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共著者に無断で論文を投稿することはできますか?

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Question Description: 

論文を書き上げたのですが、研究にまったく関心を示さない指導教官(共著者)に知らせずに、無断でジャーナルに投稿しても問題ありませんか?

回答

いいえ、共著者の承認を得ずに論文を出版することはできません。無断で論文を投稿することはきわめて非倫理的な行為で、あなたの評価に傷が付く可能性もあります。

国際医学雑誌編集者委員会(ICMJE)は、著者資格を与えるべきかどうかを判断するための一連のガイドラインを定めています。ガイドラインによると、著者は以下の条件をすべて満たしている必要があります:

  • 研究の構想やデザイン、あるいは研究データの取得・分析・解釈に相当の貢献をした
  • 重要な知的内容を執筆した、あるいはそれに対して重要な修正を行なった 
  • 出版前の原稿に最終的な承認を与えた
  • 研究に責任を負うことに同意した

このガイドラインによって、指導教官が共著者として相応しいかどうかを判断することができるでしょう。研究に相当の貢献を果たしていて、著者資格があると判断できるなら、論文を投稿することへの同意を得る必要があります。

一方、指導教官から重要な知見を与えられることなく、あなたが単独で研究を構想し、遂行し、論文を書き上げたのなら、指導教官を共著者に加えることなく、単独著者として論文を出版することができます。この場合は、指導教官の同意を得る必要はありません。

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学術出版界の本当のハゲタカは著者?

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学術出版界の本当のハゲタカは著者?

学術出版界における「ハゲタカ」と言えば、金銭的利益を得る目的で論文を出版する出版社やジャーナルを思い浮かべる人が多いと思います。しかし、著者こそが科学の構造に傷を付けている張本人になっているケースがあります。最近、意図的にハゲタカジャーナルで論文を出版している研究者の事例が報告されています。

学術出版界における「ハゲタカ」と言えば、金銭目的で「科学」論文を出版する出版社やジャーナルを思い浮かべる人が多いでしょう。このような出版社やジャーナルは、論文の質にはお構いなしに、著者に出版を約束します。疑うことを知らない著者は、出版費用を払った後で、相手先のジャーナルが偽物であったことに気づきます。論文の取り下げや撤回を求めても、応じてもらえることはまずないと、多くの著者が報告しています。ハゲタカジャーナルは著者の取り下げ要求に対し、拒否するか、法外な手数料を請求するか、単に無視するかの対応を取るだけです。このようなケースでの「ハゲタカ」は出版社であり、著者はその「獲物」だと言えるでしょう。


しかし、ここで問題提起したいのは、著者こそが科学の構造に傷を付けている張本人になっているケースがあるという事実です。最近、意図的にハゲタカジャーナルで論文を出版している研究者の事例が報告されています。ハゲタカ出版と関わりをもつ研究者の大半は、疑うことを知らない被害者でしょう。しかし、ハゲタカ出版には、よく調べなければならない別の側面があることも確かなのです。


ハゲタカ出版は組織化されつつある?


ハゲタカジャーナルの行為を明るみにすることを目指す研究者グループが20173月に発表した論文では、「ハゲタカ出版は組織化されつつある」と報告されています。ハゲタカ出版産業は急成長しており、現在1万誌のハゲタカジャーナルが科学論文を出版していると見られています。ハゲタカ出版市場がとくに栄えているのは、インド、アフリカ、中国などの国々です。


20179月にNature発表された論文では、米国の一流大学に所属する研究者でさえハゲタカジャーナルで論文を出版していると報告されています。これを報告した著者の1人であるオタワ大学のラリッサ・シャムシア(Larissa Shamseer)氏は、「我々の調査明らかになったのは、ハゲタカ出版は世界規模の現象であり、世界中のさまざまな学術機関に所属する研究者が関わっているという問題です」と述べています。


ハゲタカジャーナルで論文を出版する著者に罪はないのか?


毎年40万本の論文がハゲタカジャーナルで出版されています。この膨大な数を考えると、1つの疑問が浮かび上がってきます。これらの論文を出版したすべての著者が無実で、ハゲタカジャーナルの被害者であると言えるのでしょうか?トンプソン・リバース大学(ブリティッシュコロンビア)経済学部教授のデレク・パイン(Derek Pyne)博士は、次のように指摘しています:「何十万本という論文がハゲタカジャーナルで出版されている現状を考えると、すべての著者や大学が被害者であると信じるのには無理があります」。


かの有名な「ビオールのハゲタカ出版社リスト」を過去に作成したジェフリー・ビオール(Jeffrey Beall)氏は、研究者がハゲタカ出版ルートを選んでしまう動機を次のように説明しています:「論文をスピーディーに出版したいがために偽ジャーナルを選択する研究者は存在します」。


研究者たちが、論文を頻繁かつ迅速に出版しなければならないという過度なプレッシャーに晒されているのは事実です。あるナイジェリアの研究者は、支援組織や助成機関が要求する過度な論文出版件数が、「ナイジェリアの研究者の大半を、疑わしいジャーナルで論文を出版せざるを得ない状況に追い込んでいます」と指摘しています。


研究者、教授、教員、医師などは、一定数の論文を出版しなければならないという要求に応えるためにハゲタカジャーナルに手を出してしまうのです。そのような著者は若手研究者であるとは限らず、発展途上国の研究者であるとも限りません。ある2人のチェコ人研究者がScopusのデータベースに登録されているハゲタカジャーナルに関する調査を行なった結果、「科学技術先進国においても、多くの研究者が、論文を出版するためにハゲタカジャーナルに金銭を支払う意思を持っている」ことが明らかになりました。


ハゲタカ出版の魔の手から科学を救う手立てはあるか?


ハゲタカジャーナルのネットワークが拡大し続けていることを考えると、偽ジャーナルや価値のない出版物から科学を救う策を今すぐ講じる必要があります。研究者は、ハゲタカジャーナルで論文を出版することのデメリットを認識しなければならないのはもちろんのこと、論文を迅速に出版できるルートはほかにもあるということを知る必要があるでしょう。スピード出版のオプションは、複数の一流誌で提供されています。ハゲタカ出版を根絶やしにするためには、科学コミュニティが一丸となって徹底的な対応を取る必要があるでしょう。


ハゲタカジャーナルでの論文出版に熱心な研究者が世界中にいるという事実は、質より量が重視されている学術界に巣食う、根深い問題の象徴と言えます。ハゲタカ出版は、科学の公正性に対する真の脅威となっているのです。


研究を実施するには、時間、コスト、リソースの面で多大な投資が必要です。そのため、研究者がハゲタカジャーナルで論文を出版すれば、その被害は良質な研究にまで及ぶことになります。ハゲタカジャーナルで出版された論文が科学的知見に組み込まれても、恩恵を得るのは科学や人類ではなく、一部の著者だけなのです。


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関連動画: 

信頼され倫理にかなった研究者になるために何ができるか?


参考資料:

Many academics are eager to publish in worthless journals

Nigeria’s predator problem

Researchers from national institutes publish in predatory journals

Researchers at Harvard, Mayo Clinic too publish in predatory journals

Researchers may be part of the problem in predatory publishing

リジェクト判定を受けたのですが、まだチャンスは残されていますか?

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Question Description: 

昨日、ジャーナル編集者からリジェクトを知らせるメールが届きました:「編集委員会による厳正な審査の結果、貴論文は、残念ながら現状では出版することができないという結論に達しました」。今朝になりもう一度メールを読み返してみると、次のような記述があることに気付きました:「査読コメントに沿って論文を修正し、再投稿することをご検討ください」。これは、論文が完全にリジェクトされたわけではないということですか?まだチャンスがあるということでしょうか?

回答

 

これは、元の論文を修正した上で新たな論文として再投稿を求めるタイプのリジェクトです。時間を要する可能性のある大幅修正などの場合に、ジャーナルがこのようなリジェクトを選択するケースが一般的になってきています。編集者は、基本的にはあなたの論文に意義を見出しているものの、期限を設けることによって、焦って修正をさせることになるのは望ましくないと考えているのでしょう。提案の通り、指摘に沿って論文を修正し、新たな論文として再投稿しましょう。再投稿するときは、最初の論文のIDとともに、各査読コメントへの返答も用意しましょう。あなたにはまだチャンスが残されています!頑張ってください!

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統計的有意性と臨床的意義をつなぐためのパラダイム・シフト

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統計的有意性と臨床的意義をつなぐためのパラダイム・シフト

エビデンスベースの医療において、統計情報は、診察結果の解釈や治療方針の決定を行う上で欠かせないものです。しかし、臨床試験データの分析法として広く採用されている、p値に基づく意思決定に依存しすぎることへの反対意見が徐々に強まっています。

エビデンスベースの医療において、統計情報は、診察結果の解釈や治療方針の決定を行う上で欠かせないものです。しかし、臨床試験データの分析法として広く採用されている、p値に基づく意思決定に過度に依存しすぎることへの反対意見が徐々に強まっています。一流誌に掲載された複数の論文でも、当然のように受け入れられている「統計的有意性」に疑問が提示されています。


p値に関する論争


統計学におけるp値は、確定的な検定としてではなく、実験を繰り返して真となる結果から得られたときのエビデンスの確率を判断するツールとして導入されました。簡単に言えば、p値は0から1の範囲の数値で、その値が低いほど、結果が偶然引き起こされた可能性が低くなります。従来から、p0.05という棄却域は信頼性を見極めるものとされており、そのことから、論文が出版に値するかどうかの判断基準となってきました。とは言え、この棄却域はあくまで確率を示すものでp値は本来、より実用的なツールであり、背景情報と組み合わせることで科学的理解を深められる可能性を持っています。実際、ギャローデット大学のレジーナ・ヌッツォ(Regina Nuzzo)教授は受賞論文の中で、「0.05という魔法の数字は、追加のデータを加えると、それまで有意だったものが有意でなくなる可能性があるため、信頼するには甘すぎる基準である」と指摘しています。


実際の治療効果を判断するためにp値に依存しすぎた結果、臨床試験の価値を証明するのに欠かせない要素を考慮することなく、統計的に有意な結果のみを報告する論文が、生物医学分野に数多く登場しました。この歪みは、01かという統計的有意性の基準が、治療効果の大きさ、副次的評価項目における治療効果、一般的なリスク/メリット評価におけるこれらの効果の意味、効果の生物学的可能性、再現性、推論過程での観察結果の一般化の可能性といった重要因子を除外していることに起因しています。この数年間に、少なくとも1誌(Basic and Applied Social Psychology誌)が、p値の使用を禁止しました。これは苦しい決断だと考えられますが、Buyseをはじめとする研究者は、高インパクファクターのジャーナルで、有意でない統計結果に基づく臨床データの解釈に異議を唱える論文を発表しています。


臨床関連の変化は一般的に、「minimally important changes(最小限の重要な変化、MIC)」や、「minimal clinically important differences(臨床的意義のある最小変化量、MCID)」などの用語で識別されるケースが一般的です。残念ながら、臨床的有意性は、客観的計測値で定義することができません。確実に言えるのは、統計データを用いて研究の臨床的有意性を評価するには、p値だけでは不十分だということです。


臨床的意義と統計的有意性を融合する方法


統計的に「有意である」または「有意でない」という二項対立で臨床試験の結果を見ると、集めたデータの広範な解釈を歪める結果に陥りがちです。効果量や信頼区間によって示される効果の重大さや相対的重要性は、臨床試験結果を報告する上で、より頑健な指標と考えられています。


効果量:治療の効果をシンプルに「はい」か「いいえ」で解釈する方法は一見魅力的ですが、このような二元論は、治療の効果や生物学的意義を正確に測定しなければならない研究者たちの世界では、非現実的なものです。臨床データの分析に効果量を含めると、グループ間における結果の差の大きさを表すことができるため、臨床的有意性を評価する上で、これは効果的な手法です。つまり、治療の効果量が大きいほど、実験群と対照群の間に大きな差があること、患者により大きな効果があるということが示されます。


信頼区間:信頼区間は、多くの研究者が支持しているもので、CONSORTConsolidated Standards of Reporting Trials:臨床試験報告に関する統合基準)声明でも支持されています。信頼区間とは、効果の測定における不確かさの度合いを示すものです。言い換えると、上限と下限の信頼限界を設けることで、真の母集団の効果量がこの2点の間に存在するという前提から推論を行うことができます。信頼区間は、p値のように統計的に有意かどうかを示すことに加え、結果の精度を示す指標ともなります。


ベイズ的アプローチ: p値に基づく推定の問題には、転置条件と呼ばれる現実の論理的な誤りが表れています。貧血の患者が倦怠感を持つ可能性と、倦怠感を持つ患者が貧血である可能性がイコールではないのと同様に、介入群と対照群の間の差を示すp値<0.05は、治療が実際に効果的である可能性を示しているわけではありません。現実の流動性と不確実性を把握するために、ベイズ的アプローチによって、臨床試験データの分析にパラダイム・シフトが巻き起こりました。このアプローチは、病気の蔓延、患者の区分データ、症状などの因子を考慮した上でのみ決定を下し、事前確率を評価した後に診断検査を実施するという、医師のクリティカル・シンキングのプロセスを模倣したリサーチクエスチョンに取り組むというものです。Bittl and Heによる論文のように、このアプローチを支持する研究が増え続ければ、ベイズ統計学は、統計的エビデンスと臨床的有意性の統合において、従来の統計学をしのぐものとなるでしょう。


有意性の検定を支持し続ける人もいると思われますが、研究者は今こそ、その落とし穴を認識しなければなりません。臨床試験結果の報告で読者に有意性を示すベストな方法は、研究のあらゆる重要情報を明確に報告し、すべての知見をほかの研究者と共有することだと言えるでしょう。


関連記事:

研究の有意性とは?p値に頼るべきでない理由

正確にp値を報告していますか?

研究デザインにおける検定力の重要性

混合研究法の論文における考察セクションの書き方を教えてください。

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混合研究法(ミックスメソッド)を用いた論文を書いているのですが、量的結果と質的結果を考察セクションでどのようにまとめるべきか悩んでいます。何かアドバイスを頂ければ幸いです。

回答

 混合研究法の論文でも、考察セクションの書き方は、量的アプローチによる論文とほぼ同じです。もっとも重要なのは、データを解釈する際に、乖離や飛躍をすることなくまとめなければならないということです。これは、混合研究法の論文で研究者がよく直面する課題です。解決策の1つとして、解釈を個別に書き出し、それぞれがデータに基づいているかどうかを確認するという方法があります。

考察のセクションでは、結果を先行論文と比較することで、自分の結果がほかの研究とどのように一致しているか、または異なっているかを示すことができます。その他の論文と同様に、このセクションで自分の研究の限界についても説明しましょう。

12段落を使って、研究の方針、実践したこと、今後の研究の方向性に関する視点を述べましょう。このセクションで述べることは、結果のセクションで示したデータに基づいていなければなりません。また、あなたの研究結果がどう役立つかを示す文献を引用しましょう。今後の研究については、現状の研究結果と、その限界を考慮した上で述べましょう。その分野でさらなる研究が必要であることを示す文献が12点見つかれば、それを引用してもよいでしょう。


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学術コミュニケーションにイノベーションは起きるか?

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学術コミュニケーションにイノベーションは起きるか?

学術コミュニケーションの課題を解決するために、さまざまなソリューションが提供されています。問題は、そのソリューションが十分に導入されていないことです。変化のスピードが緩やかなのはなぜなのでしょう?学術コミュニケーションにイノベーションは起きるのでしょうか?

学術コミュニケーション産業におけるイノベーションの現在について語るとすれば、少なくとも、「研究者のライフサイクルにはいまだに変化が見られない」と言うことができるでしょう。研究を行う動機や成果への報酬に変化はなくても、研究の進め方については、現在多くのツールが提供されています。以下に、学術コミュニケーションにおける課題と、それを解決するためのツールの一例を挙げます:


1. 科学におけるパブリック・エンゲージメント(公衆関与)の不足


複雑な科学情報を、さまざまなフォーマットやスタイルを通してより幅広い人々に伝えるためのウェブサービス が数多く存在します。しかし、インパクトファクターや出版論文数などの旧態依然とした評価指標が、研究成果の価値を発信することの重要性を損なっています。STEM(科学・技術・医学・工学)研究は、社会にさまざまな恩恵をもたらします。それにも関わらず、研究成果が社会に与える影響については適切かつ体系的に考慮されているとは言いがたく、 科学研究や科学者たちを殻に閉じ込め、パブリック・エンゲージメントを制限することにつながっているのです


2. 出版ワークフローにおける改善の必要性


研究者レベルでは、 研究の再現性や透明性を向上させるための新たなツールやシステムが登場しています。しかし出版社のワークフローは、生データ、研究デザイン、プロトコルなどの投稿や共有を処理するためのシステムが十分に整っているとは言えません。


3. 研究者識別子の普及率の低さ


研究者を永続的に識別するためのデジタル識別子は、とくに研究者名の曖昧さを回避する必要性が高い地域での普及率が低く、すべての学術出版社がORCIDを義務化できていないのが現状です。


4. 適切なリソースの不足


所属する研究室のリソース/インフラによって研究が制約を受けないよう、研究者の研究活動をサポートするオンライン・マーケットがあります。しかし、助成金申請による資金の獲得の有無がリソースへのアクセスを左右するものであるという根強い考え方があります。


学術コミュニケーションの変化のスピードが遅いのはなぜか?


これは苦情と捉えられるかもしれませんが、(一部を除いて)それは本意ではありません。ここで強調したいのは、イノベーションの必要性です。科学者時代に厄介な問題と向き合っていた元科学者たちが新たに生み出している大きな流れ(OverleafPublons)は絶え間なく続いており、現役の研究者たちにソリューションを提供しています。


問題は、そのソリューションが十分に導入されていないことです。学術コミュニケーションの変化のスピードが緩やかなのはなぜなのでしょう?この緩やかな速度は、次のイノベーションの波にどのような影響を与えるでしょうか?必要な規模で価値を創造できないイノベーションは排除されてしまうのでしょうか?あるいは、新たなアイデアの生成につながるのでしょうか?10年前の学術界には存在しなかった画期的なツールのうち、あなたはいくつ使ったことがありますか?


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「文字数制限について」

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Question Description: 

現在投稿中の論文ですが、もともと文字数制限内に何とかおさまっていました。 しかし、revise後に文字数制限を超えています。Editorに伝えれば何とかなったりしますか?

回答

ジャーナルは一般的に、掲載論文の長さに対して厳格なので、修正論文についても既定の字数内に収めることを求めるでしょう。しかし、修正後に制限字数をわずかに超える程度なら、許容されることもあるかもしれません。これについては、編集者の判断次第だと思われます。ただし、超過の度合いが大きい場合は、まずはあなたの方で字数を減らす努力をしましょう。その際は、以下の記事を参考に対応してください。字数を減らすことが難しそうな場合は、編集者に相談しましょう。


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自分の研究テーマが適切かどうか分かりません。

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Question Description: 

研究テーマについて悩んでいます。テーマは、「イスラム圏における食事マナーおよび、そのマナーが健康や子供のやる気と嗜好に及ぼす効果」です。この研究は、書籍や先行論文のレビューをもとにしたものなのですが、全体論的なアプローチが不足しているような気がしています。

回答

あなたの研究分野や関心領域に専門性を持たない立場から、この研究テーマの良し悪しを評価することはできません。適切な助言ができるのはその分野の専門家だと思いますので、スーパーバイザーや指導教官にアドバイスを求めてみましょう。ただし、テーマが適切かどうかを事前に自分で確認するためのチェックポイントがいくつかあります:

  • そのテーマに本当に興味を持っていますか?研究テーマは、自分が心から関心を持っているものでなければなりません。興味のあるテーマであれば、論文を書き上げるモチベーションを維持することができるでしょう。
  • そのテーマを研究することで、有意義な知見を生産できますか?人々に有意義な知見を提供できる研究でなければ、その研究に誰も興味を持ってくれません。少なくとも、そのテーマに関心を持っている人にとって有用なものである必要があります。
  • その研究は現実的ですか?仮説を証明できる、十分なデータやエビデンスを得られそうですか?
  • オリジナリティはありますか?研究テーマは、過去に行われていないもの、先行論文として出版されていないものでなければなりません。また、新たな視点を提案するなどの付加価値が必要です。

以上のすべての問いに「YES」と答えられるなら、そのテーマで研究を進めるべきです。答えられない場合は、改良して、オリジナリティのある興味深いテーマを設定し直しましょう。このアドバイスが役立つことを願っています!


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二重投稿の疑い???再投稿しない場合のジャーナルへの知らせ。

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Question Description: 

ある論文をジャーナルに投稿しましたが編集者の段階で内容を修正し、再投稿してくださいとのコメントが来ました(査読にはまわっていません。)しかし、再投稿しても見込みがないと考えたので、ジャーナルに何も返事せずに、別のジャーナルに投稿しました。そしたら、再投稿の期限に関するリマインダーのメールがきました。この場合、再投稿しないことに決めたことをジャーナルに伝えるべきだったのでしょうか。ジャーナルのリマインダーのメールには再投稿しないことを決めたとメールしました。

回答

最初のジャーナルから受け取った判定が「リジェクト(Reject)」または「リジェクト、再投稿(Reject and resubmit)」の場合は、再投稿しないと決めたことを、ジャーナルに事前に伝える必要はありません。この場合は、別のジャーナルに論文を投稿するのは自由で、二重投稿とはみなされることはありません。

しかし、判定が「修正の上、再投稿(Revise and resubmit)」だったならば、論文はまだそのジャーナルで検討中であるということです。この場合は、次のジャーナルに投稿する前に、最初のジャーナルから原稿を取り下げる必要があります。このとき、取り下げの確認が行われる前に別のジャーナルに投稿してしまうと、二重投稿とみなされます。

いずれにせよ、最初のジャーナルにはすでに連絡をされたとのことなので、今できることは、ジャーナルに再度メールを送って、「投稿は正式に取り消されたものと考えている」と伝えることです。後になってもし二重投稿の告発を受けたら、これをエビデンスとして示せば、非倫理的な振る舞いが故意ではなかったと説明することができるでしょう。


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「我が子」が5歳になりました!

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「我が子」が5歳になりました!

エディテージ・インサイトは、今月で5周年を迎えました。世界最大の研究者コミュニティになるという壮大な構想のもと、5年前に誕生したエディテージ・インサイトは、30万人を超える世界中の研究者たちが集う一大コミュニティへと成長しました。

読者の皆様


私には珍しく、言葉がうまく見つからないでいます。いつもなら、次から次へと言葉が溢れ出してくるおしゃべりな私ですが、このメッセージを書いている今は、途方に暮れています。文章に綴りたい出来事や感情が、あまりに多すぎるからでしょう。思いを巡らせながら、心ゆくまでペンを走らせてみたいと思います。


私には、5歳になったばかりの「我が子」がいます。何か月もの計画とディスカッション、書いては書き直す日々、行きつ戻りつしながらの決断、眠れない夜、かつてない長時間勤務の毎日を経て、この手に抱いた我が子です。もうお判りでしょうか?我が子とは、今月で5周年を迎えたエディテージ・インサイトです!


エディテージ・インサイトは、世界最大の研究者コミュニティになるという壮大な構想のもと、5年前に誕生しました。私たちが思い描いたコミュニティとは、出版を目指す険しい未知の旅路で、研究者が実践的な学びや助言を世界中から得られる;専門家に質問に答えてもらえる;ベテラン研究者の視点を役立てられる;世界の別の場所で同じ旅路を進んでいる研究者仲間たちと経験をシェアできる―そんな場です。


この場を共に育ててきたチームメンバーと私は、エディテージ・インサイトが、30万人を超える世界中の研究者たちが集う一大コミュニティへと立派に成長したことを振り返ると、誇らしく、胸がいっぱいになります。世界各地の研究者たちと個人的に向き合う日々は、実に豊かな時間でした数々の苦労話、何度もリジェクトを乗り越えた末に論文が出版されたときの達成感、素晴らしい指導者との出会い、職業生活とプライベートのバランスを取ることの難しさ、研究生活に伴う独特のあらゆる感情―そういったものに、私たちは寄り添ってきました。


5周年の節目に、会員の皆さんからのさまざまなフィードバックを取り入れて、エディテージ・インサイト(英語版)は、レイアウトと機能を大幅に変更しました。私たちは、研究者が直面する課題が出版の各段階によって大きく異なること、そして当然のことながら、研究者はとても忙しいので、すぐに実践できるアドバイスを無数のオンラインコンテンツから探すことが難しいということに気付きました。そこで、改良を施した新生エディテージ・インサイトでは、読者それぞれの現状に沿った、パーソナライズされた体験を提供できるようにしました。出版プロセスにおける現在の状況をお知らせ頂くだけで、自分に合ったおすすめ記事、メールでのコーチング、各種フォーマットのコンテンツ(ビデオ、インフォグラフィックス、ポッドキャスト、スライドショー)など、現状に関連した情報を受け取ることができます。これまでのところ、新しいウェブサイトは会員の皆さんに大変好評です。これ以上の喜びはありません!


もう少しだけ言わせてくださいエディテージ・インサイトは、読者や会員の皆さんなしには、ここまで成長することはできませんでした。皆さんはこの5年間、いかなる局面でも、変化のときも、私たちの側にいてくれました。本当にありがとうございます!皆さんが示した喜びややる気、頂いたご質問、洞察に満ちたゲスト記事やインタビュー、いつもさらなる高みを目指させてくれたフィードバックなど、すべてに感謝しています。皆さんを先導する私たちに絶対的な信頼をお寄せ頂き、本当にありがとうございます。そして何より、素晴らしい対話の数々に、心からの感謝を贈りたいと思います。


この感謝を言葉では表現しきれないと考えた私たちは、5周年にあたる今月、スペシャルなイベント、アクティビティー、賞をご用意しています。新生エディテージ・インサイトを見た感想を、ぜひお聞かせください。率直なご意見や、今後へのご要望もお待ちしています。また、周りの研究者仲間にも、エディテージ・インサイトをぜひ紹介してください。皆で一緒に5周年を祝いましょう!


お誕生日おめでとう!私たちの5歳児は、皆様とともに新たな冒険に乗り出します!


クラリンダ・セレジョ
エディテージ・インサイト編集長

信頼できる学会を見分ける方法を教えてください。

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Question Description: 

国際学会で研究発表をしたいと考えています。インターネットで検索すると多くの国際学会がヒットしますが、信頼できるものとそうでないものを見分けることができません。発表には高額な費用が掛かるので、学会選びに失敗したくありません。信頼できる学会を見分ける方法はありますか?また、信頼できる学会をまとめたウェブサイトなどはありますか?

回答

現在、「偽学会」が増え続けています。残念ながら、信頼できる学会をまとめたウェブサイトはありませんが、信頼できる学会かどうかを見分けるための方法はいくつかあります。

1. 分野で著名な学会を把握しましょう。その分野で長年活動している指導教官、教授、先輩研究者などに信頼できる学会を教えてもらい、リストを作りましょう。

2. リストアップされなかったからといって、必ずしも信頼できないとは限りません。新設直後だったり、専門分野が若干異なるだけだったりする場合もあるからです。

3. そのような学会を見つけた場合は、運営委員会のメンバーを確認しましょう。分野で著名な研究者が名を連ねていれば、その学会は信頼できると言えるでしょう。ただし、著名研究者の名前を無断で載せている偽学会もあるので、指導教官にその都度確認してみるのがよいでしょう。

4. 学会発表の招待メールには返答しないようにしましょう。このようなことをする学会は、たいてい偽物です。信頼できる学会は、個人に直接コンタクトを取ることはせず、「Call for papers」(発表の申し込みを呼びかける文書)で宣伝を行います。

5. 信頼できる学会を見分けるためのもう1つの方法は、過去にどのような研究者がその学会で発表してきたかを調べることです。著名な研究者が発表を行なっていれば、その学会は信頼できるでしょう。ただし、著名な研究者が12人しか参加していない学会は、レベルが高いとは言えません。少なくとも半数が著名研究者であるような学会なら、出席する価値があるでしょう。


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筆者は複数とする方が良いのでしょうか?

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Question Description: 

英語論文の原稿を作成し、校正サービスを利用しました。筆者は私一人なのですが、校正者は "the author"と "I"を全て "the authors"と "we"に書き直してきました。論文の筆者は複数とする通例でもあるのでしょうか?

回答

三人称("the author""the authors")ではなく、一人称("I""we")を使うことが望ましいです。ただ、単著論文で"We"を使うと誤解を招く恐れがあるので、使用は避けるべきでしょう。論文著者はあなた一人とのことなので、"I"でまったく問題ありません。

関連記事:
科学論文で"I""We"を使うことは許されるか?

原著論文とレビュー論文の5つの違い

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原著論文とレビュー論文の5つの違い

論文にはさまざまな種類があり、オリジナルの研究に基づく論文もあれば、先行研究を題材とする論文もあります。各論文の特性やそれぞれの違いを理解しようとすると、とくに若手研究者は混乱してしまうかもしれません。Q&Aフォーラムには、原著論文とレビュー論文の違いに関する質問が頻繁に寄せられています。

論文にはさまざまな種類があります。オリジナルの研究に基づく論文もあれば、先行研究を題材とする論文もあります。各論文の特性やそれぞれの違いを理解しようとすると、とくに若手研究者は混乱してしまうかもしれません。「原著論文とレビュー論文の違いは?」という質問がQ&Aフォーラムにも頻繁に寄せられることから、あらゆる論文タイプの中でも、原著論文とレビュー論文の区別に研究者たちが悩んでいるのが分かります。以下の図は、この2種類の論文の主な5つの違いを説明したものです。

※こちらの図はPDF版のダウンロードが可能です。プリントするなどして参考資料としてお気軽にご利用ください。


【原著論文とレビュー論文の5つの違い】

 

原著論文

レビュー論文

1. 目的

・オリジナルの研究を行い、詳細に報告する。特定の研究課題に対する独自のアプローチを示す。

・特定のテーマに関する先行論文を徹底的に分析する。

2. 何に基づくか

・著者が独自に行なった研究に基づく。一般的に「一次文献」と呼ばれる。

・既存の出版済み論文に基づく。独自の研究に関する報告はしない。一般的に「二次文献」と呼ばれる。

3. どのように書くか

・研究課題を設定し、生データを集め、独自の調査を行う。

・集めたデータの分析・解釈に基づいて論文を書く

・特定のテーマを選択し、そのテーマに関する先行論文をまとめる。

・テーマに関する概要と現状の知見を示すことを目的とする。

4. 何を書くか

・研究の各段階(アブストラクト、仮説、背景、方法、結果と考察)の詳細を示す。

・結果に基づき、既存の知見への補足や将来的な研究課題について論じる。

・ピックアップした先行研究の結果の共通点を特定・報告する。結果に不一致があれば、その理由を論じる。

・客観的な視点で先行論文を分析し、それらの論文が抱える問題点や論文間のずれを指摘する。

5. 長さ(字数制限)

・ジャーナルによって異なるが、30006000ワード程度が一般的。上限を12000ワードとしているジャーナルもある。

30005000ワードが一般的。ジャーナルによっては、この範囲よりも短い/長いレビュー論文を出版している。



5 Differences between a research paper and a review paper



関連記事:

What types of articles do journals publish?」(SlideShare)では、さまざまな種類のレビュー論文を紹介しています。



参考資料:

 

自著論文に関するブログを書いても問題ありませんか?

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Question Description: 

出版済みの自著論文の内容を少し変えたもの(より詳細なもの)をブログに載せて、一般に公開したら、自己剽窃になりますか?

回答

ブログで自著論文に関する情報を発信することは、研究を宣伝する上で非常に効果的です。実際、多くの研究者がこの方法で研究の発信を行なっています。出版済み論文の内容を使っても、その引用元を明示している限り、この行為は自己剽窃とは見なされません。投稿記事の冒頭または末尾に、その投稿について「○○誌に掲載された自著論文を基にしたものである」と記載した上で、論文へのリンクをはるのが一般的です。ただし、ジャーナルが論文の著作権を保持している場合は、論文の再利用に関するジャーナルのガイドラインを確認する必要があります。編集者の許可が必要と書かれている場合は、その方針に従いましょう。さもないと、著作権侵害の罪に問われてしまう可能性があります。

関連記事:

投稿直後のミスについて

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Question Description: 

投稿した翌日にミスに気が付きました。この場合は、編集担当者に論文の差し替えをお願いしてもいいのでしょうか?差し替えのお願いをすることによって、rejectされやすくなりますか?

回答

投稿原稿にミスがあったということですね。この場合は、ミスについてできるだけ早く編集者に伝えるのがベストです。ジャーナル編集者に直接メールを送るか、または投稿システムを通じて、連絡を取りましょう。そして、原稿のタイトル、原稿ID、投稿原稿のミスの内容を伝えましょう。修正原稿も同時に送り、評価にはその最新原稿を使ってもらえるよう伝えてください。

また、ミスがあったことと、手を煩わせたことについての謝罪も、忘れずに伝えましょう。通常は、このことが査読の結果に影響を及ぼすことはないはずですが、このようなミスには十分注意しましょう。今後の投稿では、投稿前に原稿のダブルチェックを行い、さらに同僚にも見てもらって、完璧な投稿を目指しましょう。


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Can I correct an error in my manuscript after it has been submitted?


同一症例のCase reportでも著者、結論が変われば別雑誌に投稿することは可能でしょうか?

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他科の医師と珍しい症例を経験し、機会があればCase reportとして報告したいとも考えております。 想定の話で申し訳ございませんが、この場合、小生の論文がAcceptされた場合、共著者の方が、その症例について他科の視点からみて全く違う着想から別雑誌に論文を投稿することは可能なのでしょうか?

回答

通常は、すべての病歴、治療プロトコル、結果を、1つの症例報告書に記載します。異なる2件の症例報告と言えるほどの大きな違いがない限り、同じ症例から2件の報告書を作成することは、非倫理的とみなされてしまうでしょう。そして、症例報告で、そのようなケースは起こりにくいでしょう。患者のあらゆる状態は関連し合っているはずであり、それらは同時に現れるはずだからです。また、その患者があなたとも別の医師ともかかわっているのなら、2人が同じ報告書の著者となるのが自然でしょう。


2件の報告書を書く前に、その症例について慎重に評価してください。2件の報告書を書くことに決めた場合は、同じ症例をもとに同時に書いた報告書があることを、必ずジャーナル編集者に伝えましょう。

同じデータセットでも目的・結果が異なる場合、同時に投稿していることをジャーナルに知らせる必要がありますか?

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こんにちは。質的研究の論文2本を投稿し、査読に進んでいます。同じようなデータセットですがリサーチクエッションの焦点が違うため、序論、目的、結果、考察等は全く違いますが、アクセプトされる前にジャーナルに知らせた方がよいのでしょうか?どちらの論文が先にアクセプトされるかも分からないので、共に引用文献には載せていません。ジャーナルの投稿時には「公開済みの先行研究と同じデータセットを使っていないか」のチェックはあるのですが、共に未掲載なのでどうすればよいかが分かりません。アドバイスをよろしくお願いします。

回答

同じデータセットに基づく結果は、1つの論文にまとめるのが基本です。同じデータセットから得られた結果を複数の原稿に分割することは、サラミ法や分割出版とみなされる可能性がありますので、重複出版に関するICMJEのガイドラインを参照してみてください。2つの論文を異なるジャーナルに投稿したのであれば、両方のジャーナルの編集者にメールを書いて、今すぐこの状況を伝えましょう。そうすれば、今後の倫理的問題を回避しやすくなるでしょう。メールでは、2つの論文の違いを説明するとともに、あなたの側の透明性を確保するために、別々の論文にしたことの正当な理由を述べましょう。

 


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倫理的なオーサーシップとは:ジャーナル編集者からのアドバイス

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倫理的なオーサーシップとは:ジャーナル編集者からのアドバイス

出版論文の数や質が評価指標となる世界において、論文著者に名を連ねることは、研究者としての信頼を築く大切な手段です。この信頼は、昇進や研究予算の確保などにも関わってきます。しかし、「論文の著者になる」とは具体的にどういうことなのでしょうか?著者名を正しく記載することの重要性と併せて説明します。

[本記事は、Education & Self Development 誌に掲載されたものを、許可を得てここに再掲載したものです。]


論文タイトルの下には、著者名が記されています。共著者名と自分の名前を書くことに慣れきって、とくに注意を払うこともなく書いてしまうことも多いのではないでしょうか。この記事では、この作業を正確に行うことの重要性を説明します。


出版論文の数や質が評価指標となる世界において、著者として出版論文に名前を載せることは、研究者としての信頼を築く大切な手段です。この信頼は、昇進や研究予算の確保、学会への招待などに関わってきます。しかし、「論文の著者になる」とは具体的にどういうことなのでしょうか?


基本原則として、「著者リストは、各自の貢献を正確に反映してなければならない」(Graf, Wager, Bowman et al, 2007)というものがあります。国際医学編集者会議(ICMJE)はオーサーシップ(著者資格)について、以下の4つの基準をすべて満たす必要があると定義しています:
 

  • 研究の構想やデザイン、あるいは研究データの取得・分析・解釈に相当の貢献をした
  • 重要な知見となる部分を起草した、あるいはそれに対して重要な修正を行なった
  • 出版前の原稿に最終的な承認を与えた
  • 研究のあらゆる側面に責任を負い、論文の正確性や整合性に疑義が生じた際は適切に調査し解決することに同意した

(ICMJE, 2017)


このように、著者として論文に名前が記載されるには、以上の4項目すべてを満たす必要があります。逆に、この4項目すべてを満たす研究者は、著者として名前が記載されなければならないということです。したがって、著者は、自分が果たした貢献と、ほか各共著者が果たした貢献を識別できなければなりません。


データの収集や分析、または原稿へのコメントなどで論文に貢献した人々には、謝辞(Acknowledgements)でその旨を示しましょう。


なお、出版倫理においては医学系ジャーナルがもっとも進んでいるという側面もあり、以上の基準などは医学分野における慣習です。しかしこの基準は、教育学や心理学をはじめとして、すべての分野に適用できるものであると言えるでしょう。


このガイドラインを順守すれば、論文投稿によくある研究不正を防ぐこともできます。


まずは、ICMJEの定める4項目を満たしていない人が著者に含まれていないことを確認しましょう。論文に著しい貢献を果たした研究者(1つ目の項目)には、論文の執筆や修正を行い、出版を承認する機会を与えなければなりません。


数年前、興味深いケースに遭遇したことがあります。ある研究プロジェクトに3名の研究者が関わっており、その結果をまとめた論文が出版されました。その後、そのうちの1人は所属機関を離れて別の地で結婚し、ほかの2人の同僚との交流は途絶えました。数年後、残った2人は研究を発展させて、プロジェクトの続報となる論文を出版しました。問題は、プロジェクトから離れた研究者を著者として加えるかどうかという点でした。別の大学で研究生活を再開していたその研究者は、出版された続報を読んで、なぜ自分の名前が入っていないのかと2人に問いただしました。


このケースは、出版論文に訂正を加えることで友好的に解決しましたが、著しい貢献を果たした人が著者として含まれているかどうかを確認することの重要性を示す好例です。


さて、次に、各著者が4項目すべてに該当しているかどうかを確認しましょう。研究の指導教官を著者に含めることは、(良いこととは言えないものの)慣例となっています。しかし、これが受け入れられるのは、指導教官が著しい貢献を果たし、執筆に関わり、出版に合意した場合です。4つの基準は、1つや2つだけでなく、すべてを満たしている必要があります。指導教官だからといって、自動的に著者資格が与えられるわけではないのです。


投稿論文は、ジャーナル編集者が目を通した後に査読に送られます。編集者は、論文がジャーナルの対象領域にマッチしているか、長さなどの要件を満たしているか、査読者の時間を無駄にしない程度の質を備えているかを確認します。経験豊富な研究者と思っていた著者から、きわめて質の低い論文が送られてくることがあります。(彼らは、何を思ってこのような論文を投稿するのでしょうか?)このようなケースでは、私は編集者として、落胆の意を伝えるようにしています。彼らならより良いものを仕上げられるはずだと知っているからです。そんなときは多くの場合、「指導教官という立場上、名前が加えられただけで、論文には一切寄与していない」という説明が、謝罪とともに返ってきます。


また、ある研究所の所長が、著者が自分の施設を利用したというだけで論文に名前を載せるよう要求したことがありましたが、その論文はリジェクトしました。


ほかには、101名分の著者名が載った論文を受け取ったことがあります。高等教育に関するその論文には、国際共同研究として101人の研究者が各国の状況を記述した内容が含まれていました。筆頭著者は、101人全員が研究に貢献しているため、彼ら全員に著者資格があると主張しました。本文と同程度の長さを持つ、著者と各自の所属先が記載されたリストを作り上げた労力はさておき、101人全員が4000ワード(うち40ワードは参考文献リスト)の論文を共同で執筆し、論文のすべてに責任を負うことやそれを出版することに合意したとは、到底信じられませんでした。その論文もリジェクトしましたが、その後、別のジャーナルで出版されたかどうかは知る由もありません。


一部の国では、出版の可能性を高めることを目的に、著名な研究者を「ゲスト」オーサーとして加える習慣があります。「ゲスト」はたいてい、自分の名前を利用されていることを知りません。これは出版倫理違反であるだけでなく、論文がリジェクトされた場合は「ゲスト」の信頼も損なわれかねないので、名誉毀損につながる可能性もあります。したがって、「ゲスト」オーサーにされた研究者は、無断で名前を使った著者に対して、不服を申し立てる権利があります。


4つ目の基準はきわめて重要です。著者として名前が記載されることに同意することは、自分が担当した部分だけでなく、論文全体の責任を負うことを意味します。すなわち、共著者の1人が分析や解釈を誤ったり、最悪の場合、剽窃に手を染めることで論文に不備が発覚したりした場合は、共著者たちもその責任を問われ、顔に泥を塗られることになるからです。4つのすべての基準を満たしていない限り、著者名の記載に同意することは絶対に避けましょう。


論文を投稿する際は、各著者の貢献内容を示した文書も一緒に提出するとよいでしょう。これにより、少なくとも、編集者からこのような情報を求められた場合に時間を節約できますし、何より、深刻な事態から自分を守ることができるはずです。


関連記事:

著者資格を定義する:著者が複数いる論文において貢献者の役割を指定する分類法
オーサーシップが失敗する時
著者資格(オーサーシップ):進化し続ける概念


参考資料:

Graf, C., Wager, E., Bowman, A., Fiacks, S., Scott-Lichter, D., and Robinson, A. (2007) Best practice guidelines on publication ethics: a publisher's perspective. International Journal of Clinical practice61 (supp 152), pp1-26. DOI: 10.1111/ijcp.12557 Accessed 11 October 2017, at: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijcp.12557/full.

ICMJE (2017) Defining the role of authors and contributors. International Committee of Medical Journal Editors. Accessed 11 October 2017

 

編集者の即決について

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Question Description: 

編集者が査読してこの論文は掲載したいと感じて、査読者に通すよう指示、もしくは査読者の意見を無視して掲載することはありますか?

回答

多くのジャーナルでは、短報(short communications)や編集者宛てレター(letters to the editor)といった論文では、査読を行なっていません。したがって、これらの論文は通常、編集者の評価と判断によって出版されます。

しかしながら、原著論文、レビュー論文、意見論文などの比較的長い論文は基本的に査読に送られ、査読者の意見に基づいて編集判断が下されているはずです。これは、編集部側のバイアスを回避し、原稿を客観的に評価するためです。

とは言え、最終的な判断を行うのはあくまで編集者であり、査読者の意見に納得がいかなければ、それを取り入れないことはあります。そのような場合、編集者は論文を別の査読に送るか、編集委員会に意見を求めるのが一般的です。

しかしながら、編集者が査読者にアクセプトを促すようなことは、非倫理的な振る舞いです。どのような形であれ、原稿に対する査読者の見解を左右しようとするような行動は、非倫理的と言えます。そのような行為は、査読の真の目的を阻害することになるからです。


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ポスドクが指導教官(PI)を選ぶための7箇条

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ポスドクが指導教官(PI)を選ぶための7箇条

ポスドク期間は、独立した科学者としてキャリアを歩むための準備期間と言えます。しかし、膨大な研究者の数に対する職の受け皿が小さいため、現在の学術界には熾烈な競争が存在します。そのため、有意義な学習経験を積み、充実したポスドク期間を経てステップアップするためには、優れた指導教官を見つけることがかつてなく重要になっています。

ポスドク期間は、独立した科学者としてキャリアを歩むための準備期間と言えます。しかし、膨大な研究者の数に対する職の受け皿が小さいため、現在の学術界には熾烈な競争が存在します。そのため、有意義な学習経験を積み、充実したポスドク期間を経てステップアップするためには、優れた指導教官を見つけることがかつてなく重要になっています。


過去の記事では、ポスドクのキャリア形成を指導教官がどう支援できるかについて取り上げました。今回は、ポスドクの職を得るに当たり、十分な情報に基づいて選択する方法を紹介します。指導教官(PI=Principal Investigator)の選択は、ポスドクとしてキャリアを成功に導くための重要な第一歩です。


学位取得の1年前からこのプロセスを開始すれば、情報収集に十分な時間を確保でき、候補となるPIを確実にリストアップすることができるでしょう。PI探しでは、以下の点を考慮しましょう:


1. 関心のある研究分野を選ぶ:関心のある研究分野やエキサイティングな研究テーマを選ぶことは、PI探しをする上でもっとも重要なプロセスと言えるでしょう。PI候補者の研究業績を調べ、今後の研究プロジェクトの予定などを聞いておけば、その研究室の研究トレンドを掴むことができ、自分の関心領域がそのPIと一致しているかどうかを判断することができます。


2. PIの研究業績を調べる:学術界でキャリアを積むには、論文出版という形で成果を出すことが何より重要です。PI探しのプロセスにおいて、候補者の論文出版数やその質の調査は、早い段階でしておくべきでしょう。また、研究室の元ポスドクや現役のポスドクの話を聞くことや、筆頭著者として論文を出版できるかどうかをPIに確認することも重要でしょう。現在進行中のプロジェクトに参加することになる場合は、なおさらです。


3. 研究室の研究費獲得状況を把握する:研究は、研究費なしでは進められません。研究費の有無は、研究の質だけでなく、ポスドクとしての総体的経験値に大きな差を生み出します。将来的にポスドクとして働く立場から、PI候補者の研究室が研究費をどの程度安定的に獲得しているかを把握しておかなければなりません。PIや研究室の所属学生としっかりコミュニケーションを取ることで、関連する重要情報を得られるでしょう。


4. 研究室の研究環境を調べる:労働倫理やワークスタイルの価値観を共有できる友好的な人々がいる研究室に入ることができれば、日々の研究生活は価値あるものになるでしょう。心地良い職場環境を育むためには、PIの働き方や指導スタイルとの相性が重要です。これは、PIを選ぶ上できわめて重要な要素です。ここでも、候補のPIや現役の学生/ポスドクと個人的にコミュニケーションを取り、研究室訪問(可能であれば)を行い、研究室のウェブサイトやPIのブログをチェックして、研究室の環境を把握しておきましょう。


5. 指導教官の人となりを理解する:素晴らしいPIの多くに共通する資質として、コミュニケーション能力と柔軟性が挙げられます。一般的に、自分の研究を上手に発信できる研究者ほど研究費を獲得しやすく、同僚とより良好な人間関係を築いています。柔軟性の高いPIは、あなたに考える自由を与え、新たなアイデアを生み出せるよう促してくれるでしょう。このようなPIとなら、素晴らしい師弟関係を築くことができるはずです。


6. 総合的な指導方針を把握する:有意義なポスドク生活を送れたかどうかの判断には、論文出版や学会発表のような形ある成果とは別に、形のない要素も含まれます。これらは、その時点で評価されるものではないことが多いですが、独立した研究者としての将来に大きく寄与するものです。たとえば、労働倫理、キャリア形成、研究質運営、予算編成、ネットワーク構築、指導、査読付き研究資金の獲得などに関するトレーニングを積めるかどうかは、研究者として成功を収める上で不可欠な要素です。研究室の現役/元メンバーと話し、これらについての指導を受けられるかどうかを確認してみましょう。


7. キャリアの目標や方向性を考える:理想のPIを選ぶ上で、オープンな対話は重要情報を収集するのに役立ちますが、PIとポスドクの関係はそれぞれが固有のものであるという現実も理解しておきましょう。情報収集とは別に、自己分析を行う期間を設ける必要があります。たとえば、自分がPIとどのような関係を目指すのか、PIが自分の研究目標をサポートし導けるかどうか、自分がPIのビジョンに貢献できるかどうか、といった点も判断基準の1つとするべきでしょう。


 

研究室には、ヒエラルキーもあれば、ポスドクとして良好な地位を確保するための途方もないプレッシャーもあります。しかし、知識の伝達、協働、知的満足感といった本質的価値もまた、学術界ならではのものです。これらの価値に寄与し、またこれらの価値に支えられた形で理想のPIを探すことができれば、このプロセスを通して、将来のPIと良好な関係を築くことができるでしょう。


PI選びについてシェアしたいヒントや経験談があれば、ぜひコメントをお寄せください。

 
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