで必要とされる手順。その他の任意の手順があるジャーナルもある。)

1. 正式なタイトルと短縮形のタイトルを入力する

2. 論文タイプを選択する(不明な場合はInstructions for Authorsを参照)

3. 著者の追加・編集・削除を行う:システムからの通知は、代表著者(Corresponding Author)にのみ送られる。

4. 共著者の著作権/情報開示フォーム:ウォルターズ・クルワーのほぼ全てのジャーナルでは、この段階で共著者を入力すると、論文投稿後にメールで自動的に共著者にも通知が送られる。メールに記載されたイパーリンクで、共著者であることの確認を行う。ハイパーリンクをクリックするとEMサイトに飛び、著作権/情報開示フォームの入力を求められる。入力を完了できない場合は、Save for Later(保存して後で入力する)をクリックするか、そのページのURLをコピーしておく。入力が終わったら、Submit to Publication(出版に向けて投稿する)をクリックする。

5. アブストラクト

6. コメント

7. キーワード:受理された原稿を検索するためのキーワードを入力できる。

8. 分類:ジャーナル編集部は、適切な査読者を選ぶためにこの分類を利用することが多い。

9. 追加情報:この段階での質問はジャーナルが設定しており、必須項目となっている場合もある。責任著者はこの投稿段階で著作権/情報開示フォームを見ることができる。

10. ファイルを添付する:自分のコンピューターから、投稿に必要なファイルをEMにアップロードする。ファイル添付時の注意事項:

a) 図に関する規定はこちらを参照: http://links.lww.com/ES/A42

b) 補足の音声・動画・データファイルに関する規定はこちらを参照http://links.lww.com/A142

論文に補足ファイル(Supplemental Digital Content, SDC/補足デジタル・コンテンツ)が認められている場合、ウォルターズ・クルワーの制作スタッフがSDCファイルのURLを作成する。URLは論文内のコールアウトに配置される。ウォルターズ・クルワーのスタッフがSDCファイルを編集することはなく、投稿されたままの状態で電子的に表示される。


投稿の完了と承認

すべてのファイルのアップロードを終え、Next(次へ)をクリックすると、送付しようとしているファイルの概略を見ることができ、不足しているデータがあればそれが表示されます。全項目が完了すると、このページにBuild PDF for My Approval(承認用のPDFを作成)のボタンが現れます。


*注:投稿プロセスを完了するためには、投稿者が最終承認を行う必要があります。投稿を承認しないと投稿は完了せず、ジャーナルに送付されません。


投稿論文の進捗状況を追跡する

原稿がジャーナルに投稿されると、“Submissions Being Processed(投稿論文処理中)”リストから進捗状況を追跡することができます。一旦投稿したら、原稿を編集することはできません。幸運を祈ります!


参考資料

Editorial Manager System Requirements: www.ariessys.com/views-press/faqs/q-what-are-the-technical-requirements-for-running-editorial-manager-in-the-editorial-office

Editorial Manager Full Author Tutorial: http://edmgr.ovid.com/lww-final/accounts/authT.pdf.

Editorial Manager Figure Requirements: http://links.lww.com/ES/A42

Editorial Manager Supplemental audio/video/data file requirements:  http://links.lww.com/A142

International Committee of Medical Journal Editors recommendations for manuscript preparation: www.icmje.org/recommendations/browse/manuscript-preparation/preparing-for-submission.html

科学論文を英語で書くときのコツを教えてください

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Question Description: 

私は非英語ネイティブのベトナム人で、ハノイで化学工学の講師をしています。今論文を書いているのですが、実験方法の説明や、アブストラクト、結果、考察のセクションを書くのに必要な文法体系の知識が不足していて思い通りの表現ができません。何かアドバイスを頂ければ幸いです。

回答

残念ながら、科学論文で使う特別な文法体系というものはありません。分野を問わず、自分の考えを英語で思い通りに表現するには、高いレベルでの言語理解が必要になります。とはいえ、非ネイティブの人にとって、ネイティブレベルで流暢に英語を操るのは至難の業でしょう。非英語圏で暮らしている場合はなおさらです。


まずは、英語での読み書きをたくさん行うことが大切です。日々の生活にも英語を取り入れてみてください。たとえば、英字新聞を読んだり、英語のテレビ番組を見たりするのもよいでしょう。あるいは、英語教室に通うことも1つの選択肢です。それでも、これらをすべて行なったとしても、その言語を極めるにはとても長い時間を要します。


科学論文を母国語以外で書く場合には、プロの校正サービスを利用する方法もあります。文法的な誤りを修正してくれるだけでなく、あなたの考えをより良い形で表現するサポートをしてくれます。


以下の記事からも、論文執筆のスキルを高めるためのヒントが得られるかもしれません:
 

 

「科学の門番」に祝福を!

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「科学の門番」に祝福を!

Publonsが、Sentinels of Science(科学の門番)賞の授賞を開始しました。この賞は、「研究の質を保ちながら、より迅速で優れた科学を実現する門番としての査読と編集のエキスパートたちに敬意を表するための」賞です。

ピアレビュー・ウィーク2016のテーマ:「Recognition for Review(査読を理解する)」と足並みをそろえるように、PublonsによるSentinels of Science(科学の門番)賞が発表されました。この賞は、「研究の質を保ちながら、より迅速で優れた科学を実現する門番としての査読と編集のエキスパートたちに敬意を表するための」賞で、初の受賞者は2016年9月23日に発表されました。2015年10月1日~2016年9月17日の仕事ぶりが評価され、受賞の運びとなったものです。


スウェーデンの医学物理学者であるヨナス・ランスタム(Jonas Ranstam)氏は、もっとも多くの論文を査読した査読者として同賞を受賞しました。ランスタム氏は、16分野661本の論文を査読しました。これはおよそ1日に2本の論文を査読している計算になります。


ホセ・フロレンシオ・ラペーニャ(Jose Florencio Lapeña)氏は、査読にもっとも貢献した編集者として受賞しました。同氏は、フィリピン大学小児頭頸部外科に勤める傍ら、ジャーナル編集者および複数の編集委員会の委員として、数多くの論文を担当しました。


この賞の賞金額が控えめなのは認めざるを得ないところです。具体的には、ランスタム氏に250ドルとオープンアクセスジャーナルでの出版料1000ドル分、ラペーニャ氏に100ドルとワイリー(Wiley)のクレジット200ドル分が贈られました。しかしながら、この新たな取り組みの主眼は、査読者や編集者の仕事に対して、より明確に敬意を表するという部分に置かれています。


学術界を舞台裏で支える人々を適切に評価しようというこの取り組みは、Publonsが提唱したものです。Publonsは、査読というシステムと査読者たちへの評価を向上させようと努めています。科学出版の質を維持する上で、査読者が担う役割はきわめて重要ですが、査読自体は無償であり、とくに評価されることもありません。Publonsは、査読者が査読を通して獲得した「実績(merit)」ポイントに対して、デジタルの「バッジ(badges)」を贈っています。Publons のSentinels of Science賞によって、長年先延ばしになっていた査読者への謝意をようやく伝えられるようになったのです。Publonsに続き、ほかのジャーナルや出版社も、学術界に貢献する査読者たちを表彰するような取り組みを導入するのかという点に、今後は注目していきましょう。


関連記事:

Interview with Andrew Preston, co-founder of Publon

「出会った編集者たちは皆、優れた査読者を見つけるのに苦労しています」

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「出会った編集者たちは皆、優れた査読者を見つけるのに苦労しています」
ピッパ・スマート(Pippa Smart)氏は、研究のコミュニケーションと出版を専門とする個人コンサルタントで、出版業界で25年以上の経験をお持ちです。また、世界中の出版社/ジャーナル/編集者にアドバイスとコンサルティングサービスを提供する企業、PSP Consultingのオーナーでもあり、出版社(とくに非営利機関)や編集者に対し、出版プログラムやジャーナルの開発、とりわけ編集戦略についてのアドバイスを行なっています。また、編集スキル、ジャーナル開発、著作権などのテーマで、個人のニーズにあわせたトレーニングも提供しています。スマート氏はオックスフォード・ブルックス大学(Oxford Brookes University)で出版と人類学の学士号を取得後、ケンブリッジ大学出版局、ブラックウェルサイエンス、CABI等の複数の出版社に勤務しました。情報開発に関する慈善団体、「科学出版物入手のための国際ネットワーク(Internationial Network for the Availability of Scientific Publications, INASP)」の会長を務めた際は、発展途上国の出版社にコンサルティングサービスを提供する出版支援プログラムを開発、実施しました。また、学術出版社協会(Association of Learned and Professional Society Publishers, ALPSP)の公式ジャーナルLearned Publishingの編集長や、Science Editing、International Journal of Pediatrics and Adolescent Medicineの編集委員も務め、Practical Action Publishingの非業務執行取締役、欧州科学編集者協会(European Association of Science Editors, EASE)の会員でもあります。さらに、電子/印刷媒体の編集の専門家たちが信頼を寄せるガイド、Science Editors’ Handbookの編集者にも名を連ねています。

研究のコミュニケーションと出版を専門とする個人コンサルタントで、PSP Consultingのオーナーでもあるピッパ・スマート(Pippa Smart)氏にインタビューを行いました。学術出版界で25年以上の経験を持つスマート氏は、出版界の仕組みを鋭く理解する力をお持ちです。長年の経験と知識を生かし、出版社に出版プログラムの開発に関するアドバイスをするほか、編集スキル/ジャーナル事業開発/著作権などのテーマでカスタマイズしたトレーニングプログラムの提供も行なっており、クライアントとしては、ALPSP、WIPO、 EASE、BioMed Central、USAID、CLA、WHO、FAOなどがあります。スマート氏はオックスフォード・ブルックス大学(Oxford Brookes University)で出版と人類学の学士号を取得後、ケンブリッジ大学出版局、ブラックウェルサイエンス、CABI等の複数の出版社に勤務し、制作、技術開発、編集・戦略経営に携わりました。情報開発に関する慈善団体「科学出版物入手のための国際ネットワーク(Internationial Network for the Availability of Scientific Publications, INASP)」の会長を務めた際は、発展途上国の出版社にコンサルティングサービスを提供する出版支援プログラムを開発と実施にあたりました。また、学術出版社協会(Association of Learned and Professional Society Publishers, ALPSP)の公式ジャーナル、Learned Publishingの編集長や、Science EditingInternational Journal of Pediatrics and Adolescent Medicineの編集委員も務め、Practical Action Publishingの非業務執行取締役、欧州科学編集者協会(European Association of Science Editors, EASE)の会員でもあります。さらに、電子/印刷媒体の編集の専門家たちが信頼を寄せるガイド、Science Editors’ Handbookの編集者にも名を連ねています。


インタビュー前半では、学術出版界における最近の変化の潮流についてお話を伺いました。後半の今回は、ジャーナル編集者が直面する課題と、競争の激しい今日の状況下、出版社をうまく運営していくためにジャーナル編集者に必要とされる重要なスキルについてお話し頂きました。また、発展途上国の研究者や出版社に固有の課題について、その中でもとりわけ大きな問題となっている可視性(露出度)と信頼性についての見解もお聞きしました。最後に、Science Editors’ Handbookの編集経験について伺いました。

ジャーナル編集者と頻繁にやり取りをされていますが、ジャーナル編集者のもっとも大きな懸念は何だと思われますか?主要な課題にはどのようなものがあるのでしょうか。

私の知っている編集者全員が直面している最大の課題は、品質をどうやって向上させるか、そして査読をどう効率化させるか、ということです。これまで出会った編集者のほぼ全員が、優れた査読者を見つけることができない、査読報告書を期限内に提出してもらえない、著者に建設的なフィードバックを書いてもらえない、という問題を抱えています。それ以外では(といってもほぼ同じ理由ですが)時間が大きなネックです。ほとんどの編集者は、自分の時間を使って仕事をしています。ジャーナルへの責任を果たすことと、普段の仕事と家族との時間との間で妥協点を見つけなければなりません。このバランスをとるのは難しいことです。

ジャーナル編集者が学術出版をうまく運営していくために伸ばすべき重要なスキルとは何でしょうか?

編集者が成功するためには、さまざまなスキルが必要です。編集長には、計画・運営管理・監督・委任・交渉・構想などの戦略的スキルが必要です。論文を処理する編集者には、素早く読んで内容を理解し、厳しい評価を下し、専門分野の知識や助言を受け入れ(言うは易しです!)、客観的になり、偏見や差別を排して論文を綿密かつ徹底的に分析し(編集長が幅広い視野を求められるのとは逆です)、明確な文章で伝え、決断するスキルが求められます。実務的な決定を下す場面や、優れた査読者/編集委員などを選ぶときなど、判断力はすべての編集者に必要な能力です。もちろん、コミュニケーション能力はもっとも重要ですし、さまざまな視点を尊重する能力も、(出版社や他の編集者/著者等との)対立を避けるためには欠かせません。自ら決定する意思と能力(そしてその結果を甘受する姿勢)も、忘れられがちですが、大事なスキルです。編集者は、周りにアドバイスを求めて決定する、ということができなければなりません。そして、あらゆる決定について、その根拠の正当性を説明できなければなりません。

アフリカや東南アジア、南米での出版活動の支援に多くの時間を割いてこられました。学術出版において、発展途上国が直面している課題は何でしょうか。

可視性(露出度)と信頼性、これが2つの大きな課題です。利用できる技術的な解決方法や国際的イニシアチブに関する知識がないために不利になることがあり(先に述べた通りです[インタビュー前半を参照])、これが露出度の低さを招いています。主要な引用インデックスであるWeb of ScienceScopusに含まれていないことも、事態を悪化させています。この問題に対処しようとする努力(例えばEmerging Sources Citation Index(ESCI)の構築など)もみられますが、効果が出るまでにはかなり時間がかかりそうです。


これらの地域で出版されているジャーナルは、信頼性の面でも問題を抱えています。多くの国では、国内誌よりも「国際」誌の方が高く評価されます。これは、国際誌の論文の質が国内誌とほとんど変わらない(あるいは質が低いことさえある)にもかかわらず、です。(ただ、すべての地域や全分野に当てはまるわけではありません。例えば、南米では国内誌の方が評価が高いのが普通です)。言語もまた問題となります。ジャーナルが英語で出版されていても、編集スタッフが英語ネイティブでなかったり英語が流暢でなかったりする場合、受理され出版される論文もまた言語の問題を抱えることとなり、これが英語ネイティブに対しての障壁となります。人間は言語に左右されがちなので、拙劣な(または整っていない)文章で書かれたものは、残念ながら(多くの場合、誤って)質の悪い科学であるとみなされてしまいます。

いろいろな場で、「先進国と発展途上国の間にある情報量の溝」について述べておられます。この溝はどのぐらいの深さで、どうすれば埋めることができるのでしょうか。この溝を埋めるために、ジャーナルや出版社はどのような役割を果たすことができるでしょう?

数値化はできませんが、質の高い情報へのアクセスは、いまだに先進国での方が発展途上国でよりもずっと簡単です。購読の壁だけでなく、技術的な障壁もあります。例えばインターネットの接続速度が遅いこと、オンラインシステムに不慣れなこと、情報源を素早く評価して適切なものを選択する経験が不足していることなどです。気がかりなのは、オープンアクセスという環境によって発展途上国でも多くの研究にアクセスできるようになったものの、それらの質がすべて高いわけではないということです。このため、以前はすでに時代遅れになった古い印刷版の論文にしかアクセスできなかった研究者たちに、質の悪い情報が洪水となって押し寄せています。この環境の変化は比較的速かったので、利用可能な文献の中から良質の情報を選ぶことのできる十分なスキルと時間が存在するのかどうか、疑問に感じています。さらに、不幸にも不適切な選択をしてしまうと、途上国の研究が影響を受けて蝕まれてしまうことになります。


この問題の解決法について、私は、情報の選び方について研究者を教育するのは学術機関の責任だと感じています。出版社には、ごく限られた現在の品質基準(校正やインデックスへの採録)以外にできることはほとんどなく、また、グローバルな認定評価システムなどを採用することも不可能でしょう。

ある論文の中で、次のような興味深い考察をなさっています。「学術機関の出版部門が営利出版社に移行するのは実用面からの決定であるものの、図書館員や学術界からは研究の商業化に対する懸念が持ち上がっている」。これについて詳しく教えて頂けますか?この懸念とはどのようなものでしょうか。

営利企業の目的は利益を上げることです。ジャーナルがそちらに移行するということは、情報の自由な流れや発見を阻害するような形でジャーナルが収益化される可能性があるということです。費用(払えないほどの額であることも多い)を払わなければジャーナルをオープン化できないという契約を商業出版社と交わしてしまい、騙されたように感じているジャーナルをいくつか知っています。商業出版社はやましいことをしているわけではありませんが、商業出版社と提携することに伴う結果について、利益(大きなものである場合も多い)と潜在的不利益とのバランスを考えることは、どのジャーナルにとっても重要なことです。

Science Editor’s Handbookの編集経験について教えてください。

一言で言うと、多くの博識な著者と知り合ってやり取りをするのはとても楽しく、ようやく出版の運びとなったときは本当に嬉しかったです!このハンドブックは、長年にわたって欧州科学編集者協会(EASE)が編集を行なっていましたが、時代遅れの部分が多くなったため、全体的な見直しが必要でした。アップデートしてもらえるかと聞かれたとき、影響力のある人々と仕事をし、EASEのメンバーのためにリソースを整える絶好の機会だと感じました。でも、思ったよりもずっと多くの時間がかかりました。著者も査読者もほとんどは素晴らしい人々ばかりでしたが、制作過程で著者の親友やカウンセラーとしての役割を果たすことに多くの時間を割きました。ある著者の結婚生活の問題点や健康問題に詳しくなってしまったり、常に世界中を旅しているよう(ほとんどが休暇旅行)に見える著者のことを羨ましく思ってばかりいることもありました。論文に大幅な編集が必要とされる著者に慎重に対応する方法を学ぶ良い機会となりました。問題を抱える著者の話を親身に聞く姿勢を学べたと思います!

これまで、長い間さまざまな役割を果たしてこられました(コンサルタント、著者、編集長、トレーナー、講演者、学術コミュニケーションの専門家、アドバイザー、編集者など)。その中で一番大事だと思う役割は何ですか?

それを選ぶのはほとんど不可能ですね!楽しく仕事をし、こんなに色々なことに取り組む機会に恵まれ、私は本当に運が良いと思います。どうしても1つ選ばなければいけないのなら、トレーナーでしょうか。人と関わるのが大好きなので、講習会で出会った多くの人々と交流を続けています。

 


大変充実したインタビューになりました。スマートさん、お時間を割いて貴重なご意見をお聞かせ頂き、ありがとうございました!


インタビュー前半はこちら::出版界の急速な電子化によるメリットとデメリット

自分の研究分野の優良ジャーナルの見つけ方は?

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Question Description: 

生体力学・バランス・筋電図検査という自分の研究分野で、もっとも優れているジャーナルやインパクトファクターの高いジャーナルをリストアップするにはどうしたらよいでしょう?


自分の研究で読む文献を確認するしかないでしょうか。主要ジャーナルを探す方法はほかにありますか?

回答

オープンアクセスジャーナル・ディレクトリ(Directory of Open Access Journals, DOAJ)は、質の高いオープンアクセスの査読誌がリスト化されているオンライン・ディレクトリです。ここで高度な検索を行えば、あなたの研究分野の優れたジャーナルのリストを入手できます。 


Science Citation Index Expanded (SCIE)のジャーナルリストをチェックしてみるのも、自分の分野の優良ジャーナルを見つけるための良い方法です。こちらも、分野別の検索が可能です。


また、教授や同僚、先輩研究者に聞いてみるのもよいでしょう。あなたの分野の優れたジャーナルについて、意見を聞かせてくれるはずです。さらに、ご自身で言っておられるように、自分が読んだ論文が掲載されていたジャーナルをメモしておくのも大事です。

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